あべこべ道! 乙女が強き世界にて   作:マロンex

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第49話 Re:アンコウチーム

翌日。

大学の食堂で、五人が集まっていた。

昨日の騒ぎの後、自然とそうなった。

 

「...ねえ」

 

「なに?」

 

「昨日さ、みんなで動いてて」

 

「うん」

 

「なんか...私、楽しかった!」

 

「沙織さん...」

 

「怖かったけど! でもなんか、みんなで一緒に動いてると」

 

沙織が、少し照れた顔をした。

 

「高校の戦車道みたいだなって思って」

 

「...そうだな、お前の騒がしさを思い出したよ」

 

「もー! 今はそういう空気じゃないじゃん!」

 

「...そうですね。懐かしい感覚でした」

 

華が、テーブルを見た。

 

「なんだが、砲手だった頃の感覚が、戻ってきた気がして」

 

「だよねぇ、華すごかったもん」

 

華が、少し間を置いた。

 

「あの感覚...悪くなかったです」

 

みほは三人を見た。

 

「三人とも」

 

「なに?」

 

「いまさらなのはわかってるんだ。...でももしよかったら...戦車道、また一緒にやらない?」

 

沈黙があった。

 

「...いまさらだと思ってたのはこちらこそだよ...みぽりんを一人にしちゃった」

 

「ううん。でも...来てくれたらもっと嬉しいかな」

 

「もちろんだよ!」

 

「...私も」

 

華が、静かに言った。

 

「私も、昨日の夜のこと、お母さまにお話しして気が付きました。私がやりたかったことはこれなんだって」

 

「それって...」

 

「ええ、みほさんさえよければ、是非お力になりたいです」

 

「華さん...」

 

「...で、麻子は?」

 

沙織が麻子のほっぺをつつきながら聞いた。

麻子が、少し間を置いた。

 

「...正直めんどくさいが」

 

「えっ! なんでよ!」

 

「...こいつのような馬鹿を止める奴は必要だろう」

 

「ふふっ...素直じゃないですね」

 

「ちょ、ちょっと! 私をだしに使わないでよ! 怒るよ!!」

 

「冗談だ」

 

麻子が、小さくため息をついた。

 

「まあ、でも」

 

「うん」

 

「そうだな...昨日、久しぶりに本気で動いた」

 

「そうだね」

 

「...悪くなかった。それが入る理由だ」

 

みほは、三人を見た。

それぞれ、違う顔をしていた。

でも、同じ色をしていた。

 

「ありがとう、三人とも」

 

「べ、別にみほちゃんのためじゃ」

 

「わかってるよ」

 

「...」

 

三人が、また同時にそっぽを向いた。

優花里ちゃんが、小声で言った。

 

「みほさん、河野くんが練習よく見に来るって言ってあるんですか?」

 

「いえ...ちょっと言いづらくて」

 

「ですよね」

 

二人で、こっそり笑った。

その夕方。

練習場の前に、河野さんが立っていた。

河野さんが、少し間を置いた。

 

「河野君、お疲れ様! どうしたの?」

 

「えっと...昨日のこと、謝りたくて...ごめんなさい」

 

「え? なんで?」

 

「...みなさんを、危ない目に遭わせてしまいました」

 

河野さんの声が、少し固かった。

 

「みほさん、まほさん、皆さんにご迷惑をおかけしてしまいました」

 

「...河野さん」

 

「一歩間違えればどうなっていたわかりません。それなのに、俺なんかのために...不甲斐ないです」

 

みほは、河野さんを見た。

 

(...この人は)

 

(ずっと、そこを気にしていたんだ)

 

「河野さん」

 

「はい」

 

「迷惑だなんて、思ってない」

 

「私、昨日をきっかけに思い出したんだよ。みんなのこと。...高校からずっと知ってたはずなのに」

 

みほは、少し間を置いた。

 

「みんながどれだけすごいか」

 

「...みほさん」

 

「河野さんがいたから、みんなが本気になった」

 

「そんな」

 

「迷惑じゃなかったです。むしろ、ありがとうって思ってる。だから...そんなに謝らないで。それに一番危ない目にあったのは河野君じゃない。怖くなかったですか?」

 

河野さんが、しばらく黙った。

 

「...怖かった...です」

 

小さな声だった。

 

「正直、ずっと怖かった」

 

「...そう、だよね」

 

「でも...迷惑かけたのに怖かったって言ったら...おかしいと...思って」

 

「おかしくないです」

 

「...」

 

「怖くて当然です。我慢しなくていいですよ」

 

「ごめん...なさい。まだ、震えが止まらなくて」

 

河野さんが、顔を上げた。

目が、少し赤かった。

 

「ご、ごめんね。こっちこそ、嫌なこと思い出させちゃったね」

 

「い、いえ...すみません」

 

「まあ、でもとりあえずさ、河野さん」

 

みほが、静かに言った。

 

「助かってよかった。無事でいてくれてありがとう」

 

その言葉が何かを壊したのか、河野さんが泣きだした。

声を出さずに、静かに。

でも、ちゃんと泣いた。

みほは何も言わなかった。

ただ、やさしく抱きしめていた。

 

(...こんな顔、初めて見たな)

 

(いつも明るく元気にふるまってるから忘れちゃうけど...やっぱりか弱い男の子なんだな)

 

みほの胸の中に、小さな何かがあった。

優越感、と呼ぶには照れくさいけれど。

でも確かに、そういうものだった。

 

(...って、こんな時に私は何を...)

 

みほは静かに自分を叱った。

河野さんは今、泣いているのに。

 

それでも。

その小さな何かは、消えなかった。

 

そこに、足音がした。

河野さんが、はっと身を引いた。

袖で目元を拭った。

それから、みほの少し後ろにすっと移動した。

 

「...河野さん?」

 

小声で聞いた。

 

「...少し、待ってください。泣いてたの見られたくない」

 

(か、かわいすぎる...)

 

「河野さん!!」

 

沙織さんが走ってきた。

みほは一歩、河野さんの前に出た。

 

「沙織さん、お疲れ様」

 

「みぽりん! 河野君は大丈夫?」

 

「ええ、大丈夫です。でも、ちょっと待ってね」

 

「え、なんで?」

 

「風が強くて目に埃が入ったって」

 

「埃!? 今、風ないけど!?」

 

「あーえーっと」

 

「むぎゅっ...ちょ、ちょっと麻子! なにすんのよ!」

 

「...お前ほんとデリカシーないな。だからモテないんだぞ」

 

「沙織さん...」

 

「ちょっ! 急に何? あと華、その憐れむような眼やめて! そっちの方が傷つく!」

 

「...すみません、皆さん」

 

後ろで、河野さんがもう一度袖で目元を拭う気配がした。

小さく、息を整えているのが聞こえた。

華が、静かに歩いてきた。

 

そうしている間に、優花里さんが、息を切らして走ってきた。

 

「河野くん!! 昨日は大丈夫でしたかっ...ってあれ?」

 

みほの後ろから、少し間があった。

 

「...あっ」

 

優花里さんが、はっした様子で顔でみほを見た。

みほが、小さく微笑んだ。

優花里さんは、それ以上聞かなかった。

 

六人が、練習場の前に集まっていた。

河野さんが、みほの後ろからゆっくり出てきた。

 

目が、まだ潤んでいた。

泣いた後の、透き通った目だった。

縁が赤くて、睫毛が少し湿っていた。

 

「...みなさん」

 

声が、上ずった。

全員を、潤んだ目でゆっくり見渡した。

 

「...昨日は、ありがとうございました」

 

それだけだった。

でも、それだけで十分だった。

 

(かわいい!可愛すぎる! 写真とりたい...)

(あらぁ...これはこれは...)

(小動物みたいだ...)

(ぐっ...収まれ...ここは淑女になれ優花里...)

 

沙織が携帯を取り出そうとしている。

華が、静かに目を逸らした。

麻子さんはまるで飼い猫を見ているような顔だった。

優花里ちゃんが、口を押さえた。

 

(...全員やられてる)

 

誰も、しばらく何も言えなかった。

 

「あ、当たり前だぞ!!」

 

最初に口を開いたのは沙織だった。

声が、少し裏返っていた。

 

「当然だ」

 

麻子さんが言った。

どこか遠くを向いたまま。

 

「みほさんが呼んでくれたので」

 

華が言った。

耳が、うっすら赤かった。

 

「くそっ...どうして私は...こうタイミングが...」

 

優花里ちゃんが言った。

目が、少し潤んでいた。

 

みほが、みんなを見た。

 

「河野さん」

 

「今度、試合見に来てください。メンバー増えたので、ねっ」

 

河野さんが、きょとんとした。

潤んだ目がぱちりと瞬いた。

 

「えっ...? それって」

 

「はい」

 

みほが、四人を見た。

四人が、また同時にそっぽを向いた。

でも、誰も否定しなかった。

 

「わぁ...楽しみにしてます」

 

河野さんが、ふわっと笑った。

潤んだ目のまま、笑った。

その笑顔が、また反則だった。

四人が、また、やられた。

みほだけが、遠い目のまま言った。

 

「...知ってました」

 

---------------

 

???「はっ...相変わらずパッとしないわね、ここは。...案内しなさい、ノンナ」

 

「こちらです」

 

受付で手続きを済ませ、研究棟に入った。

視察という名目だが、目的は一つ

 

(あの男...ぎゃふんといわせてやるわ)

 

小さな暴君が、河野に接近していた。

 

 





このキャラ出して欲しい、この子はこう言う設定がいい等があれば気軽にください。
参考にさせていただきます。
基本的にガルパンのキャラは全部okです!

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