劇場版名探偵コナンの犯人たちの事件簿   作:三柱 努

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※この話は現在、映画館で公開中の「劇場版名探偵コナン ハロウィンの花嫁」の重大なネタバレを含みます。
まだ映画館でご覧になっていない方は、その点に注意してブラウザバックをするか、ネタバレ覚悟で本作をお楽しみいただくか、選択してください。

それでは「映画館でもう観たよ」という方は、本作をぜひお楽しみください。


ハロウィンの花嫁

私はロシア人のクリスティーヌ・リシャール。職業はプラーミャ。といっても分からないでしょうから、爆破職人と思ってもらえばいいわ。

依頼があれば何でも爆破。みんなが大好き爆破のプロよ。

とはいえ皆の人気者も楽じゃない。

私を追っている『ナーダ・ウニチトージティ』という組織があるの。爆破の被害者遺族で構成されているか何だか知らないけど。とりあえず私のこと絶対殺すマンよ。

 

3年前のある日、依頼で古ビルを爆破することになったの。依頼主はナーダで私をおびき寄せるための罠だって分かっていたわ。

ええ。バレバレよ。だってこのビルを爆破する意味が理解不能だもの。

案の定、私を捕まえようとしたナーダの男がいたから返り討ちにしてやったわ。私、素の戦闘力も半端ないの。あとはコイツごとこのビルを爆破するだけ。

 

そんな矢先に日本の警察がやってきたわ。めっちゃ強い。私を追い詰めるなんて大したものね。しかも増援まで来たわ。

そいつらのせいで爆破は失敗。男にも逃げられた。

この時の警察官たち。松田、伊達、降谷と諸伏。この屈辱忘れないわ!

 

 

そんなこともあってついに訪れた復讐のチャンス。

元・警視正の村中努との運命的な出会い。それが全ての転機だったわ。そう、診察券を落とした私を助けてくれたのが村中。それを機に意気投合。婚約したの。

ええ。利用する気は満々だけど出会い自体はドラマティック。こんな私にもイイ出会いってあるものね。復讐は別腹だけどね。

村中が警察関係者だったこともあって、例の4人のうち松田と伊達は既に死んでいたことを調べることができたわ。だけど残る降谷と諸伏の情報は全くつかめなかった。

ということで、2人を炙り出す作戦を計画よ。

村中と日本で結婚式を挙げて『その結婚式を妨害するぞ』って騒ぎを起こす。これなら流石に2人も出て来てくれるでしょ? ついでに前から厄介だったナーダ・ウニチトージティもおびき寄せて全部爆殺。そして一網打尽。

というのが最悪のパターン。一番大掛かりな仕掛けを必要とするコスパ最悪のパターン。

もっと手っ取り早く、各個撃破していきたいと思います。

 

 

まずはナーダをおびき寄せるために、私が引退するっていう噂を流す。

そしてアジトから東京爆破計画の入ったタブレットを盗ませる。GPS付きで遠隔操作で爆破できる特製タブレット。

コイツを使ってナーダたちが集まったっぽい反応が来たら爆破!

ってできれば最高だったけど、この盗んだヤツは1人で動いているみたいであんまり追跡できなかったわ。残念。

 

次に例の松田を死亡させた爆弾魔を脱獄させる。

そうすればその爆弾魔を追いかけて降谷と諸伏が現れる。そこを2人まとめて爆殺!

ってことになるのが理想だけど、片方の降谷のほうしか現れなかったわ。残念。

一応、その降谷の首に爆弾をセットできたから、これで目標3分の1達成ね。

まぁ、もしここで2人とも殺せちゃったら村中との結婚式が無駄になるところだったわ。結果オーライね。

 

その次に例のナーダの奴を爆殺! 日本の警察に私の計画をリークしようとしていたみたいだったから良いタイミング。

これで他のナーダの奴らも怒り心頭で日本にホイホイされてくれるわ。

あとは次の諸伏をホイホイするだけ。簡単なお仕事。

 

ここでブレイクタイムを挟ませて。

村中との結婚式のスピーチをしてくれるはずだった毛利小五郎が、このナーダの爆破に巻き込まれて怪我をしちゃったんだって。可哀想に。

ということでお見舞いに行ってきます。なかなか重傷だったみたいで毛利小五郎の意識はまだ戻っていないみたいなの。

毛利家の娘さんに色々教えてもらったわ。毛利小五郎は爆破に巻き込まれた子供を救ったせいで負傷したそうよ。すごくヒーロー。私その原因だけどアナタにアッパレよ。

ちなみにその助けられた子供、ナーダの奴が落としたメモを拾ったせいで爆破に巻き込まれたらしいわ。

 

ヤバッ。そのメモ、今回の私の計画のメモよ多分。

まずいわ。私の正体に繋がるものは全て消滅させないと。

ということで子供をまとめて爆破することにしたわ。

 

どうやって爆破するかって? その点はご安心。私、こういう時のために色んな爆弾トラップを用意しているの。

ということで子供たちの目の前で『荷物を取りに行かなくちゃ。でもこれから用事があるから困るなぁ』って演技をしたわ。

そこは日本の善良なお子様たち。『代わりに取りに行ってあげるよ』って行ってくれたから、無事にその爆弾トラップに誘導できたわ。

 

誘導“は”できた。そう、誘導は。

だけど正直、これナーダ向けのトラップだからなぁ。不安。

なにせ廃墟のビルの中に置いたトラップだから。子供が怖がって中に入るのを躊躇しそうな古いビルだから。入ってくれるかなぁ。

お願い、旺盛であって。この子たちの好奇心。恐れ知らずの少年探偵団であって。

 

BOOOON!

大成功。ちゃんと子供たちが廃ビルのトラップに引っ掛かってくれたわ。爆破の音が教えてくれた。

 

駄目でした。

子供たち無事。

アニメじゃないんだから。爆発に巻き込まれたのに、ちょっと擦り傷がある程度。5人とも無事。死なないの? 日本の子供って死なないの? ロシアの子供はこのくらいの爆発なら簡単に死ぬのに?

 

でもなんやかんやあって、結局あのメモはほとんど燃えちゃっていて大丈夫だったみたい。

ついでにナーダたちがひと騒動起こしていたことも分かったわ。

どうやら有能な警察官の松田を味方につけて私と渡り合おうとしていたみたい。

無駄www松田死んでるのにwww

 

しかも松田(に変装した刑事)を拉致する作戦、聞いたけどクレイジーすぎ。

ハロウィンのイベントに偽装して、アルバイトで雇ったジャック・オー・ランタン集団で松田を包囲。その隙に拉致するって作戦だったらしいわ。

ハロウィンを何だと思ってるの? そんなクレイジーな集団いたら一発で警察に逮捕されるでしょ。ジャパニーズポリスを舐めないで!

 

 

って思ったけど、成功してるのよねこの作戦。ってことは集団コスプレが町に現れても誰も変に思わなかったってことよね。

Why Japanese People?

Почему японцы?

おかしいだろ! カボチャ人間がお菓子撒くバイトが通用するの、日本って国は? クレイジージャパン!

 

 

でもまぁそれはそれ。とりあえず現状を整理しましょう。

1.ナーダの連中は渋谷に集まっている。

2.降谷はいつでも爆破できる。

3.諸伏はまだ出て来ないけど、警察は私のことを警戒している。

4.結婚式を強行すれば、その警備に警察もナーダも渋谷に集まる。

よし、当初の予定通り渋谷を爆破しましょう。

 

ただ正直言ってコスパ最悪なのよねぇ。

ハロウィンイベントがあるから、その照明になるジャック・オー・ランタンの中に爆薬を入れておく方法をとる予定。

たくさんの爆薬照明を町中に吊るして、スイッチ一つで照明から爆薬を垂れ流しにして、渋谷という坂の多い地形の底になる場所で液が合流。そこで爆薬が反応して爆発!

垂れて流れるくらいの爆薬。ちょっと勿体ない。普通に勿体ない。すごく勿体ない。

 

でも記念だからね。私の復讐も果たせるし、嫌いなナーダも壊滅できるし。そのお祝いも兼ねて。

それにもう用意しちゃったんだもん。

え? まるで『最終回に余った火薬を全部使った特撮番組みたいな発想』ですって? いいじゃない豪華なの私好きよ。あとちなみにその話、監督さんのついたウソよ。

 

というわけでノリノリで準備開始ぃ♪

 

 

うわぁ。やっちゃった。

爆薬、多すぎた。

照明・・・町中に吊るす照明の中に、爆薬・・・総重量・・・。

コスパの時に気付くべきだった。垂れて流れるくらいの爆薬。値段よりも量を気にするべきだった。

先に照明を垂らしてから、あとで中身を入れていこうかと思ったけど・・・渋谷って人がいなくならない町なのね。

求むロックダウン! 外出禁止令! 戒厳令!

なんて祈りが通じたら警察なんかいらないわよ。

頼るべきは他人ではなく、己の筋肉!

 

見せてやろうじゃない、ロシア人の筋肉の底力を!

 

 

こうしてクリスティーヌマッスルで渋谷の町中に爆薬照明設置をやり遂げたわ。

しかも1人で。

しかも片手で。

3年前に銃で撃たれて右腕上がらないから。左腕だけで。さすがクリスティーヌレフトアームマッスル。

 

あとは結婚式の余興でチャーターしたヘリコプターに乗って渋谷を脱出。ナーダや諸伏もろとも渋谷を爆破するだけ。

 

 

ところがいざ結婚式が始まったと思ったら、急に現れたナーダたち。眼鏡の子供を人質にして私たちに銃を突きつけたわ。

 

「三年前、日本の刑事に銃で撃たれたせいで腕が上がらないんだろ? なぁ、クリスティーヌ・リシャール。いや、プラーミャ!」

 

バレてた。え? ナーダってそんなに優秀だったの?

しかも私たちを警護していたのは警察だから、正体バレたらすぐに敵に回っちゃった。

四面楚歌。

だけど安心して。クリスティーヌマッスルはレフトアームだけじゃないの。全身がマッスルだから、この程度の多対一の銃撃戦でも逃げ切っちゃうのよ私。

 

はい。屋上に逃げました。楽な仕事。扉にも鎖を巻いておいたから、あとはヘリコプターを待つだけ・・・

 

あれ? ヘリポートにいるの、あの眼鏡の子供じゃない?

先回りしていたというの? 江戸川コナン、探偵?

そんなコナンくんの口から咲き乱れる名推理の数々。

 

こうして謎は全て解かれた。

 

なので全部爆破します。

ちょうどヘリも来たところだし。

勝利確定。

 

 

 

と思ったところに確変演出の掌底ドーン。肩の関節ボコーン。めっちゃ痛い。

ヘリから降谷が降りてきました。うわぁ今更。

でも所詮は降谷。3年前にもコイツのことは殺す寸前まで追いつめたし、今回も楽勝。

手榴弾を町に投げてやって、その隙に私はヘリで脱出。

 

と思っていたら、例のコナンくんが蹴ったサッカーボールが手榴弾を弾き飛ばして、花火になったわ。何を言っているのか分からないでしょ。私も何をされたのか分からなかったわ。でもありのまま今起こったことを話したわ。

 

まぁ逃げちゃえば関係ない話だけどね。

最後の置き土産に、降谷の首の爆弾を爆発させてから帰りましょ。

 

BOOON

ヘリの方が爆発しました。まさかの降谷の首に着いていたのは精巧に作った偽物で、本物の爆弾をヘリに乗せたままだったみたい。手の込んだサプライズプレゼント。

何この映画みたいな展開。見たことある。ってことは私、余計な事したぁ。

このままじゃヘリが墜落して渋谷の爆発に私まで巻き込まれてしまう。マズイ。

 

 

そんなマズイ状況なのに、降谷は何を思ったのか空中でヘリに飛び乗ってきたわ。

え? こいつ何がしたいの? 一緒に心中?

それとも追いつめたつもり? このクリスティーヌオールボディバットノットライトアームマッスルを?

 

案の定。肉弾戦で降谷、私に負けてヘリからほぼ落下。辛うじて私の右腕に掴まってきたわ。村中ですらここまで濃厚なボディタッチさせてあげていないのに。

そしてヘリと一緒に私たちは地面に落下。すごくダメージ。

でもクリスティーヌ打たれ強いマッスルは、この程度のダメージなんぞ苦じゃないわ。

さぁ降谷、トドメを刺してあげる!

 

 

 

と思ったその瞬間。私の首元にトンッと、村中めちゃんこ強いマッスルの手刀が振り下ろされ。私の意識はここで途絶えてしまった。

 




いかがでしたでしょうか? ハロウィンの花嫁。
敗因はずばりマッスルを鍛えすぎたことね。
私、工学とか科学の分野の人間なのに、急に途中からマッスルキャラになったせいでボロが出て来た感じがするわ。
もっと落ち着いて欲張りすぎないで、警察やナーダを各個撃破していればよかったのよ。
次はもっと上手に標的を誘い出して殺そうと思います。
・・・今思いついたんだけど、腕相撲大会に呼び出して腕ごと粉砕してやるのはどうかしら?
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