アズールレーン~彼女達に転生するとどうなる?~ 作:サモアの女神はサンディエゴ
神様なんているか知らないけど
この身体にしてくれた事には感謝してるわ。
前世ではまったく気にもしなかったオシャレというものを楽しめるのだもの。
今がとても楽しいわ♪フフフ♪
「プ、プリンツ・オイゲン………」
「あら?何かしら指揮官?」
新しく買ったベルト付きサイドスリット入り茶色のニットワンピースとシックな黒のブーツを、見せびらかすようにして執務室の秘書艦用の席に座る私に目を抑えるようにする指揮官から名前を呼ばれる。
黒のニーソとガーターベルトを見せ付けるように足を組んで耳まで真っ赤な指揮官に身体ごと向き直ると、今度はプルプルと震えだした。
「どうしたのよ指揮官?私を呼んだだけならこの服の感想が欲しいわ………どうかしら?」
自身の豊満なバストやくびれたウエストのラインを強調するベルトを撫でながら指揮官にそう問いかけるが、指揮官は黙ったまま。
評価して貰えないとこれじゃ何の為にオシャレしているのか分からないわ。
「………だよ」
「あら?」
人差し指で自分の唇をなぞりながらどうしたものかと考えていると俯いたままの指揮官が何かボソリと呟いた。
よく聞き取れなかったので顔を近づけると
「目のやり場に困るんだよ!なんでそんなにエロい格好で執務してるんだよ!!」
必死な表情の指揮官が部屋中に響き渡るような大声でそう言ったのだった。
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私こと鉄血の重巡洋艦、アドミラル・ヒッパー級の3番艦 プリンツ・オイゲンは転生者である。
正直マンガやアニメのような体験を自身がすることになるなんて思いもしなかった。
しかも前世は男性で仕事漬けなサラリーマンで、休日まで仕事の事を考えるような無趣味でつまらない灰色と言っても過言ではない人生を送っていた。
この身体に転生して口調や感性が女性のモノに変わっていて混乱しつつもしばらくは同じように仕事漬けの毎日を送っていたのだけれど………
正直、疲れたわ。
規律を重んじる鉄の船の記憶に仕事しかない前世の記憶。
新しく人生を歩む上で前と同じような道のりを歩くなんてつまらない。
もっと自分がやってこなかった事を楽しく出来るような人生を過ごしたい。
そう思った私は万年スーツ姿だった前世の自分がオシャレというものをしてこなかった事を思い出し、勇気を出して別陣営でありオシャレに関して詳しいというロイヤルのフッドに教えを乞うたのだった。
最初こそフッドに怪訝な目で見られて警戒されたものの、自分が思っている事を真摯に語るとあっさり笑顔で引き受けてくれたのだ。
「そういう事でしたら、私が貴女の女性的な美しさを引き立てるようなコーディネートや化粧の仕方などをお教え致しましょう」
「………なんだか雰囲気が怖いわよフッド?」
「いいえ、こんなに良い素材なのにオシャレの仕方すら分からないなんて鉄血の教育に関して怒ってなどいませんよ?」
「やっぱり怒ってるじゃない………」
若干暴走気味なフッドによるスパルタ教育的なオシャレの勉強が始まったのだけれど、仕事漬けで集中力に自信のあった私はメモを取りながら実践していく。
フッド曰くその様子はまるで砂漠に水を注ぎ続けるかのような知識の吸収力に驚き、凄まじい成長速度だったという。
秘書艦として執務をする片手間でオシャレの勉強も並行して行う生活は自分が生まれ変わったような気がしてとても楽しかった。
そんな毎日が続いたある日の事。
「私が教える事は無くなりました。後は貴女が実践して自分に磨きを掛けていく過程ですよ」
事実上の免許皆伝だった。
しかし、いきなりそう言われても誰かに評価して貰わなければその後の成長は難しいと考えた私は………
指揮官に自分の学んだオシャレというものを披露して評価してもらおうと考えついたのだった。
春には花柄の黒いワンピース×イエローニットカーディガンで明るい春らしい印象と白いパンプスを履いてワンポイントを決めるようなコーディネートしてみたり。
夏にはブラウンのロング丈チュールスカート×白の袖無しTシャツのようなシンプルな構成で涼しさを引き立てたコーディネートを中心にしてみたり。
秋にはベージュスカート×白シャツで清潔感のある仕立てであまり履かないストッキングで大人の雰囲気を出すコーディネートをしてみたりと。
もちろん出撃や演習が無い事務仕事の時だけと決めてやったのだけれど、指揮官はどこか落ち着かずに書類仕事中に何度かミスをするようになった。
そして、評価を貰えない私も自分のコーディネートが上手くいっているのか分からずに悩む事にも………
まぁ蓋を開けてみれば私が服装を変えてみただけで普段との違いでギャップ萌えを感じていた様なので作戦は概ね成功していると考えても良いだろう。
「だからって俺で試さないでくれ………」
「えぇ?別にいいじゃないの、私はオシャレに磨きが掛かって指揮官は眼福といった所でしょう?」
「こっちはドキドキし過ぎて心臓が口から出そうだよ!!普段から無自覚に色気を振りまいてる癖に………」
恨みがましい目でこちらを睨む指揮官だけど、その視線は私のニットワンピースにあるサイドスリットに注がれているので怖くとも何ともない。
しかし、数年間も共に傍で戦い続ける指揮官がこんな風になるのは少し予想外だった。
………でも少しからかうのが楽しくなってきた。
「なぁに指揮官?そんなに私に視線を送ると熱くなりそうだわ♪」
「うわっ!?服のベルトを緩めるな!!スリットを広げようとするな!!」
ワザと中が見えそうになるようにスリットを広げると指揮官は口ではそう言いながら視線が集中するのが分かる。
「フフッ♪このまま指揮官に中も見せちゃおうかしら?」
「ッ!?…ゴクリッ」
唇を舌で軽くなぞりながらそう言うと指揮官は大きく生唾を飲み込む音を立てた。
鼻息も粗くなっているし、凄く興奮状態なのだろう。
それじゃあ………トドメを刺しておきましょうか♪
「良いわよ?指揮官ならね?それに私だって幸せを感じてみたいもの」
「……いい…のか…?」
前世の自分が伴侶も得ず、子供を授からずに親不孝な事をしていた事を今この身体になってからも後悔していた私は………ここまで追い詰めた指揮官を最後の罠にかける。
それに異性に対して少々ヘタレではあるけれど指揮官の事は好きだし、最初期から居るのに他の娘達に盗られるのは嫌。
その前に自分で頂いて家族という幸せの形を描いてみたいのだ。
前々から指揮官からの好意的な雰囲気は感じているし、ここまでお膳立てすれば………
「プリンツ!!」
「あぁん♪そんなにがっつかないの♪私は逃げないわ♪」
ほら♪食い付いた♪
そして、釣り針に深く喰い込んで貰うわ………
「指揮官?結婚しましょう?」
この言葉に指揮官は何度も頷いて私の唇を激しく奪う。
そんな指揮官が愛おしく感じて両手で彼を抱き締めた。
次は………料理でも勉強して依存させちゃおうかしら?
依存させる系女子とかいかがでしょうか?
今回は文字数少ないですが、やってみたい事を詰め込めたので満足です。
アニメのプリンツ・オイゲンを見た時になんだこの色気マシマシな娘は………と驚愕しておりました。
アプリでもなかなかの色っぽさでしたが、動くとなおエロい!
そんなプリンツ・オイゲンは私の母港では最初の前衛SSRで今なお第1艦隊の最前列にいる程思い入れがあります。
皆さんにも思い入れのある娘は多いと思いますが、特にこの娘はという娘はいるでしょうか?
ではまた次の更新でお会いしましょう。