アズールレーン~彼女達に転生するとどうなる?~   作:サモアの女神はサンディエゴ

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時として羞恥心や照れを隠す為の言葉が刃となって突き刺さる。
言われる方も、言う方も………


ハムマン「素直って難しいのだ………」ションボリ

「ざ、雑魚どもめ!!」

 

半身になりながら右手を伸ばして真っ直ぐ指差し

 

「このハ、ハムマンが!!」

 

左足を一歩踏み出しながら左手で軽く胸を叩く

 

「やっつけてやるぅ!!」

 

そして最後に胸の前で握りこぶしを作って大きく叫ぶ。

 

 

 

「これ、すごく恥ずかしいのだ………」

 

 

 

頭の上にあるケモ耳を伏せて顔に上がってくる熱を感じながら指示通りのセリフとポージングをこなした私ことハムマンは窓際でニコニコと微笑みながらビデオカメラを回し続ける人物の方を見る。

 

「あら♪とっても可愛いわよハムマンちゃん♪」

 

頬に手を当てながらご機嫌そうに言うその人の名はヨークタウン姉さん。

もう何回ヨークタウン姉さんの指示に従って衣装を変えたりしながら恥ずかしいセリフとポーズをさせられたのかは数える気も起きない。

 

「次は………この衣装を着てやって貰おうかしら?」

 

「そ、それは!?」

 

視界に入るのは明らかに白色の布の生地が少なくて心なしか透けてるようにも見える水着っぽいナニか。

 

「どうしてこんな事になったのだ………」

 

窓の外をどこか現実逃避しながら眺めるハムマンの脳裏には数時間前の出来事が思い浮かんでいた………

 

 

 

「どこを見てるのよ!!この………変態!!」

 

 

 

思わず口から出た言葉に自分でも驚いたのが最初だった。

この世界にメンタルキューブという存在からシムス級駆逐艦ハムマンというケモ耳尻尾少女?に冴えない男から転生してからこの二年間、正直性能という面では海域の解放等に参加出来るほどの力は無く。

そんな不器用な存在でもあったにも関わらずに秘書艦から外さず、少なくは無いはずの改造用の資材まで用意して貰いずっと互いに支え合っていた好………じゃなかった大切な指揮官に対して言ってしまった一言が自分の胸に突き刺さってしまう。

 

「あ、えっと………ごめんなさい………」

 

すぐに謝るが胸の奥に突き刺さるナニかが、罪悪感や申し訳なさを助長して目に涙を集める。

 

「大丈夫だよハムマン、気にしてないさ。こっちこそ配慮が足りなくて申し訳ない」

 

そう笑いかけてくれる指揮官の言葉がさらに胸の傷を抉る。

 

 

 

きっかけは些細な事だった。

 

 

 

場所は執務室等がある中枢部から学園部分を結ぶ渡り廊下のような所でその日は雨が降っており、床が滑りやすくなっていた為に滑らないよう母港内では注意書きが張り出されていた。

ハムマンも気を付けていたのだけれど………指揮官の目の前で滑って転けてしまったのだ。

しかもお気に入りのピンクと白のストライプの入ったパンツを丸出しにして………

 

この身体に転生してからというもの、感性がこの身体の持ち主であるハムマンを基準とした女性のモノに置き換わっていくのを感じても、それでも問題は無いと考えて過ごしていたある日の事件。

頼れる男性で互いに支え合っていた心から信頼出来る指揮官に見られてしまった羞恥心から、思わず出てしまった罵倒は他のKAN-SENにも見られてしまい………

 

「「「「「……………ヒソヒソヒソ」」」」」

 

小さな声で話しているのが見えた。

こんなはずではなかったのに………

そんな後悔ばかりが頭の中をグルグルと巡って思考のループに陥っていると

 

 

 

「あら?ハムマンちゃんと指揮官じゃないの………これはどうしたのかしら?」

 

 

 

ニコニコしながらヨークタウン姉さんが現れて指揮官に事情を訪ね、なるほどと言いながらハムマンの手を引いて立ち上がらせると

 

「指揮官?ハムマンちゃんを少し借りて行くわね?」

 

やはり微笑んだままハムマンの手を引いてヨークタウン姉さんの自室まで連れていかれたのだった。

そして、なにやら多種多様な衣装を取り出すと親指を立てて

 

「ハムマンちゃん、特訓よ!!」

 

と言いながら羞恥心を煽るようなポーズをとらせたり、端から見ても布が少なかったりフリルまみれで装飾過多の恥ずかしい衣装を着せられる事となったのだ。

正直、ヨークタウン姉さんが何をしたいのかがよく分からない。

というか、そのヒモだけはご勘弁願いたい………

 

「ねぇハムマンちゃん?これは何の特訓だと思う?」

 

不意にヨークタウン姉さんがいつもの微笑んだ表情から真剣な表情に変えてこちらを見つめる。

でもその両手で広げるようにして持っているヒモのせいですごくシュールだ。

 

「え?これってヨークタウン姉さんの写真撮影会とかじゃないのだ?」

 

「まぁそれもあるけど………目的は違うわよ?」

 

一瞬だけ目を反らしながら、それでも真剣な表情を崩さないヨークタウン姉さんに思わず首を傾げる。

ヨークタウン姉さんの思惑が分からずに悩んでいると

 

「今日の事故、これってハムマンちゃんが不意討ちで恥ずかしい場面に合ったから起きてしまった事故なのよね?」

 

そう言いながらヒモを近づけてくる。

 

「た、確かに思い出してみればそうなんだけど………ヨ、ヨークタウン姉さんヒモはちょっと………」

 

ハムマンは近づいてくるヒモを両手で抑えながらあの事件を思い返す。

確かに大好き………じゃなくて信頼している指揮官の目の前で滑って下着を晒した事で羞恥心のあまりとっさに出てしまった暴言が原因で起きた事件だ。

 

「そうよ!だから恥ずかしい場面を作って慣れてしまえばあんな風な事故は起こらなくなるはずなの!!」

 

ついにヒモを押し付けながら耀くような笑顔でヨークタウン姉さんは言い切ってついでと言わんばかりにセリフとポージングのメモまで渡してきた。

 

そこまで良い笑顔で言い切られたら………ちょっと断れない。

それにこの部屋にはハムマンとヨークタウン姉さんしか居ないのだから絶好の特訓時間なのではないだろうか?

元をたどれば自分の羞恥心からの暴走で始まっているのだから、恥ずかしい思いをしながら特訓すれば指揮官にあんな暴言を吐かなくて済むかもしれない。

 

「分かったのだヨークタウン姉さん、着替えて来るから待ってて」

 

上手く丸め込まれたような気もしないではないが、ここはハムマンの事を思ってくれたヨークタウン姉さんの厚意に甘えよう。

 

「ああ、ハムマンちゃん。流石にハムマンちゃんも疲れただろうからお菓子と飲み物も取って来るわ。その衣装を着てするシーンは私が室内に入る所から始めるから準備も含めてまた10分してから来るわね?」

 

「はーい」

 

更衣しようと別の部屋に向かおうとするとヨークタウン姉さんがそう言うのでメモを読みながらそう返事を返した。

ヨークタウン姉さんの選ぶお菓子はどれも美味しくて食べ始めたら止まらないので自然と頬が弛んでしまう。

このヒモのシーンが終わったらヨークタウン姉さんにあ~んして食べさせて貰っていっぱい甘えるのだ。

 

だからこんなヒモはさっさと終わらせてしまおう。

 

萎えてしまいそうになる己の意思を奮い立たせるようにヨークタウン姉さんに甘えるその瞬間を想像するのだった。

 

 

 

~10分後~

 

 

 

ヒモを着て髪をツインテールに纏めて待っていると扉の開く音が聞こえる。

ここで勝負を仕掛ける。

少し卑怯かもしれないが、扉を開けるシーンからと言っていたから今終わらせてそのままおやつタイムに持っていこう。

そうしないと割りに合わないのだ!!

そう思いながら扉を開けたであろうヨークタウン姉さんに背を向けて

 

「いつもお疲れ様、ハムマンが労ってあけるのだ………うん?ちょっと!ハムマンを見ないでどこを見てるのよ!!」

 

一息に全部のセリフを言ってみたのだけれど、これは恥ずかしい。

まず、最初の労ってというセリフの所で髪を弄りながらゆっくり振り返り、ハムマンを見るように言う所で両手を握り締め、下に振り下ろし若干屈みながら上目遣いで口を尖らせる。

 

というかこのヒモのシーンを考えたの本当にヨークタウン姉さんなの!?

 

スッゴく恥ずかしいの………だ?

 

「えっと………ヨークタウンにあの後どうなったのか聞こうと思って来たんだが………」

 

「あっはははははははは!!ハムマン!?何その格好?それヒモじゃんヒモ!!」

 

そこに居たのは指揮官とシムスだった。

 

タイミングは最悪で全部見られた。

 

頭の中が真っ白で恥ずかしくて訳分からなくて動けなくて

 

 

 

「うう………ふぇぇぇぇぇぇん!!」

 

 

 

その場に座り込んでガチ泣きした。

 

「え!?ちょっ!?マジで泣いてる?どうしよ指揮官!?」

 

「ああ、ごめんハムマン!そういうつもりはなくて………どうすればいいんだこういう時には?」

 

慌てふためく二人の声が聞こえて困っているのが分かるのだけど、この溢れる涙が崩壊したダムのように流れ出すのが止まらない。

 

「し、指揮官!!ここは指揮官が漢を見せる時だよ!!」

 

「シムス?いったい何を?………うわっ!?」

 

不意に暖かいナニかに抱きつかれた。

 

 

 

指揮官だ。

 

 

 

信頼できる人、たぶんヨークタウン姉さんよりも………だから私も………

 

「う~………」

 

「は、ハムマン?」

 

困惑する指揮官をよそにギュッと抱きついてその胸で泣かせてもらう。

 

「じゃ、後は任せたよ指揮官!ヨークタウン姉さんにはワタシから言っとくからね~」

 

「待てシムス………っ!?」

 

その場から立ち去るシムスを指揮官が止めようとするけど、私から………ハムマンから離れないで!!

 

「ハムマン………分かったよ、大丈夫だぞ?俺はここにいるぞ?」

 

急に抱きつく力を強くして指揮官を驚かせたようなのだけれど、彼はフッと笑って頭を撫でてくれた。

それが嬉しくて、また泣いた。

 

泣いても泣いても涙が止まらなくて、泣き止んだのはそれから10分後のことだった。

 

「指揮官、ハムマンは………」

 

「ん?どうした?」

 

指揮官の胸の中で頭を撫でて貰いながら小さな声で話し掛けると、彼は覗き込むようにして微笑みながらこちらを見ている。

 

今しかない。

 

今なら、小さい声しか出なくても指揮官ならちゃんと聞いてくれるはず。

あの時の謝罪を、ハムマンの心からの謝罪を彼が聞いてくれる。

 

「あの「先に謝っとくよハムマン、デリカシーの無い事をしてしまって本当にすまなかった」」

 

彼に先を越された。

先程からの微笑みを消して真剣な表情になってこちらを見つめながら謝罪してきた彼に………ハムマンの目は釘付けになる。

 

「ハムマンが恥ずかしい思いをしたのに、ちゃんと謝れなくて傷付いたろ?本当にすまなかったよ。ヨークタウンに連れられていった君を見て、すぐに君が傷付いた事に気が付けなくて俺も後悔したよ」

 

撫でる手を止めずにそう謝罪する指揮官に嬉しさが溢れていく。

心が温かくなっていくのを感じながら

 

「ハムマンも………ハムマンもごめんなさいなのだ。いくら恥ずかしいからって、あんな事を言ってしまって本当にごめんなさいなのだ」

 

指揮官の目を見つめてしっかりと心からの謝罪を言えたのだった。

 

そして二人で互いに笑って…………

 

 

 

「あ~ハムマン?そろそろ俺………我慢できん!!」

 

「ふぇ!?」

 

 

 

指揮官にいきなり抱き締められた。

というか顔がすぐ横にあって良い香りがしてクラクラしそうに………じゃなくて顔が近い!!

 

「指揮官どうしたの?」

 

抱き締められ混乱しつつも指揮官に問い掛けると

 

「ハムマン、お前わざとなのか?いつもいつも俺にボティタッチするわ抱き着いてくるわ距離は近いわパンチラしそうな体勢にすぐなるし………何回勘違いしそうになったか………危機感無いのかよ!俺も男だぞ!?そして、今度はヒモビキニかよ!俺も2年耐えた!!耐えたけどこのヒモ!!これだけは理性が耐えられそうにない………」

 

一息に話す内容に理解が追い付かないけど、指揮官に関して分かった事がある。

ずっと性別転換型の転生という不思議な体験をしているせいで、ずっと距離感があやふやだった為に指揮官をヤキモキさせていたという事だ。

 

でも、それでもハムマンにその劣情をぶつけずに我慢に我慢を重ねた優しい人だという事も分かる。

それに今だって抱き締めてはいるものの、ハムマンの事を見ないように真っ直ぐ顔を向けたままで何かしようとしている訳ではない。

 

どうしよう、すごく………嬉しい。

 

「指揮官」

 

「分かってくれたかハムマン?」

 

ハムマンが指揮官の事を呼ぶと彼はようやくこっちを見てくれた。

そして、その真剣な表情に胸の暖かさが広がっていく。

だからハムマンは………

 

 

 

 

「指揮官にならいいのだ、我慢してた分も含めて全部あげるのだ」

 

「!?」

 

 

 

 

ごく自然に出た微笑みとともにそんな事を言ってしまった。

指揮官は当然固まっている。

でも、ここまで想われていたら………大切にされていたらこの人に全てをあげたくなってしまう。

この世界で一番信頼できる彼になら女性としての感性が固定されてしまった自分を預けてしまいたくなっている。

前世が男性だったとしても今は女性としてこの世界に生を受けたのだから別にこう考えても良いはずだ。

 

「指揮官、大好きなのだ」

 

「!?」

 

自分にできる最高の笑顔で指揮官に唇にキスをする。

指揮官は目を白黒させて驚いているが、ハムマンは気にしないし止める事もしない。

 

さぁ指揮官、全部受け止めて………?!

 

精一杯指揮官への思いを伝えて反応を待っていると彼の様子がおかしい。

プルプルと震えてハムマンを抱き締めている手が………お尻を鷲掴みしてきた!?

 

「言ったよなハムマン?俺は我慢できんと………」

 

「し、指揮官?」

 

指揮官の方を見ると目が血走って明らかに興奮状態だ。

呼吸もフーッフーッととても荒い。

 

これはやってしまったのでは?

 

そんなどこか現実離れした考えをしていると指揮官がハムマンを抱き抱えて、普段ヨークタウン姉さんが使っているベットを確認して

 

 

 

「もう辛抱堪らんぞ!い た だ き ま す!!」

 

 

 

そのセリフを聞いてからの記憶が無い。

気が付けばヨークタウン姉さんに頭を撫でられ、シムスにひたすら謝られながら自室のベットで横になっていた。

 

後から聞いた話だとハムマンは指揮官にいろんな所を貪られながら意識がほぼ飛んだ状態で彼に抱き着いていた所をあまりにも遅いので、様子を見に来たヨークタウン姉さんとシムスに発見されたそうだ。

指揮官いわく

 

「彼女は無自覚の誘い受けだった………とてもじゃないが自分では止められない誘惑がそこにはあったんだ………」

 

と海軍部からきた憲兵達に連れられながら語っていたらしい。

 

「大丈夫よハムマンちゃん、絶対に責任は取らせるからね」

 

何も考えが浮かばずにベット上から天井を見つめているとヨークタウン姉さんはどこか怖さを感じる笑顔を浮かべたまま頭を撫でながらそう言ってくる。

そして、責任と聞いたハムマンは

 

「………指輪と、先にプロポーズしてほしかったのだ」

 

ポツリと視線を海の見える窓に移しながら呟いたのだった。

 

 

 




言葉の掛け違いとは恐ろしいものですね?
皆様もお気を付けて下さい。

ちなみにこのts転生者ハムマンの性格がこうなったのはハムマンの持つ照れ隠しツンデレが徐々に浸透していったのと、愛や結婚までいった彼女のセリフを聞いてるとツンデレ式誘い受けっぽく感じてしまったからです。
後悔はしてないし、ハムマンがこんな感じなら私も止まれないかも?



止まるんじゃねぇぞ………


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