杖なんて必要ない   作:青虹

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今回で1巻は終了です。次回からは2巻ですね。Aクラス全く登場してないからどうしましょうかね......

まあ、ちゃんと主人公は絡ませるしどうにかなるでしょ!


懐かしの味とテスト

 学生の味方ゴールデンウィークを越えると、俺たちは再び学校という名の監獄に身を投じることになる。

 

 そして、俺たちの眼の前に立ちはだかるのは、考査とかいう中ボス。

 いつも平均より少し上とはいえ、少し気を抜けば成績が下がりかねない。それに、赤点で退学とか言っていたから、それだけは避けなければならない。

 履歴書に『成績不良により退学』とか書きたくねえ。

 

 そんな訳で、俺は坂柳派の面々と一緒に図書室に来ていた。葛城派から距離を置くためだとか、ベターな場所だからだとか、俺の脳内ではいくつかの説が上がっている。もし前者だったら、葛城派の扱いが酷すぎて軽く同情するな。ただし坂柳に反抗する輩に慈悲はない。

 

 現在俺は数学と格闘中。数Aがほんと嫌い。俺は無心で解く方が好きなんじゃい。

 

 と、俺が頭を唸られていると、どこからか怒鳴り声が聞こえた。うるせえ。

 

「中山くん、静かにさせてきてください」

「あ、強制なのね」

 

 面倒だと思いながらも坂柳の命令に逆らえないため、ため息を吐きながら席を立つ。

 

 言い争っているのは、おそらくCクラスとDクラスの生徒だ。もう少しこの茶番を見ていたいところではあるが、お嬢がキレそうなので止めに行く。

 

「図書館内では静かにしろ」

「中山くんの言う通りだよっ!」

「あ? 誰だお前……って一之瀬も……」

 

 一之瀬いたのか。俺いらなかったんじゃね? 

 とはいえ、口出ししてしまったので引くわけにはいかない。このままズルズル去って行ったらダサいしね。坂柳に小指潰されそうだし。

 

「どうも、Aクラスの中山祐介です」

「チッ、Aクラスかよ……」

 

 Aクラスって言った瞬間日和出したんだけどこの子。

 

「俺たちも勉強してんの。騒ぐなら邪魔だから出てって」

「あ? Aクラスだからって調子乗ってんじゃねえぞ!」

 

 レッドヘアーくん、沸点低すぎやしませんかね……? 俺はただ常識的なこと言っただけなんだけど? それで胸ぐら掴まれるって……

 

 か な り 恐 怖(便意) を 感 じ た。

 

「まあ、殴るなり何なり好きにすればいいけど、もしやったらどうなるか分かってるよね?」

「そうだね。停学とか、最悪退学になっちゃうかもよ?」

「チッ」

 

 レッドヘアーくんも流石に退学は避けたいらしい。大人しく引き下がってくれたようだ。

 

「ところで、何で言い争いになったんだ?」

「こいつらが煽ってきたんだよ!」

 

 だから声でかいって……お前体育祭とかで応援団長やってそう。性格に難ありだから無理かもしれなけど。

 

「まあ、Dクラスの連中がフランシスコ・ザビエルとか言って自慢してたからな」

「あれ? そこってテスト範囲じゃないよね?」

 

 そこは先週の金曜日に範囲の変更があって、テスト範囲ではなくなったところだ。

 ところがDクラスには話が伝わっていないらしい。この前うるさい、と言われた美少女がありえない、といわんばかりの表情をしている。

 

「先週の金曜日に変更だって聞いたんだけど、Dクラスは聞いてないのか?」

「……そうね」

「なら今すぐ担任に確認を取った方がいい」

「分かってるわよ」

 

 Dクラスの面々は荷物をまとめると、小走りに図書館を後にした。

 

「不良品の担任は不良品ってか。お似合いじゃねえか」

「……言い方には疑問を覚えるけど、Dクラスの担任が無能なのはよく分かるな」

 

 なぜ伝えなかったのだろうか。考査は生徒にとって重要なイベントだ。成績にも大きな影響を与えるので、範囲の変更があったならすぐに伝えなければならない。

 

「Dクラスの担任の先生、ちょっと変わってるよね」

「そうだな」

 

 担任として最低限の業務すら果たせないとはこれ如何に。俺たちのクラスには関係ないから深く気にする必要はないが。

 

 一之瀬と別れ、再びAクラスのメンバーと合流する。

 坂柳からありがとうございます、と言われ、それに答えて再び数学の問題に取り組む。

 

 いつもは騒がしい連中も今日はクソ真面目に勉強しているので、俺も自然とその方へ流される。

 

 気がつけば、時計は19時を指そうとしていた。2時間ほど勉強していた計算になる。

 

「腹減ったな……」

 

 そして夜ご飯の時間帯でもある。腹が減ったと思うと、よりお腹が空いてきた。

 

「そうですね。今日はここで切り上げて解散にしましょう」

 

 坂柳がそう言うと、みんな勉強道具を片付け始める。俺もそれに倣い、諸悪の根源を封印して席を立つ。

 

「中山くんはちょっと待っていて下さいね?」

「俺だって腹減ってるんだけど……」

 

 しかも、自炊派の俺はコンビニ弁当勢よりも食べるまでの時間がかかる。

 誰よりも早く帰らないと餓死しちゃう! 

 

「また坂柳とイチャイチャするつもりか?」

「お前だけ羨ましいぞ」

「あ、僕も女の子と待ち合わせしてるからこれで」

「里中ァァァ!!!」

 

 すげえな、あいつ。自ら男を敵に回すとは。俺には絶対にできない芸当だわ。まあ、そんなことしなくても勝手に敵は増えていくばかりだけどな。畜生め! 

 

 そのあと、男どもからは『早く爆ぜろ』とか『早く結婚しろ』とかありがたい(?)言葉をいただき、女性陣からはニヤニヤされた。だから付き合ってねえって。

 

「で、俺だけ残して何の用?」

 

 実を言うと、少し不機嫌だった。早く帰って飯を食いたかったから。それだけの理由だ。だからか、口調も少しぶっきらぼうになっていた。

 

「中山くんはいつも自炊しているんですよね?」

「そうだけど。だから早く帰って飯作んなきゃいけないの」

「では、私もお邪魔していいですか?」

「はえ?」

 

 思わず素っ頓狂な声が出てしまった。坂柳に急にそんなことを言われたら驚かざるを得ないだろう。

 

「ですから、私も中山くんの手料理を食べたいと──」

「それは分かってる」

 

 確か2週間くらい前に高級レストランで奢らされたばかりな気がするんですけどね。一体何のつもりなんだこのわがまま嬢は。

 

「来たきゃ来ればいいけど。材料は足りるだろうし」

「ありがとうございます」

 

 坂柳はご丁寧にも頭を下げた。

 

 いつも通りに並んで俺たちは寮を目指す。

 いつもはここに神室と橋下がいるのだが、それはあくまでも学校生活のみ。プライベートでは俺と二人でいることが多い。

 

 なぜ坂柳が俺に執着するのか分からない。俺に特筆すべき特徴は何もなく、かと言って昔接点があったとも考えにくい。意外と幼少期の記憶はないから本当はあったのかもしれないが。

 はたまたそれ以外にも何か理由があるのか。少なくとも坂柳に興味を抱かせるような点は何もない。

 

 平凡な人間に天才の思考が分かるはずもなかった。

 

 依然として隣の少女は俺の反対側で杖を地面に打ち付けてゆっくりとした速度で歩き続けている。

 

 浮かべる微笑みはいつもと何ら変わりなく、やはり思考を読み取ることはできなかった。

 

「今日は何を作る予定ですか?」

「今日は……豚バラピーマンでも作っとくか。あれ結構簡単だし」

 

 調理時間たったの10分、その間に早炊きしておけばまだもう一品くらい作れるね、やったぁ! 

 

 腹が減って、早く行ってしまいたいのを何とか我慢して坂柳の隣を歩き続け、やっとの思いで自分の部屋に到着した。

 

 玄関を開け、明かりを灯す。フローリングの床にカーペットが敷かれ、ところどころに置かれた小物が出迎える。

 

「ソファーに座って待っていてくれ。すぐに作る」

「楽しみにしていますね」

 

 ささっと作って大体25分。パーフェクト。それでも俺の腹持ちは限界の様子。

 

 テーブルには白米と豚バラピーマン、味噌汁が並んでいる。

 

「いただきます」

 

 坂柳が一口含む。俺はその様子を麦茶片手に見ている。感想は聞きたいしね? 

 

「美味しいです」

「よかった」

 

 これでまずいとか言われたら一生引きこもっていた自信があった。学校へ出ても葛城派や他のクラスに情報を流しまくっていた可能性だってあった。それくらい俺は情緒不安定なのです。

 

「この味噌汁は自分でだしから取ったのですか?」

「ん? そうだけど。昆布と鰹節、煮干しっていうあたり障りのないやつだけどな」

 

 俺は本だしなど信じん。自分で取るだしが至高なのだッ! 地味に味見が楽しみだったりする。

 

「すごく美味しいですよ」

「ありがとさん」

 

 久し振りに純粋無垢な笑顔を見たかもしれない。

 坂柳は整った所作で食べ進める。背筋はピンと伸び、まるで絵のようだった。

 

「何故か懐かしい味がします」

「そう? 気のせいだと思うが」

 

 俺の料理は母さんから教わったものだ。母さんの味噌汁は隠し味としてさっきのだしにごま油を少量加えている。汁を飲むと香ばしい香りがして個人的にはかなりお気に入りなのだが、それを懐かしいと言うとは。

 

「どこかで食べたことがある気がしますね……」

「どっかの店とかじゃないか? 隠し味にごま油入れてるんだけど、そういうところって意外と少なくないだろ」

「そうですね」

 

 坂柳はまた何事も無かったかのように食べ始める。

 

 もし俺と坂柳が会ったと仮定したら、それはいつのことだ? 中学生の時、俺は杖をついていた少女に会ったことはない。小学生の時もそんな子がいた覚えもない。

 

 ただ、もし坂柳が俺と以前会っていたとなると、俺に興味を示していてもおかしくない可能性もある。

 

 あの日、あの選択をしなければ。そうすればあいつに遭遇することもなかったのに。そうだったら俺は……

 

「中山くん?」

「あ、ああ、何だ?」

「難しい顔をしていたので」

「いや、何でもない」

 

 あの過去は今もなお俺に呪いの如くつきまとう。いくら逃げても、どこまで逃げてもそいつはピタリと俺の背後をつけてきて、世界の果てまで追いかけ回してくる。

 俺は過去のしがらみから逃れられない、弱い人間なのだ。

 

 俺はコップ一杯に注がれた麦茶を一気に飲み干した。

 

 

 

 ー▼△△▼ー

 

 

 

 坂柳が駄々をこねた。娯楽がないから、らしい。

 

 俺の部屋は何もないわけではない。しかし、それは最低限のみ。必要以上にものを増やさない。それで片付けられなくなってゴミ屋敷と化してしまうのは御免だからだ。

 

「中山くん、何か娯楽ものはないのですか?」

「ないな。ポイントは節約する派だからな」

 

 今月使ったポイントはまだ1万ポイント程度。その半分以上が食費だ。

 

「暇にならないのですか?」

「テレビと端末があれば十分だろ」

 

 ここで禁止されているのは『連絡』のみ。逆に言えばそれだけで、Y◯uTubeの視聴やスマホゲームのインストール、プレイなどは可能だ。

 俺が暇を潰すには十分なものが既にある。

 

「オセロやチェスは置いてないのですか!?」

「人を部屋にあげたの坂柳が初めてだし」

「なっ!?」

 

 いつも俺は遊びに行く側だからな。里中とか橋下とか後藤とかの部屋にはよく入り浸っているぞ。

 里中の部屋にお邪魔するといつも田中さんがいるのはどういうことでしょうか。はっ、まさか──!? 

 

「そういうわけで俺の部屋にはマルチプレイできるゲームは無い。やりたかったら自分のところから持ってきてくれ」

「分かりました! 分かりましたよ! 今からチェスを持ってきます! 中山くんをボコボコにしてあげますぅ!」

「キャラ崩壊してない?」

 

 普段はお淑やかなのに、どうしちゃったんでしょうかね──っ!? 

 

「不意打ち反対!」

「今度ウノでも何でもいいので買っておいてください!」

「はいはい……」

 

 坂柳は俺の小指を杖で殴りつけ、自室へ戻っていった。流石に買ってくるか。毎回取りに行かせるのも可哀想だしなぁ。

 

 ……別の日にもまた来るつもりなのかよ!? 

 

 彼氏彼女の関係でもないのに部屋にあげまくるってどうなのよ。俺の性癖にヒットしていないのが幸いだが、もし坂柳が田中さんとかだったら一線を越えてしまう自信がある。あと一之瀬もレッドラインですねぇ。

 

 待つこと数分、坂柳がチェスの道具を持って帰ってきた。

 

「すまん、ありがとう」

「早速始めますよ」

 

 手際よく準備を始め、俺の先行で始まる。

 

 チェスをするのはいつぶりだろうか。小中とまともに触った覚えはないので、10年以上前か。

 

「……3300ですか」

「何がだ?」

「中山くんには関係のない話です。気にしないでください」

 

 坂柳が発した『3300』という数字。なにかを指し示しているのだろうが、俺にはさっぱり分からなかった。

 

 気がつけば劣勢に追い込まれていた。坂柳はやはりチェスでも天才らしい。

 

「チェックメイトです」

「強いな。俺には勝てそうにもない」

 

 俺の手を数手先まで見抜き、終始圧倒され続けていた。坂柳の腕前はもはやプロレベルだった。

 

「ですが、中山くんも久しぶりにしては強かったですよ」

 

 圧倒されているところにそう言われてもな。いまいち喜び難いんだよね。

 

「私はそろそろ帰りますね」

「ああ」

 

 あぐらの状態から立ち上がり、玄関まで見送りに行く。

 

「じゃあ。また明日」

「はい、また明日」

 

 俺は坂柳がエレベーターに乗り込むまでずっと後ろ姿を見つめていた。

 

 もしかしたら何か分かるかもしれない。そう思ったが、やはり何も見えてこない。俺と坂柳の関係性はここで出会っただけのもの。そう捉えるのが妥当なはず。

 

 なのに、どうしても見たことがある気がしてならなかった。

 

 

 

 ー▼△△▼ー

 

 

 

「私の勝ちですね」

「さすがに古典以外満点はえぐいって」

 

 高校初めての考査を終え、俺たちは結果を見せ合っていた。

 やっぱり坂柳には勝てなかった。ほぼ満点、唯一満点でなかった古典も98点とか頭どうかしてるぜ! 

 

「中山くんも全教科80点超えじゃないですか」

「真面目に勉強したからな」

 

 これから今回ぐらい勉強しよう。そうしたら坂柳には勝てなくとも、上位に食い込めるだろう。

 

 そもそも、あらゆるところで聞こえてくる点数争いの数字の次元が違うんだよな。当たり前のように90点台が飛び出してくるもん。確かに今回はちゃんとやれば簡単なんだろうけど、流石におかしいって。普通出来る人とそうでない人が混在するはずでしょ? それで優越感に浸るのが最高に楽しいのに(ゲス顔)。

 これがAクラスの実力ということか……! 

 

「気抜いたら一瞬で抜かれちゃうなぁ」

 

 平均より少し上とは地味な順位だ。しかし、裏を返せばそれだけ安定した順位ということであり、低くて悪目立ちするよりはマシである。

 

「私に勝てるように頑張ってくださいね?」

「勝てるとは思えないけどな。でも、やれるだけやってやるさ」

 

 いつまでも負けてばかりではなんかやだ。一科目でもいいから勝ちたいものだ。

 

「おい中山、お前何点だった?」

「ほれ」

 

 後藤が半分煽りながら点数を聞いてきたので、素直に見せてやった。

 

「は? お前高くね?」

「まあ、俺にかかればこんなもんだ」

「つ、次は絶対に勝ってやる……!」

「ちなみにお前は何点だったんだ?」

「覚えてろよ!」

「えぇ……」

 

 返り討ちに出来たのは楽しかったんだけども、点数教えてくれなかったのが納得いかねえ。自分の点数の方が低いからって聞こえてないふりして逃亡したのはもっと納得いかねえ。

 

 そういえば、さっき橋下と点数見せ合ってたろ。ていうかずっと前から勝負やって言ってたもんな、お前ら。

 

「橋下ー」

「なんだ?」

 

 席を立ち、橋下の席へ向かう。

 

「お前どうだった?」

「こんな感じだ」

「意外と高いな」

 

 橋下は80点台から90点台前半の高得点だった。だいたい俺と同じくらい。

 だが、俺が一番知りたいのは橋下のじゃないんだ……

 

「ところでさ、後藤って何点か知ってるか?」

「は? ちょ、橋下言うな──」

「現文が──」

「橋下ォォォ!!!」

 

 なお、後藤の点数は60点台後半から80点台前半だった。

 

「安心しろ、学年平均くらいだ。多分」

「それじゃ納得いかねえよ!」

 

 普通に考えて、この点数も低いってわけじゃないんだけどね。周りが高いから見劣りしてしまうって感じだな。

 

「ロリっ娘を狙ってばかりいないで、高得点を狙ったらどうだ?」

「それは無理」

「よし、じゃあ110番を──」

「マジでやめてくださいお願いします」

 

 真顔で懇願されたので大人しくやめておいてあげよう。Aクラスから犯罪者が出たってなっても困ることしかないし。

 

「じゃあな。いいこと聞けたし、俺は満足」

「橋下、あとで覚えとけ」

「いつでも受けて立つぞ」

 

 何やら戦争が始まりそうなので、そそくさと撤収しておく。

 

「そういえば、このテストは成績にどう反映されるんだろうな」

「clのことですか?」

「そうそう」

 

 クラスの平均によっては多少加算されていてもおかしくないだろう。ただ、それがどれくらいのものなのか、気になるのだ。もしかしたら、1000ポイントを超えるかもしれない。

 

「分かりませんが、考査は学生としてはかなり大事なのでそれなりに入るんじゃないですか?」

「それなりには加算されるってことか」

「そうでしょう」

 

 しかし、年に数回しかないテストだけでクラス順位がひっくり返るとは到底思えない。

 そもそもクラスは実力順で振り分けられており、Aクラスに行けば行くほど平均的な学力が上がっていく。

 

 なくてもいい話なのだが、DクラスがAクラスに上がることはまず不可能だし、BクラスですらAクラスを脅かすには困難を極める。

 

 そう考えると、やはり『clが大きく変動するイベント』があると考えるのが妥当か。

 例えば体育祭。普通の学校では点数で優勝を争いそれで終わりだが、ここならば順位でポイントを割り振ることだって出来る。

 

「要するに、まだ始まってすらないということか」

「そうなのかもしれませんね」

 

 俺たちはまだこの学校に来て2ヶ月しか経っていない。

 この学校について何も知らない俺たちに、この先の困難が予測できるはずもなかった。

 

 どれだけ天才であろうとも、平凡であろうとも、俺たちはまだ()()なのだから。

 

 Aクラスの教室には喧騒が広がる。こうやって余裕ぶっていると、足元をすくわれるのは時間の問題なのかもしれない。

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