閃の軌跡 〜八葉を継ぐ者〜   作:クラウンドッグ

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未だ知らぬ──故に

 

「くあ〜あ」

 

 

ホテルのロビーで大きなあくびをしたのはナギト。昨夜の夜更かしが響き、寝不足を隠す気もない。

 

リィンやユーシス、マキアスはしゃっきりした顔…とは言えないが、少なくとも表情は引き締まっていた。

少し待つと女子──エマとフィーも合流し、特別実習2日目の活動開始だ。

 

 

どうやら昨晩のリィンとユーシスの会話を聞いていたマキアスの2人──否、ナギトを含め3人への態度は軟化しており、本日は良い雰囲気のまま実習に取り掛かれそうだった。

 

 

が、そこにアルバレア家の執事が現れてユーシスを連れて行ってしまう。

ユーシスを欠く形にはなったものの、雰囲気は和らいだままで。

今朝から急にデレ始めたいじりが度を過ぎたのか、ついにマキアスがキレた。

 

「リィン、言っておくが君とのわだかまりは解けたわけじゃないからな!」

 

 

「え、そうなのか?」

 

 

「ナギト!君はいつも上から目線で助言ばかり。そんなのは僕に試験の点数で上回ってからやりたまえ!」

 

 

「それ言ったら俺はフィーくらいとしか喋れないんだが」

 

 

マキアスの照れ隠しとも取れるセリフはエマとフィーにも降りかかる。

エマには「6月に迫った中間試験では負けないぞ」と。フィーには「授業中に寝るな」と。

 

これまでのユーシスとの喧嘩じみたやり取りと比較すれば何と微笑ましいものか。

 

ナギトを始めリィンやエマ、フィーですら微笑のままマキアスの発言を聞き流していた。

 

 

やがて課題に取り組む流れとなり、手配魔獣討伐のために街道に出る事になったA班一行。

 

 

「なあマキアス。 お前…先にトリスタに戻ってないか?」

 

 

その道の途中で、ナギトは切り出した。

 

 

「君はいきなり何を言い出すんだ」

 

 

そのあまりの唐突さにマキアスは怪訝と呆れを混ぜた顔でナギトに振り返る。

 

 

「…いや、お前がいいと思うなら別に構わないんだが」

 

 

「何を言いたいんだ? そら、昨日のリベンジをするんだろう?」

 

 

「そうだな」と引き下がるナギト。

ここでマキアスを説き伏せるだけの材料がないのだ。漠然とした不安(根拠のない確信)はあるものの。

嫌な予感が頭から離れないのだ。

 

無理やり何かを挙げるとするなら、今現在A班はユーシス・アルバレアというバリアハート住人に対する鬼札を失っている状態であると言う事。

 

しかしそれだけで説得の決定打になるはずもなく。

 

 

☆★

 

 

その後、手配魔獣の討伐は滞りなく終わる。昨日と違い連携はバッチリで言う事なしの結果であった。

 

 

問題は、バリアハートに戻ってから起こった。

 

 

領邦軍がマキアスを拘束すると言ってA班を取り囲んだのだ。

容疑はいくつもあるが、大きなものは昨日のオーロックス砦への侵入罪だそうだ。

 

 

「おいおい、オーロックス砦へ侵入したのは銀色の飛行物体じゃなかったのか? マキアスのどこに銀色の要素があるってんだ。眼鏡か?眼鏡のフレームか?」

 

 

「貴様…なんだ!? 文句があるなら詰所で聞くが?」

 

 

領邦軍の兵士たちにイチャモンをつけてみるが、返ってきたのは脅しだ。

 

 

「ハッ!話を聞くって?問答無用で帝都知事の令息を連れて行こうとするアンタらがか!?」

 

ナギトが抱いていた嫌な予感は的中した。

ユーシスという貴族権威への防波堤を失ったA班は貴族の街であるバリアハートで後ろ盾を失ったも同然。“名門トールズ”の看板も見境なしが相手では輝きも鈍る。

 

ナギトの見透かした罵倒にカッとなった兵士の1人が携帯していた銃を振り上げた。銃把で殴るつもりなのだろう、街中で引き金を引かないだけマシだ。

 

が、大振りのそれを素直に受けてやる道理もなく。

 

 

ナギトは兵士の足を思いっきり踏みつけると、痛みに腰を折ったそいつの顔面にアッパーカットを食らわせた。

 

 

 

「おっと。僕ったら脚が長いもんでして。あ、これひっかけた時の言い訳だったわ。あとアッパーはオマケね」

 

 

背中から倒れた兵士を見て領邦軍は素早く銃口をナギトに向ける。

 

 

「手を挙げろ!抵抗すれば撃つ!」

 

 

舐め切った態度に公務執行妨害のオマケつきでナギトもマキアス同様領邦軍に連行される事となる。

貴族の子息であるという事だけを即座に明かしたのは射殺を免れるためだった。

 

マキアスと並んで連行されるナギトは一度だけ振り返って「あとは任せるぞ!」とリィンらに呼びかけた。領邦軍兵士の銃に小突かれてまた歩き出すナギトは、返事をしないリィンの決意を秘めた眼を見て軽く笑むのだった。

 

 

☆★

 

 

領邦軍詰所地下の牢獄にぶち込まれたナギトとマキアス。

そこでナギトは今後について思索に耽る。

 

 

まず今回の特別実習についてだが。

リィン、エマ、フィーの3人はナギトとマキアスを助けるために動いてくれるだろう。

正面からドンパチするわけもないから、おそらく地下水路経由で潜入を試みるはず。

 

ユーシスについては実家で軟禁というところか。まあ、あの男の事なので大人しく捕まっているだけのわけがないが。

 

 

次に、今後の展望について。

この件でⅦ組が貴族派に睨まれる事は……表立ってはないはずだ。

 

なぜなら、これが誤認逮捕だからだ。この件について真実が明らかになればアルバレア家はマキアス──Ⅶ組に対して負い目ができる。ナギトに限っては誤認逮捕もくそもないわけだが、なし崩し的に無罪放免される事だろう。──これが表向き。

 

しかし実際この件の狙いは革新派への牽制。レーグニッツ帝都知事という重鎮の息子の身柄を押さえ、何らかの交渉で有利に立つための。しかし帝国は法治国家であり、いくら大貴族と言えど誤認逮捕からの人質交渉なぞ反発は免れない。

 

つまりこれはアルバレア公爵の焦りに身を任せた悪手───

 

───焦り?

 

 

ナギトの内に、小さな疑念が生まれつつあった。

しかしそれが形となるより先に、マキアスから声をかけられている事に気づく。

 

 

「…い、おい!ナギト、聞いているのか!?」

 

 

「うん、なんだ?」

 

 

「どうしてあんな真似をした! 捕まるにしても、それは僕1人でよかったはずだろう!?」

 

 

マキアスの問いはシンプルでそれ以上の意味はなく、しかし言葉足らずだ。

 

視野が狭く思われたマキアスだが、頭の回転はむしろ早く、今回の冤罪が何を目的にされたものかはわかっていた。

つまり、貴族派と対立する革新派の重鎮であり、マキアスの父親でもあるカール・レーグニッツ帝都知事への牽制。

 

それをするために領邦軍──引いてはアルバレア公爵はマキアスの身柄を確保したのだ。

 

 

「まーほら、1人だと心細いじゃん?」

 

 

「いかにも今思いつきましたって感じだな…」

 

 

実際のところ、貴族の横暴に腹が立ってたからやり返したかったから、というのとその後の展開的には牢屋にいた方が楽ができると思ったからだ。

 

 

「あれ、でもよく考えたらリィンあの野郎、両手に花じゃねえか!計ったな!?」

 

 

「って君はいつもそんな事ばかり考えているのか!?」

 

 

当初は6人いたA班も今やユーシスに加えマキアスとナギトまで離脱し、リィン、エマ、フィーの3人のみ。仮想ハーレムの完成である。「これは計られたなあ」とまた悔しげに言うナギトに、マキアスが笑みをこぼした。

 

 

「ふっ…… 君は…本当に傲慢な男だな。不安なのは一緒だろうに、そんな軽口で僕の不安を和らげようとしてくれる」

 

 

「………まあな!」

 

 

「なんだ今の間は!?」

 

 

「急に嘘臭くなったな…」とナギトにジト目を向けるマキアス。

それを見てナギトは柔らかく微笑む。

 

 

「君は……どっちが本音なんだ!?」

 

 

気を使ってマキアスと軽口を交わしているのか、本気でリィンが両手に花だとか言ってるのか。

もちろん前者という理解はあるが、ナギトの態度がそれを否定しにくる。

翻弄されているのだと思いながら、自分とナギトの距離感は今後もこんな感じなのだろうという気も湧いた。

 

しんみりしたりツッコミを入れたりと表情をころころと変えるマキアスに「あっはっは!」と大笑するナギト。

 

 

しかしそんな穏やかな時間は長続きしないもの。複数人の足音が聞こえたかと思うと、ナギトとマキアスの入っている牢屋の前で止まった。

 

 

「黒髪の方、出ろ」

 

 

物騒な、それでいて不満げな領邦軍の司令官の指示により鉄格子が開かれ、ナギトが連れ出される。

 

 

「なんだ、今更別の牢屋に入れようって話かな?」

 

 

「無駄口を叩くな」

 

 

笑い声が癇に障ったのか、と推測しながら領邦軍兵士の数を数える。5人。一瞬で倒すには多い人数。逃げ出す前に応援を呼ばれて囲まれるだろう。

 

しかしどうするべきか、ナギトは素早く思考を巡らせた。従うべきか、逃げるべきか。

 

最近の頭痛のタネである例の“確信”はこんな時に限って降ってこない。

 

 

やがて時間切れだ。背後の鉄格子は閉じられ、マキアスとの共同脱獄の可能性も消える。

 

舌打ちしたい気持ちを抑えて、最後に軽口を言って領邦軍に連れられていく。

 

 

「それじゃお先〜」

 

ウィンクを添えて。

向けられたマキアスは苦笑いするしかなかった。

 

 

 

☆★

 

 

領邦軍兵士に連れられてナギトが来たのはアルバレア家の城館だった。そこから更に進んで中庭に出る。

 

芝生の整えられた、広い場所。

 

──剣が振れそうだ、なんて考えに自己の剣士性を感じて苦笑してしまう。

 

そこで待っていたのはルーファス・アルバレアだった。

洒落たイスに座り、テーブルにはティーセット。2つのカップからは湯気が立ち上り、今しがた淹れたものだと推測できる。

 

 

「連れて来ました」

 

 

「ご苦労だった。下がるといい」

 

 

領邦軍兵士はナギトをルーファスの前に差し出す。どうやらルーファスがナギトをこの場に連れて来るように命じたらしい。

 

 

「は、しかし」

 

 

「下がりたまえ、と言ったんだ」

 

 

イスの近くにはナギトの装備一式が置いてあった。領邦軍兵士はこれを手に取ったナギトがルーファスに襲い掛かる事を危惧しているのだ。

しかしルーファスは知らん顔で──否、そうなっても問題ないと言わんばかりに兵士を追い払う。

 

やがて中庭にはナギトとルーファスの2人だけになりる。ルーファスの「座りたまえ」というセリフに従ってナギトは着席した。

 

 

「今回の件は貴方の企てですか?」

 

 

着席と同時に先制したのはナギト。この翡翠の貴公子と対して飲まれまいとする意気の現れであった。

そもそもそうする事自体が飲まれかけている証左でもあったが。

 

 

「この件、とは?」

 

 

とぼけるな、とは言えないし舌打ちもしない。

 

 

「マキアスの、逮捕」

 

 

言葉選びは慎重に。態度がどうあれ、敵意に類するものを形として表すわけにはいかない。

 

 

「それか。それは父上の暴走だよ」

 

 

言葉を交わす一つ一つで肝を冷やすナギトとは裏腹にルーファスは余裕げに答える。

 

 

「緊張しているようだね」

 

 

余裕を醸すルーファスに馬鹿らしくなってたナギトだったが、そんなルーファスの見透かすような言葉で再び身体を硬くした。

 

 

「ふむ……少し世間話でもしようか。 そうだね…今の帝国をどう思う?」

 

 

ナギトの緊張をほぐすためか、ルーファスは世間話をすると言う。しかしその話題が帝国についてとは、ルーファスにとって帝国全土が世間の範疇に含まれるようだ。

 

 

「危うい…ですかね」

 

 

「ほう、それはどういう?」

 

 

ルーファスが“世間話”と言うのだ。ナギトも気を遣い過ぎるという事もないと考えて、今月と先月の特別実習でも言及した帝国の現状について語り始める。

 

 

 

「革新派と貴族派の対立──それによる、言わば権力のバランスが、です」

 

 

思い返す。先月の実習…《風見亭》でどんな事を話した?昨日のオーロックス砦を見た感想はどうだった?

 

 

「どちらか一方が強くてもいけない。バランスが崩れますから。……しかし今、正規軍はもちろん領邦軍も軍拡が進んでる……互いに主導を握らんがために」

 

 

「軍事力を背景に、互いに自らの言い分を通そうというわけだね。革新派は改革を推し進め、帝国をより強靭な国家にするため………、貴族派は国の中枢に返り咲き、古き良き国家に戻るため……」

 

 

「はい。しかしバランスが崩れ、秤が傾けば、その余波は帝国そのものを揺るがすものとなる」

 

 

「具体的には?」とルーファスが先を促した。ナギトはテストで採点でもされている気持ちになる。

 

 

「例えば、革新派と貴族派で内戦が起これば、その隙をカルバード共和国に突かれるでしょう」

 

 

「ふむ、そうだね。帝国と共和国は長年の仇敵同士……近年ではリベール王国が仲介し、条約などを結ぶに至ったが…」

 

 

「まあ、ハリボテですよね。未だクロスベルの件でもバチバチですし」

 

 

と言ってナギトは話が少し逸れたと思った。 世間話はあくまで帝国についてだ。

 

 

「つまり、そういった事情もあるから、きっとこの危ういバランスはしばらく続くと思います」

 

 

互いの軍事力だけでなく、東の脅威も手伝って、動くに動けない状況である──ナギトはそんな風に話を締め括る。

 

ルーファスは「なるほど」と頷き、その見透かすような、透徹した青い眼差しをナギトに向ける。

 

 

「しかし、もし仮に帝国内がどちらかの勢力に統一されたとすれば……どうだね?」

 

 

その言葉がナギトには空恐ろしくてたまらない。まるで内紛が起こる事を予見──宣言しているように感じられたからだ。

 

 

「それこそとんでもないでしょう。仮に帝国が一枚岩になれば、それは名実共に最強軍事国家の誕生だ。そうなれば、世界各国が対エレボニア帝国同盟でも結んで大戦が起こるのでは?」

 

 

しかしナギトはそれに答えてみせた。あくまで“仮”の話なのだ。

 

 

「フフ……それはまた随分と飛躍したね。しかし君は帝国が負けると思うのかね?」

 

 

「所詮は学生の妄想ですよ。 さすがに世界が相手じゃ帝国も負けると思います。不快に感じるかもしれませんが」

 

 

ナギトの言葉にルーファスはまた笑い、「なに、聞いたのはこちらだ」と言った。それからカップに手を伸ばして紅茶を啜る。

ナギトも同じように紅茶を飲んで、その美味にユーシスが紅茶党になった理由に納得する。

 

 

「さて、では本題だ」

 

 

そしてルーファスはそう切り出した。ナギトは睨むようにルーファスを見つめ、しかし言葉は発さない。

 

 

「それはずばり、君たちの現状について」

 

 

この“現状”と言うのはマキアスとナギトが逮捕され、ユーシスはどこぞに連れ去られている状況を指す。

 

 

「先程も言ったが、これは父──ヘルムート・アルバレア公爵の暴走だ。長期的な視野で見るとそうでもないが、当事者であり特別実習中の君たちは非常に困っている……そういった認識で構わないかな?」

 

 

先程の世間話の時と同じ、余裕のある表情のまま──否、若干の悪辣を滲ませつつ、ルーファスは問い、ナギトは「はい」と答える。

 

 

「私にはこれを止めるだけの力がある。…しかし勘違いしないで欲しい。いくら私がアルバレア公の次代と言えど、現当主を相手に無理を通すのは楽ではない」

 

 

ルーファスの回りくどく、しかし伝わりやすい文句に、その意図を察したナギトが続きを紡いだ。

 

 

「つまり、交換条件てなわけですね? 俺たちⅦ組A班の特別実習を助ける代わりに、何かを差し出せと」

 

 

「いかにも」と気取った──いやらしいほど様になる仕草と共にルーファスは立ち上がり、中庭の中央に向かって歩き出す。

 

 

「そして賢い君ならすでに気づいているだろう。───私が何を求めているかを!」

 

 

抜き放つ、長剣。

鍛えられた白刃は、鍔から柄にかけて金色と翡翠の装飾が模られていて、それがひどく貴公子然としたルーファスに相応しく思えた。

 

 

そもそも、なぜルーファス・アルバレアはナギトだけを牢から出し、自らの眼前に呼び出したのか。

それは紅茶を味わってもらうためではなく、宣言めいた世間話をするためでもない。

 

 

「私と立ち会いたまえ、ナギト・シュバルツァー」

 

 

ナギトと、戦うためだ。

 

 

☆★

 

 

ゆっくりとした動作で剣を構えたルーファスを見てナギトは息を飲んだ。

 

柔らかな佇まい。自然体でありながら、まったく隙がない。それはまさしく宝石のような印象を覚えた。

 

そして、直感する。

あのユミルで目覚めてから今日までで見てきた剣士の、誰よりも強い。

 

一年余りを共に過ごしたリィンよりも。

新入生最強と呼ばれるラウラよりも。

未だに勝てないフリーデルよりも。

 

ずっと、ずっと強い。

 

 

そこまで考えて、「はっ」とナギトは笑った。

 

 

「何がおかしい?」

 

 

その笑みの理由をルーファスが尋ねる。ナギトは残った紅茶を一気に飲み干すと立ち上がり、太刀を鞘から引き抜いた。

 

 

「いやなに、俺の世界も狭いなあ…と」

 

 

ルーファスの構えを見て、今までの誰よりも強いと思った。

しかしそれは剣士としての話。サラはもちろん、先月の実習で助けてもらったTMPのクレアも相当強いだろう。それにトールズ士官学院の学院長たるヴァンダイクはそれこそ破格の強さを誇るはずだ。

 

それでも、ナギトが挙げられる比較対象はたったのそれっぽっちだ。

ついさっきまで帝国がどうの、大戦がどうのと語った口で、“ルーファスが今まで会ったどの剣士よりも強い”だなんて笑わせる。

 

 

ルーファスとの距離はおよそ20歩。

 

 

───合図は、なかった。

 

 

 

 

 

脚力を爆発させる。20歩の距離が一瞬で消失した。

すれ違い様の斬撃は受け止められる──が、足は止めない。

 

「ああ、最高速の疾風だったさ!それが受け止められて自信喪失だよまったく!」

 

 

やけくそのように叫ぶ。ルーファスはそれを、360度からブレるような音として捉える。

 

 

「噂に聞く《風の剣聖》───それは彼の得意とする『疾風』か」

 

 

ナギトは、止まらない。

疾風のスピードを保ったまま、ルーファスの周囲を不規則に走り続ける。

 

脚力を、爆発させ続ける。

 

 

自らより湧き上がる疑問。

 

スピードを保てるのか。

無理だ。

 

「続けんだよ」

 

体力が保つはずがない。

そうだな。

 

「知らないね」

 

勝てると思っているのか。

負けるよね。

 

「それを」

 

 

縦横無尽。斬撃と共に走る。

 

 

「決めるために!」──戦うのだ。

 

 

太刀は長剣に受け止められる。視線が交錯する。

ナギトの発奮につられるようにして、ルーファスも笑んだ。

 

相手が倒れるまで疾風を続ける。無限疾風とでも名付けようか、いや無限は無理だからせいぜい九十九疾風というところか。なんてナギトはどこかで思考しつつ、ルーファスが確実に反応できている事を理解した。

 

 

「フフ……なかなか止まらないものだ。では…」

 

 

ルーファスが対応に慣れ、反撃に移ろうした瞬間、これまで疾風で斬撃を重ねていたナギトは跳躍した。

 

 

「──孤影燎原!」

 

 

空中で幾つもの孤影斬を放つ。それはまさに斬撃の雨あられ。それがルーファスに降り注ぐ。

 

 

「甘いな」

 

 

ルーファスは空中のナギトに手を翳す。するとまるで放った孤影斬を吸い込むようにして闇色の球体3つが出現した。

 

それは引力を有し、ルーファスに降り注ぐはずだった細かな孤影斬もろともナギトを吸い寄せる。

 

「レネゲードエッジ」

 

 

横薙ぎの一閃を、ナギトはなんとか受け止めた。しかし勢いには負けて大きく弾き飛ばされる。

 

背中から地面に落ちて、芝生をごろごろと転がり、剣を杖にしてようやく立ち上がる。

 

 

「どうした、こんなものかね?」

 

 

対するルーファスはと言うものの、余裕の表情である。その言葉は挑発と純粋な疑問を兼ねていた。すなわちナギト・シュバルツァー──否。《剣鬼》の実力はこの程度か、と言っている。

 

 

断じて否である、と言って立ち上がれれば良かった。

しかし無理だ。ナギトの剣技は、記憶を失って目覚めてからの一年半で驚異的に冴え渡りつつあるものの、それはまだルーファスには遠く及ばない。

 

《剣鬼》であった頃の剣技を引き出す“自失無我”も、こんな状態では使えようもなく。

 

 

丹田に力を入れてナギトは立ち上がる。そして太刀を正眼に構えて、深く呼吸をした。

 

 

「来ないのなら…こちらからいくぞ!」

 

 

ナギトの受け身の姿勢を認めたルーファスは長剣を構えると突っ込んだ。疾風もかくやと言わん速度に、しかしナギトは驚かない。

 

翡翠の輝きを放つ長剣が肉薄する。すでに避ける距離ではなく、受けられる強度はなく───ならば、受け流せば良い。

 

 

勢いに乗った袈裟斬りに沿うようにして太刀を這わせた。それでわずかに軌道を逸らし、しかしそれは剣士にとって致命的なズレとなる。

 

よもや受け流されると思わなかったルーファスは勢いのまま体勢がほんのわずかに崩れる。それはすぐに立て直せるものであるし、剣を差し込む隙もない、小さな間隙。

 

そっと背中を押すように、ナギトの手がルーファスの肩を突き飛ばした。

 

距離はわずか1歩分。時間はおよそ1秒に満たぬ。

 

 

太刀が納刀される。

 

 

「───神威残月」

 

 

そして、神速を伴って抜刀された。

 

 

斬撃が迸る。

 

 

「ぐ、うおおお……!」

 

 

あるまじき速度で抜刀され、発射された剣閃をルーファスは長剣で受けていた。

ナギトが突き飛ばしたのは太刀を振る距離と時間を稼ぐためだが、それは同時にルーファスが体勢を立て直す時間を与えた事でもあった。

 

それによりルーファスは、ナギトの次の攻撃に備えられたのだ。

ルーファスにとって予想外だったのは、その一撃が強烈だった事だ。余裕だった表情が驚きに染まり、そのまま押し負けて吹き飛ばされていく。

 

長大な弧状の斬撃は中庭の芝生を切り裂き、土煙を上げながらルーファスを押し込んでいく。しかしそれはやがて減衰し、溶けるようにして消えていった。

 

 

ナギトは肩で息をしながら、巻き上げられた土煙の様子を伺う。

 

「はは…“やったか!?”って感じだな…ったく」

 

 

つまり、やれてないという事だ。

そんな予感を裏切らぬように、土煙の中からルーファスが現れた。

 

 

「……今のはいささか驚いたよ、ナギトくん」

 

 

多少の汚れこそついたものの、何もダメージらしきものを負っていないルーファス・アルバレアがそこにはいた。

 

ルーファスにとっては褒め言葉なのだろう。それが皮肉っぽくなるのはユーシスと似ているとナギトは思った。

 

その裏で、ナギトは自らの直観を受け入れる。

 

──“勝てない”

 

 

 

───“このままじゃ、勝てない”

 

 

 

 

ルーファスの剣技は、ユーシスの剣技の上位互換に当たる。

そのイメージは図に当たった。それがルーファスを驚かせた一撃に繋がった。しかし、それについても学習された以上は、また目新しいものでないと対応される。

 

 

さてどうしたものか、と頭を悩ませていたナギトに、空を疾る斬撃が襲いかかる。八葉一刀流で言う孤影斬に当たる、斬撃を飛ばす剣技。その宮廷剣術バージョンだ。

 

2連で放たれたそれの一撃目を太刀で掬い上げて己がものとし放ち、2撃目はそれをぶつける事で相殺する。

 

その様子を観察していたルーファスは「なるほど」と呟く。

 

「“螺旋”の技術か。良くもまあ器用にやるものだ。先程の受け流しもそれの応用かな?」

 

 

「まーそうですねー」

 

ハイこれで一の型も学習されましたー!と内心で絶叫するナギト。

この他にも二の型、五の型、六の型はすでに見せた。残るは三、四、七だが、そのどれもが宮廷剣術に通じている気がして、ルーファスには効きそうにない。辛うじて目がありそうなのは七の型“無”であるが、こちらはナギトの練度が低いためおそらく無理。

 

これもう詰んでるのでは?と思考を放棄しかけるが、剣士としての本能がそれを拒否する。

 

八葉で道が拓けぬならば、外からもってくればいいのではないか。

しかし、そんな付け焼き刃がルーファスを相手に通用するのか。

 

では、外の技を八葉に落とし込めばいい。

 

 

手本は? 目の前にあるじゃないか。

 

 

双交剣派(ダブルブランド)

 

 

 

目の前の男の雰囲気が変わったのを感じとったのだろう、ルーファスは油断なく長剣を構えて受けの姿勢を見せる。

 

ナギトの姿が消える。高速で距離を詰める疾風──もはや見飽きたと言っていいほど繰り出された剣技。

ルーファスの力量ならば後出しでも対応できる練度。

 

 

だが。

 

 

「逃がしは──っ!?」

 

 

防ぐだけでなく、太刀を受けつつ離脱を許さない位置取り。

しかし元より離脱する意思はナギトにはなく。

 

鍔迫り合う太刀と長剣。ナギトの空いた左手に赤い輝きが──

 

 

闘片集約(ブレイブコネクト)

 

何せ初めての作業だ。確認するように工程を口に出す。

 

 

刀剣創成(ブレード・オン)

 

 

──集束する。

 

光を放つ──否。光そのものである剣がナギトの手に創り出された。

 

 

緋技(ひぎ)───」

 

 

振り下ろす。

 

 

「──虚空剣」

 

 

緋色の輝きを灯して、剣はルーファスに肉薄する。

 

すでに避けられる範囲ではなく、長剣は太刀の防御に回している。勝った─そういう確信がナギトの中で芽生えた、

 

 

「おおおっ!」

 

 

瞬間。ルーファスは雄叫びを上げ、逆に距離を詰めた。

 

それにより虚空剣はルーファスの背中を薄く切り裂くに留まり、そのまま太刀を防いでいた長剣を滑らせてナギトを打ち据える。

 

 

「ぐうっ!?」

 

 

今度こそ受け身も取れずに倒れ、太刀は手放し、虚空剣は霧散した。

 

呼吸が止まった一瞬、空は憎いほど青く──。

そのまま倒れ伏して理解した。

 

完全に、敗北したと。

 

 

☆★

 

 

「さすがに今のは肝を冷やしたな」

 

 

ルーファスは長剣を鞘に納めながらひとりごち、自身とナギトに導力魔法ティアを施した。この激しかった戦闘も、終わってみれば互いにダメージは軽微だった。ナギトの方は疲労困憊といった様子ではあったが。

 

ナギトはため息混じりに立ち上がり「どーも」と礼を言う。そのままじーっとルーファスを見て、

 

 

「なんだね?」

 

 

「いえ、なんというか……なんなんです?」

 

 

ナギトの内には様々な疑問が渦巻いていた。それがごちゃ混ぜになって言葉にならない。

 

 

「考えがまとまらないかね?」

 

「フフ」と笑い、ナギトの胸中を見透かすようにルーファスは続ける。

 

 

「ならばこちらから聞こう。その間に落ち着くといい」

 

 

ナギトが「わかりました」とまた嘆息すると、ルーファスは「では」と切り出す。

 

 

「先程の剣技…あれは何かね? 見たところ、宮廷剣術に通じるものがあったようだが」

 

 

「まあ、ほぼパクリですから。宮廷剣術には剣に闘気を纏わせてリーチと威力を底上げする技があるでしょう?確かユーシスは“ルーンブレイド”とか呼んでましたか…」

 

「ああ。宮廷剣術だけでなくアルゼイド流など──帝国武術にはそのような戦技が多い。君も知っているだろう通りな」

 

 

たしかにラウラのSクラフト『洸刃乱舞』などもそうだ。眩い光を放ち威力とリーチが伸びる。

 

しかしアルゼイド流のそれは攻撃力特化。その流麗と汎用は宮廷剣術が勝る。

宮廷剣術を採用した特段の理由として、その剣技は剣全体を輝きで包む点があった。アルゼイド流が刀身だけに闘気を集中させるのとは違い、宮廷剣術は剣そのもの──柄尻から鋒まで闘気を帯びさせる。

 

だから剣そのものとしてのイメージがし易かったのだ。

 

 

「俺のこれは、自らの手の内に剣があると仮定して、それに闘気の刃を纏わせる…言わば、虚ろの剣。例えるなら、かぶせる頭もないのに用意したカツラというわけです」

 

 

その比喩にルーファスは吹き出した。「面白い例え方をするのだね、君は」とひとしきり笑ってから、真面目な顔に戻る。

 

 

「だが、見たところまだ未完成……しかも使い勝手も相当悪そうだ」

 

 

あの一瞬でどこまで見抜くのか、とナギトは戦慄を覚える。

戦技“虚空剣”はひどく燃費が悪い。手順としては闘気を集約させて剣を造り出し、そこにさらに闘気を流して強度を上げるのだが……、まず“闘気を集約させて剣を形造る”というのでごっそり気力(CP)を持ってかれてるのだ。

 

体感的には不意打ち1つするためにSクラフト級の闘気(CP)を使ってるようなイメージだ。

 

 

しかしそんな事まで説明する理由はなく、「そうですね、燃費悪いんですよ」と言うに留める。

 

そうして、自分が落ち着いた事を理解したナギトは頭の中を整理して、「じゃあ今度はこちらから」と質問を始める。

 

 

「そもそも、どうしてこんな模擬戦を?」

 

 

「ふむ、そうだね……1人の武芸者として、君の実力に興味があった、というのはどうだね?」

 

 

メチャクチャ胡散臭い物言いではあったが“《剣鬼》の実力測定の意図があった”と理解する。

 

 

「ご期待には沿えなかったようで」

 

 

「そうでもない。君としての実力も見えた事だしな」

 

 

腹芸ならぬ腹芸。《剣鬼》としての実力は見えずとも、現状のナギトの力量は測れたと言っている。

 

 

「じゃあ次に……随分余裕がおありのようでしたが、それは決着の一撃に響きましたか?」

 

 

ルーファスに倣い、ナギトも迂遠な物言いをしてみる。

要は最後の一撃…ナギトを打ち据えた長剣の剣腹での殴打の意図を問うている。

ルーファスは虚空剣を受けつつ最後の一撃を繰り出したのだが、それは刃によるものではなく剣腹による打撃だった。あのまま剣を振り抜かれていたら死んでいたはずなので、ナギトとしては悔しさ余って感謝百倍という所なのだが……

 

 

「余裕…ではなかったがね。あの戦闘の最中…いくつも危ない場面はあった。しかし、それを押しても私は君を傷つけられない立場だったのでね」

 

 

「立場?」とおうむ返しにナギトは聞く。言い回しもそうだが、内容そのものに疑問を覚える。

立場とは?ナギトの内でいくつもの推測が形になる前に、ルーファスが回答した。

 

 

「ああ、言ってなかったかな。私はトールズ士官学院の常任理事なのだよ」

 

 

「は!?」

 

 

「私はトールズ士官学院の常任理事なのだよ」という一言で、ナギトの思考は吹っ飛んだ。しかし頭の片隅ではなんとなく“そうだろう”と理解している自分もいて。

 

 

「あー……あー………、なるほどな、くそっ!」

 

 

悪態を吐く。ルーファスの優雅な笑みがいやらしく見えた。

 

 

「じゃあつまり…あれですね、茶番?」

 

 

端的に、ここでの出来事を総括した。

 

きっとここでの“交渉”がなくてもルーファスは常任理事の務めとしてA班の連中を助けていたというわけだ。

優雅に…否、悪戯っぽく「フフ」とルーファスは微笑む。

 

ナギトはそれに引き攣った笑みをこぼし、

 

 

「あなたも大概…タヌキですね」

 

 

「──いいや、私は城将さ」

 

 

 

☆★

 

 

 

それからルーファスはヘルムート・アルバレアを説得するとサラと合流し、地下水路で奮闘中のA班を救出した。

 

その中で、やはりルーファスをトールズの常任理事だったと知らぬユーシスが驚愕するワンシーンなどあったりしたが事態は無事に収束し、すでに夕刻だった事もあり、トリスタには翌日帰還する事になった。

 

 

その帰りの列車でサラの名言が炸裂し、皆が爆笑した時にマキアスが気づいた。

 

「どうしたナギト、君が一番笑いそうなものだが…」

 

「“今しか得られない“何か”を掴むことは出来るはず」という名言。普段の様子からはかけ離れたギャップに生徒たちは大爆笑したが、その中で唯一ナギトだけが穏やかに微笑んだだけだ。

本来なら…というかイメージ的にはナギトが一番笑い、なんなら指差して大爆笑すると思っていた、それ以外の面子は未だ可笑しさの余韻に引っ張られつつもナギトを見た。

 

 

「ん、まあ普通に…というかかなりの名言だろ。ギャップとかそんな理由で笑ってやるなよ」

 

ナギトらしからぬ、とんだ正論だった。リィンはすぐに真面目顔になって「変な物でも食べたのか?」と尋ねてくる。そんなリィンには手刀を入れてやり、ナギトはそのまま真剣な表情でA班のみんなの顔を順番に見やった。

 

 

「何か言いたい事…いえ、気になる事がまだあるのね?」

 

その視線の意図を感じ取ったサラは話し易い雰囲気を作ってくれた。 ナギトは「はい、和やかな雰囲気に水を差すようですが」と応じて言葉を紡ぐ。

 

 

「俺がルーファスさんと何を話したのかは、昨晩言った通り…なんだけど」

 

 

特別実習2日目、牢屋でマキアスと離されてからの出来事をナギトは昨日の内にA班とサラに知らせていた。

その時はざっとだったため今ここで再度話す事にしたのだ。

 

 

「ただの世間話という体だったし、どんな意図があってルーファスさんが俺に聞かせたのかはわからない。でも一応、共有しておきたい」

 

 

そうしてナギトはルーファスとの“世間話”の内容を語った。

 

革新派と貴族派のバランス、内戦が起きた場合のリスク、国内勢力が統一された仮定の予想図など………

 

 

「そんな話をする中で、ルーファスさんの言葉はどこか確信…というか、どこか宣言染みた部分があったように思う」

 

 

「宣言……」

 

 

マキアスが深刻そうに呟く。リィンもユーシスもエマもフィーやサラでさえ、その意味を理解して眉を顰めた。

 

 

「俺たちが思うより、事態はずっと深刻なのかもしれない」

 

 

すなわち、革新派と貴族派の武力衝突の時が、間近に迫っているのかもしれない、という事だ。

 

貴族派の中核にいるだろうルーファスの言葉ゆえ軽く扱うわけにもいかず、一行の雰囲気は重くなる。

それからは皆むっつりと黙り込み、各々、物思いに耽っているようだった。

 

 

そんな中で「そうだ」とナギトが思い出す。そういえば聞かなければならない事がもうひとつあったのだ。

 

「ユーシス、“城将”って何かわかる?」

 

 

「城将…?」

 

 

「いや、わからないならいいんだけど。ルーファスさんが自分をそう言っててさ」

 

 

「兄上が? ……悪いが心当たりはないな。城将……確か“ルーク”という意味もあるが……」

 

 

「そうか…いや、ありがとう」

 

 

「参考になった」と言って、ナギトも考え込んだ。なんとなく重要な気がするのだ。

 

 

 

城将───ルーク──チェスの駒。

 

 

もしもルーファスでさえ駒のひとつに過ぎないのだとしたら、いったい誰が指し手なのだろう、と。

 

 

列車の窓の外は、晴れているはずなのにどこか翳って見えた。




ルーファスの二人称が“そなた”が“君”か迷いましたが、“君”でお送りしました。
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