ネギがマギア・エレベアを会得して以降、私達も弟子…と言うほどではないがラカンのおっさんから指導を受けたり、自主練をしたり、ネギの対戦相手をしたり、意外な事に割と豊富なおっさんの蔵書を読ませてもらったりしていた。
「ネギ先生―ラカンさーん、買い出しの追加は大丈夫ですかー?」
「おう、昨晩に渡したリストから追加はねーよ」
「僕も大丈夫です。千雨さん、ハカセさん、お気をつけて」
「ん、了解。それじゃあ、行ってくる」
ラカンのおっさんにネギが弟子入りして5日目の昼過ぎ、明日に試合を控えた私は聡美と共に一度グラニクスに戻る事になった。そのついでに、買い出しをしてきてくれ、という事である。
「ちう姉ちゃん、ハカセ姉ちゃん、お帰り」
グラニクスに戻った私たちはまず闘技場に戻り、状況を確認する為にコタローを訪ねた。
「ただいまーコジローお兄ちゃん」
今は妹な設定だろう、と聡美がお兄ちゃんを強調して言う。
「ただいま、コジロー、何かあったか?」
「おう、ええ知らせがいっぱいや。まず、朝倉姉ちゃん達がフェイ部長を発見、無事を確認できとるで。
それに、アスナ姉ちゃんと刹那姉ちゃんが木乃香姉ちゃんと楓ねぇちゃんと合流できたって念報送ってきたわ。
ほんで、まき絵さんと裕奈さんが長距離トラックの運ちゃん経由で伝言してきて無事とオスティアでの合流を伝えてきるな。
あと、ノドカ姉ちゃんからも念報で連絡あったで、冒険者やっとるらしいわ」
と、私たちが不在の間の報告をコタローから受ける。
「フム…まき絵達と連絡が取れたのは何よりだな。そうなると…行方不明は夕映とアーニャとハルナ…にカモか」
「そーなるな…まあ、どこでも何とでもして生きてけそうな連中ばっかやな。で、ナギやちう姉ちゃんはどーやったんや?」
そうコタローが私たちの方の報告を求める。
「んー一言で言うと、ナギがエヴァの固有スキルを継承した…まあ、リスクのある技だが出力…身体スペックは確実に上がったし、技量の方もラカンのおっさんに師事してそれなりに上がっている。私も修行のご相伴にあずかっているのとナギの相手で少しずつは強くなれている…かな?」
正直、ラカンのおっさんはバグだし、ネギには猛追されてそろそろガチモード同士で初敗北を期しそうなのでよくわからない。
「おお、そらよかった…んかな?リスクの程度次第やけど、ちう姉ちゃん達がおちついとるっちゅう事は無茶の範囲なんやろ?」
「んー…ギリギリ…な?」
「正直に申しますと―アレは危険なんですけれどねー特にナギさんは相性が良すぎる様なので―」
聡美が嫌そうな声色でそう言った。
「ん?相性がええんならええ事ちゃうんか?」
「…あいつの新技、闇系統の技なんだが…相性が良すぎてうまく加減しないと呑まれかねないんだよ」
「アーそう言う…あいつ、なんやかんやで暗いしな…」
コタローは納得した様子でそう言った。
「トサカさん、戻りました」
「おう、お帰り、チウ」
コタローとの情報・意見交換を終えた私はトサカの元に闘技場に戻った旨の報告と試合の日程を聞きに来ていた。
「で、試合の予定だが明日の午前と夜の部で1試合ずつ、明後日の午前の部に1試合、全部ソロの対人戦だ。高密度の試合日程だが、その代わりにお前の要望通り明後日からまた5日間の休みを入れられたぜ…出たければ今晩の興行にも出てもいいがどうする?」
そう言うトサカの提案に少し考えて返事をする。
「いえ…少しナギ達から頼まれた買い出しがありますので今晩はやめておきます」
正直、ナギ・スプリングフィールド杯での賞金を当てにするのであれば無理に試合をする必要はないし…聡美とゆっくりデートもしたいし。
「そうか、なら今晩のコジローのペアはまた俺か…はぁ…メンドイと言うか心臓に悪いんだよなぁ…あいつにマッチングされる相手とするの」
と、だるそうに言う…こう見えて、トサカもバルガスさんには少し劣るが割と高評価を受けている実力ある拳闘士である。一般的な基準に照らせばだが。
「ええっと…出ろとおっしゃるのであれば出ますが…?」
「イヤ…お前だってナギの療養先…と言うかリハビリ兼ねた修行先からの移動で疲れてるだろ?まあ苦労させられる分、金にゃなるしな」
そう言ってトサカはニヤリと笑った。
その後、聡美と二人で大浴場にて砂塵を落とし、デートがてら買い出しの一部を済ませ、闘技場に戻って夕食をとっていた。
「あ、次はコジローさんとトサカさんの試合ですねー」
偶にはいいだろう、という事で軽く変装…元の髪型にしてサングラスをかけて従業員用の賄い食堂ではなく、客向けのレストラン…ぶっちゃけ村上達の職場での夕食である。
「ほう…相手は…魔族との変則マッチか」
試合が始まると相手は翼を広げて飛び上がり、足につけた鉄輪につながった鎖を振り回して地上のコタローたちを攻撃し始める。トサカが逃げ惑っているようにも見えるが、まあコタローなら余裕だろう、あいつも虚空瞬動位使えるし。
そう思ってみていると、コタローが半空中戦を仕掛けつつ、トサカが鎖を逆用して嫌がらせをするような展開となり、割と盛り上がるくらいの間試合は続いたが、結局はコタローが翼をへし折って地上に落とし、トサカと二人がかりで殴り勝った。
「へぇ…トサカさんって、結構強いんですねー」
「…なんだかんだであの人もベテラン拳闘士だからな…」
と言うか、バスガルさんやトサカは別に弱くない、どころかそこら辺の魔法騎士団員と単騎ならば比べられるくらい強い(魔法騎士団団員の本領は集団戦である)といえよう、ラカンのおっさんの強さ表では300強くらいか。ただ単に私やネギたち、あるいはそれとマッチングされるようになってきたランキング上位連中がそれを上回る化け物ってだけで
夜、ラカンのおっさんの所ではほぼいちゃつけなかった…同じベッドで寝てはいたが…事もあり、キスを含めて聡美といちゃついて過ごした翌日の試合…相手は四つ足四つ手の蜘蛛系魔族であった。装備は軽装鎧で長剣二本と短剣二本である。
「それでは、次の試合に参りましょう。第10試合、東方は地元グラニクスの自由拳闘士、女剣士チウ!今季デビューの彼女は未だ負けなし!番狂わせを重ねております!本日も見事な勝利を見せてくれるのでしょうか!
対する西方は、放浪の自由拳闘士、蜘蛛魔族のセミス・アラネア!なんと言っても四本の腕から繰り出される自在の剣技!それを支える抜群の安定感を誇る四つ足はしかし、縮地級の瞬動の使い手であるともされています!
さて、女剣士同士のこの試合、いったいどんな展開が待っているのでしょうか!それでは…開始!」
舐めてはかかれぬと気の出力最大で対峙する…と相手の姿が掻き消える…が動きは十分に追える。
キィン キィン キィン
縮地と呼べる練度のそれで接近してきた相手の4つ手での連撃を少し後ろに下がりながらさばいていく。
魔法の射手 雷の7矢
私からの反撃に、相手の魔族は追撃の手を少し緩めて切り払う。その隙にこちらから剣戟での追撃をするが、うまくいなされ、先ほどと同じ展開に戻ってしまう…と、私は縮地で一度大きく離脱した。
「フム…私にも本気を見せてくれる気になったかな?」
蜘蛛魔族…セミスがいう。
「お望みとあらば…でも得物はこのままで…」
安定した体幹と言うのは、合気鉄扇術的に非常にやりにくい…まあ断罪の剣を含めた魔法を解禁するなら話は別だが。とにかく、咸卦の呪法を発動させて身体強化を行う。
「では…行く!」
と、縮地二連で側面から切りかかる。
キィン キィン カキィーン
「成程、良いな」
流石4つ足の安定性と言うか、すぐに腰をひねって正面から対応される。速度とパワーを上げた状態でならまともに打ちあえる…うむ、ちょうどいいな、これ。
「私も、本気を見せよう」
と、セミスが掻き消え、私は即座にその場を引く、と同時に元の位置の側面に現れるセミス、直ちに反転して私も側面攻撃をし返すが数合合わせただけで再び掻き消える…なるほど、機動戦闘が十八番、というわけか。
「速い速い速い!目にもとまらぬ攻防!あまりの速さ、鋭さに多数の残像が闘技場に乱舞しております!」
「ふふ、貴女もか」
「そう言う貴女こそ」
互いの残像を切り裂きながらそんな言葉を交わす。
「魔法の矢は?」
「無駄玉」
「違いない」
私たちは互いに笑いながら剣戟を続けた。
パキーン
そんな音が闘技場に鳴り響く…セミスの長剣の一本が折れた音だ。
「おっと…割といい品だったのだがな…数打ちに見えたが頑丈な剣だな、それは」
「…気で得物を強化している」
「なるほど…神鳴流の流れを汲む者か」
まあ、大本は刹那から習った技術なので神鳴流の系譜で間違いはないが。
「では…続きと行こうか」
そして戦いを続けてセミスのもう一本の長剣も砕けて少し…私の剣にも限界が来た。まあ、気で強化しようが所詮は数打ちの消耗品である。
「フフ…本来の獲物とやら、みせてもらおうか、チウ殿」
そう、魔力を纏った拳と短剣二本とで私の長剣に割と深いひびを入れて見せたセミスが言う。
「…いいだろう」
そう言って私は剣を鞘に納めて鉄扇を構える。
「では…参るぞ」
そうしてセミスとの戦いは次の段階に入った。
「むっ…まるで霞に切りかかる様な厄介さであるな、ソレは」
何だかんだで剣技としては柔に属するとはいえ、剣技ではあったのが完全な柔に変わった感想がそれであるらしい。
セミスは長剣を失って、また私の鉄扇術に絡めとられるように深入りしている。これならば魔法の矢も使える…がそれで高速機動戦に戻れば千日手である…まあそれでも負ける気はしないが…という事で私はチャンスを待つことにした。
何度目かの跳躍を挟んだ後、セミスの短剣での連撃を鉄扇によりするりとくぐり、懐に潜り込む。
「なっ」
魔法の射手 雷の7矢
「ぐっ」
流石にゼロ距離から放たれた魔法の矢に対応はできず、セミスが大きな隙を見せる…と言うか、恐ろしきは魔族の頑丈さである。
「ノイマン・バベッジ・チューリング 魔法の射手 収束・雷の29矢」
そして、私は魔族の頑丈さを信じて追撃を行った。
…結果、セミスは気絶し、カウント成立により、私の勝ちとなった。
「ちうさーん、なんか、マッチングの相手だんだん強くなっていません?」
「そりゃあなぁ…いい試合になりそうな相手をマッチングするとはいえ、ある程度ランキング参照して相手を決める…し、今回は集まってきた放浪拳闘士含めて対戦希望の中から強そうな相手をマッチングしたってトサカも言っていたし…」
試合の汗を流した後、聡美と買い物デート(買い出し)に出た途中に入った食堂でそんな会話をしていた。
「…試合を見ていると貴女がどんどん戦闘狂になっていっている様な気がしますー」
「…否定はしにくい」
正直、闘技場での戦いは楽しいか楽しくないかと言われると、正直楽しい。
「もーあんまり戦闘狂になられても困るんですよー?」
「そう言う私は嫌いか?」
と、少し意地悪な質問をしてしまう。
「むぅ…好きですけれども…私を見てくれなくなるような気がして…」
確かに、聡美を中心とした日常を守る為だった強さへの追求が、戦いと強さその物を求めるようになるのではないかと不安なのだろう。
「大丈夫…強さを求めるのは守る為だから…強くなる事自体も楽しくはあるけれども…そこは間違えない」
そう言って私は不安そうな聡美の頭をなでる事しかできなかった。
そして夜の試合…想定外の人物がそこにいた
「なぜ貴方が」
「うむ、ナギ・スプリングフィールドとの決闘はラカン殿に預けたが、貴殿との試合を預けた気はないのでな…端的にいうと戦ってみたくなったのだよ、ナギ・スプリングフィールドの姉弟子だという貴殿とな」
「…相手はするけど…あなたの方が上手」
少なくとも、剣闘士としての私よりは…ネギとの決闘時くらいまで抑えてくれれば虚空瞬動の解禁で勝つ自信はあるが、ラカンのおっさんとやっていた時の鱗片…と言うか多数の影の刃から逆算すれば、ラカンのおっさんの強さ表で1500位は確実に行くだろう、この人。となると闇呪紋か呪血紋…できればその双方を出さないときつい。
「なに、本当の意味では本気までは出さぬ…よっ」
同時に影の刃が数本襲い掛かってくるのを切り払う…割と本気出さないと死ぬな、コレ。
と、いう事で迷わず咸卦の呪法を発動し、同時に虚空瞬動の使用も解禁すると決めた。
そして切り払った刃と追加の影の刃が私を包囲しようとするのを縮地で回避する。
「ノイマン・バベッジ・チューリング 魔法の射手 光の29矢」
「ふむ」
と、カゲタロウは私の魔法の射手を影で編んだ布を起点にした対魔法障壁を展開して防いだ。
さらに魔法の射手を撃った地点を影の刃が貫き、直後、カゲタロウの背後から切りつけた剣での一撃と影の刃とがぶつかる。
「良い、そうでなくては…帰還を遅らせた甲斐があるというモノだ」
カゲタロウはそんな事を言いながら、私の残像を影の刃で串刺しにする。
「それは…どうもっ」
と、約十本の影の刃に追い回されながら返事をする…もう少し良い攻勢移転の機会まで取っておきたかったが仕方がないと宙に舞い、縮地で即座にその場を跳び去った。直後に残像がめった刺しにされる。
「むっ」
魔法の射手 雷の11矢
側面からネギの華崩拳の様に、剣での突きに乗せるように物理と魔法の同時攻撃をかます…が
「それはもう見た」
と、対物理・対魔法両用らしき影布の防御を展開し絡めとるように突きを受け止めた。
これはいかんと剣を手放して鉄扇を抜き、襲い来る影刃をぬるりとそらして離脱する。
「…そう…ならば…これも見た事あったはず」
と、偽・断罪の剣を展開する…これも解禁である。さすがに呪血紋はなしという事で無印モードではあるが…と言うかタダでさえ評判の悪い断罪の剣の血赤モードとか風評がシャレにならん。
そして、迫りくる影の刃を切り落とす…単に軌道を逸らすのみではなく、これができるのが何よりの利点である。
「ほう…チウ殿も使えたか」
「当然」
「ならばまだいけるか」
そう言いってカゲタロウはさらにお代わりと数十本の影の刃で私を追い回してくる…上に、一本一本の動きが精細さを増し、また、虚空瞬動での接敵対策らしく自身の周りにも数本を待機させているのが見て取れる。
「おおっと、カゲタロウ選手の影の刃が闘技場を覆いつくさんばかり!まるで影刃の結界!しかしチウ選手はその結界の中を虚空瞬動で軽やかに舞い続ける!」
まさに実況の言う通りである…多重の意味で空が狭すぎる。断罪の剣で影刃を切り払えるとはいえ、それは先端が無力化されるだけで、切断箇所よりカゲタロウ側は伸び続けて私を追い回すのだ。
「フハハハ、良い、実に良い!チウ殿!回避技能主体でこれだけ持ちこたえられるのは初めてだ!」
楽しそうに笑うカゲタロウに私は答えてやる余裕もなく、空を舞う…正直、咸卦の呪法の防御力を突破されていないだけで何度も掠ってはいる…が、何とか仕込みは終わった。
「ノイマン・バベッジ・チューリング 来たれ雷精 風の精 雷を纏いて 吹きすさべ 南洋の嵐」
なおも襲い来る影刃を切り開きながら舞い、呪文を謳う…
「何っ、その機動を続けながらそのような魔法を!?いかん…これはっ」
と、現位置を離脱しようとするカゲタロウだが脚に何十本もの糸が絡みつき移動を阻害する…踊りながらこれを仕込んでいたのだ。一本一本の強度は影刃で一掃されてしまう程度のモノだがその数瞬の間、離脱を阻止できればそれでよい
「雷の暴風」
「…やむを得ぬ!」
とカゲタロウは影布を多層展開して対魔法障壁とした…それを私の雷の暴風が貫いていく…が、最後の1枚がギリギリ突破できずに魔法が終わる。
「ぐぬっ…」
「おおっと、チウ選手が大魔法を行使する驚きの展開!対するカゲタロウ選手、直撃するも障壁でギリギリ耐えたぁぁぁぁ!」
「ノイマン・バベッジ・チューリング 来れ 虚空の雷 薙ぎ払え 雷の斧」
魔法の射手 雷の11矢
と、そこに雷の斧を上空からぶつけ、障壁を突破しきると共に突破した雷がカゲタロウを襲う…さらに地上に降りると無詠唱の魔法の矢で止めを放った…のだが
ドスドスッ
チリっとした感覚を信じて断罪の剣で切りかかる…腕くらい落しておこうかと思った…のをやめ、その場を離脱すると元の進路上に上空から影の刃が複数、降って来た。
「いやはや…なかなか本気で危ない所であった…予備の影布に精霊囮まで使う羽目になるとは…想像以上であった、チウ殿…私の負けだ」
「おおっと、カゲタロウ選手ここでギブアップ!チウ選手の勝利デス!」
カゲタロウの言葉に司会が私の勝利を宣言する。
「…どういうつもり?」
戦闘態勢を解かずに私は問う。
「なに、私も自身に制限を課して戦っていたのだよ、普段の貴殿と同じく、な。そして先ほどの雷の暴風を防ぐのにその制限を超えて本気を出してしまった。よって私の負けだ」
「私と命のやり取りをするつもりはない、と?」
勝ちを譲られた…と言う怒気交じりの演技で、しかし内心では私も同じ状況ならば負けを宣言した可能性が高いと思いつつ、そう言った。
「そうは言わぬ…が、今はナギ・スプリングフィールドとの勝負を預けている身、すまぬが新たに死闘を抱えるのは遠慮したい…貴殿もこの場でその先を見せる気はなかろう?」
「…わかった」
そう答えて、私は戦闘態勢を…断罪の剣を解除した。
「さーて、それでは勝利者インタビューのお時間デス!チウ選手、本日の試合では色々と新技や魔法を披露されましたが、それほどの強敵でしたか?」
まー露骨な奴でも虚空瞬動に、断罪の剣に、魔法の射手以外の放出系魔法に…一つだけでも今まで舐めプしていたのがバレて、下手すれば炎上する事態である…加えて、わかりにくいが糸術もである。
「…見ての通り…本気を出さなければ私は死んでいた…それでもカゲタロウの本当の本気には多分届かない」
「ホウホウ…確かにカゲタロウ選手、余裕を残してのギブアップだったように思います。ちなみにチウ選手もまだまだ本気には先があったりするデスか?」
「…剣闘士のちうとしての本気は今日、全て見せた」
正直、呪血紋と闇呪紋は闘技場で使う気はないし、使えばカゲタロウの様に降参を宣言してもよいくらいである。
「ナルホド…これ以上の先は剣闘士としては見せる気はない、と?」
その問いに、私は無言でこくりと頷いて何時もの様に退場を始めた。
何だかんだ言いつつ、千雨さんが誇る一番の火力は断罪の剣を含む魔法、そして千雨さん基準でその魔法を『使える』とはある程度魔法に意識を裂きつつも三次元機動が継続できる程度の練度を指す(全身に施された糸呪紋の補助前提ですが、割と高等技能。まあ、ネギ君も賞金稼ぎ相手にやっていますが。
執筆の停滞に加え、VSラカン戦でのカゲタロウ周りとの整合性の為、投稿遅れました。おおむね調整終わりましたので、少しずつ投稿しつつ追いつかれないようにちまちま書いていこうと思います。