【悲報】日本政府、全然仕事しない
司法取引の法案、議論されたまま放置で、ついに10カ月も経ってしまった。
その間に日本の治安は悪化。毎日のように殺人事件が発生する世の中に。
大和警部は頑張ってリハビリして、職場に復帰していった。そのおかげか長野県では残虐な事件や古い未解決事件までどんどんと解決されていくように。優秀すぎるぞ長野県警。
それはともかく。そろそろ俺も痺れを切らしてきたところだ。
追加の脅し、いっとく?
また天文台から観測車を拝借して、データ抜き取っていこうか。
・・・・・・職員さんに見られちゃった。そのせいで失敗。
どうしよう。追加の脅しをかけられない。
議員のみんな、早く法案を否決に持っていってくれ! 俺は待つことしかできないんだ。
どうしよう。待てないかもしれない。
山梨刑務所に鮫谷って公安の人が来て、10カ月前に俺が起こした雪山の事件を調査し始めていることが分かった。
そう。このままじゃ、俺が国を脅している犯人だってことにたどり着いてしまう。
鮫谷が大和警部に会おうとしているのはどうにか阻止できたけど、今度はあの名探偵の毛利小五郎に会おうとしてるらしい。
そりゃあ・・・駄目でしょ。毛利小五郎といえば、数々の難事件を解決してきた名探偵。事件現場に居ながらにして、その場に無い証拠を集める千里眼の持ち主。困難なトリックも一発で再現してみせるテクニシャン。
フィジカルもモンスターで、柔道の名人なだけじゃなく、銃の腕も警視庁一。今までも水没した海中レストランからの脱出、沈みかけた豪華客船から犯人と自分の家族を救出したりと。
公安レベルのモンスター。いや、公安以上の化け物。
そんな毛利小五郎が首をツッコんできたら、すぐに真実にたどり着いてしまう。
そうならないようにするために・・・・どうしよう。
マジでどうしよう。
え? どうしよう・・・
公安で銃の使い方も観測車の使い方も身に着けることができたけど、こういう追い込まれた時の対処方法は習えなかったんだよ。
とりあえず・・・・鮫谷を殺すしかない・・・のか?
ということで、世間では冬休みに入る月曜日。俺は東京の公園にやってきました。
鮫谷の話によれば、今日ここで鮫谷は毛利小五郎と接触するらしい。
使うのはライフル球を装填できる小型の改造銃。そいつで鮫谷をサクッと殺害。
「ワニ! 返事してくれ! ワニ!」
毛利小五郎、殺害現場のすぐ近くにいた。あと鮫谷の下の名前、ワニさんらしい。
危なかったぁ。タッチの差。危うく遭遇するところだった。
すぐに逃げなきゃ。たしか近くに警察庁の公安の建物があったから、そこに行こう!
だけど正直、東京の公園とか道とか、全然経験ないから道が分からない。行き方に自信がない。
焦る。本当に焦る。何回道に迷ったか分からない。
途中、近くでスケボーに乗って遊んでいた子供と何回すれ違ったか分からない。その回数多すぎ。何回バイクを切り返したんだよ、俺。
あと、なんか分からないけど東京って怖いね。サッカーボール状の鈍器がどこからともなく飛んできたんだけど。あれ、どこかに当たって大事故とか起きたんじゃない? 俺のバイクにも当たった感触があるような無いような・・・
もうさ、この逃走劇だけで俺の心のスタミナゼロよ。さっきからドキドキしっぱなし。
でもすぐに山梨県に戻らなければ。普通に仕事をしていることを装わなければ。
自然に。ごく自然に・・・
とうおるるるるるるるる
ん? 電話? 公安の風見警部補から? なんだ?
?????
長野県の野辺山駅に向かい、眼鏡の子供に盗聴器を仕掛けろ?
?????
公安、人使いが荒い。
しかもわざわざ山梨県の俺に? 隠れ公安、長野県にいないの?
仕事だから仕方ないけど。それに公安である俺には、この程度の仕事朝飯前だけど。
楽勝でした。そりゃ軽ゲーすぎた。
眼鏡の子供、どっかで見たことがあるような無いような。
それより、なんでわざわざ公安として、普通の子供に盗聴器を仕掛けなきゃいけないのかが気になる。まぁ仕事に疑問を抱いていたら公安なんてやってられないけどね。
それよりも。忙しくなってきました。
それは、あの大和警部が山梨刑務所に来るって連絡が入ったから。
東京から来た刑事さんを連れて。
ちょっと待ってぇ、山梨⇔長野の往復で忙しすぎる。その前に東京⇒長野間も俺の今日の移動距離よ!
さてさて・・・やっと到着しました山梨刑務所。
大和警部は相変わらず、雪山でのことは記憶喪失してくれてるみたいだが・・・
あのぉ、いるんですけど毛利小五郎。
むしろ鮫谷ワニさんを殺しちゃったことで、事件解決に前のめりになっちゃってるんだけど。ってそりゃそうなるよね! 自分があと間に合っていれば殺されなかったって状況なら、そりゃ燃えちゃうよ!
絶対失敗したよ鮫谷対策。でもどうすりゃよかったんだよ。
なんて後悔をしてる暇も、公安の俺には無し。
早速、御厨との面会中に大和警部の記憶が戻りそうになってるんだから。
運よく、記憶は戻らずに済んだけど・・・これは早く大和警部を殺さなければ、俺の身が危ない。
とりあえず記憶が戻る前に面会も終わり、大和警部たちは刑務所から出てくれたけど・・・
「おじさん!」
ん? なんか刑務所の前に停まった車から、見覚えのある子供が出てきたぞ。
毛利小五郎の知り合いか、息子さんってところか?
ん?
盗聴器の子じゃね? 公安の風見警部補から命令されて付けた、あの子。
「やっぱり公安だったんだね」
ファ!? 子供に俺が公安だってバレた!?
しかも何故か内緒にしてくれる、って。
しかも何故か盗聴器はそのままでいいよ、って。それを俺に言ってくる?
ちょっと怖い。意味が分からなすぎて怖い。
もう忙しさと怖さとで、林のライフはゼロよ。
早くこのストレスを解決したい。
そのために、早く大和警部の命をゼロにしなければ。
よし、襲おう。
夜の雪山の山道で、ライフル弾搭載の小型銃を使って車ごと!
そう。公安ならこのくらいの暗殺なんて楽勝。
夜の闇の中、車のマフラーを撃ち抜くのも楽々。
車爆発!
あとは車の中か外にいる大和警部を殺すだけ。
「車が燃えていますよ!」
子供の声!?
車の爆発に気付いた近所の小学生くらいの子供たちが来ちゃった。
ど、どうしよう。
口を封じる? 子供の? それもどうか・・・
そんな風に俺が悩んでいる間に、勇猛果敢な子供たちはライフル(風の俺の銃)にも屈することなく、俺を捕まえようと突進。
友達同士なのか、細めの子を守るために太めの子が俺の腕に噛みついてきた。
少年よ、キミのその勇気。将来は公安に来なさい。
でも今は来ないで。というかここまで絡んでしまったら、もう子供とはいえ殺すしかない。
「てやぁあああああ」
その時! 空から角ばった鈍器が!
じゃなかった。角ばった髪型の女子高生くらいの少女が降ってきた。
この子たちのお姉さん?
しかも強い! 公安の俺ですら押されるくらい強い!
何? 長野県の高校生ってこんなにワイルドなの?
さらに小学生の子が俺の写真まで撮って、知り合いの人に転送までしてきた。手際よすぎ。3人揃って公安に入るべき!
仕方なく俺は逃げることに。逃げるしかない。
なんか・・・どう対処したらいいか分からないことが多すぎる!
誰か・・・マニュアルを作ってくれ。
国家を脅すマニュアルなら俺が作ってあげるから。
普通に警官を銃殺するマニュアルと。
銃にも怯えない長野県の子供への対処マニュアルを!