開けてはならない《玉手箱》が開かれたとき
絶体絶命のオーシャンバトルロイヤルが始まる
そして動き出す 新たな黒い影
俺は組織のナンバー2、コードネーム・ラムのお気に入りにまで昇進した男。
コードネームはピンガ。
この間、同じ側近のキュラソーが死んだから、実質的にラムの側近に昇格したってわけさ。
うぉおおおおお サイコーだぜ!
さて俺たち組織は今、インターポールの監視カメラシステムの掌握を狙っている。
世界中の監視カメラで撮られちまった俺たち組織の過去のデータを全部消して、俺たちの痕跡を断つためにな。
そんな中で俺はラムの指示で、とあるシステムを専門で追っている。
『老若認証システム』。監視カメラシステムの機能の一部で、こいつを使えばカメラに映った人間の骨格から、その人物の若い頃、歳をとった姿まで予想して、そいつと一致する人間を炙り出せるっていう代物さ。
それを発明したのは直美・アルジェントっていうシステムエンジニア。19歳なんだぜ。若すぎるだろ。まだ卵から孵ったばかりじゃないか。
実は俺、前に彼女と交渉していたんだ。莫大な報酬の代わりにシステムの独占使用と改良をさせてくれってな。
だがあっさり断られた。システムはインターポールと契約済みだったってな。
これが上手くいっていれば楽なんだけどな。まぁ物事そんなに甘くない。
組織のやり方でやるしかない。手間が増えるけど。
作戦としては3段構え。
1.直でデータを盗む
2.1が上手くいかなかった時、直美を脅して組織の協力者にする
3.2が上手くいかなかった時、システムに関わった人間ごと全部爆破する
うん。毎度の短絡的で極端なプラン。各段階、もうちょっと踏もうよ。細かく。
いくら俺たちの痕跡を残さないためにするからって、何というか失敗した時に移る次の策の規模が毎度毎度デカすぎる。労力もそれに比例するんだよ。
今回もその例。俺は作戦2のために、先んじて日本の八丈島の『パシフィック・ブイ』に潜入することになった。
これがめっちゃ手間。
まず施設のシステムにハッキングできるくらいの地位にいる職員と入れ替わる。
そいつを殺して成りすまして、直美を拉致する時に実行役を手引きできるようにするのさ。
標的はグレースというフランス人の女職員。この女、背が高くて骨格がガッシリして、俺の場合は髪型をちょっと変えて喉仏さえ隠せばほぼ変装完了っつうくらい俺に瓜二つ。まさに俺が入れ替わるために生まれたようなフランス人女。
あとはこの女の癖だったり喋り方を完璧にコピーするために何日も観察。
さて準備完了。これでいつでもグレースと入れ替わることができる。
まぁ作戦1が成功したら、全部無意味なんだけどな。
ということで潜入、ドイツのユーロポール。
うん。楽。
ドイツ人ってさ、基本的にみんな残業しないんだよ。そういう国民性なんだよ。
だから定時後に侵入すれば簡単にPC室に入れる。めっちゃ重要なデータが入ってる部屋なのに。
こんなに簡単に仕事が終わるとさ、俺の苦労何だったん?って思うよね。パシフィック・ブイに潜入する意味無くなっちゃうんだから。
あと、日本の残業時間の長さを痛感しちゃうよね。過労死するわけだよ。まぁ俺たちも労働環境起因で死んでるわけだ。ブラックなだけに。アハハハハ
・・・・・
見つかっちまったぜ。俺の運が悪すぎた。
ドイツ人なのに定時後に職場にいる奴に、俺がPC室でデータ抜き取ってるところ見られた。
ヤベッ
警報装置を鳴らされたから俺は逃げるしかない。もちろん監視カメラに映らないように慎重に逃げるから、俺は目撃者を殺しに行けない。
でも大丈夫。こんなこともあろうかと、キールが控えてくれている。目撃者の始末はキールに任せておけばいい。
と思ってたのに。キール、信じてたのに。
よりにもよってジンがやりやがった。オレの尻ぬぐいを。
大嫌いなジンに借りを作ってしまったなんて・・・サイアクだぜ!
ということで作戦2始動。
俺はグレースを拉致して、パシフィック・ブイに潜入したぜ。
グレースかい? 今頃、魚と友達になっているんじゃないか?
え? 魚の餌の間違いじゃないかって?
おいおい勘弁してくれよ。魚は友達。エサじゃない。
それにしても気付かないもんだな。俺がグレースに化けた男だって、職員の誰も気付かないんだよ。お前ら仮にもインターポールの職員だろ?
まぁいい。俺の潜入技術が高いってことで納得だ。
あとは拉致役のバーボンとベルモットが施設に入れるようにハッキングして手引きしてやるだけ。
今日はユーロポールと日本警察の防犯カメラ映像をネットワークで繋ぐ大事な日。つまりその瞬間に全員の注意が向くからこそ拉致には絶好の日ってわけだ。
バーボンとベルモット、あの優秀な2人なら大丈夫だろう。キールとジンより頼もしい。ほんと頼もしい。手柄を折半される形になるけど、ジンにとられるよりか何倍もマシ。俺の心が痛まない。
ということで頼んだぜ。これが成功したら、お前たちサイコーだぜ!
ウォオオ!