例えばこんな長谷川千雨の生きる道   作:紅シズク

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世界の秘密編
94 世界の秘密編 第1話 クルト・ゲーデル


宴の後、闘技場で夜を明かした私達はハルナの金魚に集結しつつあった。

「遅いですねー茶々丸たちー」

「そうだな…予定では昨夜のうちに引き上げている筈なんだが…」

誘導を兼ねて桟橋の根本で斥候部隊を待っている私達だった。すでに、斥候部隊以外は集結している。

「あ…アレですかね?」

「ん…だな」

と、そう時間が経過する前に斥候部隊らしき一団…と言うかミニ茶々丸と小夜がいるから確定…が近づいてくる。

「お帰り茶々丸、皆さんもお帰りなさい」

「ただいま戻りました、ハカセ、千雨さん」

「うん、今戻ったよー舟の場所は変わってないね?」

「おう、特にトラブルはねーよ。お前らが最後だ」

そんな会話を交わしながら皆で舟に近づいていく。

 

「おーい、ネギ、奴ら戻って来たぜ」

舟の間際、私が少し先行してネギ達に斥候部隊の帰還を知らせた。

「え!?」

「ホンマか」

「せっちゃん!」

「皆さん、お疲れ様です」

「よっ」

駆けだした木乃香とネギを追って甲板に戻るとそこには刹那以外フードを外した面々がいた。

「コラ、舟に入るまでローブ被っとけ…一応賞金首なんだからな」

「まーまーいいじゃん、他の舟からも大分離れているんだし…さ、それじゃあさっそく報告会議に移ろうか」

 

そして斥候部隊の面々はローブを脱ぎ、私たちは船内に入って報告を聞くことにした。

「さあさあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!

これが我等『白き翼』斥候部隊の探索結果だよ!」

そう言ってハルナは書き込みがなされた自作の地図を広げ、報告を始めた。

内容を要約すると、ゲートポートの位置確認は完了、加えて夕映とアーニャらしきバッジ二つの反応を確認…と同地点にフェイトの部下を確認したらしい。おそらく、人質として捕縛されていると考えられる…と。

その報告を受けてネギは、『全員の無事帰還』が目的である事を再確認し、『今日明日にでも世界を滅ぼす』のでもない限り、戦闘を極力避けて隠密潜入作戦での二人の奪還とその後のゲートから麻帆良への帰還を宣言、30時間後の作戦開始までの休養を指示した。

 

「で、ネギ…フェイトたちが『今日明日にでも世界を滅ぼす』という可能性は割とあると思っているんだがなぁ?私は」

舟の奥、私はネギとそんな話をしていた。

「…そうですね、千雨さんのおっしゃっていた魔力だまりの形成時期にもよりますが、それによって世界を終わらせる気である可能性は十二分に考えられます…正直、戦闘・参謀組の皆さんには今晩それを明かしてしまおうかとも考えています」

「ん…計算に入っているなら構わねぇよ…それと今朝も言ったが今日の夕方、ラカンのおっさんとちょっとしたミーティングするからな、覚悟しておけよ?」

「ええっと、それは構わないんですが、議題は何ですか?」

「今ここではちょっとした厄ネタ…だったはずの核地雷かもしれない世界の秘密…とまでしか言えねぇなぁ…そこらで聞き耳立てている連中もいるし…ああ、希望者は参加OKっておっさんからは許可貰っているから参加していいぞ」

と、聞き耳を立てているに決まっている連中…朝倉やハルナ…に言った。

 

 

 

「ゆ…え…?ゆえ…」

闘技場への帰路、私たちは制服らしき姿の夕映…と思われる人物に遭遇した。

「ゆえーゆえっ!無事だったんだね…!」

「あっ、バカッ」

と、止める間もなくノドカは夕映らしき人物に飛び掛かり、ぎゅっと抱きしめてしまった。斥候部隊の報告を考えれば、こんなところにいる筈がない…他人の空似の筈なのだ…が

「心配したよ…無事で本当に良かった…!」

「…のど…か?」

…その人物は…ノドカの名を呼んで返した。どー言う事だ…バッジだけ誰かの分が拾われていた…?それか…まさか…誰かがニセモノ…?と、若干の理論と発想の飛躍を伴った思考にたどり着いた時、アスナも声を上げた。

「ゆ、夕映ちゃんどーしたのよ、一体!?下の廃都に捕まってると思ってたわよ」

「え…あの…」

「夕映、今までどうしてたの?あれー?その制服は何ー…?」

「あ…あの、あなたはどなたですか?」

「!?ゆえ…?」

やはり他人の空似…いや、そうなるとノドカの名を呼んだことと整合が…

「何なんですか、あなたは。白昼堂々見ず知らずの他人にいきなり抱きつくなんてヘンタイですかっ」

「あ、あの…いえー…」

「…連れがすまない、他人の空似だったようだ…行こう」

「あ…ハイ…でも…」

と、私はフォローに入るが…少し遅かったようである。

「おーい、何やってるの委員長…ってアレ?」

「お嬢様ッ」

「ちょ…委員長、そいつら指名手配犯!」

「えっ…何ですって!?」

「しまった!こっちから話しかけたから認識阻害メガネの効果が薄まっちゃった!?」

ヤバい…具体的には私、今も大人モードであるのに指名手配犯を連れと言ってしまった。

「ど…どこかで見たコトがあると思ったら、ゲートポート同時爆破テロ事件の指名手配犯!逮捕します!」

と、装剣した夕映?の連れはノドカを捕縛結界弾で捕まえてしまった。

「本部、本部、こちら休憩中のセブンシープ分隊、手配犯発見!映像を送ります、至急応援を…!?そんな、結界弾を素手で!?」

応援を呼ばれてしまったが、その隙にノドカをネギが解放…私も戦闘加入してもいいが…ここは逃げるか?

「ま、待ってください、アリアドネー騎士団の方ですよね、僕たちは争うつもりは…」

「犯罪者が何をヌケヌケと問答無用ですッ!!コレット、ビー!いきなさい」

と、後から来た二人がネギに襲い掛かる…流石騎士団員という手腕ではあるが…ネギに投げられて…

「ちょ、ネギ、乱暴は…」

くるりと着地した…と言うかさせられた。

「お、落ち着いてください、ひとまず話を…」

とのネギの言葉に二人はプライドをいたく傷つけられている模様である。

「何をしているんです、装剣なさい、二人とも。最大出力で仕留めますよ」

「りょ、了解!」

と二人も装剣し、ネギに魔力を向ける…となるとネギのとる行動は…

「ひゃっ」

と、私は聡美を抱き、咄嗟に距離をとる…そして案の定ネギは武装解除を行使して闇の魔法の効果で暴走させた。

「こ…こんのバカネギは!あんたは脱がせないと気が済まないのー!?」

「わーん、スイマセン、力の加減がうまくできないみたいでー」

 

…と言う事で一応場を収めた後、ネギたちはカフェで話をすることになり…私達は近くでそれを観察することにした。

「「「ええーっ!?記憶喪失!?」」」

「「成程…そー言う事か」ですか」

と言う事で、夕映?は記憶喪失らしい。

「で…でも何でそんなことに…」

「それはその…」

「ぶっちゃけ私のせいなんだけどー…」

と、コレットという騎士団員…候補生らしいが口を開いた。

 

「そうですか、忘却魔法暴発の事故で…」

「ですがー時間的にはゲートポートの事件と一致しますしー」

「間違いなさそうね!」

「じゃぁ、やっぱり…本物の夕映なんだね…無事でよかったよーゆえー…みんなで日本に帰ろう、日本に帰れば記憶もきっと戻るよ。覚えてない?宮崎のどかだよ、図書館探検部で一緒に…」

ノドカが夕映?の手を取ってまくし立てる。

「お待ちなさい!」

と、委員長と呼ばれた人物…セブンシープだったか…がその手を払った。

「勝手に話を進めないで頂けます?まだそちらのユエさんと同一人物と決まったわけではないでしょう。このユエさんは我がアリアドネー騎士団オスティア警備兵として任務中の身です!

さらに言えば、ユエさんは類稀なる向上心と成長速度で戦乙女騎士団士官候補生として将来を嘱望された人材です…何しろ、素人同然からわずかな期間でこの私を打ち負かすほどに成長した人物ですからね」

「い…委員長」

「そのように、国家にとって優秀な人材をどこの馬の骨ともわからぬ輩にホイホイと渡せるわけがないでしょう、ましてや!

そのユエさんがあなた方の様な犯罪者の仲間であるなど信じられません」

「そ、それは誤解で…」

と、ネギはえん罪であると主張しようとするが…

「問答無用!指名手配犯と話す口など持ちません!さ、いきますよ、ユエさん、皆さん」

とセブンシープは夕映?の手を取り、席を立ってしまった。

「ち、ちょっと待ってください、せめて本人かどうかの確認を…」

ネギが追いすがる。

「どうやってです?状況証拠と似ているだけでは証拠になりませんよ」

「し…証拠…そうだ!これです!」

とネギは仮契約カードを取り出した。

「夕映さんは僕の仮契約者の一人です。貴方が僕達の夕映さんなら僕がこのカードで念話を使えば声が届くはずです。ほんの1分で済みます、お願いします」

「…仕方ありません、1分ですよ」

「ありがとうございます!」

そうして、夕映?は再び席に着いた。

「で、ではいきますよ」

「は、はい」

と、ネギが念話を始めた。

「い、いえ特に大した苦労などは」

夕映がネギの念話に応える様に返事をする…決まりかな?

 

ボンッ

 

唐突に夕映がゆでだこ状態になる。

「ちょっとユエーうわ真っ赤じゃん、熱がーっ!?」

「あなた何を?さっさては病魔の呪いを!?」

「おのれテロリスト」

「何もしてませんよ!」

何もしてなくても、何を言ったんだよ、ネギめ…

「だ、大丈夫ですか?夕映さん…あ、あの…夕映さん?」

と、ネギが夕映の頬に手を当てて言う…と、またもや夕映はゆでだこになる…夕映もネギラブ勢だったな、そーいや。

「キャー!?ユエがゆでダコにー!?」

「ユエさんしっかりー!?」

「離れて君っ、君が近づくと症状が悪化するー」

「どんな魔法を使ったんですか、あなたは!?」

…しいて言うなら恋の魔法かな。

「だ、大丈夫ですか?何か思い出しましたか?」

「い、いえ何も…スッスミマセンです…し、しかし…と言う事はつまり…私はこの世界の人間ではなく…」

「はい、現実世界…旧世界は日本、麻帆良学園から来ました」

「…そしてあなたはかの大英雄、サウザンドマスター、ナギの息子…ネギ・スプリングフィールドなのですね」

おや…記憶喪失の割にそこまでわかるか…いや、アーティファクトで調べたんだろう、きっと。

「な…えええー!?なんですってぇーっ!?ナギ様のむすっもごむぐっ」

と、セブンシープは叫び声をあげてコレットに口をふさがれた。

「ほ…本当なのですか」

「はあ…一応…」

そう、ネギは答えるしかなく、そう答えるとセブンシープは顔色を変えた…ミーハーという奴だろうか。

 

「…おや、これはこれは誰かと思えばアリアドネーの名門、セブンシープ家のお嬢様ではありませんか」

…唐突に乱入者が現れる、それはオスティア総督のクルト・ゲーデルと付き人、それにメガロ・メセンブリアの装甲兵だった。

「おや…?それにそちらの少年は…?どこかで見たような覚えがありますが…」

「ゲーデル総督…記念祭期間中、オスティア市内での公権力の武装は我々アリアドネー騎士団にしか許されていないと記憶していますが」

「いやなに…私は幼少より虚弱体質でしてねぇ…恥ずかしながら何人かの部下を連れなければ外出もままならないという有り様で…ごくごく私的なボディーガードのようなものです、お気になさらないでください」

嘘をつけ、嘘を…アンタ相応に強い剣士だろうに…と身のこなしから判断する。

「総督…わ」

「ビー、その子を」

ネギがセブンシープにフードをかぶせられ、奥に下げられる。

「それで?その虚弱体質の総督様が何の用です?」

「いや、なに、どうも理解しがたいのですが…女の子の集団が全裸でアーケードで暴れているという通報が総督府に入りましてね…私の街の風紀が乱れるのを放ってはおけず、慌てて現場に赴いてみたのですが…この全裸の痴女集団、もしやあなた方ではありませんよね」

と、ばっちり顔が映った写真を提示してきた。

「違います!!」

いや、写真まで取られているんだからそれはむしろ悪手では…

「それはよかった、天下の戦乙女騎士団員が白昼堂々路上ストリップ!などとニュースになったらオスティアは一大事です、では調査のためこれは焼き増しして部下に配布を」

「ちょっとーッ!?」

「と、まあ冗談はさておき…」

と、まあ遊ばれてしまうわけで。

「先ほども言いましたが、そこの少年…どこかで見覚えがあるのですよねぇ…さて…どこで見たのか…いや、まてよ…確か重犯罪賞金首の国際手配書で…?いやいや違いますね…

ああ!そうか、思い出しました!なんと君は世界を救ったかの大英雄の御子息ではございませんか!

いや、この地ではこう言い換えた方が良いでしょうか…かつて自らの国と民を滅ぼした魔女、災厄の女王…アリカ・アナルキア・エンテオフュシアの遺児…と!」

…あーやっぱり。私はそんな感情でその男…ゲーデル総督の言葉を聞いていた。とーぜん、公式発表でアリカ女王があの後どうなったか位は調べているし…まあ、最もその結末と矛盾するのだが、この総督の発言は。

「これは意外ですね…ネギ君、これほどの衝撃の事実を告げられてたじろぎもしないとは」

「…推測はしていました、だから…驚きません」

「ほお…10歳の少年が叫びだすでもなく、泣き喚くでもなく、冷静ですね。これは君に対する評価を少々改めねばいけないようだ」

「ですが、あなたは一体何者です?僕の…母を侮辱しようということならただ冷静ではいられませんよ」

「い…いけません、ネギく…さんっ」

そう、ネギは宣言し、魔力での威嚇を行う。それに伴って私も臨戦態勢に移行しようとした。

「待ちなさい!!そこまでよ、ゲーデル総督、今あなたにその子を逮捕する権利はないわ」

「セラス総長!」

と、そこにセラス総長が現れた。

「これはこれはセラス総長、逮捕などとは心外ですね。私はただ総督として市民との会話を楽しんでいただけですよ?

もっとも…尤も貴女の言うようにこの少年が逮捕せねばならないような危険人物ならば私も気をつけねばなりませんねぇ…何しろ、かのJ・ラカンを倒した偽ナギ本人だ。

虚弱体質の私など、睨まれただけで吹き飛んでしまいますよ」

それに対して恐らくセラス総長はネギに対して念話を飛ばし、何かしらを警告した…らしい。

「おやおや、人聞きの悪いことを言う…いや思う。一体何を根拠に?いやいやよかった口に出していたらこれ…問題になってましたね」

そして、ゲーデル総督にその念話は盗聴されてしまったようである。と言うか今更だが、野次馬も排除していないのに街中で衝撃事実連発しまくって良いのか?

「――セラス総長、脇役は舞台袖でおとなしくしていてもらえませんか。」

「なっ…」

「さて、ネギ君、試合は見せてもらった。いやはや、驚いたよ、驚愕したよ、驚嘆したよ、見事なものだ君の才能は千の賛辞に値する。

紳士的な試合の中でとはいえ、あのJ・ラカンと引き分けたのです。君の力は本物だ、全く以って空前絶後だ、前代未聞だ、信じられませんーさてしかし…

その力を手に入れた君は一体ナニをすると言うのです?平和な国の学園に戻って平穏に暮らす?いやいやそれはつまらないでしょう。

ネギ君、その力があれば君は世界を救える」

世界を救う…ときやがったか…まさかたぁ思うが私と同じネタじゃねぇよな?

「な…何の話を…」

「それともその力であのアーウェルンクスを殴って満足としますか?いやいや小さすぎる、君はそんな小さい男ではないはずだ。

力を持つものは世界を救うべきなのです。

君の父君は戦の後の10年間、身を粉にして尽力しましたがまだまだ世界に理不尽は満ち満ちている…

――君もそう思うはず。あの村の人々のような犠牲を二度と出さないためにも。

君の上には父から繋がる歴史があり、父に迫る力を君は得た。

世界を救うべきだ、そうは思いませんか。

大英雄の息子であり、自らも拳闘士として名を馳せ、世界最古の王国の血を引く最後の末裔の一人ですらある。

汚名を着せられた王女の息子とはいえ、ウェスペルタティアの血統…この世界の始祖の末裔、その血はこの世界の正当な所有者の証だ、これらが何を意味するかわかりますか――?

君には大変な価値がある。君には世界を支配できる力があるのですよ。いかがです?私と手を組みませんか、世界の半分を差し上げましょう」

「…な…なんなんです、何の話をしているんですか…何者なんです、あなたは」

ある種意味不明…と言うか意図不明の総督の大演説が終わり、ネギが激高する…

「おお…ダメですか、世界を支配するとはつまり世界を救うことでもあるのですが…子供にはムズかしかったですかねぇ」

直後、ネギの魔力奔流の余波で小石が総督の頬を傷つけた。

「おやおや、これは。これで正当防衛が成立しました、私が実力を行使しても問題ないですね」

「貴様…」

「丁重におもてなしなさい」

総督のボディーガードたる装甲兵たちが動き出す…が、ネギはそれを雷天大壮で一蹴する。

「くっ…仕方ありません!あの少年を捕らえなさい!総督を守るのです」

そう、セラス総長が命ずる…立場上、かつネギを確保されない為にはそうせざるを得ないのはわかるが色々と無茶だろうに。

「いえ、それには及びません」

そう、ゲーデル総督が口にした直後、彼は側近から受け取った太刀を抜き、ネギの腕と足を飛ばした…と言うか乱した、が正しいか…そしてそれは明らかに神鳴流の太刀筋であった。

「ほぉ、物理攻撃はまるで効きませんか、本当に雷の上位精霊ですね。こんな化け物相手に素手で殴り合いとは…さすがはJ・ラカンと言った所ですか、でしたら…魔を調伏する我が剣技、受けてみなさい」

と、放たれた斬撃はネギの肩を大きく切り裂いた…障壁貫通…いつぞや刹那が言っていた二の太刀かっ

「神鳴流は人を護り、魔を狩る、退魔の剣…斬るモノの選択など造作もありません」

「チッ」

「ネッ…」

「ネギ様!?」

私、アスナ、夕映、セブンシープがゲーデル総督に向かっていく…が、突撃途中で総督の斬撃を咄嗟に後方に跳んだ私以外はモロに食らってしまい…

「奥義・斬魔剣 弐の太刀…使い方次第ではこのような事も…おや…今のを避けますか」

と、私以外は真っ裸に剥かれてしまった…照準定められたらアウトだな…あの剣技…

 

魔法の射手 戒めの風矢

 

街中である事を考慮して戒めの風矢を打ち込み、さらに跳躍する。

「くっ…知るかぁッこのヘンタイメガネ!」

と、同時に剥かれてもひるまずにアスナが吶喊した。

「これはこれは随分とお転婆なお姫様ですね、少々調教が必要でしょうかっと」

ゲーデル総督は軽くステップで私の戒め矢を避けると斬空閃をアスナに放つ…それは悪手だ…とおもった直後、それはアスナに直撃した…どー言うことだ!?

「おや?っと…」

総督もアスナの能力を知っているのか、不思議そうにしながら私の剣戟を受け止める。

「アスナさんっ」

「アスナさん!!」

「アスナさん!?」

「直撃とは…意外ですね…っと…大方弾かれるか消されると思いましたが…まあ死ぬような傷でもなし、よしとしましょう…ねぇ?」

と、ゲーデル総督は剣戟を交わしながら言うと私にそう、問いかけてくる。

「さて、お嬢さんとの剣での語らいも楽しいのですが…それでは私には届きませんよ…闇の魔法擬きでのドーピングがあればわかりませんが…実力差はわかったでしょう、大人しくしていてください」

「千雨さんっ!」

そうして、私も剣ごと吹き飛ばされて壁に打ち付けられた。

「フ…いい目です、しかし――」

と、私たちの戦力を無力化したゲーデル総督はネギを制圧するような体勢になり、言葉を紡ぐ。

「――君はその力で本当は誰を殴るべきかわかっているのですか?本当の敵が誰なのかを?教えて差し上げましょうか、君にとっての真の敵を」

「僕にとっての…真の敵…?」

「ピンポーン、ここで問題です、君にとっての真の敵とは以下のどれでしょう

A 世界滅亡を企む謎の秘密組織

B 君の父を奪った誰か

C 君の村を焼き、君の人生を根本から変えてしまった何者か

Aは現在、Bは未来、Cは過去…本当のところ、君はAに興味などなく、Bしか見ていない――と見えて本当の本当のところ、君の原動力はCだ。Cに囚われ、Cにのみ突き動かされて君は未来へと進む――」

そんな総督の過大解釈されたネギ解析を私は起き上がり、聡美と共に聞いていた。

「フフ…そのために『闇の魔法』などを習得したのでしょう?なぁに、恥じることはありません、『復讐』は正当な権利です。私はそんな君のような魂のあり方を大変愛おしく思う者の一人ですがねぇ…」

「何をっ…僕の村のコトを何か知っているんですか!?」

「フフ…賢明な君にならばわかるハズ…事件の真犯人は常に…その事件が起こる事で最も利益を得るはずだった誰か…

おっと、ヒントはここまでです。もし君が全てを知りたいと思うなら、私と手を組みなさい、君の願いを叶えて差し上げましょう。

もし…断るのでしたら…仕方ありませんね…君のような危険な存在はここで消えてもらう…と言うのも世の為やも知れません」

と、ゲーデル総督はネギの首筋に刃を当てる…

「「ネギ先生!」」

ノドカと聡美が叫ぶ…ダメ元で行くしかないか…そう覚悟を決めた直後、ネギが弾けた。

「むう…ほぉ…」

と、弾かれたゲーデル総督が驚嘆の声を示す…そこには『雷天大壮2』…改め『雷天双壮』を纏ったネギがいた。

「お断りします!アスナさんをあのような目に合わせる人と手を組むなどあり得ません!」

「ふむ…これはまた…こうなると先ほどのような不意打ちも効きませんし…さてどうするか…」

が、剣技の相性から行って、あまり有利とはいいがたい…しかもネギは負傷している。

「フ…」

ゲーデル総督が笑った、その時何か…煙幕弾が飛来した。

「これは…煙幕…魔法感知妨害、追跡探知妨害…高度なモノですね」

「こっちだ、ナギ!チウ!ぼさっとしてんじゃねぇ!」

トサカの仕業か。

「先生!撤退を」

「刹那さん」

刹那も飛来し、アスナの回収に入る。

「よし、私達も引くぞ、聡美」

「はい!」

と、ネギが念話で撤退を促されているらしいのを尻目に私は離脱を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

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