アズールレーン~彼女達に転生するとどうなる?~   作:サモアの女神はサンディエゴ

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指揮官が今日もまた拐われた。

たぶんまた重桜の空母がやったはず。

指揮官は絶対助ける。

でもちょっと眠いから一眠りしてから。



指揮官………ヒロイン?

迫り来る艦載機を両手に持つ単装砲と装備している対空砲で薙ぎ払いながら接近する。

さすがに重桜の空母が放った艦載機は攻撃の手に隙が無いけど、撃墜しながら無理矢理押し通ると引き攣った顔を見せるあの空母達が見えた。

 

「そんなバカな!?加賀や大鳳に私を含めた重桜の正規空母クラスの攻撃を通って来るですって?!」

 

「ククク、グレイゴーストだけでなく駆逐艦にもこれ程の猛者が居るとは思わなかったぞ」

 

「笑っている場合ではありませんわ!せっかく指揮官様をこの重桜寮にお招き出来たのに………またあのユニオンの駆逐艦に取り返されてしまいますわ!!」

 

「ラフィー!ここだー!助けてくれ〜!!」

 

後ろ手に縛られた指揮官も発見。

ならもうあの空母達に容赦する必要は無い。

 

「リミッター解除、殲滅形態に移行」

 

「「「げ!?」」」

 

こうなったラフィーはもう止められない。

ソロモン海域で戦艦と正面から殴り合った火力をここで発揮する。

とりあえず、指揮官を拐った彼女達は暫く寝ててもらう事にしよう。

 

「ちょっ!攻撃が速過ぎて…ギャフン!」

 

「容赦無さ過ぎでは?って、こっちも!?うぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「え?もう終わりな………きゃあぁぁぁぁぁ!」

 

装備している533mm五連装磁気魚雷T3から魚雷を空中にバラ撒いてスキルによる一斉射撃で誘爆とそのまま発砲を続ける攻撃が決まって空母達が吹き飛んだ。

これで指揮官を取り戻せる。

 

「指揮官、無事?」

 

「ありがとうラフィー………今回ばかりはダメかと思ったよ」

 

「前もそれ聞いた、今回も罠って気が付かない?」

 

「うぅ、面目ない………」

 

縛っている紐を解きながら、若干呆れつつもそう話す。

あの重桜の空母達が指揮官の初めてを奪うのにどんな策略を考えているかなんていつもの事なのに。

本当にこの指揮官はここら辺が抜けているというか………

 

「………早く帰る、ラフィー眠い」

 

「ああ、いつもありがとうラフィー。今日も執務室のソファーで休んでてくれ」

 

戦闘が終わって早くも睡魔が襲ってくる。

それを見た指揮官がラフィーの頭を撫でてそのまま背中に背負ってくれた。

この流れがいつもの日常生活の流れになるなんて誰が思っただろうか?

 

だいたい重桜の空母が指揮官を拉致してラフィーが救う朝から始まる日常なんてマンガやアニメの世界で充分だと思う。

でもそんな毎日が楽しくも感じている自分がいる。

 

まぁ、あの空母達は天敵達に囲まれて目を回しているのだけれど………

 

「ん、トドメ刺した?」

 

「え?ああ、天城とアルバコアがもう来てたのか………早いな」

 

とんでもない悲鳴が聞こえた気がするけどラフィーは聞いてない、うん、聞いてない。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

「………ふかふか」

 

「やっぱりラフィーはそのソファーが好きだよな」

 

「至福のひととき………むにゃむにゃ」

 

「寝るのも早いなぁ」

 

執務室に戻って早速ソファーでお昼寝開始。

ソファーで瞼を閉じると指揮官の苦笑するような声が聞こえてきた。

でももう大丈夫、何かあればすぐに起きて戦闘態勢に入れるラフィーがいる間は拉致するような事はさせない。

………今度から同じ部屋で寝れば大丈夫かな?

 

「なんかラフィーが変な事考えてる気がする」

 

「………そんな事考えてない、考えてない」

 

「怪しいなぁ………」

 

薄目を開けてチラリと指揮官を確認してその感の良さをあの罠の回避に生かせないのか不思議に思う。

でもまた拐われたらラフィーがまた助ければ大丈夫だと思いうつ伏せになりながらカーテンの隙間から射し込む日光に背を向けた。

 

思えば随分遠くまで来たものだと感慨深い。

 

新設された母港に指揮官の適性はあるものの、争い事が苦手な性質で落ちこぼれという烙印を押された指揮官。

 

サボりや授業中の居眠りの常習犯で成績もそこまで高くなかった落ちこぼれのユニオンのベンソン級駆逐艦ラフィー。

 

この2人を厄介払いするように押し込めたこの母港で始まった艦隊運用は、手探り状態での暗雲ばかりが立ち込める舵取りだった。

しかし、落ちこぼれと言われたラフィーには1つ姉妹にも話していなかった秘密があった。

 

それは前世の記憶がある事。

 

一般社会に出ていた成人男性だった頃の記憶があり、この母港に着任してからその頃の記憶と現在の状況に身体が慣れ始めていた事がこの母港の発展のきっかけになっていったのだ。

それは社会人として働きながら趣味として行っていたスポーツがきっかけだった。

 

前世の記憶にある柔道というスポーツにラフィーはとても惹かれてそれを思い出すように身に付けていく。

そしてそこから鉄の船であった前世の記憶による動きの制限を払拭し、人体の動かし方や弱点となるような部分について学ぶ。

 

まさにそれは羽化するかの如く。

 

軍隊格闘術にも通じるそれは、人の体を持つKAN-SENにとっては新しく身に付けられる戦う術だった。

どこをどう動かせばどういった反応が起きて身体が着いてくるという単純ではあるものの、それを突き詰めていけば演習において砲撃や雷撃のタイミングを完璧に見切るといった近接戦闘での無双がラフィーの伝説の一部として語られるきっかけとなったのだ。

 

そして海域の解放での戦闘でもタイミングを見切る観察力はセイレーンの傀儡艦の砲撃や雷撃、果ては敵機の急降下爆撃においてもどこに落ちるのかまで正確に捉える事が出来るようになった。

恐らくラフィーにはそういった才能があったのかもしれない。

しかし、そこまでの才能をサボり魔のラフィーが伸ばせるのかといえば違うと言える。

 

争い事が苦手な指揮官がそういったラフィーの達成出来た事に一言ずつ

 

「凄いじゃないかラフィー!」

 

「こんな事も出来たのかい!?ビックリしたよ!!」

 

と笑顔で褒め続ける褒め殺しで伸ばし続けた結果とも言えた。

指揮官に認められて褒められて、自身の才能を限界を何度も越え続けたラフィーに1人で勝てる者は最早存在しなかったのである。

そんなこんなで指揮官に褒められ続けたラフィーは、改造によりラフィー改となって更に手が付けられなくなっていたある日の事。

 

指揮官がラフィーに指輪を送ってくれた。

 

普段は肉食系空母なんかに拉致されてラフィーに助けられてばかりの指揮官だけど、あの時ばかりは指輪の箱をこちらに差し出し片膝をついて頭を下げながら

 

 

 

「ラフィー、僕と………結婚して下さい」

 

 

 

ハッキリとした口調でプロポーズしてくれた。

 

皆の集まる食堂で。

 

いつも喧騒に包まれている食堂が一度時を停めたかに思える静寂の後

 

 

 

「うん、指揮官と結婚する」

 

 

 

即決でOKを返した。

だって欲しい所で褒め殺ししてくれていつも気に掛けてくれる優しさを、毎日のように年単位で浴び続けたら前世が男だろうが堕ちると思う。

というか結婚するのなら指揮官以外は考えられないし、考えたくない………うん、考えたくない。

 

そのまま食堂で幸せなキスをして終われば良かったのだけど、食堂で皆に見られながらってのがいけなかったらしくて全員に止められた。

 

「もっとロマンチックな所でしないの?」

 

「ここで言うのもロマンチックだと思う」

 

「うぅ、まあいいや、式はいつ挙げるのさ?結婚式は?」

 

「戦時中だから省略でいい」

 

「いやいやいやいや!!そんな事あってたまるかぁぁぁぁ!!」

 

主に意外と乙女思考なクリーブランドに。

 

その為、式の準備が出来るまで指輪は貰うけど一緒になれない状態が続いて重桜の空母達が指揮官を拐って邪魔してくる日々が………

 

「やっぱり邪魔するのは敵でいい?沈めた方が指揮官と一緒になれる?」

 

「今日は随分と過激だねラフィー」

 

なかなか終わらない式の準備と妨害する重桜の空母達に少しイラついたけど、薄目を開けて見えた指揮官が困った顔してるから止めておこう。

………うん、でも次の襲撃の時は手加減抜きで追撃もかけておこう。

 

「あー、ラフィー?」

 

「………んぅ?」

 

夕張の所で艤装の更なる強化をしようかと考えていると不意に指揮官が声をかけてきた。

寝ているソファーから顔を少し上げて指揮官の方を見るといつの間にか指揮官がラフィーの寝ているソファーまで来ている。

 

「ちょっと見て欲しいモノがあるから来て欲しいんだけどいいかな?」

 

「うん、いいよ」

 

その場で膝を着きながら指揮官が笑顔でラフィーに手を差し出していたのですぐに手を取って起き上がる。

こういう感じでラフィーを誘う時はだいたいサプライズを仕掛けている時のノリだ。

 

でも執務室の周りに潜んでいる気配があるから先にそっちを撒かないと………

 

「そっちは大丈夫だよ、今日は特別なんだ」

 

「………特別?」

 

「うん、そうなんだよラフィー」

 

艤装を呼び出そうとして指揮官がそれを微笑みながら止める。

特別な日とはいったいなんだろうか?

 

首を傾げながらその特別について考えていると指揮官がラフィーと手を繋いて………指と指を絡めて握る恋人握りで手を引いてくる。

 

「さぁ行こうラフィー」

 

「うん、行こ」

 

絡め合う指がなんだか気恥しい気持ちになるけれど、こんなに積極的な指揮官も初めてだし………悪くない。

サプライズがどんなモノかは分からないけど、頬にキスの1つでもするべきだろうか?

 

執務室から学園に向かいながら色んなKAN-SEN達に手を繋いで歩いているのを見られる。

微笑ましいモノを見たようにホッコリする人やキャーキャーと黄色い悲鳴をあげて騒ぐ人、ハンカチを引きちぎらんばかりに噛み締めて血涙を流す人など様々な反応が見えた。

そんな反応を見ているとなんだか指揮官と手を繋いで歩いている事に優越感が湧いてくるけど、それを表に出したりしない。

どうせなら指揮官と2人っきりの時にその話をしてイチャイチャするのが大人の対応というやつだと思う。

 

「着いたよラフィー」

 

「ここは………」

 

しばらく歩いていると指揮官が目的の場所に着いたと言ってきたので、後でイチャつく時に何をするのか考えていたのを止めて目的地を確認するとそこは………

 

 

 

「………教会?」

 

 

 

穢れを払うかのような純白の建物である教会だった。

指揮官はニコニコ笑顔のまま教会の扉を開くとステンドグラスに射し込む日光が照らし出す幻想的な空間が広がっている。

指揮官はそのまま手を引いて式でいう牧師が立っている場所までラフィーを連れて行くと

 

「ラフィー、あの日のやり直しをしよう」

 

そう言ってラフィーの前で片膝をついて右手をギュっと両手で握り締めてくる。

 

やり直し………そう聞いて思い出すあのプロポーズの日。

 

そう言えばあの日は最後まで出来なかった。

でもラフィーは考える。

そのままの焼き増しではなんだか勿体ないと。

 

 

 

「指揮官」

 

「なんだいラフィ…っんぅ!?」

 

 

 

膝まづいた指揮官の頬に手を当てて上を向かせてそのまま唇を奪う。

突然の事に目を白黒させている指揮官には悪いけど情熱的に、だけどしつこく舌を蛇のように絡ませながら味わっていく。

 

「これがラフィーの答え、あの日から変わらない」

 

「………うん、ありがとう」

 

射し込む日光で銀色に光って糸を引くのを見ながら指揮官にあの日に出来なかったキスを堪能した。

 

 

 

でも、まだまだ足りない。

 

 

 

「ラ、ラフィー?」

 

「全力でいく」

 

片膝をついて力が入りにくい指揮官をそのまま押し倒してもう一度キスを………ディープな方を互いの体液を交換しながら息が切れるまで深く行う。

 

そのまま指揮官のズボンのベルトを外して主砲とご対面。

 

 

 

「指揮官、ウサギは性欲が強いって知ってた?」

 

「それは………知らなかったよ」

 

 

 

その後の事は指揮官のサプライズに加担してたクリーブランドとその姉妹に見つかって乙女なクリーブランドが悲鳴をあげた事でお開きになったのである。

 

 

「子供は野球が出来るくらいに」

 

「身体が持たないよそれ………」

 

 

 

 

 





支えてくれる存在ってとても貴重で大切なものです。

こんなにも認めて褒めてくれる人なんて………いたらいいなぁ………

そして更新遅れました。

理由は今回のアズールレーンのアイドルイベント!!

そのガチャで起きた事件………それは………


ヒッパー沼と併せて赤城さん連発ドロップ(通称AKG52)


ヒッパー沼ってのはもうお分かりでしょうが、AKG52とは赤城さんがガチャする度に現れてその数52名となった事………

私の諭吉9人が戦死されるとても激しい戦いでした……

傷は深く致命傷で済みましたが更新が遅れました。

感想でR18もという声もありましたが、私の技術では濡れ場がなかなか難しいのです。

そこら辺はご了承ください。

それではまた次回でお会いしましょう。

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