あべこべ道! 乙女が強き世界にて   作:マロンex

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勘違いモノも結構好き。


第6話 K様

<あの世界的イケメン女優K様が、先日プラウダ大学戦車部に入学されました!警備員100人体制という異例の厳戒態勢で行われた入学式では各地からファンが押し寄せ.....

 

「うわぁ! かっこいいー!! いいなぁ...学校さえなければ絶対見に行ったのに....」

 

「へぇ...このちんちくりんがイケメンねぇ...」ズズッ

 

なんとか波乱の大学生活の1日目を終えた翌日の朝。相変わらず違和感しかないニュースを弟が朝から張り付くように見ていた。

 

(昨日のサークル見学で得た情報から察するに...逆転してるのは価値観だけじゃなさそうだな...)

 

テレビに映っているイケメンと称される女性は元の世界では所謂「コンプレックス」に該当するであろう特徴を持ったものが多かった。低身長や小柄な体型、もしくは貧乳などが「モデル体型」であるとされ、この世界においてはかなり高いステータスとなっているようだ。テレビに映っている小学生にしか見えないような女性が持て囃されているのがいい証拠だ。

 

「あー...いいなぁ...この前のハリウッド映画も最高だったし...サインだけでも欲しかった」

 

「ぶっ! は、ハリウッド!? このちんちくりんってそんなにすごい女優なのか?」

 

「はぁ!?お兄ちゃんK様も知らないの!?」

 

「おい、近いって...。知らないよ、あんまり興味ないし...好みじゃないしな」

(スタイルだけなら五十鈴さんとかの方が全然いいしなあ...俺の世界では)

 

「好みって...こんなの一般常識だよ。ルックス抜群、イケメンで、カリスマ性もあって、お金持ち。たとえ他の要素がかけてたとしても、こんなステータスの塊みたいな人、嫌でも情報入ってくるでしょ普通!」

 

「...へ、へぇー。それはすごいな」

(目が本気で怖い...とりあえず黙って聞いとこ...)

 

「ふっ..ふっふっふ....しょうがないな!私K様ファンクラブ会員が!K様の魅力を1からたっぷりと教えてあげるよ! 長くなるよー♩」

 

「え? いや別にそこまでは...てかお前ファンクラブなんて入ってるの!?」

 

「まずは何と言ってもこの顔立ちの良さからだよね! 確かに他のモデルにもこういうイケメンはいるけど、K様は段違いで...」

 

ーーーーーー

 

「はあ...龍弥のやつ、家出る直前まで話し続けやがって...。おかげで2日連続で遅刻ギリギリだよまったく...」

 

「お、おはようございます! 河野さん!」

 

「あ、おはようございます、優花里さん。昨日はありがとうございました!」

 

「いえ! こちらこそ...その色々とありがとうございました...貴重な体験でした...」ぼそっ

 

「貴重...? 俺なんかしましたっけ」

 

「あー!いえこっちの話です! 気にしないでください!」

 

「は、はぁ...ん? 正門前、随分人だかりできてますね...何かあったのかな?」

 

「うーん、大学側での催し物は特にはなかった気がするのですが...」

 

大学前には生徒であろう女性の人だかりに混じって、近くから来たであろう、一般の野次馬も集まっており、パッと見ただけでも100人以上はいるだろう。大学側も警備員を総動員して騒ぎを鎮めているのが見て取れる。

 

「あ! あの走ってるのって...おーい! 武部殿!」

 

「あー! ゆかりん! それに河野ちゃんも! 二人もあれ目当て!?」

 

「あれ...?あの人だかりのことでありますか?」

 

「えっ!? 知らないの!? 今うちの校門前にK様来てるんだよ! 本物だよ!!」

 

「K様って...うええ!?」

 

「こんな機会滅多にないよ! 二人も行くでしょ!? モテモテのコツ盗んでやるんだから!」

 

「は、はい! 一目見ておきたい感じはありますね!」

 

「あー、いや俺はいいかな...」

 

「えー!? あんなイケメンが目の前にいるんだよ!? 私男だったらもう惚れてるレベルだよ!」

 

「え、ええ...かっこいいのかもしれないですけど...あんまり興味がなくて...」

 

「それは聞き捨てならないわね!ノンナ!あの男のところまで道を作りなさい!」

 

数百人はいるであろう人混みを一瞬で退かした二人の高身長な女性が作った花道から歩いてきたのは、やはりテレビで見た通り、ちんちくりんの小学生にしか見えないような少女だった。周りがざわめく中、ゆっくりと自分の前に立ちはだかった(小さいから自分が見下してるけど)彼女はあらんばかりの笑顔で話し始めた。

 

「おやおや...随分大口叩く子猫ちゃんがいると思ったら...あなたが噂のファーストワン様かしら?」

 

「ファースト...あ、なるほどもうそんな呼ばれ方が...えっと...はい、多分そうですけど...」

 

「へえ....あんたがねぇ...ふーん...」

 

少女はまるで品定めをするように自分の周りを回りはじめ、じろじろと全身を舐め回すように見られた。元の世界では気にしたこともなかったが、案外あまり気分のいいものじゃない。

 

「少し芋っぽいのが気になるけど...まっ及第点ってとこね!」

 

「あ、あの...何か俺に用ですか...? もう学校にいきたいんでどいてもらえると助かるんですが」

(なんでこんな上から発言なんだこいつ...)

 

「ふふっ...あっはは!さっきの発言といい、このカチューシャ様に対してそんな生意気な態度とる奴初めてよ。それに言っとくけど、私はあんたにわざわざ会いに来たのよ。そのカチューシャ様を差し置いて学校なんて...私に恥をかかせるつもり? こっち優先に決まってるでしょ!?」

 

「はあ...わかりました。...あの、もう1限始まっちゃうんで、何かあるなら手短にお願いしたいんですが...」

 

「ふふっ...あっはははは!あんた本当に面白いわね!....そうね、気に入ったわ。あんた私の限定ファンクラブに入りなさい! 私が許可するわ! ノンナ! この子猫ちゃんに会員証を!」

 

「だから、興味ないですって...ファンでもないですし...」

(ん? このカード...どっかで見たような...)

 

「はあ!?私がここまでしてあげてるのに拒否するとかどんな神経してるわけ!? いいから受け取りなさいよ!」

 

「だからいらないですって!」ポスッ

 

「こ、こいつ!ムカつくわねほんとっ!! いいわもう!ポッケに無理矢理にでも...ってあら?これは...私の会員証?」

 

「はあ...興味ないって言ってるのに持ってるわけないじゃないです....ん?」

 

ーーー出発前

 

『お、おい、もうわかったからそろそろでないと!』

 

『えー!まだ語り足りないのに...あっ!じゃあ帰りにファンクラブショップでも寄ってってよ!僕の会員証貸してあげるからさ!』

 

『だから興味ないって...金もないし』

 

『大丈夫! これがあれば全品半額くらいで買えるんだから! 物は試しさ!ほらっ!入れとくからね!』

 

『ちょ! ポッケに勝手に入れんな!あーもういいや! 行ってきます!』

 

ーーーー

 

(やばい...ということはあれは....)

 

彼女が拾ったのは無理やり渡そうとした新しい会員証とは別の物。すでに『カチューシャファンクラブ 会員証 河野』と書かれた既存の会員カードだった。状況を理解した彼女は先ほどまでとは打って変わって大層ご機嫌になった。

 

「へえ、なるほどねぇ...。私に興味がない....ねぇ...じゃあこれは何かしらねぇ」

 

「ちがっ! それは弟ので!たまたま今日ポケットに押し込まれて!」

 

「河野殿..その言い訳は流石に無理が...」

 

「本当なんだって!そうとしか言いようが」

 

「ふふっ、はいはい、わかってるわ。ムカつく男だと思ったけど、照れ隠しだったのね。案外かわいいところもあるじゃない。...私本気で気に入っちゃたかも」

 

「カチューシャ様、そろそろお時間です。車の準備はできてますので...」

 

「あら、もうそんな時間なのね。じゃあ、はい、これあんたの会員証。裏に私の連絡先書いといたから、いつでも連絡してきなさい。こんなことするのあんたが初めてなんだから、光栄に思いなさいよ」

 

「あの!だから誤解ですって! これはたまたまポッケに入ってただけで!」

 

「はいはい、もういいわよ、それは。今度会うときはもっと素直になあんたに期待してるわ」

 

「ちょまっ...まだあんたは誤解を!」

 

「じゃーねーピロシキー♫」

 

「あ...最悪だ...終わった...」

 

高級車に乗って走り去ったK様もといカチューシャファンクラブ会員証を握りしめたまま、跪く俺。

 

その後、その様子を見た生徒から『本人の前では性格が変わってしまうほどの熱狂的なK様のファン』という噂が大学中に広がり、『共通の話題作りができるかも』と、他の女子生徒の大半がK様ファンクラブに加入するほどの騒ぎとなるのだった。




初の他校生。
大洗の生徒をどこまで出すか悩み中

感想、ご意見気軽にください。励みにします。
〇〇出して欲しい、〇〇はこう言う設定がいい等も嬉しいです。
参考にさせていただきます。
基本的にガルパンのキャラは全部okです。

この先出して欲しいキャラ

  • 元大洗
  • 元他校

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