例えばこんな長谷川千雨の生きる道   作:紅シズク

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38 麻帆良祭準備編 第3話 茶々丸と恋?

「ほら、起きろ、聡美」

私は、聡美が工学部で借りている研究室の仮眠スペースで眠る聡美を起こしていた。

「ふぇ…?千雨さん…?どうしましたぁー?」

「どうしたじゃねぇよ…遅刻するぞ?」

「んー…まだ6時半じゃないですかぁ…もう少し寝ましょうよぉ…」

聡美は時計を見てまだ早いとごねる。

「いや、そんなこったろうと思って来たんだけど、7時から屋台の仕事だろう」

「んーあ…そうでしたぁ…ふぁー」

仕方がないと言わんばかりにむくりと聡美は起き上がり大欠伸をする。

「ほら、自動目玉焼き機つけて目覚ましの処理しておくから身支度して」

「ふぁい」

 

「んーそれじゃあ行きましょうかーあ~朝ごはんを買いに購買寄って行きましょうねー」

何とか身支度を整えさせた聡美が言った。

「ん…じゃあ行くか」

聡美が脱ぎ散らかした服を洗濯籠に放り込んで私はそう、返事をした。

 

 

 

「ハカセ、千雨サン、ニーツァオ、ギリギリアルネ、急いで着替えるヨロシ」

超に促されて、休憩室兼更衣室にしてある車両に移動し、衣装に着替える。

 

「あれ?…あーダメだよ茶々丸―ッ」

着替えている間に来店したらしいネギたちの相手をしている茶々丸に聡美が駆け寄っていく…

「ダメだよ、髪上げたりなんかしちゃーそれは放熱用なんだからー」

「あ…ハカセ、千雨さん…おはようございます」

「なんでこんなことしたの?オーバーヒートしちゃうよ?」

「それは…」

「まあまあ…この気温なら運転強度にもよるけど暫くは大丈夫だし…熱溜まってきたら自分で判断して解いていたよな?茶々丸。

でも、こういう事したいなら私達に相談してからにして欲しかったよ」

そういって、私も仲裁しつつ茶々丸を叱る。

「まーまーハカセちゃん、千雨ちゃん、そんなに怒らんといたってーなぁ」

「茶々丸さんだってオシャレくらいしたいよねー」

このかと明日菜が暢気にいう。

「千雨さん、オシャレって…そんなオプション入れていましたっけ…?」

「んー直接は入れてないけれど…一応、感情の種が育っているみたいだし、相応の理由があれば自発的にするんじゃないかな?

エヴァが着飾らせたりするからオシャレ系の行為も奉仕の一環として認識している筈だし…それが、命懸けに近い行為じゃなければ祝福してやれたんだがなぁ…」

「んー」

私達がそんな会話をしている脇で茶々丸とネギたちの会話は続いていた。

「オシャレですか。カワイイと思います、茶々丸さん」

「え…そ、そうですか。そそ、それはどうもありがとうございます。で、では仕事に戻らせていただきます」

そういって茶々丸が仕事に戻ろうとした時。

 

グキッ ステーン

 

そんな擬音で表現する様に、盛大に茶々丸がすっころんだ。

「…千雨さん…茶々丸が平地ですっ転ぶなんて…」

「…オートバランスシステムか基本動作系統の不具合でなければ…それらを阻害する勢いで何か高負荷のオプションが走っているとしか思えんなぁ…」

 

「茶々丸、何処か調子でも悪いの?」

「いえ、特にシステムに異常はありません」

「ん~~~茶々丸―久々にあなたをバラして点検整備したいから放課後、研究室寄ってくれないかな?」

「ハ…了解しました」

「千雨さんもお手伝いお願いしますねー」

「はいよ。それと…悪いが何か高負荷のオプションが走っているようにも見えるから、一度髪は解くぞ?

警告域まで内部温度が上がらなくても昇温で処理系の制限が働くようにしてあるんだから」

「…はい…了解しました…」

茶々丸がしかたない、といった様子で了承して見せる…コレ、私らとエヴァ以外だと拒絶していたかもなぁ…。

 

茶々丸を更衣室に連れ込み、髪を解く…かなり熱を持っていたので、気を手にまとわせて。

「ほら…うん、かなり温かいな…聡美、扇風機の風当ててやってくれ」

「はいー」

茶々丸の髪を手櫛でふさぁっと風を通すようにといてやり、放熱を促進する。

「ん、多分これで大丈夫…今度、放熱の邪魔しない髪飾りとかアクセサリーとか買いに行こうな、茶々丸」

「はい…お母様」

茶々丸が少しうれしそうな感じで言う。

「あー千雨さん、茶々丸にそんな呼び方教えて…」

「…茶々丸が自分で呼び出したんだよ…」

「…私はそう呼んでくれないの?茶々丸」

聡美がねだるように茶々丸に言った。

「えっ…あの…ハカセは、ハカセですので…その…」

しかし、茶々丸はしっくりこないと言いたげにそう返すのであった。

「ン―まぁ仕方ないか…うん。そう呼びたくなったら私もお母さん呼びして良いからね?」

何処か不満げながらも、聡美はそう言って引き下がった。

「ハカセ―千雨―茶々丸―早く仕事に戻るアルね、手が足りないアル」

クーがひょこっと顔を出してそう催促する。

「おっと…仕事、戻らないとな」

「はい、そうですね」

「すいません、お手数をおかけして…」

「いいって、お前は私達の娘なんだからさ、な、聡美」

「そうだよーこれ位、大丈夫だよー」

「…はい、ありがとうございます」

そうして、私達は仕事に戻るのであった。

 

 

 

「行こうか、茶々丸」

「はい、千雨さん」

放課後、私と茶々丸は連れ立って聡美の元へ向かう事とした…聡美は実験の都合とかで正課扱いの準備時間を早退して先に工学部にいる。

「茶々丸さーん、千雨ちゃーん、私達もついて行って良い?」

後ろからアスナが声をかけてきて、このか、刹那、ネギもよってくる。

「あ、ハイ。私は構いません」

「んーたぶん大丈夫だろ、整備内容次第では退出願う事もあるけれど、放課後で出来る整備なら」

私も、そう言ってネギたちの同行を認めるのであった。

 

 

 

「ハカセと超は麻帆良大学工学部に研究室を借りています、私はここで生まれました」

工学部等前に到着し、茶々丸がネギたちにそう説明する。

「ん?千雨ちゃんは借りてないの?」

「ああ、私は共同居室に広めのスペースを一つ貰っているだけだな」

「…千雨さんはプログラムや人工知能が専門で、ハカセや超をはじめとしたロボ研所属の方々との共同研究が殆どなので…科学分野は」

ちなみに、魔法分野でも単著論文とかを出している。

「へぇ…まあ、いきましょうか」

 

「ハカセ、失礼します」

茶々丸が聡美の個人研究室の扉をノックし、扉を開く。

「あーもうそんな時間ですかー千雨さん、茶々丸」

クルっと増腕付き解析装置を背負った聡美が振り返る。

「ひいいっ!?マッドサイエンティストが出たぁーっ」

「バラされるぅーっ」

「…マッドサイエンティストの城を訪ねておいて酷い言い草だな、お前ら…」

「あれーネギ先生に皆さんどうしたんですかー?」

暢気に聡美が尋ねるが、背後で実験中の装置がそろそろヤバい雰囲気である。

「聡美!試料!」

「はにゃ?」

しかし、私の呼びかけは間に合わず装置にかけられていた試料片らしきものは爆発してしまった。

 

 

 

聡美の個人研究室を軽く片付けた後、共同実験室に私達は移動した。

「さて、それじゃあ早速点検させてもらうよー千雨さん、助手お願いしますね」

そういって聡美は自分は椅子に座り、茶々丸も椅子に座るように促す。

「ハイ」

「了解」

私は、聡美の後ろにひかえる様に立って記録の用意をした。

「はーい、じゃあ上を脱ぎ脱ぎしましょーかー」

「えっ…」

「こ、ここで脱ぐんですか」

「うん」

茶々丸はちらりとネギたち一行の方を見る…。

「ほら、早く」

「ハ、ハイ」

このやり取りを見てカルテ…と言う名の点検記録に、記録をつけていく。

『脱衣に対し、羞恥心の様な反応を示す。この際、第三者の観察を再確認した事から、第三者の存在に起因するものと推定する』

 

「わ―ホンマにロボットなんや、茶々丸さん」

このかがそんな感想を漏らす。

「茶々丸、ケーブルを」

私は茶々丸にデータ転送用のケーブルを渡した。

「はい…」

茶々丸はそれを腕に隠してある接続コネクタに突き刺した。

 

「よぉ、ハカセさんよぉ、千雨姉さんから聞いたんだが、あんたらが茶々丸の開発者なんだって?」

私と聡美が手分けして診断データを確認しているとカモがそんな事を聞いてきた。

「ハイ―厳密には、私達が開発の中核になってのチームでの仕事でしたけれどもーそう言っても概ね間違いではないかと―。特に人工知能の中枢はMITの理論を基に千雨さんがほぼ一人で作り上げたんですよー」

聡美が自慢する様に私の功績を誇る…少し恥ずかしい。

「動力部分にこそ魔法の力を使っていますけれども―動力炉自体は魔法と科学のハイブリット品に換装してありますがこれも私と千雨さんと超さんがエヴァさんと共同開発した品ですし―エヴァさんの他の人形と違って、茶々丸は駆動系・フレーム・量子コンピュータ・人工知能と、全てウチの作った科学の産物なんですー」

 

「うーん…簡易データではどこも異常はないなぁ…モーター以外」

あくまで主要データだけではあるが、自己診断結果、各種数値共に正常値であった…ただ一点、モーターの回転数以外は。

「んーそうですねー他にはどこも異常はないのにモーターの回転数が上がっていますね。茶々丸、何か状況報告はある?」

「それが…その、奇妙な感覚が…どう言語化すればいいのでしょうか…おそらく、ハ…ハズカシイと言うのが…その、妥当かと」

「ええっ!?ハズカシイ!?人工知能が恥ずかしいってどーゆこと!?」

「あーやっぱり羞恥心か」

私は聡美とは対照的な反応を示しつつ、記録を続ける。

『現状を言語化させたところ、ハズカシイとの証言を得る』

「とりあえず、恥ずかしいなら上着着ていいぞ、良いよな?」

聡美に確認する。

「え、あっ、はい。茶々丸、服着てもいいよ」

「ありがとうございます…では」

茶々丸はそそくさと脱いだトップスを着なおしていく。

 

「んー回転数、少し落ち着いたな…羞恥心様の反応って事で良いと思うが、どうだろう、聡美」

「そうですね…それで、問題はないかと…って、千雨さん、なんでそんなに落ち着いているんですか!」

「え…だって、人の生活様式を学習する機能は走っているはずだし、それが感情の種と合わされば他者の面前での脱衣に対して羞恥心くらい再現するだろう…まあ、モーターの回転数が上がるのは…こう、模倣し過ぎな感はあるけどさ」

そう返しながら、記録に反応が羞恥心様であると聡美との合意が取れた旨を記入した。

「あーそうでしたっけ…えぇっと、茶々丸、他には何かある?」

「ええっと…胸の主機関部辺りがドキドキして顔が熱いような…」

「ほんとだ、あつい!千雨さんの言うように羞恥心を学習しているとして…これはいったい何の反応なのか…あるいは別の何かの異常が原因なのか」

「んーそれだけ影響出ているなら、多分これが今朝すっ転んだりしていた原因だよなぁ…」

 

二人で首をかしげながら考えているとこのかが口を開いた。

「ハカセちゃん、千雨ちゃん、ちょっとええかな?胸がドキドキって…それって恋とちゃうんかなー」

「えっ…ええーっ、恋!?」

「そんなハズは…」

「それはあり得ないですよーっ」

「恋愛話ばっかりしているうちのクラスの連中に感化された…?でもなぁ…恋はなぁ…」

当人、茶々丸と聡美はこのかの言葉を否定し、私も懐疑的である旨を述べる。

「あり得ないです!?仮に、恋愛の概念を学習する事は可能だとしても、茶々丸自身が恋をするなんて…エヴァさんの他の人形みたく、魂を吹き込む魔法を使ったわけじゃないんですよ!?ああ、魂を吹き込むだなんて、魔法的にも未解明分野だとしてもなんて非科学的な言い回し…」

まあ、霊魂や疑似霊魂は色々と実験には問題があるし、魔法使いたちもつかえればそれで良い派が圧倒的多数を占めるので魔法でも理論的解明はあまりなされてはいないが。

「それにしても恋とは…むむ…」

聡美がぶつぶつと考えを口にしながら思考を進めていく…付き合ってもいいが、今はネギ達もいるし、やめておこうか…。

「わああ…」

ネギがドン引きと言った雰囲気で聡美を見る…同類のくせに。

「ホンモノさんだぁ…千雨ちゃん…なんとかできないの?」

アスナが私に尋ねる…が、無理である。

「この状態になった聡美は、簡単には止められないよ。内容をちゃんと理解して討議を仕掛ければ火に油は注げるが…みたいか?私達が恐らくアスナには理解できない内容をこの早口で討議しているの」

「…遠慮しとく」

 

「でも、ロボットが恋をしたなんてロマンチックでえーと思うけどなー」

少しした後、このかのこの言葉で聡美は帰ってきた。

「…うん、そうですね、恋かもしれないです…では、只今より実験を開始します、整備は中止です」

…と思ったらもっと深い暴走モードに入っただけだった。

「…まあ、その辺りが不具合の原因っぽいし、良いんじゃないか?」

「ええ、千雨さんならそう言ってくれると思っていました…引き続き、助手役、お願いします」

「了解…あんまり茶々丸の嫌がる事するなよ?」

「ええ、善処はします」

大丈夫かなーと思いつつも、多分私も乗ってしまうのであるが…たぶん。

 

 

 

「あ、あの…これは一体どういった…」

聡美とこのかに茶々丸のコーディネートを任せ、館内放送でガイノイドの自意識に関するちょっとした実験をするから暇な方は集まって欲しいという内容を流して作り上げた状況に茶々丸は困惑を示す。

「普段しないオシャレでハズカシイ状況を創り出し、先ほどのモーターの回転数の上昇を再現する実験です。

さあ、茶々丸、もっとカワイイポーズで工学部男性の視線を釘づけにしてみてーっ」

聡美が叫ぶ。

「あの…でも…」

茶々丸が群集の方をちらちらと見ながら恥ずかしそうにする…この反応はいけるか? 羞恥心の種類が変わっているから再現できるとも限らないと危惧していたが…衆人環視の元で脱がせるわけにゃいかんし。

「おおっ、やはりわずかに上昇していますーっ、脈アリ!」

「いえっ、あのっ…」

「ではお色直しです!」

そういって聡美は茶々丸を着替えに連れていく。

 

「お次はコレですーっ」

先ほどの黒の長袖ワンピース+ニーソックスから白のノースリーブ+ミニスカート+ニーソックスに靴も可愛くした茶々丸が連れてこられた。

「あっ…あの、私はロボットですからこのような服は似合わないかと…関節部分も目立ちますし…」

…一般論としてはそうかもしれんが、ここはロボ萌えどもが集う麻帆良工学部であり、かつ、茶々丸のファッションショーをやっていると聞いてその派閥が集まってきている為、群衆たちの反応もよい。

「そんな事ないえ、茶々丸さん」

「ええ、カワイイですよ」

ネギもこっちの萌えに理解があるらしく、少し顔を赤らめてそう言った。

「う…うう……?」

茶々丸は困惑した様子で少しよろけるような反応を見せた…ウム、感情系が動作不良の原因っぽいのはこれで確定であるが…どうしようかねぇ…。

「おー!?素晴らしい上昇値です!グングンと!これは有効な実験数値です、間違いないかも!?」

「キャー」

聡美のしている遠隔モニター結果にこのかが黄色い悲鳴を上げる…が、これ羞恥心実験であって、恋心実験じゃないからな?

「だなぁ…間違いなく羞恥は学習しているし…人らしからぬ部分はあまり人に見せるものではないとも認識しているみたいだな、茶々丸」

「あっ…ああ……」

茶々丸が困惑した様子でうろたえている。

「すまんな、茶々丸…こう、さすがに露出系に走り出したら無理やりにでも止めるから…な?」

聡美の強制停止は私も恥ずかしいのであまりやりたくはないのである、特にこの環境では。

「はい…でも…あぁ…」

 

「…でも、ホンマに恋やったらだれか相手がおるはずやなあ、茶々丸さん…誰やろー」

「むむ、確かにそうですね、近衛さん!私としたことが、そのアプローチが可能でした!茶々丸の記憶ドライブを検索してみます!」

「えーそんなことできるん?」

「ちょっ!?」

「さ、さすがにそれはプライバシーの侵害じゃないの!?」

「た、確かにやり過ぎや」

茶々丸を慰めている隙に聡美がとんでもない事を始めやがった。

「科学の進歩のためには少々の非人道的行為もむしろやむなしです!

むむむ、何度も何度も再生している映像群がお気に入りにフォルダ分けされています!」

「あっ、まて、せめてこんな衆人環視の前でするのは止めろ!」

どー考えてもモニターを覗き込む奴らを後ろに抱えてそれは止めてやれと、止めに入るが少し遅かったようで…

「これですーっ!」

駆け寄った私の目の前でお気に入りフォルダが開かれ…る寸前に、ロケットパンチでこのか、アスナ、刹那が吹き飛ばされた。

そして、聡美のPCに表示されていたのは…ネギの画像とわずかな猫であった。

「あっ…」

とっさに、立ち位置を変えてネギに画面が見えないように隠す。

「すごいよ、茶々丸、これはホンモノかも。でも驚いたな、あなたの好きな人物がまさか…モゴモゴ」

「さすがにそれはダメだ、聡美、な、茶々ま…る?」

流石にそれは、と聡美の口を塞いで茶々丸の方を向くとレンズ洗浄液らしき液体が茶々丸の眼から涙の様にこぼれ出ていた。

「あっ…ネ、ネギ先生…こ、これは違うんです…ちがっ…ハカセのバカ―ッ!」

と、ロケットパンチが飛んでくる。受け止めてもいいが、ここは殴られとけと聡美から一度離れた。

 

「もぎゃん!?」

 

そんな声を上げてふっ飛ばされた聡美が地面に叩きつけられる前に抱っこする形で受け止め、聡美のPC画面が見られないように閉じる。

「まったく…やり過ぎたって…」

この言葉は聡美に向けたつもりだったのだが、茶々丸がガクガクと震えだす。

「チが…違うンデす…チガチガガガガガガガガ」

あ…恋心を暴かれた羞恥でいっぱいいっぱいの所に聡美を攻撃して(禁則事項を破って)しまって、それを咎められたと思って思考回路に負荷がかかりすぎたかな…?

 

ピーッ

 

そんな音と共に茶々丸の緊急排熱機構が作動して蒸気を吹き出す。

「ええーっ!?」

「ぼっ…暴走です…思考回路に負荷がかかり過ぎたか」

「なっ…」

「まあ、あの状況でとっさに禁則事項破りまでしちまったらなぁ…なんでそんな事したのかの自己解析ルーチンが加わって暴走するわ、そりゃあ」

と、冷静に言ってのけた所で茶々丸の暴走が治まるわけではない。

「ち、ち、違うんで、デ、ですーっ」

「茶々丸さーん!?」

暴走を始めた茶々丸は、私達を取り囲んでいた群集の一部を吹き飛ばしながら逃走し、工学部棟内へと逃げ込んだ。

 

棟内にアラートが鳴り響く…

 

「追うぞ! 聡美、整備モードでの非常停止信号って右胸から変わってなかったよな?」

聡美を下ろしながら、確認をする。

「ええ、モニターの為、整備モードは解除していないのでそれで止まる筈です」

「ん、行ってくる!」

「はい!私達も追いかけます!」

私はそうして先行して茶々丸を瞬動無しの割と全力で追跡し始めた。

 

「はぁ…落ち着いたか?茶々丸」

捕獲部隊の全滅などの惨事はあったが、人目がなくなってからは瞬動の連発であっさりと停止信号を発信でき、その場に崩れ落ちた茶々丸を受け止めながらいう。

「あの…はい…申し訳ございません、お母様」

茶々丸が恥ずかしそうに顔を両手で覆ってそう言った。

 

 

 

「はぁ…茶々丸が恋ねぇ…」

茶々丸の冷却と簡易整備を済ませ、先にネギたちと返したのちに、並びに工学部等への損害への手続き(保険で降りる)、関係各所への謝罪などの後処理を済ませた私達は、並んで寮への道を歩いていた。

「初恋、娘に先を越されちゃいましたねー」

「そうだな…きっとこれは恋じゃないしなぁ…」

そういって聡美の手を握る。

「そうですねー千雨さんの体温…ドキドキはしませんからね、むしろ落ち着きますよー」

「うん、だよなぁ…」

「それと千雨さーん…茶々丸にロケットパンチされた時、庇ってくれませんでしたよね?…まあ、私が悪いのもわかりますけどぉ」

「うん、アレは…まあ、因果応報、ってやつかなと思って…でもちゃんと受け止めただろ?」

「ええ、そこは感謝していますよ?お姫様抱っこは少し恥ずかしかったですが」

「まあ吹っ飛ばされた体勢のまま受け止めるとなるとそうなってな…まあそれも報いだとおもっとけ」

「報い…になるんですかね?アレは」

…さすがに今日は別荘の使用はなしにして、聡美と寮に帰る事にした。

 

 




ネギ君のパイタッチは無しになりました、娘の胸触った責任とか言い出す千雨さんが浮かんできたんですが、そんな事言うより先に自分でやるだろーなーと。

おまけ
千雨さんによるハカセの強制停止法:強制的に(顔を両手で固定して)目を合わせて諭し続ける。
ハカセによる千雨さんの強制停止法:いつぞや、エヴァ宅でやったように、ギュってする(意識が埋没している場合)。

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