Lobotomy Corporation~Unbekannt Unterabteilung~ 作:御鏡
私は今日から"翼"の一員なのだ。今度こそ仕事を頑張らなければ!!
そんな事を考えながら、彼女は…失礼、突然"彼女"と言われても、画面の前のあなたは理解が出来ないだろう。冒頭のような事を考えながら新しい職場の扉を潜った"彼女"は、この小説の主人公とも言うべき存在であり、名を小日向 桔梗と言う。以降は桔梗の名で親しまれる事となるだろう。
さて、本題だ。彼女は以前所謂ブラック企業で働いてた。連日残業、ボーナス無し、休日出勤……彼女はそれを望んでなどいなかった。
だからこそ、退職して新しい仕事を探した。そこで見つけたのがこの会社、ロボトミーコーポレーション~Unbekannt Unterabteilung~だった。正直な話、桔梗は後半の英字の羅列の意味を全く持って理解していなかった。だからこそ、有名企業であるこの会社に入社したいと思った。有名企業であればある程ブラックな可能性はあるが、日々の電力を生成できるならば多少の妥協は必要だと、寧ろ世のためになると、喜んで入社試験を受けて、見事合格。
心浮かれながら初めて職場に訪れた桔梗は、己の考えが如何に甘かったか、漸く理解した。
何故なら―――扉を潜った桔梗の頬に、僅かに粘度を持った紅い飛沫が跳ね、直後高速回転する白い何かが眼前を通り過ぎたからだ。
「……え。」
「ふん、愚かな奴め、日々の鍛錬を怠るからこうなるのだ。急ぐぞロンドン。早急にあのおーるあらうんどへるぱーを始末する必要があるからな。」
「お前相っ変わらず冷徹だな。てか先に行っててくれ。俺はそこの今にも倒れそうな奴を医務室に運んでから行く。お前ならHEくらい余裕だろ?」
桔梗は漸く理解した。自分の頬に付着した液体が血である事。それを生み出したのは、彼女の足元で事切れた、スーツを着た人物である事。彼、或るいは彼女を殺害したのは、先刻眼前を通り過ぎて行った白い物体である事。事切れた人物と平然とした様子で会話を交わす眼前の二人組が、恐らく職員である事。
様々な情報を一度に得た桔梗の脳が、それらを完全に処理しきる事は不可能で、ロンドンと呼ばれた人物が言った通り、彼女の視界は闇に覆われ、意識もまた、段々と薄れて行った。
「ほう。流石はロンドンだな。見事言った通りになるとは…自慢の天眼でも使ったか?」
「馬鹿言ってんじゃねぇよクソチビ。どう見たって慣れてねぇ奴の反応だ。嫌でも解るわ……満、とっととヘルパー鎮圧して医務室に来いよ?」
満と呼ばれた、黒子で顔を隠した背の小さい職員が舌打ちを一つ残して白い物体…改め、オールアラウンドヘルパーが向かった方へ足を進めると、ロンドンと呼ばれた女性は気絶した桔梗を背負い、満とは反対の方向へと歩き始めた。幸い、医務室はエレベーターさえ使えばそう遠くなかったから。
初めまして。私、御鏡 河神[ミカガミ カガミ]と申します。ロボトミ小説を書くのは初めてですが…皆様に少しでも楽しんで頂きたい所存です。
今後後書き欄には、初登場した職員の設定や、一話が終了時点での状況(収容違反中のアブノーマリティ等)を記載して行きます。
・小説の舞台
ロボトミ支部の一つ。大西洋に浮く孤島の研究所。エージェント達は研究所に隣接する寮で生活するが、管理人が寛容なため実家へ帰宅する事は可能。しかし、情報漏洩を防ぐため、管理人やアンジェラ、セフィラ達はそのエージェントを終始監視する。
入社試験は三段階に分かれており、一次試験は志望理由を書いたレポート五枚以内の提出。二次試験が筆記試験。三次試験が管理人との面接。
・管理人からエージェントへの指示や、管理人とセフィラ間でのやり取りの方法
タブレットやインカムを通して。作業の指示や管理人とセフィラ間のやり取りは基本タブレットで行われるが、アブノーマリティが一体でも収容違反している際、管理人からエージェントに対する指示は全てインカムで行われる。
・小日向 桔梗[コヒナタ キキョウ] AGE:21 GEN:Woman TEAM:Welfare
本作の主人公。日本人。白髪長髪。
人当たりは良いが、いくら上司からの命令と言えど無理な事は無理だと言う程、さっぱりした性格。以前の職場では気弱だったが、管理人が寛容(優しいとは言っていない)なため、少しではあるが心を開けるようになっている。
新入社員なのでグロ耐性皆無。非常に厄介事に巻き込まれやすい体質。
今後彼女が担当する予定のアブノーマリティは、【T-01-31:The Silent Orchestra】、着用予定のE.G.Oは【Weapon:Reverberation】【Suit:Moonlight】【Gift:Moonlight】。
・ロンドン=シュレディンガー[ロンドン] AGE:24 GEN:Woman TEAM:Disciplinary
気絶したキキョウを医務室へ運ぶエージェント。オーストリア人。容姿は長髪でつり眼である事以外はご想像に御任せスタイル。一人称俺だけど女性。
姉御肌で他のエージェント達から慕われる一方、アブノーマリティの鎮圧になると途端に殺気立つ。ゲブラーのようにアブノーマリティを憎んでいる訳ではないが、その脱走が原因で大切な仲間が傷付けられるのを快く思わないだけ。元々今のような性格ではなかったが、周囲の職員達を勇気付ける指導者が必要だと気付き現在の性格へと変貌した。
占いの素質があり、少し先の未来を見通す"天眼"を持つ。
・白藤 満[ハクドウ ミチル] AGE:24 GEN:Man TEAM:Record
収容違反中のオールアラウンドヘルパーを鎮圧するために奔走するエージェント。日本人。成人男性の割に非常に低身長(ロンドンは158cmだがミチルは149cm)。アルビノの所為で白い肌。紅い目。少し癖のある真白な長髪。黒子で顔を隠す。白の直垂に黒い陣羽織を着る。低身長と言う理由から歯の高めな下駄を履く(下駄を履いても身長153cm)。白布を巻いた家宝の薙刀を背負っている等、容姿が明確に決まっている。因みにE.G.O Suitは直垂の下に着用している。
少々他人を小馬鹿にしたような態度を取るが、もしも金などを借りた場合、利子をつけて返す程律儀。だが同時に、眼前で仲間が死んでもそれを嘲笑する程の冷酷さを併せ持つ。以前に比べて、他人に対してより冷酷になった。専ら片仮名に弱い。
陰陽道を家業とする一家の現頭首であり、時々式神を使役して収容違反中のアブノーマリティを足止めする事がある。
・収容違反中のアブノーマリティ
・【T-04-51:Little Helper】
・職員:今日の一言
名もない彼、或いは彼女「ごめん、ごめんよ新人…トラウマになりそうな事してごめん…それじゃあ、お元気で。」