例えばこんな長谷川千雨の生きる道   作:紅シズク

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87 拳闘大会編 第5話 中日の修行

と、おおむね日が変わる頃にダイオラマ球に入った私たちは、そのまま修行に入った。闘技場に連絡を入れてもらっているので、今日は丸一日修行にあてられる計算である。

「よーし、まずは俺が相手だ坊主ども。チウはセラスと打ち合わせでもしておいてくれ」

「ん、了解」

「わかったわ」

と、私は把握している限りでのネギの千の雷の習得状況を説明し、ついでに自分の千の雷の仕上げに必要なアドバイスをもらった…その間、ネギ達はリカードに扱かれており…術式兵装や獣化無しとはいえ、体術ではネギとコタロー二人がかりでも圧倒されている様子であった…

 

「ほう、中々…流石は我が弟子…ぼーやの姉弟子と言った所か!?」

私の体術の相手をしてくれているマスターが言う…

「それはどうも…これでもあなたの本体に年単位で扱かれていますから…ねっ!」

「うむ…だがまだ甘いっ」

そう言われて、私は思いっきりマスターに投げられた。

 

「1498!1499!1500! よし、終いじゃ!」

大岩を用意され、それを背に乗せたまま三人並んで腕立て伏せ1500回という筋トレが終わる。

「ふぅ…もうちょっと強化緩めのが良かったかな」

と、私は大岩を降ろしてそう呟く…正直、初回だからと咸卦の呪法の出力を割と強めに強化してみたが、もう少し強化弱めの方が負荷としては良い感じである。

「お疲れ様です、千雨さん」

と、元の姿に戻った聡美が飲み物を渡してくれる。ちなみに私の姿も体術以外は元の姿でやる事にした…リカードのおっさん達は私も年齢詐称組と知って驚いていたが。

「ありがとう、聡美」

「いーえー…はい、ネギ先生とコタロー君にもありますよー」

そう言いながら聡美はネギ達にも飲み物を配りに行った。

 

「どうした、ネギ!コタロー!この程度か!まだ二重奏だぞ!」

「ぐっ…相変わらずの出力やな!千雨姉ちゃん!」

「でも、千雨さんに勝てずにラカンさんに敵うわけがない!行くよ、コタロー君!」

と、私はネギ達の実践稽古相手に駆り出されていた…正直、術式兵装や獣化アリアリだと三重奏行きたい所であるが、自分の修行も兼ねてこれで行けと教官陣からのお達しである。

 

「じゃあ、ネギ、頼むぞ」

「ハイッ!」

私は砂浜でナギモードのネギと向き合って立っていた…そして組手が始まる…と同時に私は詠唱を開始する。

「ノイマン・バベッジ・チューリング 契約により我に従え契約により我に従え 高殿の王」

ネギの手加減した攻撃をさばきながら詠唱を続ける…

「来れ巨神を滅ぼす 燃ゆる立つ雷霆 百重千重と重なりて 走れよ稲妻 千の雷」

と、完成した呪文が海の上空に炸裂し、海水を蒸発させて半球を作った。

「うわーさすがの威力ですねー千雨さん」

「だがまだまだ魔力の効率化や…機動詠唱の技量が足らんなぁ…ん…魔力的にはあと2本くらい行けそうか…手伝ってもらうぞ」

「はい!」

…そうして、ネギを相手に組手をしながらもう2発、千の雷を撃って夕食の時間となった。

 

「千雨さーん」

夕食後、咸卦法の瞑想をしていると聡美が声をかけてきた。

「んー?どうした、聡美」

「千雨さん、本気でラカンさんと戦うつもりなんですかー?」

「ああ、もちろん…勝てるとは思えないが…それでも一太刀位は浴びせてやりたいな…カゲタロウもいるし」

ショージキ、カゲタロウの本気とガチモードでやり合って勝率5割くらいな気しかしないのである、今のペースで強化していって。

「そうですか…本気ならば仕方がないですねー私もできる限りはお手伝いしますが―お気をつけて」

「おう…ありがとうな…寝る前に呪紋の再設計もするから手伝ってほしい」

「…はい、お手伝いしますよ…テオさんに鏡の間の用意をお願いしておきますねー」

そう言って聡美はテントを一度出て行った…

 

「何ですか、この設計図!?セプテット(七重奏)って正気の沙汰じゃないですよ!?今の倍以上じゃないですか―!クインテット(五重奏)じゃ足りないんですか!?」

力の王笏の電脳空間の中、私は聡美にそう叱られていた。

「…正直、本気でやるなら足りない…あのおっさんをスペック差で押し切る事を考えたらデクテット(十重奏)位欲しいんだけれども、技術的にオクテット(八重奏)以上はまだ無理…と言うか危険すぎるだろ?だから…」

「もう…どうしても、というならば…貴女の体です…従います、従いますが…安全マージンはできる限りとって頂きますよ?」

そう、聡美があきらめたように私の主張を認めてくれた…こんな感じで体感時間1日目の修行は終わっていった。

 

 

 

修行二日目、朝のランニング…岩を背負って島の外周10週とかなかなかキマッた内容…をこなして一通り筋トレを済ませると朝食の時間であり、そう言った方面はノドカやまき絵達も支援してくれている。

朝食後はネギ達はリカードと、私はエヴァと…から初めて相手を入れ替えたり、乱取りを交えたりで体術の実践稽古を昼食迄ぶっ続けで行った。

昼食後は少し休憩を挟んだ後に、ネギはセラスの授業…シレっと木乃香も生徒になっていた…を受け、その間は私とコタローで体術の稽古をこなし、その後にまた筋トレ…で夕方頃から私とネギ達とで実践稽古、そして夕食の時間である。

夜は各自別メニュー、コタローはリカードのおっさんとまた体術、ネギはエヴァとマギア・エレベアの鍛錬、私は仮想敵との機動戦をしながらのイメージで千の雷をぶっ放した後に咸卦法の瞑想、そして寝る前に聡美と設計である。

 

 

 

修行三日目…と言っても内容はほぼ二日目から変わらず。ただし、私の実践稽古は三重奏に格上げとなった。

 

 

 

修行四日目も内容はほぼかわらず、しかしネギが千の雷の実践に入ったようで、セラスの授業の際に何度もぶっ放していた。

 

 

 

修業五日目は特に何事もなく過ぎていった。

 

 

 

修行六日目、ネギが千の雷の術式兵装に成功し、夕方の実践稽古の内容が私対ネギに変わった、コタローはリカードのおっさんと、である。千の雷そのものが未完成である事による出力不足と、それでも雷の暴風とは比べ物にならない出力にネギが慣れていない事もあり、今日はギリギリ負けずに済んだが、危うい場面が何度もあった…多分明日か明後日には敗北を喫する事だろう。

 

 

 

修行七日目…その夕方の実践稽古での事…

「ノイマン・バベッジ・チューリング 契約により来たれ 高殿の王 我に力を 雷の招来」

 

魔力掌握 精霊の歌・雷奏 三位一体の闇呪紋 発動

 

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル 契約により我に従え 高殿の王」

「ノイマン・バベッジ・チューリング 契約により来たれ 高殿の王 我に力を 雷の招来」

 

魔力掌握 精霊の歌・雷の二重奏 三位一体の闇呪紋 増強装填

 

「来れ巨神を滅ぼす 燃ゆる立つ雷霆 百重千重と重なりて 走れよ稲妻 千の雷」

「ノイマン・バベッジ・チューリング 契約により来たれ 嵐の女王 我に力を 風の招来」

 

魔力掌握 精霊の歌・雷と風の三重奏 三位一体の闇呪紋 増強装填

 

互いに術式兵装と三位一体の闇呪文を最大で装填し、向き合う。

「では…お願いします、千雨さん!」

「おう…今日こそ、私に…勝って見せろ!」

そして、私たちは激突する…が…元々私のガチモードはこの修行開始前で3000弱程度、千の雷の出力不足を割り引いても単純出力では5000を優に超えるネギの相手としては力不足であり…あくまで昨日負けなかったのはネギがその出力を十分に発揮できるだけの慣らし運転ができていなかったからであるにすぎない…結果…

 

「ハハハ…ついに負けたな…ネギ…よくやった」

「ハイ…千雨さん」

暫しの激戦の後に私は砂浜に叩きつけられていた。

「だが、そのスペックをまだ生かしきれてねぇ…もう一本だ」

「ハイッ!」

こうして、私が動けなくなるまで、実践稽古は続いた…

 

「はぁ…やっと終わりましたか…千雨さん」

聡美が飲み物とタオルを持って近づいてくる。

「あぁ…疲れたよ…ネギの奴、私じゃいよいよ稽古相手に力不足だな…」

「それよりも!貴女が何度も何度もやられるのを見ているのってとっても心配だったんですからね!」

「…すまん、でもネギのガチモードの相手として一番いいのが私なんだよ…マスターも再生時間的な意味で無理はさせられねぇしな」

「そう言った事情は分かりますが…いえ、まあ言っても仕方がありませんね…サ、ご飯の前に水浴びに行きましょう、千雨さん」

と、聡美が微妙そうな顔を消して笑顔でそう言った。

 

 

 

修行八日目の夕食後の事。

「あの…千雨さん、少し良いでしょうか」

と、ネギがそう声をかけてきた。

「どうした、ネギ」

「マギア・エレベアの事で少し相談したい事がありまして…」

「ん?それならマスターにすればいいんじゃねぇのか?」

「いえ、そのマスターから実際に似た事をやっている千雨さんに聞いてみろと言われまして…」

というネギに応じて話を聞いてみると、どうやらネギは千の雷の術式兵装…『雷天大壮』を私がやっているように2重装填する事でスペックだけでもラカンのおっさんに追いつこうとしている様だ。マスターからは理論上は行ける筈だと言われて昨晩からそう言った鍛錬をしているのだが、イマイチコツがつかめないので多重装填をしている私に相談を、ということらしい。

「…私の場合は、最初から闇呪紋がそーいう設計になっているから、と言うのがある種の答えだな…もしかして、ネギ、今は術式兵装状態で追加装填しようとしてねぇか?」

「え?あ、はい、千雨さんの技法を参考に…」

「んーできればその通りなんだが…私が検討した限りでは、呪紋による安定化を伴わないマギア・エレベアでは同時装填の方が簡単だぞ」

「と言いますと…遅延呪文で?」

「ああ、そう言うことだ…データも見せてやろうか…アデアット」

と、私は力の王笏に保存された、闇呪紋初期設計時の検討データをネギに提示するのであった。

 

 

 

修業九日目…は特に何事もなく、過ぎていった…しいて言えば、今日はネギに一勝しかできなかった、くらいか…悔しい。

 

 

 

修業十日目、ついに互いにガチモードだと私ではネギの修行にならないとなり、ネギが術式兵装を雷の暴風…『疾風迅雷』に抑えてスペックで勝る状態の私の相手をし、仕上げにマスターが一戦だけ相手をするということになった。

 

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