あべこべ道! 乙女が強き世界にて   作:マロンex

48 / 56
第47話 突然の緊急事態

戦車道の練習帰り

 

「みほさん、今日はたまたま帰り時間一緒なんて奇遇ですね!」

 

河野さんが言った。

 

「そうですね!」

 

(...ふふっ計画通り)

 

内心でガッツポーズをした。

表には出さなかった。

夕方の空が、オレンジ色だった。

 

「最近、みほさんのご友人とよく話すようになって、大学もにぎやかになってきました」

 

「そうなんだね、それはよかったよ」

 

(まあ、知ってるけど)

 

「武部さん、華さん、麻子さん、みんないい人です。...武部さんはたまにちょっと怖いですが」

 

河野さんが、少し笑った。

 

「沙織ちゃんらしいですね」

 

「みほさん、みんなのことよくわかってるんですね」

 

「まあ、そうだね。高校からの部活友達だし」

 

「いいですね、そういうの。同じ目標に向かってるとっぱり仲良くなりますね」

 

河野さんが、柔らかい顔で言った。

 

「...状況は今も一緒だけどね」

 

「えっ? すみませんなんて」

 

「ううん、なんでもない」

 

(...気づいてない)

 

(本当に、全然気づいてない)

 

しばらく歩いた。

 

「みほさん」

 

「はい?」

 

「最近、楽しそうですよね」

 

「え?」

 

「前より、なんか...目が明るい気がして」

 

河野さんが、まっすぐ言った。

 

「...そうかな?」

 

「はい。なんかあったんですか」

 

(...ありましたし、原因はあなたですけどね)

 

言えなかった。

 

「...ふふっ、うーん、ま、なんとなく、充実してるから、かな?」

 

「そうですか、よかった」

 

河野さんが、ふわっと笑った。

 

(...もう)

 

「河野さん」

 

「はい」

 

「河野さんは最近楽しい?」

 

「楽しいですよ」

 

「何が一番ですか」

 

河野さんが少し考えた。

 

「...みなさんと話している時、かな」

 

「みんなと?」

 

「はい。なんか、気づいたら周りが賑やかになってて」

 

河野さんが、少し照れたような顔をした。

 

「俺、こういうの慣れてないので...嬉しいんですよね、なんか」

 

「...そうですか」

 

(...この人は)

 

(本当に、わかっていない...でも、それは私にもチャンスあるってことだよね)

 

「みほさん?」

 

「なんでもないよ」

 

「なんか顔赤いですよ」

 

「...つ、疲れてるからね」

 

「そうですか」

 

河野さんが、また笑った。

その笑顔が、夕日に照らされて。

 

(...ずるいな)

 

二人で並んで、しばらく歩いた。

他愛のない話をした。

どれも、特別なことじゃなかった。

 

でも

 

(...この時間が好きだな)

 

こうして並んで歩いているだけで特別だった。

 

「みほさん、そっちの道でよかったですか」

 

「あ、はい」

 

「遠回りじゃないですか」

 

「...少しだけね、でももう少しお話ししたくて」

 

「そうですか、俺もそんな気分です」

 

河野さんは何も言わなかった。

歩みを緩めた。

 

(...気を使ってくれてる)

 

(この人は、本当に)

 

そんな話をしながら、大学の門を出た。

その時だった。

黒い車が、道の端に止まっていた。

 

「あの、すみません」

 

女性の声がした。

 

外国語のアクセントがあるが、流暢な日本語だった。

車の窓から女性が顔を出した。

金髪だった。

 

サングラスをかけていた。

 

「河野ヒロ、間違いないですか」

 

「...え? あ、はい。あなたどこかで...」

 

「少しよろしいですか。お話があって」

 

「...話、なんでしょうか」

 

「お会いすれば、わかります」

 

車のドアが開いた。

中から、もう一人女性が出てきた。

背が高かった。

 

「ちょっと待ってください」

 

みほが前に出た。

 

「どういう用件ですか」

 

「...みほさん」

 

「河野さん、下がってて」

 

「でも」

 

「下がってて!」

 

河野さんが後ろに下がった。

女性二人が、みほを見た。

 

「部外者は邪魔をしないでください、これは河野様とお嬢様の大事なお話です」

 

「できません」

 

「...そうですか。この方はお嬢様にとって、大切な人。あまりこの手は使いたくなかったのですが」

 

女性が、目配せをした。

次の瞬間、もう一人の女性がみほの横をすり抜けた。

速かった。

 

「あ、ちょっ...!」

 

「みほさん!」

 

河野さんの声がした。

気づいたら、河野さんが車に押し込まれていた。

 

「河野さん!!」

 

ドアが閉まった。

車が走り出した。

 

「...!」

 

みほは走った。

でも、追いつかなかった。

車が、角を曲がって消えた。

静かになった。

夕方の風が、吹いた。

 

スマホを取り出した。

まず、優花里ちゃんに電話した。

呼び出し音が鳴った。

 

『あ、みほさん! 今ちょっと...実は家族旅行中で』

 

「そっか...ごめんね突然」

 

『すみません、何かありましたか?』

 

「実は...」

 

『え...河野さんが!?』

 

「...はい」

 

『どうしよう、私今すぐ戻れなくて...あ! 車! 実家の車があいてます!使っていいです! 鍵の場所を送りますね! それで追えるはずです』

 

「ありがとう!」

 

電話を切った。

次に、まほお姉ちゃんに電話した。

一回で繋がった。

 

『どうした』

 

「お姉ちゃん...河野さんが、さらわれました」

 

沈黙があった。

 

一秒。

 

『場所は』

 

「まだわかってなくて」

 

『わかったら連絡するんだ。すぐ動く』

 

「お姉ちゃん」

 

『何だ』

 

「...ありがとう」

 

『当然だ』

 

電話が切れた。

 

(...お姉ちゃん)

 

胸が、少し温かくなった。

グループLINEを開いた。

指が、動いた。

 

『ごめん、時間がないから詳細は省く。河野さんが、さらわれました』

 

『皆さん、お力を貸してくれませんか』

 

ー沙織視点

 

「...え」

 

もう一度読んだ。

 

「...え!?!?!?」

 

立ち上がった。

すぐに電話した。

 

「み、みぽりん! どういうこと!?」

 

『私も何がなんだか...帰り道で、黒い車に乗った外国人女性に連れ去られて』

 

「外国人...」

 

『二人組で、河野さんを指定して来たみたいで』

 

「なんで河野さんを!?」

 

『わかりません。でも、このままにはできなくて』

 

「当たり前だよ!!」

 

私はスマホを握りしめた。

 

「...みぽりん、車のナンバー見た?」

 

『一部だけ...だけど』

 

「教えて!」

 

みほちゃんがナンバーを教えてくれた。

私はすぐに動いた。

机の引き出しを開けた。

高校時代の通信機材が、まだ残っていた。

スイッチを入れた。

 

「よし、動いた!」

 

ノートパソコンを開いた。

ナンバーの一部から車両登録情報を照合する。

ヒットした。

 

「該当車両のカーナビがもともとついてる奴なら...」

 

その車両情報とカーナビの通信波長を合わせ、おおよその場所を割り出す。

河野さんのGPSも合わせ、裏付けも取れた。

 

「...ここだ」

 

工業地帯の倉庫街。

大学から車で二十分ほどの場所。

グループLINEに送った。

 

『場所、特定しました。○○工業地帯の倉庫街です』

 

麻子から返信が来た。

 

『...車があれば運転する。免許はある』

 

『麻子、優花里ちゃんの実家の車借りられるって!』

 

『...わかった』

 

華から来た。

 

『私も行きます』

 

『集合場所、大学正門前! 十五分後!!』

 

つづく





このキャラ出して欲しい、この子はこう言う設定がいい等があれば気軽にください。
参考にさせていただきます。
基本的にガルパンのキャラは全部okです!

感想、意見お待ちしています!励みになります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。