眠い。
八丈島カーチェイスの映像処理、めっちゃ面倒だった。
どうにか俺とウォッカの形跡全部消せたよ。あとキャンティの。
気付いたらもう朝。仕事の時間だよ。
眠い。
早速、警察が映像の確認に来たよ。
昨日のコナンくんが組織の潜水艦を目撃していたからって。
でもってカーチェイスの映像も確認させてくれって。
もう全部消したけどな。
眠い。
Zzzzzz
!?
ってかコナンくん、シェリー拉致した時に襲ってきた奴らの仲間なの!?
マジか。でもって白鳥たち警察と一緒に映像調べたりするときの視点が鋭いったら鋭い。
そのせいでパシフィック・ブイの職員の1人、頭にフジツボを乗せたようなレオンハルトって奴に目を付けられてしまった。
映像を改ざんしたログを調べて、俺を怪しんだらしい。
まぁサクッと殺してやったけどな。
さて、レオンハルトを自殺に見せかけるトリックもチャチャッとやっちゃいますか。
カフェに運んで、監視カメラの映像を老若認証システムの応用で細工して。
ほらできた。
私の名前はピンガです。老若認証システムを使ってます。
よし、これで寝る時間ができた。AI使ったトリックって時短できていいよね。
空いた時間に遊ぶこともできるんだから。
さ~て、ずっと昨日の夜から気になってたんだ。シェリーの顔写真を老若認証システムにかけたって話を聞いてからな。
これ、知り合いとか他の人でもやってみたらちょっと面白いんじゃね?
流石に組織の人間の写真は無いから、白鳥とか、コナンくんとか。そのあたりの知り合いでやってみて、何か面白いカメラ映像が見つかれば話のネタになって面白そう。
さ~て、どうかなどうかな。白鳥は、へぇ意外と色んな活躍をしてるんだな。
ジンが西多摩のツインタワービルをぶっ壊した時にもいたのか。
ジンが東都タワービルにアホみたいに銃弾ぶち込みまくった時にもいたのか。
白鳥、お前ジンに迷惑かけられまくってるな。同情するぜ。
さて次はコナンくん。この子もジンに迷惑かけられていたりして。
おっ。やっぱ白鳥とセットで映ってること多いな。
これなんかニュースでやってたな、ロシアのインペリアルイースターエッグ。怪盗キッドとスコーピオンに狙われてたんだよな。そこにもコナンくん絡んでんのか。あっ、隣に白鳥も・・・ってあれ? 認証が反応してない。映りの角度が悪いのか?
ってかコナンくんの映像多いな。カメラに映りすぎだっての。
これなんか小学生全く映ってないのに認証されて・・・
・・・・・・?
All Ages Recognition
『老若認証・一致』
コナンくんと一致しちゃってるんだけど・・・工藤新一って高校生探偵が。
どゆこと?
え? まさかシェリーと同じパターン? 大人が子供に?
それにたしか工藤新一って名前・・・ジンがAPTX4869で殺したリストにあったよな。
おいおい。おいおいおいおい面白くなってきたじゃないか。
ジンが殺し損ねた工藤新一が生きているって。しかも昨日の昨日、シェリーを守ろうとしてたてことだろ?
これ絶対ジン知らねぇだろ。というか俺以外だれも知らないだろ。
でもって値千金の情報じゃね? ジン、この事実で絶対失脚ものだろ。
うわぁ、テンション上がってきた! これはもう眠れねぇや!
シェリー拉致の手柄だけじゃなく、ジン失脚の決定打もゲットしちゃったんだもの。
パシフィック・ブイ潜入任務も、もう直美を拉致できたから明日にも終了の指示が来るはず。
早く帰ってラムに報告してぇ~な~! 明日が楽しみすぎて今夜もきっと眠れない♪
って感じに浮かれている俺のところに、突然の招集がかかった。
何やら警察がレオンハルト死亡事件の経緯についてまとめたいらしい。
仕方ない、付き合ってやるか。
で、いい?
この招集に見た事あるツノガイを頭に乗せた女がいるんですけど。
こいつ絶対昨日の夜に俺に蹴り食らわせたトンデモ女じゃねぇか!
あと話聞いてると・・・その隣にいる白髪のおっさん。ビートルでウォッカのドラテクとタメ張る化け物。
おいおい、とんでもねぇ2人と同席してるよ俺。
でもってそこに追撃。初めましてさんいらっしゃい。変なチョビ髭のオヤジが眠るように椅子に座りこんだ。めっちゃ気持ちよさそうに寝てるな。うらやましい。
「ひょっとしてこれがあの有名な眠りの小五郎!」
眠りの小五郎? っておい、まさか!
「レオンハルトさんを殺害した犯人は、この中にいます」
マジかよ新手の刺客! 前にジンが『組織を嗅ぎまわっているネズミ』だって疑って、結局は競馬のラジオを聞いてただけだっつう迷惑をかけられた名探偵。
なんだよ今日、俺の周りすごいメンバーが集まりすぎだろ。
でもって毛利小五郎の推理のフォローに入ってきたのが、お馴染みの工藤新一。
小学生の江戸川コナンの口調で毛利小五郎のサポートに入ってやがる。
多分あいつ周りの人間に自分が工藤新一だって話してないな?
というか・・・お前、今どんな気持ちなんだ? 高校生なのに小学生の喋り方するとか。自分で言ってて気持ち悪くない?
いや。それ俺も同じだわ。俺も今、絶賛女のフリをしている最中。
だけどそれはそれ、これはこれで。
事情を知ってるだけに、このシュールな光景に笑わずにはいられない。笑うの我慢するのキツイ。工藤新一、やめてくれ。
そして俺の腹筋にダイレクトアタックを喰らわせてくるカオスの中で咲き乱れる毛利小五郎の名推理。
「私の勘が正しければ、この人は女性でないと思いますよ」
俺が犯人というだけでなく、俺がグレースに変装していることも見抜いてきやがった。
自分で言うのもアレだが、俺の潜入能力、組織の中でもトップクラスだってのに。
それをたった1日で見抜くとは。
さすが日本が誇る名探偵・毛利小五郎。
こうして、謎は全て解かれた
ということで謎が解かれたから逃げるか。
空手ガールが追いかけてきたけど、お前の型は昨日見せてもらっている。悪いが一流に2度も同じ手は通じない。
楽々蹴り飛ばしてやったぜ。
でもってパシフィック・ブイの監視カメラ映像はあらかじめ細工しておいたから、追手には俺の逃走経路がわかるわけがない。
あとは悠々と脱出させてもら・・・
って、なんで工藤新一が追い付いてきたんだ!?
だが俺がお前の正体に気付いているぞと教えてやったらめっちゃ動揺し始めた。
でもって負け惜しみみたいに俺のことを責めてきたぞ。
「お前は人の死に慣れすぎているんだよ」
なんだろう。工藤新一。お前にだけは言われたくない。そんな気がする。
「アンタ、ジンにそっくりだよ。って言いたいところだけど、奴ならこんなヘマはやらねえ。ジンもどきのただのチンピラ、ってところかな?」
悪口の破壊力が強すぎる! 取り消せよ……!!! ハァ… 今の言葉……!!!
ということで工藤新一をボコボコにしてやったぜ。
まぁ生け捕りにして組織に連れて帰ろうと思ったが、抵抗されてそれは叶わなかった。
仕方がない。さっき組織から連絡が来て作戦3、パシフィック・ブイの破壊が決定したから、すぐに逃げないと俺も爆発に巻き込まれてしまう。
まぁ逃走ルートも逃走手段も全部用意してあるから、あとは泳いで組織の潜水艦に行くだけ。
楽な仕事。
まさか、工藤新一が水中にまで追いかけてこないよな?
・・・・・
大丈夫だった。誰も追いかけてこなかった。来るはずがないよな常識的に考えて。
ふぅ一安心。
さ~て、潜水艦に乗りこんでジンに『工藤新一が生きている』って教えてやろ♪
な~んか俺がこうして泳いでいる間に、どこかで誰かがイチャイチャしてる気配がするけど。9割方の人が俺の存在忘れるようなスゴイ展開が起きてるような気がするけど。
まぁ俺には関係ないな。
あ~楽しみ。帰るのがほんと楽しみ。
・・・?
潜水艦のハッチが開かない?
お~い、開けて~。
既読にはなってるが。どうしてだ?
ん?
あれれ~おっかしいぞ~
潜水艦に穴が開いて、あるはずの潜水艇が無くなってる。
これ、潜水艦が航行不能になったから、潜水艇で脱出して、潜水艦は証拠隠滅のために自爆させるパターン。
そういう事かよ、ジン……!!
「ピンガ。貴方までこっちに来ちゃったの?」
ん? その声は、まさかキュラソーか? お前死んだはずじゃ。
「どうやら貴方もジンに殺されてしまったのね」
そうか俺は死んだのか。まぁそうだよな流石に。って『貴方も』ってことはキュラソー。お前の死因やっぱりジンだったのか!
「まぁ死因は観覧車に潰されたせいなんだけど。間接的にジンのせいね」
そうか、やっぱジンクソだな。ってか観覧車に潰されるとかどういう死因だよ。いや、俺の死因も大概だがな。既読スルーで殺された。
「それもスゴイ死因ね」
そうなんだよ。ってそんなことよりキュラソー、お前にすごいことを教えてやるよ。
「死んでもなおハイテンションね。なに?」
ジンがずっと追ってた組織の裏切り者、シェリーっているだろ? あの女、実は子供の姿に化けて逃げてたんだよ。だから組織がどれだけ探しても見つからなかったんだ。
「うん、知ってる」
? 知ってる?
「灰原哀って小学生の女の子になってるんでしょ?」
・・・・知ってんのかい! なんだよ勿体ぶって語った俺が馬鹿みたいじゃねぇか。じゃ、じゃあもっと驚くことを教えてやるよ。
「なに?」
ジンが殺したはずの工藤新一っていう高校生探偵、実はまだ生きていて、こいつも江戸川コナンっていう小学生に化けていたんだよ!
「知ってる」
・・・・・は?
「こっちで会ったアイリッシュが教えてくれたわ」
知ってんのかい! 俺、この情報だけは絶対に誰も知らないと思ってたのに。
え? てかなんでお前ら組織にとって超絶重要な情報知ってて、それを組織に教えないんだよ!
「それはまぁ一応。知ってすぐ、誰かに会う前にジンに殺されちゃったからね、私たち」
ジンお前! マジかおま・・・じ、ジン! ジンさん!? ば、バカぁ!
マジでジン、だから俺はお前を蹴落とさなきゃいけなかったんだよ!