死神がこの世に生を受けていない世界
故に、犯人たちの運命もまた歪められた世界
死神不在の劇場版 その1
【時計じかけの摩天楼】
私は左右対称を愛する建築家の森谷帝二。
1年前、西多摩市の新しい都市計画に参加し、長年の夢だったシンメトリータウンを作っていた。
そんな矢先、西多摩市市長の息子が交通死亡事故を起こしてしまった。
市長もその車に同席していたが、幸運にもケガも無く職務に影響はない。
もしこれが市長の運転で起こした事故だったら、きっと都市計画も頓挫していただろう。
だが、事故を起こしたのは息子。何の問題も無い。
そして現在、都市計画も順調に稼働中だ。
私は過去に完璧なシンメトリーではない建物をいくつか建築してしまったこともあり、その建物が全部ぶっ壊れてくれたらいいなぁと思っている。
だが、今の充実した毎日では小事。
今日も一日がんばるぞい!
『完』
【14番目の標的】
私は味覚障害のソムリエ、沢木公平。
病気の原因になった4人のストレス源に復讐したいと思っている。
だがなかなか良いアイディアが浮かばない。
今日もストレス源の1人、辻が私の勤め先のレストランに来ることになっている。
ホント、ストレス!
散歩中、知り合いの毛利小五郎さんが経営している毛利探偵事務所の前にさしかかった。
毛利さんは10年近く、奥さんと別居中。パッとしない探偵業では仕方ないだろう。
もし、毎日のように事件を解決する人気の名探偵にでもなっていれば、今頃は私のレストランに夫婦そろって顔を出してくれるだろうに。
でも人間、幸せが一番。必要なのは人気ではなく人望。
ほら見て。
何やら頬のやつれた人相の悪い人が、事務所の前で毛利さんと笑顔で談笑しているよ。
人殺しでもしそうな人相だけど、毛利さんにペコペコと頭を下げている。
どういう関係か知らないけれど、少なくとも平和な関係性なのは確か。
あぁいうのって、いいよなぁ・・・
と、話は置いといて。私は私のストレスと戦おう。
復讐に必要なものは容赦の無さ。
まずは最大のストレス・辻。
奴が趣味のヘリコプターに乗る前に、目薬を虹彩炎用の散瞳剤にすり替えておいたのさ。
そしてヘリは都内に墜落。
・・・・余計な被害を出してしまった。ストレス!
だがへこんではいられない。
次はストレス2の旭。
えっ? ストレス9じゃないのかって? 何の話だい?
奴が今度オープンさせる予定のアクアクリスタルに行って、旭をサクッと始末。
それから、旭の秘書を騙って、残るストレス3・4である仁科と奈々をアクアクリスタルに呼び出す。
そして停電&海中の窓ガラスを爆破でサクッと始末。
ライフセーバーの資格を持っている私は泳いで脱出。
こうして、全ての標的を始末した。
が、すぐに警察が動き
特に怪しい容疑者がいないことから慎重に捜査が進められ
私は逮捕された。
『完』