例えばこんな長谷川千雨の生きる道   作:紅シズク

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新成人(厳密には未成年)の飲酒を示唆するシーンがあります。




125 人生編 第7話 同窓会と進路相談

「おう、来たな、貴様ら。先に始めているぞ」

成人式を終え、留学組含めた全員が集結する事になった3-A同窓会の場に一同がぞろぞろ到着すると、ワインを片手に着物を着た大人姿のエヴァがそう言って出迎えた。

「すいません、皆さん。皆さんが到着するまで待つように言ったのですが聞いていただけなくて…」

そう、茶々丸がぺこりとお辞儀をする。

「もーマスター…成人式さぼってフライングなんてお行儀悪いですよ」

ネギがあきれた様子でエヴァをたしなめる。

「ウルサイ!私達は成人式に招待されとらんのだ、これくらいいいだろ!」

「あーエヴァ達はそうだな…戸籍いじってないし」

「…学園長殿にお願いすればそれくらい手配していただけましたよ?」

と、ザジ。

「なっ…ジジイに頼むという手があったか…くっ…」

「ですが、エヴァンジェリンさん、大学入学早々から自分は成人していると大っぴらにお酒飲んでいたじゃありませんか。それで今更成人式出席は通らないかと」

悔しがるエヴァに委員長がそう突っ込みを入れた。

「…それもそうだな、委員長…まあいい、過ぎた事だ」

などという漫談をやっている間に皆、思い思いの飲み物を手に取っていた。

「では、同窓会を始めましょう。乾杯の前にネギ先生からひと言お願いいたしますわ」

「え、僕からですか…えっと…形式ばった挨拶は成人式で十分でしょうから手短に行きましょう。皆さんの成人を祝して!」

「「「「「「「「「「かんぱーい」」」」」」」」」」

そうして、アルコールありの同窓会という恐ろしいパーティーが始まるのであった…私はまだ飲めないが、法的には。

 

「え?進路相談?」

会場の端っこのソファーでカクテル(私はノンアルコール)を聡美と飲んでいると、夕映とノドカが私達のもとにやってきた。

「ハイです…その、魔法を学んでいるのは良いのですが、よく考えるとあちらの学歴と職歴はこちらでは通用しないのではないかと心配になりまして…その、ISSDAですでにご活躍されているお二人に相談を…」

「はいー私もISSDAに就職したいのですがーどこまで進学しておいた方がいいのかなーと」

「…ネギに聞けよ。私は研究局局長だし、あいつは事務局長…何よりお前らのマスターだろ」

「そうしたいのは山々なのですが…あのありさまで」

そう言って夕映が指さす先にはネギラブ勢にもみくちゃにされるネギの姿が見えた。

「はぁ…お前ら本契約交わしたパートナーなんだからきちんとコミュニケーションとれよ?ま、理由は分かった…夕映の方から詳しく聞こうか…まあ座れよ」

そう言って向かい合わせに座っていた私たちは隣同士に座り、夕映とノドカに席を勧める。

「ハイ、ありがとうございます」

「どうもありがとうございますー」

「それで?」

「ハイです、先ほども申し上げたように、向こうの学歴と職歴がこちらで通じるかですね…ええっと、まずは私の現状からですね。私はアリアドネーの騎士団員士官養成課程を修了した所です。これから2年の義務兵役を始める予定でその前の長期休暇中なのです。基本的にこの経歴で得られる推薦状は各国で通用するのですが…こちらでは通用しないですよね?」

「…正直、微妙。本来は通用しないがISSDAに入りたいだけならばアリアドネーは理事国だし、魔法人材ではあるから機構の関連企業なら裏で何とでもしてやれる学歴ではある…その経歴で2年後即入所希望だと多分警備部の教官職とか割と上級職につけるぞ」

「警備部の教官ですか…ダメとは言いませんが研究開発系を志望する場合は…」

「研究開発志望でなぜ士官養成課程入った!?」

と、私は真顔で突っ込みを入れた。

「中学3年の夏休みにあちらに行った時の学籍が生きていたからです。私は休学して日本に留学していた扱いになっていたのですよ…途中転学もできはしたのですが違約金がなかなかの額になりまして…」

「あーそれで途中離隊とか諸々ごまかしていたわけか…まあ、仕方がないな…で、そうなると私がその状態から思いつく機構での研究開発系職種への進路は大まかに分けて3つある…大前提だがアリアドネーでは『マナの科学』…というか『科学的魔法解析概論』は解禁されているな?」

「はい、私も大変興味深く読ませていただきました」

「よし、どの進路でもマナ科学は必須だからしっかり勉強してほしい。それで3つのうち1つは軍事技術関係の研究者に進む道…2年間、あるいはそれ以上の兵役での経験を生かして研究をしたいって事にすれば才覚次第で十分にやれると思う…当然兵役の合間を縫ってこっちの科学についての勉強もしてもらう必要はあるし、最初は研究協力者的な立場からスタートだが」

まー研究協力者をやりながら勉強を積めば何とかなるのではないかな?くらいである。

「それは…難しいですね、努力はしますが士官たるもの常に学び続けるべしという思想があります…そちらの勉強と合わせて、という事になりますので」

「それは時間加速型幻想空間ダイブ型PCか何か使って頑張れ…で、2つ目だが魔法技術研究者の道だ。義務兵役後、向こうでさらに何年か勉強して魔法の専門家として帰ってくるルート、何ならアリアドネーで学位を取ってアリアドネーからの出向って形でもいいな」

ある意味、大本命である。

「なるほど…それは魅力的ですが、こちらへの帰還が遅れる…と」

「そうだな、それはデメリットかもしれないな…で、最後は麻帆良が関東魔法協会支配下であることを利用する手だな」

「と言いますと?」

「大学院からこっちの学位を取って実力で機構に入る。まあ元士官って事で軍事系の知識も期待されるだろうがそれは諦めろ」

これは正直、アリアドネー留学の経歴があまり生きてこないのでお勧めはしたくない。

「あーその手がありましたね…」

「そして、個人的にはアリアドネーで高級士官教育受けてもらって警備部に将来設立する予定になっている警備艦隊を預けられる人材候補になって欲しいというのが正直な所ではある…どうだ、参考になったか?」

そして最後に本音を付け加える…機構の軍事力は信頼できる人物に預けたいし、コタローは現時点ではそっちの訓練は受けていない。

「はい、ありがとうございました参考になるです」

「で、次はノドカだな…進路相談と言うと大学院に行くかどうかって事か?」

「はいー大学進学前は学部卒でISSDAに、と思っていたのですが研究開発職を志望するのであれば最低修士、できれば博士をとっておいた方が良いのではないかという事でー」

「うん、そうだな。学士だとよほど才覚を示さない限りは理系出身の一般職員という感覚が強いかな…確かにできれば博士号を取っておいてほしいがノドカも魔法人材だから修士号があればそこを推してチャレンジさせてやる位はできる…が、研究ガチで続けたいなら博士号は欲しい、その上で専門の延長でいいからマナ科学系の論文も出しておいてくれると推薦しやすいな」

「やはりそうなりますかー」

「ああ、研究職志望ならば何よりも勉強だな、それでやっとスタートラインに立てる」

「ですねー先輩方もおっしゃっていましたがー先人の知恵を吸収しきってやっとスタートライン、未踏の地に踏み出してやっと研究者としての第一歩…でしたっけ」

「誰の言葉か知らんが、まあそんな感じだな…ノドカは魔法人材である長所を生かして魔法も勉強できるからそこはライバルたちに差をつけられる所だな」

「はいーありがとうございます」

「あー夕映ー久しぶりやなー」

進路相談が一応終わりを告げた時、ほろ酔いの木乃香が刹那を連れてやってきた。

「お、木乃香か、夕映に会うのは久しぶりだな」

「そやーノドカや千雨ちゃん達にはしゅぎょーでよう会ってるけどなぁーアリアドネーにおる夕映とは会われへんかったもん」

そう言いながら木乃香は夕映に抱き着いた。

「このちゃん、浮気はあかんよー」

同じくほろ酔い気味な刹那が木乃香に更に抱き着く…というか、木乃香も刹那も誕生日まだだろうに飲みやがったな…

「お、重いです…」

と、てんやわんやである。

 

「本当に、申し訳ないっ」

飲酒量は少なかったのか、早期に酔いが醒めた刹那が私達に土下座をしていた。

「ごめんなー夕映も重かったやろー」

同じく酔いが醒めた木乃香も隣に正座して夕映に謝っていた。

「まったく…マギステル・マギ試験受ける奴が未成年飲酒とかシャレならんのじゃないのか?」

「面目有りません、会場に出されていたドリンクを無作為に取ったのですがアルコールだったようで…」

「いえ…確かメガロメセンブリア…と言うか向こうのヒューマンは概ね18歳から飲酒OKなので問題はないかと」

「そーいう問題じゃねーよ、夕映…まあ大学生は未成年でもこっそり飲んでいるもんらしいけどな」

「そーいう問題でもないと思いますよーまあ、事実そうらしいですがー」

 

という感じで、6人で暫く雑談をしているとネギがそろそろ解放されそうな雰囲気になってきた。

「ほら、夕映、ノドカ、いくぞネギが空きそうだ」

「「はっ、はい」」

「ほな、私らも行くなーまたー」

という具合で解散し、私、聡美、夕映、ノドカの4人でネギ達の席にやってきた。

「よう、相変わらずだな、色男」

「あ、千雨さんにハカセさん、夕映さんにノドカさんも」

「おう、ちょっと話があるんで座らせてもらうぞ…あと、フェイト、ちょっと来い」

「僕もかい?千雨君」

近くの席でコタローとおまけの夏美と共にネギを肴に(ノンアルコールで)飲んでいたフェイトを呼び寄せる。

「まあ、座れ…話はお前らのパートナーの事だ…お前らパートナーとちゃんとコミュニケーション取っているのか?」

「ええっと…それはその…皆さんとできる限りはやり取りをするようにしていますが…特にユエさんとノドカさんとは、あまり時間がとれているとはいいがたいですね」

「パートナーというとアリアドネーにいる栞君たちの事かい?手紙のやり取りはしているけれども、忙しくて久しく直接会いには行けてないね」

「一応、自覚はあるようだな…まあそれならいいんだが多分足りてねぇぞ、しっかりと話し合え」

「はい…」

「…と言うと?」

そう、ネギとフェイトからは正反対な反応が返ってくる。ネギはまあ良いとして…だ

「ルーナ…栞とは時々手紙のやり取りをしていてな、あいつらは自分たちがお前にとって不要なのではないかと不安に思っているみたいだぞ、フェイト?ちゃんと必要だって言ってやっているか?」

「そんな事はない…そんな事はないが彼女たちは既に十二分に尽くしてくれた…僕は彼女たちに自分の為に生きて欲しいと思っているんだ」

「それでも、あいつらはお前と共に生きたい、力になりたいと願っているんじゃないか?その辺りきっちり話し合え、直接対面して、だぞ」

「…わかった、すぐにとは言えないが予定を調整して近いうちにそうできるようにしよう」

そう、フェイトは答えた。

 

 

 

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