春休みに出久くんに雄英から課題が渡される話です
「フンフン〜♪ふふーん♪フゥ!」
今、私オールマイトは雄英高校の施設を見回っていた
母校ではあるがしばらく訪れていなかったので、様々な施設が増改築され、これから教師として働く職場の内容をこの春休みが終わるまでに頭に入れておかなければならないのだった
「ここが保健室ね…リカバリーガールはいらっしゃるだろうか…?」
しかしながら雄英の生徒たちの真面目なこと、春休みの間に雄英の施設を利用して自主練や先生がたにアドバイスをもらうために、ほぼ毎日生徒が誰かしら学校内にいるのだ
当然、事故などで怪我を負う生徒がゼロというわけではない、そのためリカバリーガールは春休みの間も保健室に常駐しなければならない
「失礼します!リカバリーガールはいらっしゃいますか?」
「オールマイト!静かにおし!誰か寝てたらどうすんだい!」
いらっしゃった、雄英の屋台骨ことリカバリーガール
治癒の個性を持つ彼女の存在があってこそ今の雄英の訓練がある
そして私にとっても非常に大事な存在で私の個性のことからこの傷のことまで全て彼女は知っていた
当然頭も上がらない…
「すっ…すみません…リカバリーガール…」
「全く、No. 1のくせにデリカシーがないったらありゃしない!
まあ、二年生にもなればなかなか怪我をする生徒もいない、あたしゃこの春休みの間だけなら暇だからね…ところで」
リカバリーガールは、私の体をじっくりと眺める
「あの…何か…?」
「あんた、ここ最近随分と調子良さそうじゃあないか?何かあったのかい?」
「!お分かりですか!実はこの『ロックシード』というアイテムの効果で栄養補給が非常に楽、かつ効率的に出来るようになりまして…満腹感もあり、まさに今の私にうってつけな」
「この馬鹿!!医者の断りもなくそんなもん使ってんじゃあないよ!!今根津を呼んでやったからね!!」
…………
「オールマイトくん?なんで正座させられているかはわかるね?」
「…ハイ…申し訳ありませんでした…」
「君は平和の象徴であり、ありとあらゆる悪意の抑止力!そんな君が6年前から弱体化しているという事実を誰にも悟らせるわけにはいかないのさ!」
「医者の断りもなくこんなもの使って…全く!」
「…ですが…それ自体はきちんとI・アイランドにいる私の友人に依頼して作ってもらっているきちんとした出自の…」
「『自体は』ってどういうことだい?これのオリジナルの作者は一体誰なんだい?」
…やっちまった…一言余計に話してしまった
「あの…今年のサポート科の新一年生の緑谷出久くんという生徒でして…」
「!?緑谷出久って言ったら!」
「えっ!リカバリーガール、ご存知なのですか!?」
「いや、ご存知も何も…あそっか!君はヒーロー科の試験で忙しかったんだったね、なら知らなくても仕方ないのさ!
いいかい?緑谷出久くんは今年度のサポート科の入試主席生徒なのさ!」
「そうだったのですか!?」
アンビリーバブル…只者ではないと思ったが、まさかあの筆記試験を主席で突破するとは…
「ふーん…しかしねぇ…医者の視点から言わせるとこれは正直言ってあんたにうってつけと言えば確かにそうだ、ヒーローの活動のサポートという点で見ても栄養補給に使われるようなゼリーや固形食なんかと比べ物にならない速度で直接栄養補給が出来る…電気刺激で満腹中枢を刺激するのもいいアイデアだよ」
「うん…正直これを中学生で作れるってのは…正直一年生の授業では手に余るかもしれないねぇ…」
「だけどこんなのはアイデア先行で作り出しているだけに過ぎないだろ?もっとサポートアイテム職人の基本をできているか見るべきだね」
根津校長とリカバリーガールがうんうん唸りだし…根津校長が先に口を開く
「そうだね…plus ultra!より高き能力にはより高き受難を!って事で、緑谷くんにはこの春休みに特別な課題をやってもらおう!そうして一定の能力があると判断されれば他の生徒より進んだカリキュラムを適時与えてあげるって事で!」
そうして、緑谷少年に雄英からの特別な『宿題』が課せられるのだった
…………
「出久ー!雄英高校から電話が!」
母さんが僕を呼び出す、雄英高校からこの時期に電話がかかってくるなんて…何かしちゃったのだろうか…心当たりが多すぎる
「ハイ…電話変わりました…緑谷出久です…」
「ん、俺は今年度のサポート科の担任、パワーローダーだひとまず今年からよろしくね
早速本題に入るが、君オールマイトさんに自分の発明品を買ってもらったそうじゃないか、君が売り込んだのかどうかはわからないが、平和の象徴がつけても問題ない装備を作るだけの実力があるとこちらは認識している
ある程度の実力を持った人間にそれと並かそれ未満の人間に向けた授業をするのは…まあ『合理的』じゃあないって事で
君にはある課題を出させてもらう、入学前だけどもそこはplus ultraって事で…」
「はっハイ!!」
「君には今から電話口で説明するある個性を持ったヒーローのサポートアイテムを作ってもらう、提出期限は入学式当日の放課後まで、できなかったらできなかったってはっきり言ってもらって構わない、でも進んだ授業を受けたいのならしっかり完成させた方がいいと思うよ」
「わかりました!」
よし!そういう事ならやってやる!
「いい返事だね…いいかい?電話口で、一回しか言わない、しっかりメモ取っときなよ?
まず…基本の個性の能力は肉眼で見た対象の個性を抹消するというものだ」
素早くメモを取る
肉眼で見た個性を消す…
「消せるのは発動系と変形系に限る、異形系には効かないし本人には身体能力のブーストもない」
発動と変形には効く…
「それからこれは正直本人の問題でもあるんだけど…彼ドライアイなんだよね…だから目薬が手放せなくてね…」
ドライアイ…!わかりやすい弱点だ!
「ここまで、質問は一回なら受け付けるよ」
「…はい!このヒーローって…『イレイザーヘッド』じゃあないですか!?」
「えっ!?これだけでわかるの!?」
「やっぱり!じゃあ早速作らせて頂きます!」
「えっあっうん…出来上がったらアポなしで雄英に持ってきていいから…あっ来る時には交通費出すからタクシー使ってもいいからね?
それじゃあ楽しみに待ってるから…」
「はい!」
よし…そういう事なら早速やるぞ!
「イレイザーヘッドなら…ゴーグルと一体型のものを作ろう…ドライアイなら…涙液を常時補充出来るように細いチューブに人工涙液を通して…涙液タンクは首元に付けられるようにすればマフラーで隠せるはず…」
………
「ハァー…」
参った…予想以上…まともな情報なんて個性を消すってだけしか言ってないのに彼はメディア露出を嫌うアングラヒーローであるイレイザーヘッドを言い当てて見せた
「どうしたんです?パワーローダーさん」
「あー…相澤くん…いや、今年のサポート科の主席生徒くんがね…」
「俺用のサポートアイテムを作らせる試験って事でしたけど、どうなんですか?」
「ぶっちゃけるよ、彼ね、君のこと知ってるみたいだよ」
「は!?徹底してメディアには出ないようにしているんですよ俺は」
「それでも決してゼロじゃあない、例えばその場に居合わせた人が動画に撮ってネットに上げたとか、それに君だってヒーロー名を名乗っていないわけじゃないだろう?」
「てことは緑谷出久は…」
「筋金入りのヒーローオタクで、ヒーローの知識もある…多分ヒーロー免許持ってるだけでヒーロー活動してないとかでもない限りは知らないヒーローがいるのかどうか…
ね?予想以上でしょ?」
「サポートアイテム職人として、ヒーローの知識は必要不可欠…個性の情報だけでヒーロー名まで割り出すとは…しかもアングラヒーローの俺を…」
おっ、相澤くんが興味を示してる…
早く見てみたいな…緑谷くんのサポートアイテム!
サポートアイテム職人の基本は個性に合った装備を作ると言うところなんだと思います。