夢のコラボ実現!
私は鳥羽美悠。
夕闇島の生き残り、鳥羽美鶴の娘で、美佐の双子の姉よ。美佐は向こうの島で拉致チーム。私は夕闇島で殺人チーム。(ココ、携帯が通じない島だけど、美佐もきっと向こうで頑張っているよね?)
さて私たちは、25年前に島と金塊と命を奪った5人の島の有力者に復讐するため、25年前のままの姿の夕闇島に1人ずつ拉致して、25年前の惨劇に見立てて殺していくつもり。
少しわかりにくいかもしれないけど、これには1つの狙いがあるの。
それは仇の5人に『25年前の夕闇島にタイムスリップして、自分たちの犯行と同じ手口で殺されていく』という恐怖を味わわせることよ。
流石に無人の島じゃタイムスリップ感が無いから、言うことを聞く人間を金で雇って『偽・夕闇島民』兼『目撃者』に仕立てておくスタンバイもしてね。
えっ?殺り方が陰湿だって?
大丈夫。視点をちょっと変えれば、ドッキリ番組みたいなものでしょ。
さて、私の役割は第1の殺人。
拉致してきた火野隼人にたっぷりと25年前“風”の島を堪能させてから、図書館で自殺に見せかけて殺すのよ。
なんて言っている間にホイホイ来たわ憎き火野。
「この島は何て名前の島なんだ?」って受付で聞いていたみたいだけど、夕闇島だって言われてすぐに顔を青ざめさせていたわ。相当恐怖を味わってくれているみたい。
ドッキリ大成功ね。
トドメに「似ているなんてもんじゃない。ここは夕闇島そのものだ。この島は25年前の夕闇島そのものだ!」って嬉しい悲鳴。
私は事務室に火野を案内して、島の資料を漁らせたわ。当然、見つかるのは25年前の情報ばかりだから、ますます25年前の世界に浸るだけ。
ようこそタイムスリップドッキリの世界へ。
そして頃合いを見て睡眠薬入りのお茶を渡して、眠った所でネタバラシよ。死という名のね!
なんだけど、ここからが少しトリックの出番。さすがにこのままじゃ自殺って雰囲気じゃないから、あらかじめ遺書を用意しておいたの。
さらに現場に私がいたら他殺の容疑者になっちゃうから、私自身のアリバイも作るわ。
他の図書館職員(金で雇った偽島民だけど。ちなみにギャルっぽい女の子)が定時連絡してくるのを利用するの。
あらかじめ内線電話番号の表を、『現場の事務室』と『別の階の書庫』の番号を入れ替えた偽の内線電話表とすり替えておく。そうすれば定時連絡の時に電話に出れば、私が書庫にいると見せかけて事務室にいることができるわ。
書庫から事務室に行くには、必ずロビーを通らなきゃいけないからアリバイ確保も完璧。
あとは連絡来た時に火野を殺すだけ。本家顔負けのアリバイトリックでしょ。本家って何?
そして時は来たわ。
電話をしながら火野を拳銃で撃ち殺すだけの簡単なお仕事。
銃声を聞きつけた職員が来るまでに、遺書を残してから他の部屋に隠れてやりすごして、後から合流すれば私にアリバイもあって自殺も成立。
思惑通りに上がる職員の悲鳴を背にロビーに戻って、偽の内線電話票を回収してから書庫に戻る。
あとは頃合いを見て、何食わぬ顔で合流すれば・・・
と思っていた矢先に、職員のほうから私を呼びに来たの。
『殺人事件が起きたかもしれない』ってね。
・・・・・もうバレてた。
ギャルっぽい女の子と思って油断していたけど、なかなか勘の鋭い子みたいね。
そうして呼ばれてロビーに降りた私を待っていたのは2人の男だった。
誰?
1人はスーツ姿のおじさん、もう1人はマヌケ面した男の子。
雇った人たちの中に、こんな2人は見覚え無かった気がするけど。いたかな?いたわきっと。
おじさんは警視庁の刑事さんで、早速私たちの事情聴取を始めたの。
なるほど。他殺だって暴いたのはギャルじゃなくて刑事さんだったのね。納得。
しとる場合か!
刑事!?嘘でしょ!
殺人数分でもう警察到着!?
この島、息のかかった労働者以外は仇しかお呼びしてないんですけど!しかもつい最近まで無人島。
仮に誰かが通報していたとしても、物理的に存在していいレベルじゃないのよ公務員。
死の匂いを・・・嗅ぎつけて来た・・・とでも?
そこから始まる事情聴取。
ってあら?何か聞いていると捜査の主導が刑事じゃなくて隣の男の子。金田一って言うらしいけど・・・何者?
しかも目の付け所が妙に賢い。何この変化球な捜査方針。
さっきまでドッキリの仕掛け人だった私が、いつの間にかドッキリされる側の気分よ。何コレ怖い。どこかに水曜日のスタッフでも隠れているんじゃないの?!
そんな私のピンチに現れたるは、我らが日沖竜平!彼は私と同じ復讐者6人の仲間でリーダー格の頼もしい男よ。
颯爽と現れて刑事の前に立ち塞がってくれたわ。
「お引き取り願おう。この図書館で何者かが死んでいて、しかも殺人事件の可能性もある。それは、わかったが・・・警察がでしゃばると騒ぎが大きくなるだけだ。この島の事は俺に任せてもらおう。警察官が何か知らないが、引っ込んでな」
下手か!
竜平、その追い払い方だと余計に怪しまれるわ。殺人事件だって確信されちゃう。
アナタがこの25年間、復讐の為に頑張って資金稼いできてくれたのは知ってる。でも少しは演技の勉強くらいしてきてよ。
そしてそこから始まる竜平と刑事と金田一の大議論。
どうやら、金田一が事件を解決するために、竜平の立会いの下で調査を許可するって話でまとまったみたい。
何を煽ってくれてんの竜平。
その後も竜平はうっかり“被害者の性別を言い当ててしまう”凡ミスをやらかして、どうにか誤魔化して2人を追い払ったわ。
ちなみに、竜平はあの2人と先に会っていたそうよ。
その時に彼らを監禁しておいてくれたら良かったんだけど、どうやら2人は『警察の最新鋭の通信装置』を持っていて、持ち主に異変が起きたら警察がこの島に押し寄せてくるそうなの。
なんだかすごくハッタリっぽいけど・・・竜平はビビって2人を放置することにしたらしいわ。
まぁいいわ。私は私のやるべきことをするだけ。
そう。唯一の証拠であるこの偽の内線電話表を燃やすだけ・・・
【翌日】
竜平から私達(私と職員を含めてね)にお達しがあったわ。
『余計な事は何もしゃべらないこと』
なるほど、完璧な捜査潰しね・・・余計に怪しまれない?
それと、昨日の火野は当初の予定の通りに25年前の被害者と同じ『一之瀬恵一』として処理することになった。
そして図書館に金田一と刑事が来襲。
打ち合わせ通りに無言を貫いて、竜平が煽って、金田一たちが自分たちで調査を始めて・・・
「一之瀬恵一を殺し、自殺に見せかけた犯人。それはあんただよ!」
金田一がビシッと指差した先、それは紛れもなく私だった。
嘘・・・でも嫌な予感がしていたのよ。竜平が煽って、私の足を引っ張った時からね。
そこから咲き乱れる金田一の名推理。
そして証拠の内線電話表の燃え残り・・・・ちゃんと燃やせてなかったみたい。足引っ張ってたの私自身だわ。
謎はすぐに解かれていた。
その後、刑事は私を逮捕・・・の前に、金田一が私の事をこう言ったの。
「あんたは、似ているんだ。あまりに似すぎているんだよ。俺の知り合いの美佐に。俺をこの島に呼んだ、鳥羽美佐に」
えっ!?
突然飛び出した美佐の名前に私は驚いたわ。
私はすぐに察したわ。なるほど、この想定外の訪問客は復讐を止めたがっている美佐の仕業だったのね。
それからすぐ、同じく事情を察した竜平が強引に私を監禁することにしたわ。
これで私はリタイア。あとは裏方に回るだけ。まぁ当初の予定の通りね。
えっ?謎は全て解かれたら普通は終わり?
・・・・なら、そうじゃないパターンが見れてよかったわね。
さて、ひとまず次の仕事ね。炭鉱の工場の倉庫に監禁される体だけ作って、あとは仲間のフォローに回るだけだから。
まずは向こうの島に行って、状況報告だけしなきゃ。
そろそろ次の標的も拉致できている頃だし。
こうして島を渡った私。島の裏の炭鉱に続く船着き場から、炭鉱を通って仲間と合流・・・
と思った矢先、炭鉱に小さな女の子を見つけちゃったの。
まずいわ・・・ここに仲間以外が来ると、あの【邪魔者は許さないマン】が怒るのよ。そしてこんな子供、すぐに殺されちゃう。
仕方ないわ。安全な場所に・・・ひとまず夕闇島に連れて行きましょう。何故ならこっちの島はこれから惨劇の島になるかもしれないから。
そして夕闇島に戻った私。さすがに少し疲れたわ。謎解かれて、子供運んで。精神的にも身体的にも疲れたわ。
ひとまず工場倉庫で休憩して・・・少し休んだら次の仕事を・・・
そんな時に、奴らはやってきたわ。そう、金田一と刑事。
まぁしらばっくれるだけなんだけどね。
案の定、刑事は私の態度にイライラして怒り出したわ。
「金田一、わかってるのか!?美佐って子が殺されたのだって、こいつのせいでもあるんだぞ!」
えっ?殺された?
25年前の惨劇に関係した事件に巻き込まれて・・・
それ、聞いてない・・・
『ここから、私の気持ちは揺らいだわ』
2人が嘘を言っているとは思えない。
美佐が殺された?
本当だとしたら、殺した可能性があるのは仲間の1人。
つまり、美佐の言葉に耳を傾けずに復讐に走ってしまった私の責任。
私が見捨てたのも当然。
まずはそれを確かめないと・・・
私は急いで向こうの島に戻ったわ。
そして炭鉱で見たものは・・・また子供。今度は3人。
もう、急いでいるのに。
仕方ない、運びましょうか。
だけどこの子供たち。というより1人だけ重い!
女の子は15kg。普通の男の子は20kg。そして大きな男の子は40kg。
・・・・分かるでしょ?女子高生に運べる重さじゃないわ。
でもチンタラしてたら【殺すマン】が来ちゃう・・・どうしよう。
どうしよう!
『諦めるのは早いぜ』
その時、次元の壁を超えるような、不思議な声が私に届いたわ。
絶対に出会うことのない、監督の違う、媒体の違う、そんな場所から来たようなグラサン男が、私の前に現われたの。
「俺は日下ひろなり。事件簿で噛ませ犬に終わった鬱憤を晴らすために。そして美女を助けるために現われたナイトさ」
誰?このキザなグラサン・・・
さっきまで居なかったのは確実。なのに凄く馴れ馴れしくグイグイ来る。
初対面よね?私達。
「助けに?何、今のこの状況を助けてくれるってこと?」
「ああその通り。まぁどういう状況で困ってるのかは知らないが、俺が来たからにはもう安心だぜ」
髪をかきあげるグラサンは、私の方ばっかり見て鼻を鳴らしたわ。何か、生理的に受け付けないタイプ。
だけど放置したら、グラサンも【殺すマン】に殺されちゃう。(別にいいけど)
仕方ない。後でグラサンも眠らせて夕闇島に運びますか。
男手として働かせてからにしないと、さすがに4人は無理だからね。
早速、子供たちを運ぶために力を借りたんだけど・・・
体力無っ!
グラサン、太めの男の子を担いだだけで足プルプルだったの。
「まさか、俺を船で追い回したこの子たちを、俺が船まで運ぶことになる日が来るとは・・・」
とか、何か意味の分からない言い訳っぽいこと言ってたけど、とにかく頼りないったらありゃしない。
私だって、女の子を抱きかかえて、男の子を背負ってるのよ。トータル35kg。あんまり変わらないじゃない。
結局、グラサンは船着き場まであとちょっとの所でたどり着かない地点で。
急に。まるで最初からこの場にいなかったみたいに。グラサンは煙のように消えてしまったわ。
あれは実体のある幽霊だったのかしら?
それとも本物の神隠し?
余裕のある時だったら突き止めたい現象だけど、今は『どうでもいい』の本心が圧勝してるから、無視しましょう。
はぁ、何か余計に疲れたわ。
だけど、ここで終わりじゃない。
復讐だけだった私に課された美佐の死の責任。
行く末を見守らなきゃ!
私の戦いは
これからよ!