蜘蛛の対魔忍は働きたくない   作:兵庫人

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 任務の当日の夜。俺と銀華、きららと翡翠に佐那の五人、通称頼人隊は一緒に任務を行う対魔忍の小隊と民間のゴーストスイーパーとの合流地点にて、彼らがやって来るのを待っていた。

 

 ……言っておくが頼人隊というのは俺が決めたものじゃなくて対魔忍の上層部が決めたものだからね? もう多分知っていると思うけど、対魔忍というのは集団行動が苦手なのがほとんどで、組むとしたら精々コンビくらいで小隊を組んで行動している対魔忍と言ったら九郎隊くらいなのだ。だから隊名も分かりやすくするために隊長の名前をそのまま使われていたりする。

 

「頼人先輩。ここで待つのですか?」

 

「ああ、ここで他のメンバーがやって来るのを待つ。それまでは目的の場所に勝手に行くのを堅く禁ずると命令が出ている」

 

 銀華の質問に俺が答えると、それを聞いていたきららが不満そうに口を開いた。

 

「何よそれ? 要は独断専行禁止って事でしょうけど、私達がそんな事をするわけないじゃない」

 

「……きららがそれを言う資格ないと思うけど?」

 

「うっ!?」

 

 きららの言葉に翡翠がツッコミを入れて、痛い所を突かれたきららが言葉を詰まらせる。確かに小隊を組んだばかりのきららは俺の指示に反発して独断専行を繰り返していたからな。

 

「それにしても今回の任務って妙じゃない? たかが調査にこんなに大人数が必要だと思う?」

 

 佐那が缶チューハイを飲みながらこちらに質問をしてくる。それは俺も疑問に感じていた事であった。

 

「俺もそう思います。でも校長に詳しい事を聞いても教えてもらえませんでした。それにもう一つ気になる事が……」

 

「みんな〜! お待たせ~!」

 

 俺がそこまで言ったところで、夜中だとは思えないくらい元気な聞き覚えのある女性の声が聞こえてきた。声が聞こえてきた方を見ればそこにはさくらの姿があり、その後ろには今回の任務で一緒に行動する四人の対魔忍と三人のゴーストスイーパーの姿があった。

 

 四人の対魔忍はふうま小太郎、二車骸佐、相州蛇子、上原鹿之助。

 

 そして三人のゴーストスイーパーは美神令子、横島忠夫、おキヌ。

 

 まあ、横島とおキヌはゴーストスイーパーではなくて、そのアシスタントなのだが。しかしあれだな……。

 

 色々と不可解なところがある任務、「対魔忍RPG」と「GS美神」の主要メンバー、色んな意味で人気の最強の対魔忍の妹、そして転生者の俺。

 

 ストレートフラッシュ級のトラブルが起きる要素の役満。もう今から嫌な予感しかしない。帰りたいと言ったら帰らせて……もらえないだろうなぁ。

 

「あら、五月女君じゃない? 久しぶりね」

 

 俺が内心でため息を吐いていると、こちらに気づいた美神が話しかけてきた。

 

「ええ、お久しぶりです。美神さん」

 

「妙神山以来ね。後ろにいる子達は? 獅子神ちゃん以外にも新顔が増えているみたいだけど?」

 

「彼女達は俺の部下ですよ。あの後、小隊の隊長に任命されまして」

 

 小隊の隊長になった事を言うと、きららと翡翠、佐那を見ていた美神は少し驚いた顔となって俺を見る。

 

「へぇ……! 小隊の隊長だなんて出世したじゃない」

 

「いえ、そんな事は……ぐっ!?」

 

 美神にそう答えようとした俺は突然胸に刺すような痛みを感じた。一体何事かと周りを見回すとそこには……。

 

「チクショー! チクショー! 美人だらけの小隊の隊長だなんて羨ましいぞ、チクショー!」

 

 横島が藁人形に怒涛の勢いで釘を打ち込んでいた。

 

 この痛みは横島の呪いのせいか? 確か横島が霊能力に目覚めて呪いがかかるようになるのはもっと後の筈なのに、呪いが成功するようになるくらい俺が妬ましいというのか!?

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