蜘蛛の対魔忍は働きたくない   作:兵庫人

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 俺の八つ目のロボットと銀華の忌神。こいつらは仮想空間での生活開始から二日目か三日目に現れていた。

 

 八つ目のロボットも忌神も、朝起きたら普通に俺達の前にいて挨拶をしてきて最初に見た時は驚いた。特に銀華は俺以上に取り乱していて、このままでは俺や悟空を殺してしまうと言って、忌神を自分の部屋に必死に押し込めようとしたくらいだ。

 

 この仮想空間内では悟空は完全な猿モードで質問してもロクな返答が返ってこないので、代わりとして八つ目のロボットにどうして急に現れたのか聞くと、八つ目のロボットはこの仮想空間に理由があると答えた。

 

 現在俺と銀華は「GS美神」の原作と同じく、悟空と魂が繋がって霊力を与えられている状態のようだ。そして八つ目のロボットは「邪眼」という切っ掛けによって俺の魂から枝分かれして半ば独立した意思を持った存在らしく、俺が悟空から霊力を与えられると八つ目のロボットも霊力を与えられて、こうして自由に具現化する……正確には具現化せざるを得ないくらいに霊力が高まってしまったらしい。

 

 忌神も八つ目のロボットと似たような存在らしく、八つ目のロボットが忌神本人(?)から聞いた話によると、銀華の両目に神気が宿った影響で魂が枝分かれを起こし、その魂の枝分かれをした部分に神気が集まり彼女自身の対魔粒子等の力と混ざり合って産み出された存在が忌神なのだそうだ。

 

 忌神の構成の大部分を占める神気とは、常に外部から銀華の目に補充される自然界の霊的エネルギーで、外部からの大量のエネルギーをコントロールする事は非常に難しい。だからこれまで忌神は「銀華が直接目で見た相手を攻撃する」という命令しか聞かず、今大人しいのは悟空から魂に直接エネルギーを与えられて、彼女自身のエネルギーが忌神の主導権を握っているからだ。

 

 そしてこの事を知った銀華は酷く落ち込んだ。八つ目のロボットが忌神から聞いた話とはつまり、忌神が銀華の命令を聞かないのは彼女のエネルギーが少ないからで、そのせいで銀華はこれまでに大切な人達を何人も失ってしまったという事なのだから。

 

 半月くらい落ち込んだ銀華であったが今ではとりあえず落ち着き、忌神がいるこの仮想空間での生活にも慣れてきて本当に良かったと思う。俺も毎日、泣きながら言う銀華の愚痴に付き合ったかいがあったというものだ。

 

「おい。皆、昼飯ができたぞ」

 

「キーッ! ウキ、キーッ!」

 

「ヌウウッ!? コ、コノママデハァ!」

 

「………!」

 

 俺は悟空達に声をかけるが、悟空と八つ目のロボットと忌神の耳には届いていなかった。何故なら悟空達が操作する三人の◯ンバーマンは「4Pプレイヤーが操る青いボンバーマ◯」一人に苦戦を強いられているからだ。

 

 青いボ◯バーマンは強化アイテムを次々と取り、バトルフィールドの仕掛けなども巧みに利用して戦況を支配し、その爆弾の爆炎と爆風は悟空達のボンバー◯ンを追い詰めていく。その様子は外部から見ても見事としか言いようがなかった。

 

「いつ見ても凄いですね……」

 

「ああ。『コイツラ』にこんな特技があったなんてな……」

 

 感心した様に言う銀華の言葉に頷いて俺は4Pプレイヤー用のコントローラーに目を向ける。

 

 

 青いボン◯ーマンを操作して悟空達三人を手玉に取っていたのは「電磁蜘蛛と二匹のライトイーター」であった。

 

 

『『………』』

 

 コントローラーの前で電磁蜘蛛が脚を上げたり下げたりして合図を出すと、それに合わせて二匹のライトイーターが自分達が担当するコントローラーのボタンを操作し、青いボンバ◯マンが画面内のバトルフィールドを縦横無尽に駆け抜ける。

 

 何? 電磁蜘蛛ってば自分の意思あったの? 意思があるんだったらあるって言ってよ。今まで散々仕事やらせて本当にゴメン。

 

 そしてライトイーター? お前らってただ暴れるだけじゃなくて、合図とか聞けたのね? というか何だよそのコンビネーション?

 

 電磁蜘蛛とライトイーターがチームを組んで◯ンバーマンを操作している光景を見るのはこれが初めてではないのだが、それでも見る度にそう思わずにはいられない。八つ目のロボットが言うには、これも俺が悟空からエネルギーを受けている影響で、この様に動けるのは仮想空間の中だけ。現実空間に戻っても電磁蜘蛛が自分の意思を持ったり、ライトイーターが合図を聞いてくれたりするかは俺次第なんだとか。

 

 そんな事を考えているうちに、電磁蜘蛛とライトイーターのボンバーマ◯が仕掛けた大量の爆弾が一斉に爆発し、その爆炎と爆風が悟空達が操作する三人のボンバーマンをほぼ同時に飲み込んだ。

 

「ギキッ!?」

 

「ノオオオッ!?」

 

「………!?」

 

『『………!』』

 

 自分達の操作するボ◯バーマンを撃破されて悟空と八つ目のロボットと忌神が同時に肩を落とし、その隣では二匹のライトイーターが電磁蜘蛛を胴上げしていた。

 

 ……たとえゲームとはいえ、虫ケラ三匹に負ける◯タンドと仏様ってどうよ?

 

 俺はバチ当たりなのは承知でそう思うのであった。

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