あべこべ道! 乙女が強き世界にて   作:マロンex

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第48話 総力戦

優花里さんの実家から借りたSUVをいじる麻子さん。

 

「...で、場所はどこだ。とにかく急ぐぞ」

 

沙織が助手席に乗り込んだ。

後部座席に、みほと華が乗り込んだ。

 

「場所は私が大体特定してるよ! ナビする!」

 

「...わかった」

 

エンジンをかけた。

 

「次、右!!」

 

「...うむ」

 

「もっとスピード出して!!」

 

「法定速度がある」

 

「緊急事態だよ!!」

 

「...法律は守る」

 

「麻子は真面目!!」

 

「おい、誰だこいつ連れてきたの!!」

 

不安だったが、なぜかこのメンバーは安心感があった。

 

(大丈夫、みんながいる)

 

信頼は不安を打ち消し、勇気に変わっていくのを感じた。

 

しばらく走った。

工業地帯に入った。

倉庫街が見えてきた。

 

「あそこ!! GPSの反応が一致してる!」

 

黒い車が、倉庫の前に止まっていた。

手前で車を止めた。

 

全員で、倉庫に近づいた。

扉の前まで来た。

みほが扉に手をかけた。

 

その瞬間。

だが、倉庫の中で気配が動いた。

 

「ちっ...たぶん気づかれたな」

 

「え!?」

 

「逃げる気のようですよ」

 

倉庫の裏から、エンジン音がした。

黒い車が、倉庫の裏から飛び出してきた。

 

「麻子さん、追って!!」

 

「言われなくても!」

 

全員が車に戻った。

アクセルを踏んだ。

 

麻子視点――山道

 

黒い車は、山道に入った。

細い道だった。

カーブが続いた。

 

「麻子、追いつける!?」

 

「...やってみる」

 

ハンドルを握り直した。

カーブに入った。

タイヤが鳴った。

 

「きゃあ!!」

 

「...うるさい、黙れ」

 

「だって横転しそう!!」

 

「...お前ほんとうるさいな!」

 

カーブを抜けた。

だが、ハンドリングでうまく横につく。

入り組んだ山道では曲道での減速が多い。

少しずづ距離を詰められていた。

 

それを察したのか、黒い車も加速する。

 

「...させない」

 

また、カーブが来た。

今度は右だった。

車体が、大きく傾いた。

 

「あら」

 

「きゃあ!!!」

 

「黙れ、女みたいな声出すな」

 

「女だよ!」

 

タイヤを路面に押さえつけた。

車体が戻った。

 

(...いけるっ)

 

前の黒い車との距離が縮まった。

 

「麻子すごい!!!」

 

「うるさい」

 

「本当にすごい!!!」

 

「頼む...集中させてくれ」

 

山頂に向かって、道が広くなってきた。

ひらけた場所が見えた。

 

「あそこで仕留める」

 

みほが言った。

 

「華さん、一つお願いがあります」

 

「えっ...?」

 

華視点 ―― 砲手の勘

 

山頂のひらけた場所に出た。

黒い車が前を走っていた。

距離はまだ少しある。

 

「麻子さん、もう少し詰められますか」

 

「...ああ」

 

アクセルが踏まれた。

距離が縮まった。

 

「だが、どうする。このまま追い続けてもらちが明かないぞ」

 

みほが言った。

 

「何か決定的に減速させる方法があれば...」

 

「うーん、何かないかなぁ」

 

沙織が、後部座席の後ろの荷物に手を伸ばした。

 

「えっ! 何これ!! 銃があったよ!」

 

「...モデルガン...いやおもちゃの銃でしょうか」

 

「なんで優花里ちゃんの車に...いや、この際どうでもいいか、華さん!」

 

「これでタイヤ打ってください! 弾はおそらく1~2発しかないです」

 

「えっ...私ですか?」

 

「そうだよ!元砲手でしょ!!」

 

「それは戦車道での話で...しかもしばらくブランクも...」

 

「大丈夫! 華ならできるって!!」

 

「速度の出ている車のタイヤを正確になんて」

 

「華さん!! お願いします!河野さんを救いましょう!」

 

「...わかり...ました」

 

華はエアガンを見た。

 

(...無茶振りにもほどがある)

 

(戦車の砲手と、これは全然違う)

 

(失敗したら河野さんが...でも)

 

その時、頭の中に顔が浮かんだ。

河野さんの顔だった。

困り顔で、でも笑っている顔が。

 

(...成功すれば助けられる)

 

「...麻子さん、可能な限り車を近づけてください。そのタイミングで体を出して狙います」

 

「わかった。...無茶するなよ」

 

エアガンを受け取った。

麻子さんが無言でアクセルを踏んだ。

 

「...今!」

 

窓を開けた。

風が吹き込んだ。

車が揺れた。

 

(...落ち着け)

 

息を吸った。

車の揺れを読んだ。

タイヤの位置を追った。

距離を測った。

角度を計算した。

 

(花を生けるときのように...集中して)

 

引き金を引いた。

乾いた音がした。

後輪が、ぺしゃんとへこんだ。

黒い車がふらついた。

 

「もう一本!!」

 

前輪を狙った。

揺れが来た。

一拍待った。

 

(...集中...ここ!)

 

引き金を引いた。

前輪が、へこんだ。

黒い車が、止まった。

 

「...止まった。完全に走行不能だ」

 

「華ーーーー!!!!!!」

 

沙織が叫んだ。

 

「すごい!!!! やっぱり華はすごいよ!!」

 

「ありがとう...ございます」

 

エアガンを置いた。

手が、少し震えていた。

でも、不思議と高揚感があった。懐かしい感覚だった。

 

(今、行きます)

 

――包囲

 

黒い車のドアが開いた。

女性たちが出てきた。

 

「くそっ...なんだこいつら、本当に大学生!?...だが、お嬢様のためにも降参するわけには」

 

その時だった。

 

複数の車が、山頂のひらけた場所に入ってきた。

 

何十台もの黒塗りの高級車が、犯人の車を囲って止まった。

降りてきた人を見て、みほは固まった。

 

「お母様...」

 

西住しほが、立っていた。

 

「...これ以上抵抗する場合、こちらとしても容赦しない」

 

「くっ...なんでここに」

 

「西住家の総力をもって対抗させてもらう」

 

「...あら、案外敵は少なかったわね。私たちは要らなかったかしら」

 

二台目の車からは島田家当主、島田千代が降りてきた。

 

「...珍しいですね。西住家に協力してくださるなんて」

 

しほが静かに言った。

隣の女性が、少し困った顔で言った。

 

「...娘の頼みですから、しかたなく。これは親としてです」

 

「...ありがとうございます」

 

しほが頷いた。

西住家と島田家のスタッフが、女性たちを完全に囲んだ。

戦力差は歴然だった。

 

「...」

 

女性たちが、顔を見合わせた。

 

「降参...するわ。...申し訳ありません●●お嬢様」

 

誰かの名前を言ったようだが、サイレンの音がかき消した。

優花里ちゃんが呼んだ警察が、到着したようだった。

全員が、一息ついた。

 

「みほ!!」

 

まほが、真っ直ぐこちらに歩いてきた。

 

「お姉ちゃん!」

 

まほが、みほを抱きしめた。

 

「...よかった...本当によかった」

 

小さく、でもはっきりと聞こえた。

 

「お姉ちゃん...」

 

「怪我はないか」

 

「うん、ないよ」

 

「そうか」

 

まほが、少し強く抱きしめた。

 

「...お姉ちゃん」

 

「なんだ」

 

「ありがとう」

 

「姉として当然だ。あんまり心配させないでくれ」

 

警察が犯人たちを取り押さえると、つかまっていた河野さんが解放された。

 

「河野さん!」

 

みほが駆け寄った。

河野は無事だった。

 

「みなさん...ありがとうございます」

 

「大丈夫ですか!?」

 

「はい、なんかすごく丁寧に扱われて...よくわかりませんでした」

 

「そうなんだ。...よかった」

 

「あの」

 

河野さんが、全員を見た。

 

「みなさん、来てくれたんですか」

 

「当たり前だよ!!」

 

沙織が叫んだ。

 

「無論だ」

 

麻子が言った。

 

「当然です」

 

華さんが言った。

 

息を切らして、優花里ちゃんが走ってきた。

 

「か、河野くん! 無事ですか!?」

 

「秋山さん!大丈夫ですよ、警察への連絡ありがとうございます」

 

「よ、よかった...!」

 

優花里ちゃんが、へたり込んだ。

河野さんが、また全員を見た。

 

「...みなさん、ほんとに、ありがとうございます。本当に...なんとお礼を言ったらいいか...」

 

その顔が、いつもの笑顔と少し違った。

本当に、驚いていて。

本当に、嬉しそうで。

 

(...この人はほんとに)

 

みほは思った。

 

(でも、こういう顔を、見られてよかった)

 

まほが、河野さんを見た。

 

「まほさんもありがとうございます...ほんと助けられてばかりで」

 

「気にするな。無事でよかった」

 

「でもどうして」

 

「みほが連絡してくれたからな」

 

まほが、少し目を逸らした。

 

「礼なら...みほにしてやってくれ、あいつがみんなを動かしたんだ」

 

「そうですか...でも」

 

「?」

 

「駆けつけてきてくれたのは嬉しかったです」

 

河野さんが、ふわっと笑った。

 

「ありがとうございます、まほさん」

 

まほの耳が、少し赤くなった。

 

夜の山頂に星が出ていた。

風が、静かに吹いた。

 

ーみほ視点

 

三人を見た。

 

(それぞれの力を最大限に生かしていた)

 

(それぞれの力で、1つのチームだった)

 

ーその原動力は

 

河野さんが、またふわっと笑っていた。

全員に、ありがとうと言いながら。

全員に、気づかないまま。

 

(...もう)

 

みほは小さく笑った。

まほが隣に来た。

 

「みほ」

 

「はい」

 

「...今回の件を聞いた時お母様が相当心配していた、私が驚くくらい狼狽していた」

 

「そ、そうだったんですか」

 

「...今回の隊を動かしたのもお母さまの強行だ」

 

「お母様...てっきり嫌われてるのかと」

 

まほが、また前を向いた。

 

「...みほ」

 

「うん」

 

「たまには実家に帰って顔を見せろ。私たちはいつでも歓迎するぞ」

 

みほが、少し間を置いた。

 

「...近いうちに」

 

夜の山頂に、風が吹いた。

星が、きれいだった。




謎の外国人軍団とお嬢様はまだ出ません。


このキャラ出して欲しい、この子はこう言う設定がいい等があれば気軽にください。
参考にさせていただきます。
基本的にガルパンのキャラは全部okです!

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