例えばこんな長谷川千雨の生きる道   作:紅シズク

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19 ネギ着任編 第4話 師弟の会話と避球狂騒

「で、どうなんだ、実際のところ、ぼーやは」

大浴場での騒ぎの翌夕、私はマスターの家で茶々丸の淹れた茶を楽しみながらそう問われた。

「どう…ねぇ…みての通り、魔法の秘匿に関する脇がガバガバの、魔力たっぷりで、一般常識に欠けた頭は良い天才少年って感じ?」

「つまり…小利口なガキか?」

私はただ、事実を告げる。

「アレを小利口と呼ぶのはどうかと思うけれども…共同研究者としては頼りにできそうだけれども、先生と言うか隣人としては…その、将来に期待、かな。ネギ少年って英雄の息子なんだろ?魔法使い社会とこっちとの常識の違いもあるんだろうけれども、ちと甘やかされているか…社会経験が伴っていないのか…かな。

むしろ、アスナがなんだかんだで絆されているのがびっくりだよ」

そういってやれやれ、と言ったジェスチャーをして見せる。

「ふむ…やりにくそうだな」

「…やっぱり先生が危険を冒してまで力を蓄えていた獲物なのか?」

「まあ、今の予定だと輸血の用意しておいて瀕死レベルまで吸ってみる位ではあるが…な。邪魔をするか?」

「いや…まあ、助けを求められたら護衛…と言うかミニステル・マギの真似事(茶々丸の相手)くらいはしてやるつもりではあるけど…多分、次の満月位に奇襲かけるくらいじゃないと、本格的に狙う前に魔法研究談義をしたいって懐に飛び込んでくるぞ?ネギ少年」

「あ…そういえばそんな話もあったな…そうなると…それを喰うのはさすがに…美学に反するな…だがさすがにまだ坊やの周りは…」

悩み始めるマスター…エヴァであった。悪党には悪党なりの美学があるのは理解するが、難儀な物である。私も美学と言うか自分に課しているルールはある程度あるが。

「くしゃみでの暴発は魔力消費で軽減できるそうだから、射撃場か何かで魔法を連発する事になるだろうし…そこにお邪魔して無駄打ちする位なら分けてくれって言えば案外吸わせてくれるかもしれんぞ」

「…いや、献血程度の量じゃ足らんからな?純粋に美味か否かという意味では豊潤な魔力が旨そうではあるが…うむ…とりあえず、距離はとろうか。不用意にぼーやに絡まれない程度に」

「ま、高畑先生からマスターを紹介されて弟弟子になるとかいうオチもアリっちゃありだがな」

「…無しだよ、少なくとも私自身が認めない限りは弟子になどせんぞ」

「ま、冗談さ…とりあえず今日はお暇するよ」

「ああ、また明日な」

 

こうして私はエヴァンジェリン邸を辞した

 

 

 

数日後、昼休み明けの体育の授業…なぜか、中等部の屋上コートを高等部の連中が占拠して、自習のレクと私達の体育を天秤にかけさせやがった…普通なら体育の先生が追い払ってお終いの筈であったのだが、あろう事か体育の先生が急用とかで代わりにネギ先生が授業を見に来てスポーツ対決で確執に決着をつけようと言い出した。

まあ、サボれると思って、(魔法の秘匿が関係ないからと)シレっと放置して壁際に退避した。

「よかったのか、止めなくて」

真名がそう声をかけてくる

「明らかに向うの分が悪いし、時間ぎりぎりに高畑先生召喚すれば授業もサボれて丁度いいだろう」

「いや、まあ、授業をサボれるというのはともかく…人数が足らんからこの面子だと最初に引っ張って行かれるのはお前だろう?千雨」

「む?」

同じく壁際に退避しているのがエヴァと茶々丸、ザジ、チア部三人組、私、カエデ、真名、刹那…確かに私だな…

「「「千雨さーん」」」

「あー」

「ほら、ハカセ達が呼んでいるぞ」

「…せめてこんなあほな人数トラップだけでも回避させておけばよかった」

ため息をついて、私はコートの中に入っていくのであった。

 

 

 

試合開始の合図とともにネギ先生の頭にボールが直撃するも、アスナがノーバウンドでキャッチし、一人アウトにしたが、相手ボールとなった。

「ほーら、ただでさえ狭いんだから散れ」

「「「えっ?」」」

と、言っている間に山なりの弾道で投げられたボールが3人をアウトにして相手コートへ帰って行った。

 

「はっ、しまった、ドッジボールで数が多いのは全く有利じゃない…」

やっと、アスナが気付いた様である。そしたさらに委員長とアスナが喧嘩を始める。

そのすきに、後ろ向きに逃げていた1人仕留められてしまった。

「千雨ちゃんも、気づいていたなら教えてよ!」

こっちに飛び火して来た

「見学のつもりだったから放置していたんだよ、ほら、次弾来るぞ!せめてボールを見て避けるつもりでいくぞ!その方が痛くねぇ!」

とはいえ、それだけでボールを避けたり取ったりできるわけもなくのどかが餌食に…なる前にアスナが庇って捕球した。さすがではある。

しかし、相手も素人ではないようで…というかドッヂボール部の強豪らしく、アスナの力任せの投球を捕球し返して見せ、返す刀で委員長をアウトにした。

 

 

 

「あー純粋に強いなぁ…」

「ですねぇ…」

そのまま、相手は攻撃の手を緩めず、私も聡美の顔に直撃コースターだった強めの球をとっさに弾いてしまい、その次に聡美も割と穏当な当たり方だが当てられてしまって外野にいた。

 

「千雨さん」

「ん?なんだ、聡美」

「庇ってくれてありがとうございます、さすがにあのボールは怖くて…次の緩いのにわざと当たっちゃいました」

「ん、まあ仕方ねぇよ、聡美は私達みたいに戦闘技術持っているわけじゃねぇし…ピンチの時は私か超が守るさ、きっとな」

「私が、とは言ってくれないんですか?」

「…今は平行路、だろう?」

「もう…まあ、お二人が争う可能性も…ありますからね…」

 

そんな掛け合いをしていると、いつの間にかアスナが当てられており…バレーボールのスパイク様の攻撃を、太陽を背にして打ったようだ…ネギ先生が魔法を使おうとしていた。

 

…いや、待て、あのアホ…と思ったがアスナが止めた。意図的な二度あてとかダメな事ではあるが魔法でお仕置きはないだろうよ…いや、魔法学校とかだとそういう喧嘩していたのかも…

 

…とか思っていたらのどかの5秒ルールの指摘からいつの間にかギャグシーンがはじまっていた。

 

 

「あ、勝ちましたね」

「ああ、勝ったな」

時間である。

 

こうして、私達は高等部の連中に、勝利した…

なんか、最後にロスタイムとか言って一幕あった気がしなくもないが、私は何も見ていない…事にしておく。

 

 

 

 

 


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