果たして私・沢木公平は、2と7を殺せるのだろうか?
ついに到着。決戦の舞台“アクアクリスタル”行きのモノレール乗り場。
2,4,6,7とも無事に合流。
その後、無人モノレールで眼下の海の景色と、カナヅチの2が水に恐れおののく様を堪能し、ついに到着アクアクリスタルの目玉“海中レストラン”。
『ここがお前らの墓場となるのだ!まぁ下手すりゃ私自身も死ぬかもしれないが…まだ10を殺せていない私が死ぬなんてことは、無いだろう。多分!』
レストランに到着してすぐ、主人公と毛利さんがレストラン内を調べ始め、残る13さんが事件の概要について説明を始めた。
2人が調査から帰ってきた頃、おもむろに6が口を開いた。
「となると6は俺のことかもしれねぇな。宍戸の宍には6が入ってるだろ?」
『その通り!』
6のご丁寧な説明に続いて、コナンくんも丁寧に解説をしてくれた。
奈々は7。仁科は2。フォードは英語で4のことをフォー。
流石は小学生。安直な発想だと馬鹿にされないか心配になって大人が言えないことを平然と言ってのけてくれる。そこに痺れる感謝する。
「これで3と1以外の数字が全部揃ったことになるな」
と、毛利さんがボソッとつぶやいたその時。13さんの口から衝撃の事実が語られた。
「3ならいるぞ。キミの目の前にな」
「私の名前は白鳥任三郎です」
まさか…主人公が3だとは。
2つほど言いたいことはあるが、言っていい?
まず、江戸川の川=3説って、そんなに思いつかない?
あと、13さん。何故、わざわざ数字を揃えに来る?犯人側としてはありがたい話だけど、普通は数字が揃わないように『任三郎』なんて名前の人避けるよね。普通。
あと、『1は工藤新一説』なんて想定外の説が流れ始めたが。
まぁどっちでもいい。そこはお任せするさ。
ちなみに、想定外がもう1つ発生した。
7が2の味音痴を貶めるために、ブラインドテイスティングなんておっぱじめやがったことだ。
あのさぁ、犯人がまだ殺そうとしてる直前。被害予定者が余計なことをして、加害予定者のプランを乱すんじゃないって!
まぁ、そのテイスティング対決は2が不正解。私が正解発表となったが・・・
『えっ?これ簡単じゃね?この色と香りと舌触りとのどごし。普通にボジョレのムーラン・ナ・ヴァンじゃないか。えっww2、これを何だって?シャンベルタンとかww』
笑いが込み上げそうで辛かった。
なんて余興はそこそこに。そろそろ私も動こうか。
次のミッションは『さりげなくメモを床に置く』だ。だがこれがなかなか難しい。
4がワインを飲みたいと言い出したり、各々が勝手にジュースやビールを厨房から持ち出したり。行ったり来たりで全然落ち着いて着席してくれないのだ。
そのうち私も緊張して喉が渇いたから、ミネラルウォーターを取りに厨房に行った。
(ただ、『もしかしたら味覚障害治ってるかも』と淡い期待を込めてチリパウダーを舐めてみたのは失敗。結局、心の傷を自分で抉っただけで終わった)
それから少しして、急に4が苦しみ始めた。
『まさかワインに毒が!?』というように驚く13さんたち。
いやいやこれは私じゃない。じゃあ誰!?と、私も慌てふためいていると、苦悶していた4は急に笑い出した。
「ハハハハハッ、冗談デスヨ」
「フォードさん!こんな時に悪ふざけはやめてください!」
『本当にその通りだ。マジでコッチ〈犯人〉のプランに無いことはやめてくれ!』
と、悪ふざけをしていた4であったが、そんな彼が仕事をしてくれた。
私が置いた手紙を見つけてくれたのだ。これで次の段階に移れる。
「沢木公平様。遅れるかもしれないのでワインセラーのM‐18番の棚からお好きなワインを皆さんに出しておいてください。鍵はレジカウンターにある袋の中に入っています。よろしく。旭勝義」
この自作自演な流れで暖かすぎるワインセラーに行き、私は華麗にボウガンを回避!
来ると分かっているボウガンなんぞ、避けるのは容易い…と言えばカッコいいが、正直言うとあの時コナンくんに「危ない!」って叫ばれて驚いたから、体勢不十分で内心ヒヤッとした。
ここでようやく毛利さんから脱出の提案が出された。警察が3人もいて今更?ちょっと職務怠慢ではございませんか?まぁ犯人の私としてはありがたいんだけど。
さぁ、ここからたたみかけるぞ。
客席に戻った私達の前に、まずは海の中に漂う9の死体!(海流任せなのに絵になる漂いかた。これってちょっとした奇跡じゃない?)
さらにオートロックされた出口(私たちがワインセラーに行く前に、発動していたのさ)。
セメントで塞がれた非常口(ちなみにこれ、大変だった準備ランキング第2位)。
「あんたのせいで無関係な私達まで狙われる」と、2と7に責めたてられる毛利さん(むしろ2と7に巻き込まれたのが毛利さんだからな)。
そして始まる7の懺悔の時間(事故の答え合わせができてホッとした私。ここで別人だったらマジ萎える)。
と、今回の事件とは全然無関係じゃない話が終わった頃、毛利さんの提案で手分けした出口捜索が始まる。待ってました!
男達が散り散りにレストラン中を探し始めた所で、私は配電室へGO。そしてブレーカーダウン。暗闇の中急いで客席に戻り、夜光塗料入りマニキュア爪頼りに7をナイフで一撃!
灯りが点いたら皆と一緒にシレッと戻る。
これでようやく標的を2人殺せた。長かった…
次は爆弾のリモコンスイッチを押すだけ。と、ちょっと待ってて。次のは私も死ぬかもしれない。さすがに心の準備が必要だから。
そんなブレークタイムに、気を利かせたコナンくんが水を持ってきてくれた。なんて良い子だ。水も美味い!
さて、一息ついたところで。押しますか。ポチッとな。
ちなみにここからも怒涛の展開なのでご注意ください。
爆発音と共に揺れるレストラン。そして停電。6がライター点火、3がそれを止める。非常灯が自動ON。
そこに窓爆破!流れ込む大量の海水。洗濯機の中みたいに回される私(死ぬぅ!だがこれで2が死ぬはず)。
そんな期待を胸に、浮上してレストランの天井付近のわずかな空気スペースに泳ぎ着く私。
生き残ったのは予想通り。13さん、3、毛利さん、2、6、コナンくん、4、
………2!?
まさかの毛利さんの活躍で2が救助されていた。
その後少ししてから、蘭さんも浮上。どうやら車に挟まれていたそうだ。可哀想に。ここは2が責任とって不幸になってくれなきゃ世の中つり合いが取れない。(なのに、私の希望とは裏腹に13さんの傷口が開くというアンラッキー発動!あんたじゃないんだよ)
だがたしかに現状はかなり厳しい。彼らにとっても、私にとっても。
私に求められている条件は1つ。この空間が水没する寸前に2を残して、唯一の脱出経路である爆破で割った窓から抜け出すことだ。
そのタイミングが来るまで、あとは待つだけ・・・そんな状況でもよく気が付く子コナンくんが口を開いた。
「出口ならあるよ。爆破された窓!」
その通り!だけど正解するのやめてくれ。
なんだけど、少しラッキーなのは要救助者3名に対して、動ける警察と探偵が2人しかいないことだ。当然、重傷者から優先すれば13さんは3が。蘭さんは毛利さんが泳ぎをサポートする流れ。
『ただし2、テメーはダメだ!』
と、2置いてけぼりの流れを打ち砕いたのは、「弱音を吐くんじゃねェ!俺が連れてってやるよ」でお馴染みの6だった。
何故だ…見た目はあおり運転とかしそうなチンピラのくせに、ここで急な男気を。
仕方なく、私が先導して9人仲良く海の中を泳いで地上へ。
『ここで2だけ溺れるように、ゆっくり泳いでやろうか…と思ったが。流石に無理!』
息の限界の中でどうにかアクアクリスタルの公園エリアに辿り着いた私。
続く13さんと3さんが浮上。13さんに手を貸す優しい私。3は蘭さんをお姫様抱っこ(さすが主人公)。
……どうせあとの4人も上がって来るんだろ?
と、不貞腐れていた私の前に思わぬラッキーが。
なんと2が溺れて意識を失ってくれていたのだ!
人工呼吸でもして救命措置すれば助かるかもしれないが…そんなもの、私が許さない。ライフセーバーの資格を盾に、人工呼吸の権利を奪い取った。
「待ってください。人工呼吸は白鳥刑事、あなたがやりなさい。早くしろ白鳥!」
その時突然、毛利さんが3に人工呼吸の命令をして私を止めた。
WHY!?突然の命令に戸惑う私と3。
毛利さん…アナタまさか…おっさんのキスを見たくないと。イケメン同士のキスを見たいと、そういうことですか?
毛利さんを睨むと、彼は突然「はひぃ」と変な声を上げるとフラフラとベンチに座り込んだ。
まさか!これが噂の眠りの小五郎スタイル!?
私の悪い予感は的中した。
13さんの合いの手を交えながら、まるで横で私のやること全部見てたような的中率で雄弁に語られる眠りの小五郎の名推理の数々。
トリックも動機も見事に説明され、しかも味覚障害まで言い当てられる始末。
毛利さん、アンタは神か?
ん?待てよ。どこで味覚障害に気付いたんだこの人。ブラインドテイスティングも正解したのに…。
「彼が味覚障害であることは、私がコナンに持ってこさせたミネラルウォーターで確かめることができました」
ミネラルウォーター?無味無臭の?
「コナンがあなたに渡したグラスにだけ、塩が入っていたんです」
おいおいなんてクレイジーな。
1つ言わせてくれ。クレイジーすぎるだろ!
塩水を飲ませたの?
さじ加減とか理解できない小学生に作らせたヤツを?
少なすぎたら体が欲する塩分として美味しく飲み干すだけになるから、『多めに入れておけ』と指示したんだろ?
子供の多め、舐めるなよ!
下手すりゃ塩分過多で死んでたぜ私。
謎は全て解かれた……
だが
本番はここからだ!
私は懐から取り出したスイッチを押し、念のために用意しておいた爆弾を作動させた。
爆発と共に大きく傾くアクアクリスタル。
そして私は蘭さんを人質に、屋上に呼んであるヘリコプターで逃げて、10を殺しに行ってやる!
「動くな!動くとこの子の命はないぞ!!」
と毛利さんたちを脅したが、どのみちアクアクリスタル崩壊に巻き込まれ彼らは私を追うどころじゃないようだ。
なら遠慮なく逃走させてもらうぜ!
エレベーターに乗り込み、ヘリポートに辿り着いた私。
正直に言えば、2を殺せなかったのは心残りだが…まぁあんな小物より、私は10の方を殺したい。ヘリに乗ればそれも叶う……はずなのに。
ヘリは全然降りてこない。
そして、ヘリ相手に手をこまねいている間に、追っ手はやってきた。
13さん、3、毛利さん、コナンくん。
あれ?
目を凝らしてもう一度。
13さん、3、毛利さん、コナンくん。
私が爆弾魔であることを棚に上げて、言わせてもらっていい?
泳げないヤツを含む民間人を放置して、警官たちが何やってんの?
いや、みなまで言うな。言わなくてもわかる。
6だろ?6がどうせ「俺に任せろ」って2のサポートを進言して、13さんたちの背を押したんだろ?
マジで6のチョイス失敗したわ。
だから今こうして3が「蘭さんを離せ!離さないと撃つぞ!!」とか震える手で拳銃をこちらに向けてしまったじゃないですか。
だが…
「面白い!撃てるものなら撃ってみろ!!」
本当に面白い。撃てるものなら撃ってみろ。
主人公さんよぉ…いや、ただの3!
でもって、「拳銃を寄越せ!!刺すぞ!!」と脅すだけで投げて寄越しやがった。
やっぱコイツ、主人公じゃない。そして馬鹿なの?拳銃が暴発するぜ?
いや、ただの馬鹿ではないようだ。私が拳銃を拾おうとしたら、力づくで確保するつもりのようだ。
なら…コナンくんを利用させてもらおう。
「坊主!お前が持って来い!!この女がここで死んでもいいのか!?」
この脅しで気の利くコナンくんは大人しく銃を拾ってくれた……
ここで私は“あの可能性”を忘れていた。
クレイジーなのは毛利さんだったのか?
それとも、平然と人の水に塩を入れるコナンくんだったのか?
答えは後者だった。
コナンくんは拳銃を構えると、迷いなく発砲。
しかも凄い殺気。大人のオーラ。まるで大人になったコナンくんがその後ろで一緒に拳銃を構えているみたいに…
そして発射された銃弾は…蘭さんの足をかすめた。
クレイジー!!!! 親の顔が見てみたい。
未成年が銃刀法違反して、しかも犯人に当たらず人質のお姉ちゃんに当たるとか。
などと…余裕ぶっこいていた私だったが。ここでまさかの蘭さん人質無力化という事態が発生。全然動かないんだものこの娘。
仕方なく解放したらしたで、毛利さんの一本背負い。そして強引に逮捕。
こうして、謎は全て解かれた。
自暴自棄になって初めて思ったことがある。
今回、標的の4人のうち、2人しか殺せなかったわけだが。
考えてみれば最初からカモフラージュ殺人しなかったら、10はきっと1人でヘリに乗って墜落して死んでいただろうし。
9は普通に簡単に殺せたし。
2と7は連絡するだけでホイホイ来る奴らだから、これも簡単に殺せたと思う。
ってことは結論。
【無関係な人を巻き沿いにしないほうが、実は目的達成できていた】
ということだろう。