取り敢えず二話目を投稿したいと思います!
基本的には原作に沿って書いていきたいと思います。
良かったら評価などをしてもらえますと作者的嬉しいのでしてもいいという方がいらっしゃいましたらよろしくお願いします!
それではどうぞ!
───箱庭二一〇五三八〇外門居住区画 、第三六〇工房 。
「 ・・・うまく呼び出せた ?黒ウサギ 」 「・・・みたいですねえ 、ジン坊っちゃん 。」
黒ウサギと呼ばれた十五 、六歳に見えるウサ耳の少女は 、肩を竦ませておどける 。その隣で小さな体軀に似合わないダボダボなロ ーブを着た幼い少年がため息を吐いた 。黒ウサギは扇情的なミニスカ ートとガーターソックスで包んだ美麗な足を組み直し 、人差し指を愛らしい唇に当てて付け加える 。
「まあ 、後は運任せノリ任せでございますね。彼らにはどうにか素敵な場所だと取り繕い協力していただかなくては!」
「そうだね。じゃあ黒ウサギ、何から何まで任せて悪いけど、彼らのお迎えお願いできる?」
「YES!任されました!」
そういうとピョンと椅子から飛び降り工房の扉に手をかける。すると少年は不安そうに聞いてきた。
「彼らは、僕達のコミュニティを救ってくれるだろうか。」
「・・・それは分かりません。けれど"主催者"はこれだけは保証してくださいました。」
くるっとスカートを靡かせながら愛らしく笑いこう言った。
「彼ら4人は人類最高峰のギフトの持ち主だと!」
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あぁ風が気持ちいい。まるで空を自由落下してるような気持ち良さだ。・・・してるなこれ。
そう思い封筒の光に眩んでいた目をゆっくりと開ける。するとそこは本に書かれているようなファンタジーな世界が広がっていた。世界の果てを思わせる断崖絶壁。巨大すぎる天幕に覆われた都市。目の前に広がる世界は完全無欠に異世界・・・なのだろうか?
「何処だここ?異世界じゃあないだろうし、天界・・・とも違うし、冥界がこんなに明るいわけないしな。うーんまさかあの極悪堕天使長様がまたなんかやらかしたか?」
那岐がいた世界も大概ファンタジーだった為驚きはあまりなかっただが
「・・・綺麗な景色だな。これがあの堕天使長が作った場所なら褒めちぎるところだが、あの人のセンスは感じないし。もしかして・・・本当に違う世界に来たか?」
帝釈天が言うには異世界というものは存在するが行くことができないものだと言っていたが、ここは色々考えたが違う世界と考えるのが一番しっくりくる。
「・・・ていうかこんな高いところから落ちてるってのに落ち着いてる自分が嫌になる。」
色々あった。本当に色々あったのでこのぐらいでは動じなくなってしまった。
「さてそろそろ池に着くかな。緩衝材になるか怪しいが水面に膜っぽいものが何層もあるが魔術かなんかか?」
大丈夫な気がするが、一応纏を使い体に気の鎧を作っておく。
「3、2、1、ドボーン。」
とはいかず、ポチャンという水溜りに入ったかのような小さな音がした。
「はぁーあの高さから落ちて、この程度で済むのか。凄いもんだな。・・・ん?猫が溺れてる。」
バシャバシャと猫が溺れている。それに気づくと足裏に気を貯め水中を蹴ると、猫に素早く近づき抱え上げる。
「よっと大丈夫か?」
『じぬがどおもだ』
「よしよし、無事でよかったな。」
無事を確認すると心の中で少しホッと息を吐いた。
「三毛猫!」
すると少し先から声がし、こちらに向かって来ている。どうやらこの猫の飼い主のようだ。
「見た感じ大丈夫そうだから安心しろ。」
そう言い猫をその飼い主であろう女の子に渡した。
「良かった!ごめんね、手を離してごめんね。」
『気にしないでくださいなお嬢。』
「うん。・・・ありがとう三毛猫を助けてくれて。」
「当たり前のことをしただけだから気にするな。」
溺れてる動物がいたから助けただけだしな。
「・・・私、春日部耀。貴方は?」
「ああ、俺は那岐命。よろしく頼む、えーっと春日部でいいか?」
「・・・うん、私も那岐って呼んでいい?」
「OKだ。」
「し 、信じられないわ !まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句 、空に放り出すなんて ! 」
「右に同じだクソッタレ 。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ 。石の中に呼び出された方がまだ親切だ。 」
「いえ 石の中に呼び出されては動けないでしょう?」
「俺は問題ない 」
「そう 。身勝手ね 」
春日部と話していると向こう側に人のこえがした。
「・・・向こうにも人がいる。」
「そうだな。取り敢えず合流するか。」
「うん。」
そう言うと池を出る。すると横で春日部が服をギュッと絞っているのに気づいたので少し目線をそらす。
「・・・那岐は服絞らなくていいの?」
「ああ、俺は濡れてないんだ。」
そう言うと纏を解いた。纏は鎧にもなるし、能力も上げてくれるし、雨風をしのげるからとても便利で助かっている。
「・・・那岐も不思議な力があるの?」
「那岐も?春日部は何かあるのか?」
「うん、あるよ。」
「どんな力なんだ?」
「・・・秘密。」
「ガクーン!」
春日部は案外お茶目なようで秘密にされた。
『なんだか今日のお嬢はえらく饒舌ですな!』
「そう、かな?那岐が話しやすいからかも」
「普段はあまり喋らないのか?」
「うん、」
「ちょっと私達を無視するなんていい度胸じゃない。」
春日部が何か言いかけるが、途中で遮られてしまった。どうやら向こうから来てくれたようだ。
「悪い悪い無視はしてなかったんだが、おしゃべりが楽しくてな。俺は那岐命、しがない一般人だ。でこっちが」
「春日部耀。以下同文。」
「私は久遠飛鳥よ。よろしくね春日部さん、那岐くん。・・・そして私の後ろにいる野蛮で凶暴なそこの貴方は?」
そこでふと久遠の後ろを見ると炎のエンブレムが目立つヘッドホンをつけた金髪の高校生が立っていた。
「高圧的な自己紹介をありがとよ 。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です 。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので 、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様。 」
「そう 。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ 、十六夜君 」
「ヤハハ 、マジかよ 。今度作っとくから覚悟しとけよお嬢様 」
心の底からケラケラ笑っている逆廻十六夜。
傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥。
腕に抱いた猫と遊んで我関せずの春日部耀。
その様子をニコニコ見ている那岐命。
そんな彼らを物陰から見ていた黒ウサギは思う 。
(うわぁ ・・・なんか問題児ばっかりみたいですねえ 。ですがお一人は常識人ぽいですので、その方をまず味方にすることから始まりですかね。・・・腰に刀を差してますが)
召喚しておいてアレだが ・・・彼らが素直に協力する姿は 、客観的に想像できそうにない 。黒ウサギは道のりの長さに陰鬱そうに重くため息を吐くのだった。
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少し先の木陰からため息が聞こえる。おそらくここに俺たちを呼び出した張本人だろうが、呼び出した奴らが問題児ぽいから途方にくれているのだろう。くわばらくわばらっと。
「で 、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねえんだよ 。この状況だと 、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか ? 」
「そうね 。なんの説明もないままでは動きようがないもの 」
「・・・この状況で落ち着いてるのもどうかと思う。」
木陰から『パニックになってくくれば出やすいものを!』という念が伝わってくる。
「・・・仕方がねえな 。こうなったら 、そこに隠れている奴にでも話を聞くか ? 」
俺が木陰からの念に気づかないふりをしているとふと十六夜がそう言った。
「なんだ貴方も気づいてたの?」
「当然だ、かくれんぼじゃあ負け無しだぜ?そっちの猫抱いてるやつと刀を差してる奴も気づいてたんだろ?」
「・・・風上に立たれると嫌でもわかる。」
「・・・へぇ面白いなお前。」
「・・・ナ、ナンノコトカサッパリダ。」
「おいおい、とんでもねぇくらい片言だぞ?」
そう俺の言葉に返答をするが、目線は俺を向いておらず少し殺気だった視線で木陰の方を見ている。他2人も同じような感じである。俺は可哀想なので苦笑しておく。
すると木陰の気配は意を決したかのように飛び出してきた。出てきたのはミニスカートとガーターベルトをつけた可愛らしいウサ耳を付けた少女だった。
「や 、やだなあ御四人様 。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ 、ええ 、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます 。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございます? 」
「断る」
「却下」
「お断りします。」
「はは、容赦にないなお前ら。俺はべつにいいけど。」
「あっは!取り付くシマもない・・・き、聞いてくださいますか!」
「あ、あぁいいけど。」
作り笑いから一転驚いた表情で俺にそう言ってきた。あぁ問題児だらけかと思ったらまともそうな人がいてよかった!って思いが痛いほど伝わってくる。さっきからそんな感情ばかりだから苦労していることがひしひしと伝わってくる。
「うう〜こんなお優しい方が来てくださるとは!」
黒ウサギは涙ぐみながらそう言った。その表情に苦労してるんだろうなぁと思っていると
「えい」
「ブギャ!」
春日部が黒ウサギの耳を力一杯引っ張った。
「ちょ 、ちょっとお待ちを !触るまでなら黙って受け入れますが 、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは 、どういう了見ですか ! ? 」
「好奇心の為せる業 」
「自由にも程があります ! 」
「へぇ本物なのかこの耳。」
「私も触りたい。」
・・・はぁ、しかない。効果があるか分からないが、
「ちょ!ちょっと待ーーーー」
パンッ!
「「「「ッッ!??」」」」
「はいはいそこまで。話が進まないから一旦落ち着こうな。黒ウサギ話を進めてくれ。」
「うぅ〜。で、ですがこのお三人方が、」
「ちっ!しゃあねぇな。」
「え!」
「ま、少し大人気なかったわね。」
「えぇ!」
「・・・ちょっとだけなら聞いてあげる。」
「えぇーーー!!いきなりどうなさったのですか御三人様!!?」
「別に。ただそんな気分じゃなくなっただけよ。文句ある?」
「い、いえ!黒ウサギ的には大歓迎です!」
黒ウサギは耳を掴まれた状態でそう言った。
(・・・少しは効果があったようだな)
今3人が引き下がったのは単に気が変わった訳ではなく那岐が行なった拍手、正確には柏手が行われたからである。勿論そのまま行なっただけでは効果なんて微塵もないが、那岐が気を込め叩いたことにより柏手の邪気を払う効果が高められ、結果的に副次的効果で精神を落ち着かせることができた。
(効果があるか賭けの部分もあったが効いてよかった。・・・でもまぁ)
「それでその〜耳を離してもらえませんか?お話がしにくいのですが。」
「それとこれとは」
「話が別よ。」
「・・・ギュッ。」
「プギャ!!」
・・・この3人の自我の強さが半端なくて一瞬しか効果がなかったみたいだな〜。すまん黒ウサギ!
「ピギャーーーー!お、お助け下さいーーー!!」
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「うぅ〜まさか話を聞いて下さるまで30分も消費してしまうとは!学級崩壊とはこのような事を言うに違いないデス。」
「いいから早く話せ。」
「うぅ〜分かりました、分かりましたよ。・・・おほん!それではいいですか 、御四人様 。定例文で言わせていただきます!・・・ようこそ 、 〝箱庭の世界 〟へ !我々は御四人様にギフトを与えられた者達だけが参加できる 『ギフトゲ ーム 』への参加資格をプレゼンさせていただこうかと召喚いたしました !」
「「「「ギフトゲーム?」」」
「そうです !既に気づいていらっしゃるでしょうが 、御三人様は皆 ら普通の人間ではございません!その特異な力は様々な修羅神仏から 、悪魔から 、精霊から 、星から与えられた恩恵でございます 。『ギフトゲ ーム 』はその 〝恩恵 〟を用いて競いあう為のゲーム 。そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者が面白おかしく生活できる為に造られたステ ージなのでございます! 」
両手を広げて箱庭をアピールする黒ウサギ 。
・・・恩恵、つまり与えられたものって事だよな?そうなるとこの刀だったり、あの厨二病堕天使総督様が作ったこの指輪と、この腕輪、あとは・・・この体とかか?
「まず初歩的な質問からしていい ?貴女の言う”我々 „とは貴女を含めた誰かなの ? 」
自分の恩恵について考えていると久遠はそう質問した 。
「YES!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって 、数多とある 〝コミュニティ 〟に必ず属していただきます ♪ 」
「嫌だね。」
「属していただきます!・・・そして『ギフトゲーム』の勝者はゲ ームの〝主催者 „が提示した賞品をゲットできるという、とってもシンプルな構造となっております !」
その後も黒ウサギの説明と俺たちからの質問は続き、主催者について、賭けるチップについて、そして開催方法についても分かりギフトゲームの大まかな事が理解できた。
「ふぅ、一通りのことは説明し終わりましたが、黒ウサギには皆様に箱庭についての全ての質問に答える義務があります。しかしそれら全てを語るには時間がかかってしまいます。新たな同士候補の皆様をいつまでも野外に出しておくのは忍びない。ここから先は我々のコミュニティでお話しさせていただきたいのですが・・・よろしいでしょうか?」
確かにそのまま野外というわけにもいかないので俺が肯定の返答をしようとすると、
「待てよ。まだ俺が質問してないだろ?」
今まで黙っていた十六夜が口を開いた。
「・・・どういった質問でしょうか?ルールについて、それともゲームそのものについてですか?」
少し警戒した顔つきで十六夜にそう聞いた。
「そんな事はどうでもいい。腹の底からどうでもいいぜ黒ウサギ。俺が聞きたいのは・・・たった1つ手紙に書いてあった事だ。」
さっきまでの軽薄な笑みを消し、少し威圧的な声色でそういうと俺たちや天幕がかかった街などを見渡し、全てを見下すような、何かを求めるかのような視線で黒ウサギに質問した。
「この世界は・・・面白いか?」
「「————————」」
他の2人も同意見だというように返事を待っている。手紙には確か『家族を 、友人を 、財産を 、世界の全てを捨てて箱庭に来い 』と 書かれていたはず。それだけの価値に見合うもの、こいつらにとっては面白さがあるのか?そう黒ウサギに聞いたのである。それに対しての黒ウサギの回答は
「───Y E S 。『ギフトゲ ーム 』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯 。箱庭の世界は外界より格段に面白いと 、黒ウサギは保証いたします ♪ 」
そんな自信満々、胸を張ったそんな回答だった。
ご覧いただきありがとうございました!
また次回をお楽しみにして下さい!お願いします!