劇場版名探偵コナンの犯人たちの事件簿   作:三柱 努

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シンガポールで起きた殺人事件
現場には血塗られたキッドの予告状
その狙いは伝説の秘宝
しかし、400戦無敗の最強の空手家・京極真が立ちはだかる



劇場版編その2
紺青の拳 【前編】


私はシンガポールの名探偵、レオン・ロー。元・警察官で犯罪行動心理学者、実業家で警備会社の経営者だ。

 

数年前に却下されたシンガポールの新しい都市計画を実現するため、シンガポールをぶっ壊す。

 

 

えっ? その都市計画は左右対称のシンメトリータウンじゃないかって? 

・・・いや、別に。

えっ? ついでにひまわりをぶっ壊すかって?

・・・いや、別に。

 

何この質問攻め。話が前に進まないんだけど。

 

 

さて、この都市破壊計画に必要なのは人手だ。そのために海賊を雇う。

海底に眠る「紺青の拳」という宝石を引き上げて、それを餌に海賊に暴れてもらうのさ。

 

ところがどっこい正一。

人を殺してまで手に入れようとした宝石は、先に引き上げられてしまったあげく、空手トーナメントのチャンピオンベルトに埋め込まれて、優勝賞品にされてしまった。

私のボディーガードのパワーゴリラに優勝してもらえばいい話だが・・・ここで思わぬ邪魔が。

 

元・部下のシェリリンが別のストロングゴリラを擁立して邪魔してきやがった。

こいつ、例の宝石の情報をリークした疑いもあるんだよ。どんだけ私の事を嫌っているんだ?

 

ということで殺そう。

トリックはいたってシンプル。死んだふりした秘書とシェリリン死体を騒ぎに乗じてとりかえっこして、私のアリバイを確保するだけ。

いたってシンプルだが、シンガポールならこれでOK。よっぽど名探偵がいる国だったら駄目だけどね。

これでシェリリンの呼んだゴリラにはスポンサーがつかなくなるから、ウチのゴリラが優勝するだろう。

全て順調だ。あとは海賊に「計画順調だよ」って合図するだけ・・・

 

 

と思っていた時期が(ry

 

 

まさかの犯行現場に怪盗キッドカード出現。

Why? ちょっと私それ聞いてないんだけど。え? 殺しの現場に犯行予告するって何それどういう意図? 意味不明すぎて笑えるんだけど。

 

さらにゴリラに新スポンサー。彼の恋人が新スポンサーに。

How? ちょっと私その方法知りたいんだけど。スポンサーになれるくらいの超金持ちと恋人に、ってどうやるの?

 

さらにさらに共犯の秘書が怖がってこの計画をリークしようとしている。

What? ちょっと私忙しすぎ。トラブル続出しすぎ。私ってリーク運なさすぎ。部下の女性に嫌われすぎ。

 

 

ということで、1つ1つを一気に解決してやろうじゃないか。

 

まずは怪盗キッド。

例の宝石の警護を私が買って出るのさ。キッドが宝石を狙ってホイホイ現れたところを殺す。

我が家の地下には最新のセキュリティシステムを搭載した金庫があるのさ。

そこにキッドが現れたらテーザー銃で気絶させて、水責めで溺死させる。

 

うん。言いたいことはわかる。

キッド、来ない可能性もあるってことだろ?

大丈夫。

きっと、来る。

 

だって来てくれないとせっかく用意した水責め装置、一生使わないまま終わりそうなんだ。

これ無駄に凄い装置なんだよ。めっちゃお金かかったんだよ。

 

 

「待っていたよ。怪盗キッド。ここまで入り込むとは流石だね」

 

 

ほら来てくれた。

暗闇の倉庫で待っていた甲斐があった。

一人で待ってて寂しかった。

何時ごろにキッドが来るか分からないから辛かった。

ゴリラを外で待たせていたけど、寝ちゃってたらどうしようって心配だった。

水責め装置が誤作動したり、ゴリラがウッカリ作動させちゃったらどうしようって心配だった。

 

 

それにしても・・・

お初にお目にかかりますキッド様。君は本当にその恰好でここまで来たの?

いや今、夜だぜ?

真っ白のその衣装、夜に一番やっちゃ駄目な配色でしょ。

ルパン三世だって、夜には夜に相応しい服で来るぜぃ。

 

 

とまぁ心配と驚きを隠して、私はクールにキッドを気絶させて装置を作動させた。

あとはエレベーターで地上に戻って、水死体が出来上がるのを待つだけ・・・

 

 

 

とうおるるるるるるるる

 

「どうした?」

「キッドです!」

 

 

嘘ぉ

だってだってだって、今さっき水責めしたばっかだぜ?

キッドもう脱出したの?

 

ってことは水責め装置、壊されてんじゃん。

損害、何億円もするじゃん。修理費だけなら数百万だけど、それよりも装置が無意味だったことのほうがショック!

 

だけど、私はそんなショックを表には出さずに、「常にひとつ先を見越している」という強がりを見せるのだ。

そう、私は上級ゴリラを特殊召喚!

こういう時のために敵ゴリラをトレーニングに誘っておいたのさ。

 

そしてキッドはスタコラサッサと逃げていく。

部下はみんな「やりましたねレオン様。キッドを見事追い払えました!」って喜んでいる。

 

 

 

でもさ、よーく見てみな。

 

最新のセキュリティ設備は抜けられて、

処刑装置も破壊されて、

屋敷もめちゃくちゃに荒らされて、

また明日からもキッド対策に追われるのが確定して、

あげく敵ゴリラに『大会前日に怪盗キッドを見事撃退』って名誉まで与えちゃって。

 

 

フルボッコになったの、コッチだぜ?

 

 

 

 

だけど私は不敵に微笑む。

月を見ながら勝利者風のたたずまい。

 

だって私は今回の主役だから!

 

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