アズールレーン~彼女達に転生するとどうなる?~   作:サモアの女神はサンディエゴ

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戦いに必要な知識は教えられます。

でもこんな気持ちはよく分かりません。

指揮官、貴方はどうですか?

私のこの気持ちをどうか教えてください。




指揮官君、貴方だけの特別授業よ?

「あ、あの…指揮官君?」

 

「な、何?レンジャー?」

 

月明かりのみが照らす夜の教室で机の上で頬を赤く染めた指揮官君に押し倒される格好で彼の瞳を見つめる。

心臓の高鳴りが指揮官君に聞こえるのではないかとさらに心配になるけれど、それよりも互いの吐息が感じられるほど近い顔が私の心を掻き乱す。

 

「スゴく……ドキドキしてます」

 

「自分も…です、レンジャー………」

 

言葉が出なくなる。

でも気まずくなるような感じはしなくて、逆にもっと感じたいと思えるような………まるで言葉に出来ない。

 

こんなにも胸が苦しくて、切なくて………でももっと続いて欲しいと感じるこの時間。

指揮官君と共有できるこの時間がすごく嬉しくて。

 

 

 

「私を………貰って?」

 

「ッ!?レンジャー!!」

 

 

 

生徒と教師の関係ではなく、ただの男女として一つとなる。

これが許される事ではないのは分かっていても、心がそれを分かってくれない。

一夜だけの関係になるであろうこの瞬間を………ただ忘れないでいよう。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「今日で貴方との特別授業も終わりね?指揮官候補生君………いいえ、指揮官君?」

 

「本当に今までありがとうございましたレンジャー先生」

 

それはとても手のかかる指揮官候補生君との最後の日。

彼は今まで教えてきた候補生達の中でも成績は落ちこぼれ。

でも人一倍努力を重ねてきた頑張り屋さんだった。

 

周りの候補生からは心無い言葉で傷付けられる事が多かった彼は、1人で泣きながら私に教えを乞いに来ていたのを今でも思い出す。

 

「レンジャー先生………もっと教えて下さい!俺、アイツらに負けたくないです!!」

 

「分かったわ。なら………特別授業をしましょう」

 

「いい…んですか?」

 

「ええ、頑張り屋さんな君になら私も特別授業してあげるわ」

 

それは涙と鼻水でグチャグチャになった顔で私を見る彼が前世の自分と重なって見えたから出た言葉だった。

 

前世の自分は教師からは落ちこぼれと言われて、皆の居る教室の一番後ろに一つだけ置かれた机に座らされていたのを覚えている。

男ながらに体力テスト最下位の女子にも負ける程に運動もできず、勉強もできず、他の生徒からもバカにされる程の劣等生。

 

当時の私は落ちこぼれと言われても笑って誤魔化して、授業中もふざけて間違えて答えたりする事でその場凌ぎを続けていた。

 

それも受験生となるまでは。

 

絶対に合格は無いと言われた私は教師や皆を見返す為に必死に勉強した。

分からない所を諦められている教師に頼れない為、近所に住む昔家庭教師をしていたという駄菓子屋のおばさんに聞きながらの勉学を励んだ。

 

毎日のように勉学を教わりに通う駄菓子屋のおばさんに迷惑では無いのか聞いてみると

 

「こんなに必死な頑張り屋さんの為なら特別授業だってしてあげるよ」

 

と飴をくれながら笑顔で答えてくれた。

 

そして、そんな特別授業を受け続けた落ちこぼれと言われた私は………見事に志望校に合格を果たしたのだった。

 

そんな記憶があるからこそ、彼に肩入れしてしまった自分がいた。

あの時とは違い、自分には船としての経験が教師としての力を与えてくれていたので教える事には申し分ない。

あの時私を助けてくれた人が言ったように、頑張り屋さんの為なら特別授業でもなんでもしてあげて助けたいんだと。

 

「俺、頑張ります!絶対アイツらに負けません!絶対、絶対です!!」

 

「私も貴方を立派な指揮官となるように教導します。一緒に頑張りましょうね?」

 

「はい!」

 

そんな形で始まった特別授業。

休日でも彼は休まず授業を受け続けて私とワンツーマンで勉学に励む。

そんな彼に息抜きの為に授業が終わった後、私が計画したお出掛けプランに沿って一緒にお出掛けして楽しく過ごす。

 

息抜きは指揮官君だけでなく、私の事も含めての2人だけの秘密。

生徒と教師という関係を忘れて互いに日常を楽しむ夢のような時間。

それは辛い時もあったけれど、笑顔が絶えない充実した毎日に………いいえ、それ以上に幸福な毎日を謳歌し続ける事ができる夢のような時間だった。

そして、そんな毎日の中で最初は男友達として見ていたのに彼に惹かれていく自分がいて………

 

でも、そんな時間はあっという間に過ぎ去り………

 

指揮官候補生君が正式に任官する卒業という日を迎える事となった。

 

「レンジャー先生のお陰で指揮官として任官出来るようになりました。本当にありがとうございます」

 

「それもこれも貴方が努力をやめない頑張り屋さんだったからよ?本当に成長したわね………」

 

誰も居ない教室で指揮官としての軍装に身を包んで立派に成長した彼の右手には、配属先を報せる辞令を入れた封筒が握られている。

 

あの夢のような時間は終わったのだ。

 

これから彼は艦隊指揮を行う指揮官として赴任先の母港で腕を振るう事となる。

そして私はこの学園で新たな指揮官候補生達に授業を続ける毎日が始まるのだ。

 

だからだろうか?

 

 

 

「………今日の夜ここに来て?」

 

「レンジャー先生?」

 

 

 

こんな誘いをかけてしまったのは………

 

困惑する彼をそのままに私は教室を去る。

彼が来てくれるかなんて分からない。

返事すら聞かずに出て行った私には彼の顔なんて見れなかったから………

 

 

 

「レンジャー先生………え?」

 

「来て……くれたのね?」

 

 

 

月明かりだけが照らす誰も居ない教室の机に座って………いいえ、彼がいつも座っていた席の机に座って待っていると彼は来てくれた。

彼は私を見ると生唾を飲み込む。

それもそのはず、私はいつもキッチリと閉めている上着やシャツのボタンを外して自分の豊満と言わざるおえないバストが、ボタンを外した所からこぼれ落ちそうにしているのだから。

 

男性ばかりの寮生活をしていた彼にはとても刺激が強いはず。

その証拠に彼は頬を赤く染めて固まってしまっている様子が見て取れる。

 

「せ、先生…あの……」

 

「指揮官君……こっちに来てくれるかしら?」

 

目のやり場に困っている指揮官君をこちらに呼ぶ。

机の上に座っている状態で片膝を立てると丈の短いスカートの中が見えそうになるのを自覚する。

でも、それでいい。

彼の視線を少しでも釘付けにしてしまいたい。

これは私の一世一代の瞬間なのだから………

 

「先生これは……いったい………」

 

「お出掛けの時みたいに私を呼んでくれないかしら?」

 

「えっ…と……レ、レンジャー?」

 

「うんうん、ありがとう指揮官君」

 

目の前までやってきた彼にお出掛けの時に、生徒と教師の間柄を隠すなんて建前で名前を呼ばせていた私はここぞとばかりに彼に私の名前を呼んでもらう。

 

ここから始まってそのまま終わりを告げる恋を、彼に覚えていてもらおう。

 

前世も含めて初めての恋。

 

身を焦がしそうになる感情を抑えて今日まで導いてきた彼への想いを………

 

一途に努力を続けるカッコイイ頑張り屋さんに教師としての役目を果たした私の隠していた想いを聞いてもらいたい。

 

 

 

「あのね?指揮官君………」

 

「レンジャー!俺、貴女が好きだ!!」

 

「………え?」

 

 

 

そのはち切れんばかりの想いを伝えようとした瞬間に、逆に彼から告白された………告白されたの!?

 

「え?あの?………えぇ!?」

 

「ずっと………好きでした!落ちこぼれだった俺を見捨てずに助けてくれて………俺の事を思って色んな所に連れて行ってくれて……そんな優しい貴女が大好きです!!」

 

困惑する私にいっぱいいっぱいといった様子で想いを伝える彼は自身の胸に手を当てる

 

「これで会えなくなるから言わない方が良いと思ってました………でも、ここに呼ばれて……決心したんです。絶対にこの想いを伝えようと」

 

「…………」

 

熱い想いが伝わる。

その眼差しに籠る熱は私を燃やし尽くさんばかりの想いを秘めていた。

 

ゆっくりとこちらに近づく指揮官君に私も想いを伝えよう。

 

指揮官君に先を越されてしまったけれど、本当は私が先に言うはずだったのだから。

 

「私も………貴方が好きよ指揮官君?貴方がカッコイイ頑張り屋さんだって事をずっと見てきた私は………貴方が惹かれています。大好きです」

 

「レンジャー………うわぁっ!?」

 

「きゃぁ!?」

 

想いを伝えた瞬間にすぐ近くまで来ていた指揮官君が転けて私を押し倒す。

机を背に彼の顔がとても近くて頭がクラクラする。

 

でも、この時間を終わらせたくない。

 

そんな想いで彼の背に自分の両手を回してもっと引き寄せる。

 

あぁ………もっとこんな風に早くなれたら………

 

 

 

熱い想いに身を任せて彼に言おう。

 

 

 

一夜の想い出を下さいと………

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

あれから数年が過ぎた。

 

互いに一つとなって想いを確かめたその日の朝に、彼は赴任先へと旅立って行った。

 

その赴任先で数々の戦果を挙げて海域の解放を成し遂げた英雄として讃えられているそうだ。

私はあの日の想い出を胸に今も指揮官候補生達を導く授業をしている。

あの時の彼のような勤勉な頑張り屋さんは残念ながら現れなかったけれど、あの夢のような時間をくれた彼のような人は1人でいいと思う。

 

授業を終えて誰も居なくなった教室で片付けをしていると閉まっている扉を誰かがノックしてきた。

 

「あら?誰かしら………開いてますよ?どうぞ?」

 

ノックされた扉を見ながらそう言うとゆっくりと扉を開けて、少将の階級章に沢山の勲章を付けた軍装を着た彼が入って来た。

 

「え?………夢じゃ……」

 

「いや、夢じゃないですよレンジャー?」

 

もう逢えないものだと思っていた彼がこちらに近いて私を抱き寄せながら夢では無いと教えてくれる。

最後の会ったあの日から更に背が伸びて男性的になった彼に包まれるように抱き寄せられる私は思わず固まってしまう。

そんな私に苦笑しながら彼は一つの箱を取り出して中を私に見せながら

 

 

 

「俺と、結婚してくれませんか?」

 

 

 

プロポーズをしてくれた。

ずっと想い続けてきたこの数年間、どうやらそれは彼も同じだったようで………

溢れる涙を隠さずに私は彼に答える。

 

 

 

「うぅ……生徒からこんな貴重なものを送られて、しかも嬉しくなっちゃうなんて……私、教師失格です………でも、私は貴方だけの特別授業をします。これからずっと………貴方の傍で………」

 

 

 

それを聞いた彼は笑顔でよろしくお願いしますと言ってキスをしてくれた。

 

 

 

これから始まる特別授業。

 

 

 

2人だけの秘密の特別授業なのです。

 

 

 





という訳でレンジャー先生でした!!

乙女チックなレンジャー先生と生徒のラブストーリーなんていかがでしょうか?

砂糖を大量生産したくなるような甘さに出来なかったのが心残りですね………

それでは感想返しです。

健康を心配してくれてありがとうございます〜!!

インフルと肺炎を併発すると陸で溺れるって貴重な体験ができて苦しいですよ〜!!

それではまた次回に
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