神の舌
クソデカい門を潜り抜け、歩くこと数分。
ようやく他の受験生たちに巡り合うことができたのだが………。
「お坊ちゃま、どうぞお気をつけてお降りになってください」
「お嬢様、お荷物を試験会場までお運びいたします」
俺が見渡す限り受験生と思われる奴らは護衛に手を引かれ高級車から下ろされる奴、護衛に荷物を持たせる奴などとほぼ全員が高級車&護衛付きのボンボン達だった。
なんか、花よりなんとかと言う漫画を思い出すな………。まさに俺は今あの漫画の主人公のような立ち位置かもしれん。
「
「き、貴様!坊ちゃんを離せ―!」
「ん?」
声のした方を見ると、眉に傷のある奴が如何にもお坊ちゃん育ちと言った男の胸倉を掴み吊し上げていた。それを見た護衛達が急いで止めに入っている。
「おーおー。やだね、あんなチンピラみたいなのもいるのか」
言いつつ見ているとある点に気づいた。眉に傷のある男の格好は周りと比べると金がかかっていない格好をしており、俺と同じくソロプレイヤーだと言う点に。なんだ、俺以外に庶民派もいるんじゃん………ちょっと安心した。
「………っと、ぼさっとしてねーで試験会場行かなきゃな」
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「編入試験会場」と書かれた看板が設置された会場に入る。そこには既に何百人もの受験生が集まっていた。
「おいおい、これ全員受験生かよ………」
ひょっとしたらそこらの大学よりも競争率高いんじゃないか。せっかく田舎からはるばるやって来たのに、これで落ちて帰れとか冗談じゃないぞ。
なんとしても受からねばならんが、入学試験は一体何を行うんだ?筆記か?実技なのか?それとも何か別のか?
「ぐぬぬ………」
「皆さん、注目してください」
一人で色々と葛藤していると、凛々しい声が会場に響き声のした方に目を向ける。
「本日の編入試験を一任されました、
その声の主は、この学園の制服と思われるであろう制服を着て仁王立ちをする女の子だった。整った目鼻立ちに加え、綺麗な髪を腰まで伸ばし、雰囲気に気品を感じさせる。
「入試課からの通達は?」
「読み上げます」
その少女が、後ろの同じ制服を着たボブカットの女の子に問う。彼女もまたこの学園の生徒っぽいな。
「まず申込書類をもとに10人単位で集団面接、その後3品ほど調理の実技」
面接に実技ね………実技の方は自信あるから大丈夫だけど、問題は面接だな。生まれてこの方やったことねぇから何を言えばいいんだか。てか地元じゃみんなタメ口だったし敬語すら上手く使いこなせるか分からんとうのに。
「ふん、くだらない」
試験に関して色々思考を巡らせていたのだが、その少女は「くだらない」の一言で捨て去った。
「そうね………調理台をここに」
何を思いついたか、薙切と名乗る少女は秘書?の女の子に命じ、ガラガラと調理台を試験会場に持ってこさせる。その調理台の上には多種多様な食材が乗っかっていた。
「メインの食材は卵。これで一品作りなさい、私の舌を唸らせた者に遠月学園への入学を許可します」
よっしゃああああああああ来たああああああ!!実技だけならぜってーイケる!ありがとう薙切試験官!!なんだ、結構料理人に優しいじゃないかこの学校、こうなりゃコッチのモンだ。
「なお――――――今から一分間だけ、受験の取り止めを認めましょう」
何言ってんだ、実技でこの試験官に認められればいいだけなのに誰も止めるワケが………
「「「うわああああああああああああああ!!!!!」」」
「…………えっ」
ない、と思おうとした直後に濁流のように受験生が叫び声をあげ出口へ向かって走り出した。あまりにも突然すぎて状況を読めずにポカンとしていると、不意に
「彼女の
などという物騒な台詞が耳に入ってきた。