アズールレーン~彼女達に転生するとどうなる?~   作:サモアの女神はサンディエゴ

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今日も指揮官に触って貰えなかった。

この前もだ………前は普通に触って撫でてくれたのに。

MVPを取らなきゃダメなのかと思って頑張ってもダメ………

どうすりゃ指揮官がお腹撫でてくれるのかな?



指揮官、お腹触ってぇ………なんで触ってくれないんだよ?

「なぁ指揮官~、お腹撫でてくれよ~」

 

「いや………今は仕事中だから………な?」

 

執務室のソファーでゴロリと横になり、セーラー服っぽい丈の短い上着をヒラヒラさせながらお願いするけど指揮官はチラリと見てまた書類に向き直る。

 

「むぅー、前もそんな事言って全然触ってくれなかったじゃないか!」

 

そんな指揮官に頬を膨らませつつ抗議する私こと重桜駆逐艦 夕立を無視する指揮官。

前世は男でバリバリの運動部の体育会系だったので身体を動かす運動は好きだけど、この身体に転生してからは戦闘で敵(セイレーンの上位個体)をバタバタと薙ぎ倒す戦闘で快感を感じる戦闘狂になってしまった。

 

しかし、この身体に犬の特性が付与されたのかは知らないけど指揮官に褒められてナデナデされるととっても嬉しくなる。

だから褒められないと悲しくなり重桜由来の犬耳と尻尾で悲しみを表現しつつ指揮官の横にすり寄ると、書類を書きながら頭を撫でてくれて少しだけ気分が良くなるけど今日はこれで満足しない。

 

「わぅ………これでぇ…まんぞくなん…えへへ……しないんだからなぁ……」

 

「蕩け顔でそう言われてもなぁ………」

 

どこか飽きれ顔の指揮官にそう言われるし頭を撫でられてゾクゾクしてはいるけど、今日こそお腹を撫でてもらうんだ。

お腹を撫でて貰うとキュンってするし頭の中真っ白になるほど気持ちいいからやめられないし、何より満足感が段違いなのだから諦められない。

 

上着を捲って首の間に挟みつつ左手で指揮官の腕を握り、右手でお腹を撫でながら

 

「おねがいしきかぁん………おなかさわってくれよぉ~」

 

自分でも驚くほど甘ったるい声が出たが、これで撫でて貰えるんなら安いもんだ。

 

さぁ指揮官、夕立のお腹をナデナデするのだ!!

 

あれ?どうした指揮官!?自分を殴るなんていったいどうしたんだ?!

 

うわっ!?血が………誰か!明石ぃぃぃぃぃ!!指揮官を修理してぇぇぇぇぇ!!

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「って事があってさ?また指揮官に撫でて貰えなかったんだ」

 

「あー、御愁傷様ね指揮官」

 

朝から指揮官が負傷した為に午前中の遠征や出撃が出来なくなり、暇になって食堂で酸素コーラを同じ重桜の駆逐艦 時雨に奢って貰い飲みながら話す。

時雨は何故か苦笑いを浮かべながら夕立の話を聞いているけど、なんで苦笑いしてんだろ?

 

「だいたい指揮官がいけないんだぞ?時雨も指揮官にナデナデされたら気持ちいいだろ?」

 

「確かにそのまま身を委ねそうなくらい気持ちいいけど………夕立はグイグイいき過ぎなんじゃないの?」

 

少し顔が赤くなりながら時雨も指揮官のナデナデの魅力について話すが、それよりグイグイいき過ぎってのが気になる。

別にそこまでグイグイいってる気はしないんだけどなぁ………

 

「夕立のおバカさんはがっつき過ぎだって言ってるの、貴女はそんなつもりじゃなくても端から見れば一目瞭然よ?」

 

思っている事が顔に出たのか時雨にさらに飽きられながらそう言われた。

 

「うーん、難しいなぁ………時雨だってこの前指揮官の上着に顔を埋めてプルプルして「わー!わー!わー!」わぅ?」

 

顔を真っ赤にした時雨に話を途中で遮られた。

なんか肩で息してるけど時雨も運動不足?

前に山城が体重計に乗ってハワハワ言ってたけど一緒に運動するといいかもね?

 

「なんで知ってるのかは聞かないけど………とにかく、夕立が指揮官に褒めて貰おうとし過ぎて指揮官が困ってるんじゃないの?」

 

「そうかな?………よし分かった!じゃあ今日は諦めて明日の朝にする!!」

 

「そうじゃないわよ!」

 

「わぅ?」

 

「あーもー!なんで分からないのよこのおバカ!!どうして私の姉妹艦なのにこうも違うのか………いい夕立!?」

 

それから時雨に散々怒られたけどなんで怒られたのか分からずにそのまま夕食の時間となった。

夕食のご飯はお肉たっぷりの鍋だったけど、怒った時雨にお肉を殆ど持っていかれてお野菜たっぷりのご飯でションボリだった。

 

 

 

「もっとお肉食べたかったなぁ………」

 

就寝時間前にお風呂に入り、体重計に乗って面白い顔をしていた愛宕の横で牛乳を飲んだ帰り道に夕食の事を思い出してポツリと呟く。

愛宕がお腹を触りつつお肉がどうのこうの言ってたせいで余計に思い出しちゃったよ。

なんか眉間にシワ寄せながら同じく体重計に乗ってハワハワ言ってた山城とサウナの方に行ってたけど何だろう?

 

「明日はいっぱいお肉食べれないかなぁ~………わぅ?」

 

明日のご飯でお肉料理が出る事を願っていたら窓の外から見える執務室の窓に明かりが灯っているのが見えた。

どうやら指揮官がまだ仕事をしているみたいだ。

 

「あれ?そういえばこの前ベルファストに晩御飯の後からまた仕事するのは止めるように言われてなかったっけ?」

 

うちの指揮官は優秀だけど、仕事を続けてやろうとするワーカーホリックとかいうのだから適度に仕事を休ませないとダメだってお医者さんのヴェスタルが言ってた気がする。

 

「今日の仕事は夕立が邪魔しちゃったから少し手伝って早めに休んで貰おう!」

 

そうと決まれば善は急げだ。

もしかしたら手伝ったご褒美にナデナデしてもらえるかもしれないしな。

ナデナデしてくれる事を想像してルンルン気分になりながら執務室へ向かう。

どうせ中で書類にサインしてるだろうしノックとかしなくても大丈夫だろう。

 

「指揮官~、仕事手伝いに来………わぅ?」

 

執務室には誰も居なかった。

でも執務室の真ん中には白い着物が飾ってあってそれが執務室の照明に照らされてとっても綺麗に見える。

そして、その着物の後ろにはいつも指揮官が仕事をしている机があってその上に小さな箱と書類が1枚だけ置いてあった。

 

「………わぅ、もしかして夕立は見ちゃいけないモノを見たのか?」

 

指揮官が留守の間に見てしまった事を少し後悔しつつ、でも綺麗な着物をもう少し見たいという好奇心で着物の近くに寄ってみると

 

「わぅ?この着物の襟に札が付いてる?」

 

どうやら誰の物か分かるように名札がわざわざ付けていたようだ。

その名前は………

 

 

 

『夕立用 白無垢』

 

 

 

「夕立のし、シロムク?」

 

もう一度夕立の名前が書かれた名札を見て気が付いた。

 

「これ、指揮官が準備してくれたプレゼントか?」

 

シロムクってのが何なのかは分からないけど、たぶんこれが正解だろう。

ならあの小さな箱はもう一つのプレゼントで書類は仕入れて来た明石か不知火辺りからの請求書だと予想する。

 

「なんだよ指揮官~、最近触ってくれなかったのはこのプレゼントをくれる為に焦らしてたんだなぁ~」

 

予想外のプレゼントに弛む頬を抑えることもせず、その場でモジモジしてしまう。

 

「あ、でもこれを片付けに帰ってくるかも………そうだ!良い事を思い付いたぞ!!」

 

着物を見ながら夕立の事を焦らしてくる指揮官にちょっとしたドッキリを思い付いた。

きっと指揮官は驚くはずだ。

ニヤニヤしながらその悪巧みを実行する。

指揮官の目が飛び出るほど驚かしてやろう。

 

 

 

 

廊下の方から足音が聞こえる。

この少し早歩きな歩き方は間違いなく指揮官だ。

KAN-SENとなってから付いたこの頭の犬耳はこういう時に良く役に立つ。

さぁ、早く扉を開けてビックリしろ!

ドアノブが回るのが見えた!

 

今だ!!

 

「どうだ指揮官!ほら!このシロムクって服は似合ってるか?赤くて白くて格好良いよな!あとさ、どうしてかわからないけど、これを着ているとなんだか指揮官がずっと側にいるような気がするんだ!」

 

前の初詣の時に適当に上から羽織っただけの着物を鳳翔に見られてから、着付けが自分一人で出来るようになるまで練習させられた甲斐があったぜ。

 

着崩れすることなくこのシロムクを着れて指揮官に見せれたから大満足だ。

それに指揮官はドアを閉めて夕立を見たまんま固まって動かないからドッキリ大成功だな。

でもあんまりにも固まったまま反応してくれないのはちょっと不安になる。

 

「指揮官~?どうしたんだ~?なんか反応してくれよ~」

 

ゆっくりと着崩れしないように指揮官の方へ近づくとハッとしたように指揮官が夕立に近いて来る。

お?これはナデナデしてくれるチャンスなのでは?

 

「指揮官、ナデナデしてくれるか?」

 

夕立はそう言って両手を広げて待っていると

 

「夕立!」

 

「わぅ!?」

 

指揮官が夕立を思いっきり抱き締めてきた。

ちょっと鼻息が荒くてくすぐったいけど指揮官の良い匂いをいっぱい吸えるから良いかな?

せっかくだし、胸に頬っぺたスリスリしちゃおう。

こんなに指揮官が夕立の事を求めてくるなんて嬉しくて尻尾のフリフリが止まらないぞ。

 

「えへへ~指揮官~」

 

「ゆ、夕立………好きだ」

 

「わぅ?」

 

「夕立が好きなんだ!!」

 

降って湧いた幸福に溺れかけていると指揮官が夕立に顔を合わせて真剣な表情で想いを伝えてきた。

最初は伝わらなかったけど、2回目でやっと伝わった。

伝わって理解して………

 

「わぅ!?わぅわぅわぅ!?」

 

「なんて言ってるか分かんないぞ夕立?」

 

犬語しか喋れないくらいビックリして指揮官がツッコミをいれる。

でも驚き過ぎてビックリしてそれ所じゃない!

指揮官が夕立の事を好きって言ったのだ!!

それって………夕立のお腹をナデナデしてくれるって事?

 

なら大歓迎だ。

指揮官が夕立の事を褒めてナデナデしてくれるんなら何でも良い。

というか夕立も指揮官が大好きだから返事を返そう。

 

「夕立も指揮官が大好きだぞ!!」

 

「夕立!ちゅっ」

 

「っ?!ちゅっ…じゅる……ちゅぅ………しきかん?」

 

返事を返した瞬間に指揮官が夕立に口づけをしてきた。

口づけをした瞬間になんか頭の中がパーンって弾けたような気持ち良さがあって、大好物なお肉を食べてるような幸福感があってもっと欲しくなって………口を開けたら舌を吸われて頭が真っ白で………

 

「夕立、俺と結婚してくれないか?」

 

だからだと思う。

机の上にあったあの箱から出てきた指輪を指揮官から右手の薬指に填めて貰っている時に聞いたその言葉を夕立は無意識に頷いたのだから………

 

 

 

「えへへ~指揮官~お腹を触ってぇ~」

 

「おいおい、まだ気が早いんじゃないか?」

 

あの日からすでに数ヶ月が過ぎようとしている。

指輪を貰ったあの日に初夜を迎えて戦闘よりも快感を感じる事を覚えてしまい、すっかり前世が男だった事とか敵を倒す事に快感を感じる戦闘狂から抜け出したんだけど………今度は指揮官が悲鳴をあげている。

 

あんな気持ちいい事を教えられたら毎晩して貰いたいけど、指揮官がもたないって言ってるから3日に一回とお預けをくらってしまった。

 

それに指揮官が夕立と結婚することになった際に母港で………主に空母組とかが夕立を襲おうとしてきたけど、時雨や綾波達がそれを完全に阻止してくれた。

まぁ、その対価に指揮官の着古した肌着なんかを要求されたけど………良いよね?

 

お預けをされてるけど、これだけは毎日ずっと続けてる。

それは………

 

「指揮官!大好きだぞ!ちゅっ」

 

「んぅ!?お前………いきなり過ぎるだろ?」

 

「夕立が幸せだから大丈夫!」

 

指揮官と口づけを交わし続ける事。

これだけは絶対にお預けさせないからな!!

 

 





天然無知系元気っ娘って良いですよね?

今回はTS要素少ないけど、元気っ娘な夕立が書けて満足ですよ。

しかも彼女勝手に行動するので最初のプロットから外れる外れる………

やはりお肉を食べている娘は違うなぁ………

ではまた次回もお楽しみに………
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