食戟のキュウト   作:@^言^@

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女王様

 

 

調理台につき、まずは冷静に食材を見るとスタンダードな米に食パンに加えキャベツ、にんじんなどの野菜類に色とりどりの果物があった。こんだけ色々あれば逆に何にするか悩んだが、頭の中で今ここにある食材で一通り組み合わせを考え俺はある答えにたどり着いた。

 

 

「……おし、これでいっか!んじゃ取り掛かかりますかね」

 

 

俺も創真に続き、調理に入る。見てろよ薙切目にモノを言わせてやるぜ。

 

 

―――――――――――

 

 

「ふぁーあ、暇だ」

 

 

調理が始まった少し経った。俺はとりあえず下準備を終わらせたので椅子に座りボーっとしている。

 

 

「……………」

 

 

秘書の子が俺のことを「あれ?コイツ何やってんだ」と言わんばかりの怪訝な眼で見てくる。やめてくれ、照れるじゃないか。隣の調理台に目を移すとせっせと何かを調理する創真と、なぜかソワソワしている薙切が見えた。そしてついに我慢しきれなくなったのか、薙切は創真の元へと近寄る。

 

 

「幸平くん、作る品は一体?」

「えっ!?ここまで見てもまだ分かんねーのかよ!」

「今すぐ不合格にするわよ!?いいこと、私には不出来な品を相手してる暇は無いの!この私の舌に見合う料理を作ってるのかって聞いてるのよ!」

 

 

創真に泣き笑いされ、それに対し薙切は先ほどの威厳はどこにいったのやら子供の用に怒る。

 

 

「いいぜ、教えてやる……俺が作るのは、ゆきひら裏メニューその8!ふりかけごはん!」

「…………………」

「ぶふっ!!」

 

 

まさに鳩が鉄砲を食らったということわざを現すような薙切の顔に思わず吹き出す。秘書の子に関しては無だ。しかしふりかけごはんねぇ………つってもタダのふりかけじゃないだろうし。

 

 

「い、一応聞いておくけど耶雲くんの料理は……」

 

 

創真の料理で不安が加速したのか、すると今度は突然こちらに矛先を向ける。

 

 

「………君は一体何をしているの?料理は?」

 

 

あまりにも暇すぎて椅子でぱっかぱっかとロデオごっこを一人をやっていた俺に薙切は先ほどより冷たい視線で俺を突き刺してくる。

 

 

「もう殆どできてるよ、今冷蔵庫でキンキンに冷やしてるからちょいと待って」

「何を作っているの?」

「ん?フレンチトースト」

「……………ふ」

「ふ?」

 

 

「ふざけないでっ!!」

 

 

またもや調理台をドン!と強くたたき怒声を浴びせる薙切えりなさん。おいおい料理人は手を大事にしろよ。

 

 

「君たち私の事をバカにするのも大概ね!やっぱり、底辺の料理人なんてこんなもの……もう一人は料理どころかお菓子だけど」

「まぁまぁ、緑茶でも飲んで落ち着きなさい」

「いらない!何で卵に関係ないものまで作ってるのよ」

「恷人の言うとおりだぜ、ちょっと落ち着けよ」

 

 

とりあえず創真と俺の二人がかりで薙切を落ち着かせ、帰ろうとするのを止める。

 

 

「恷人は料理できあがったの?」

「いやーもうちょいだ、時計を見る限りまだかかるな」

「そっか。なら俺の方が先に仕上がりそうだな」

 

 

そう言って3分も経たずに創真は料理を完成させ、例のふりかけご飯を薙切の前へと差し出した。

最初は呆れて本当に帰ろうとした薙切だったが、創真に煽られ試しに一口、二口とそれを食べると急に身体をビクビクさせはじめ、ついに膝から崩れ落ちた。

 

 

「確かにウチは小っこい定食屋だし、アンタらが食の上流階級なのも本当なんだろうね」

 

 

ふりかけを底辺と馬鹿にしていた薙切が美味しくふりかけご飯を食べている様子を見て、創真が言う。

 

 

「だけど上座にふんぞり返ってるだけじゃあ、作れねーものもあるぜきっと!」

「くっ…………」

「さぁ、ゆきひら流ふりかけご飯が美味いか不味いか言ってみな!」

 

 

中々かっこいい事を言い自信満々で問う創真。薙切の方はもうフニャフニャだし、こりゃもう受かったも同然だろう。

 

 

「………ま」

 

 

「不味いわよっ!!」

「あれぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 

まさかの一言を言われギャグ漫画のような顔になる創真。えっ?美味しそうに食べてたけど不味かったの?

 

 

「この男は不合格です!外に連れ出しなさい!」

 

 

薙切がそう言うとサングラスをかけた黒服の男たちが突然大量に入ってくる。

 

 

「おい!てめっ、ウソつくなあああああああ!!」

 

 

叫ぶ創真を担ぎ、黒服の男達は会場の外へと出て行った。俺は洗練された無駄の無い動きで創真を連れ去る黒服達を、ただ傍観することしかできなかった。

 

 

「幸平創真……!この私にあんな物言い、許せない!」

「おい、まさかそれだけの理由で不合格にしたんじゃあるまいな試験官?」

「な!?」

「審査の内容に関係なく、自分の感情で合格不合格にするのはかなり問題でしょ」

「ちっ、違うわよ!ほんとに美味しくなかったから不合格にしただけよ!」

 

 

今の一言が気に障ったらしく声を荒げる薙切。俺はふと、その横にあるものに目を移す。

 

 

「………創真の作ったそれ、ちょっと食わせてもらってもいい?」

「フン、勝手にしなさい」

 

 

流石に勝手に食うワケにはいかなかったので、プンスカしている薙切に許可を得て試しに創真の作ったふりかけご飯を一口食べる。

 

 

「うまっ!!全然不味くないじゃないか!」

 

 

それは今まで食べた事のない、未知の食感。まさに新たな世界が広がるような味がした。てかこれで不味いって、じゃあどんな品なら美味いって言わせれるんだよ。

 

 

「やっぱりウソを………」

「人の心配をしてる暇があるの君は?そろそろ時間切れよ」

 

 

あっ。

そうだった、俺はまだ料理を完成させてすらいなかった。

 

 

「さぁ、次は君の番ね………どんな不出来な品を私に出すのかしら?楽しみね」

 

 

そう言いくすくすと笑う薙切の顔には「絶対落としてやる」「不合格にしてやる」と書いてあった。どうやら先ほどの創真の料理に負けたことと、俺に図星を指されたことで随分怒っているようで…。

 

 

「とんだ女王様だな……」

 

 

聞こえないようにボソッと言う。この試験、審査員の選別絶対間違っただろ?ホントに受かるようにできてんのかコレ?

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