長旅で疲弊した身体を伸ばすと身体中の骨がバキバキと小気味良い音をたてる。
この俺、
「ふー………やっとこさ着いたな、長かった」
季節は2月下旬、寒さが幾らか薄れようやく暖かさを取り戻し、同時に世間の中学3年生たちが高校受験やらで慌てふためく時期。
もちろん、その慌てふためく者達の中に俺も入っているが、周りの奴らとちょっと違う点があるとすれば俺が受験するのは「料理学校」ということ。
地元ではそこそこ美味しいと評判の定食屋で、小さいころから手伝いをしていたため料理はそれなりにできたためそれを生かせる料理学校へ来たというワケだ。
『基本は全て教えたから、後お前に必要なのは生き抜く力だな!ま、編入試験落ちねぇように頑張れや』
ふと、母さんの言葉が耳にチラつく。別に料理学校ならもっと近いところにあったのだが母さんは「遠月」じゃなければダメだと言った。
料理学校の入学試験で落ちた奴なんて聞いたことねぇし、正直受験と呼べるかどうか怪しいけどな。入学試験があるなら受けなければならない。
落ちるか落ちないか分からん受験じゃあるまいし、緊張しても仕方ないと思い学園へ続く並木道を歩く。しかし、木々の自然を感じつつ鼻歌を口ずさみながら数分歩いた後――――
「ぎゃああああああああ!!」
突然、俺の気分をぶち壊すような阿鼻叫喚が俺の耳をつんざいた。
「進級試験落ちたあああああああ!!!」
「もう人生終わったああああああ!!」
何事かと思い周りを見てみるとそこには地面に両膝をつき、この世の終わりのような表情を浮かべ頭を垂れながら絶叫する者の群れ。
急いで周りを見渡すが、特にそんな叫びをあげるようなことは何もない。なんだ?一体何が起こっているというんだ……?
「退学なんていやだあああああああ!!」
「もう一度!もう一度進級試験を!」
進級試験ってことは、この方々はどっかの学校の中等部から高等部にあがる試験に落ちたってことか。
それにしても高等部に上がれなかっただけで人生終わりって、どんだけ凄い学校なんだよ。まさか今から俺がいく料理学校じゃあるまいな。
「……………いやいや、そんなまさかなー!ははは!」
不安になる気持ちを笑い飛ばし頭から消し去り、並木道をしばらく歩いていくと、地図が示した終点へと着き門の前で止まる。
その門の先を見ると山が二つ、三つ、四つ、いやそれ以上の山があり数多の建物が中には混在していた。
「なんだここ…………学校じゃなくてリゾートじゃん。遠月学園ってのはどこに……」
再び地図に目を移すと見ると、見事にココを示していた。背中に冷汗が垂れ出し、恐る恐るその門にもう一度目を移す。
その門の横にはしっかりと「遠月茶寮料理學園」と書かれた看板。
「………………………」
その時の俺はきっとアホ面をしていただろう。なぜならそこには……
「でけえええええええええええええええええ!!!」
そこには今から俺が受験しなければならない、料理学校。
もとい日本にはありえないような超巨大な学園が目の前にあったからだ。