ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」   作:わんたんめん

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第102話 一番のはずれ

 

「おし、ついにドンパチ始まったみてぇだからアタシらも動くか。」

 

館内に響き渡る灯花の放送を聞き、杏子はさやかたちが戦闘を開始したことを察した杏子。

黒江も同意するように頷き、2人は黒羽根に扮するために黒いローブで身を隠しながら歩き始める。

 

「…………………さっきの人、大丈夫なんでしょうか?」

 

「わからねぇな。止めたとはいえドッペルに取り込まれちまったもんはそう簡単に戻る雰囲気じゃねぇのは調整屋の反応からもはっきりしてる。」

 

黒江が心配したのは直前に会った秋野かえでのことだ。

暴走する直前に止めることはできたとはいえ、かえで本人はドッペルに取り込まれたままだ。

さらには調整屋であるみたまの反応具合からみて、ドッペルに取り込まれた魔法少女が元に戻る方法も簡単ではない始末だ。

最悪、事が終わってもあのままかもしれない────そんな思考が頭をよぎった黒江は悲痛な表情を隠しきれない。

 

「そんな人があんなにいっぱいいて……………マギウスの人たちはなんとも思ってないんでしょうか?」

 

「さぁな。気にも止めてねぇかもしれねぇし、逆に気にしすぎてるってこともあんじゃねぇの?そうじゃなきゃこんなその場凌ぎがせいぜいのやり方でゴールを急ぎすぎてる理由がなぁ。」

 

ドッペルをレナとのコネクト────正確に言うなら事前にコネクトしていたさやかの力で凍結させたあとに会ったみたまに連れてこさせられたのはドッペル症隔離室だった。

そこで二人が見たものは、かえでと同じようにドッペルに取り込まれた羽根の魔法少女たちだった。それも一人や二人ではなく、その隔離部屋を埋め尽くすほどの人数だった。

 

「ともかく使いすぎであんな成りになっちまうってんなら結局は魔女化となんら変わりはねぇ。どうにか潜入組として少しでも情報を集めねぇとな………」

 

「確かに・・・・・・・動きやすくなったとはいえ、それは向こうも同じことですし………あれ?」

 

「どうした?」

 

「・・・・・・・・何かあの向こう側から誰かの声が・・・・・・・・」

 

黒江からそう言われ、杏子は正面の通路に耳を澄ませる。

よく聞いてみると確かに黒江の言う通り、誰かの声が聞こえてくる。一瞬見回っている羽根の魔法少女かと思ったがそれにしては様子がおかしい。会話はよく聞き取れないがどうにも言い争っているようにも聞こえてくるのだ。

 

「…・・・・・・・ちょっと近寄ってみるか。」

 

そう提案する杏子に黒江は無言でうなづくと聞き耳を立てていることを悟られないような距離まで近づき、様子を伺う。

しばらく耳をそば立てる杏子だったが、会話の主が誰であるかを察したのか不敵な笑みを浮かべる。

 

「黒江!お前でかした!!」

 

「はいッ!?え、あ、佐倉さん!?」

 

称賛の声と共に飛び出た杏子に驚きつつ、少し遅れてつられて飛び出る黒江。

その先には見慣れたゴーグルのついた紫色の帽子をかぶった少女、フェリシアと薄緑色の髪の上にティアラを輝かせる盾の魔法少女、さなの姿があった。

 

「お前らー!だいじょぶしてるかー!」

 

「んおッ!?きょーこ!?な、なんでお前がこんなところに!?」

 

「もしかしてさっきの放送って…・・・・いろはさんたちなんですか!?」

 

「おう!んだけど、その前に一つ。聞いとかねぇといけないものがある。お前ら、どうするんだ?」

 

笑顔のまま投げかけられた杏子の質問に表情を強張らせる二人。外面こそ笑みを崩していないが、返答によっては………と言いたげな雰囲気を出している杏子に気圧されているのだろう。

 

「わたしは………みかづき荘に、いろはさんたちのところに帰りたいです。ここは、わたしの帰る場所ではないです。」

 

「まぁ、アイのやつがいるのにお前がそうする必要はねぇからな。で、お前はどうなんだ?」

 

さなの答えにうなづきながらも隣で顔を俯かせているフェリシアに視線を向ける杏子。

 

「…・・・・・・・なぁ、きょーこ。さやかはさ、アイツらの言う魔女にならないで済む方法ってのは知ってんのか?」

 

「知ってるぜ。なんならアタシら含め今攻め込みに来てる連中は全員な。」

 

「・・・・・・・・・でもきょーこたちはあいつらを止めるためにここに来たんだよな?ってことは、それはそういうことなのか?」

 

「・・・・・・・・・あいつらの弁護をしてるみてぇだが、確かに魔女にはならねぇ。だが、ただそれだけって話だ。」

 

目を伏せながらの杏子の答えにフェリシアはそっか、と一言だけつぶやいて再び顔を俯かせる。

みふゆに誘われ、灯花からの授業で自身の仇である魔女にならないためにやってきたが、その期待がなかったことがショックなのだろう。

 

「ッ………佐倉さん、あれ・・・・・・・・・」

 

いたたまれない空気になっている中、黒江からそう声を掛けられ、視線を彼女が向いている方に向ける。

そこには通路の角から熊のぬいぐるみの頭のようなデカブツ、警備用のウワサの手下が姿を現すとこが見えた。

 

「警備用の女王グマのウワサの手下です。これは────」

 

「ああ、ちょっとマズイかもな。」

 

瞬間、手下の大口が開かれ、一目散に杏子たちに向かって突撃をしてくる。

何に反応したかは不明だが、一番有力なのはペンダントを持っていない杏子に反応したと考えるのが妥当だろう。

 

「こうなったらしょうがねぇ!こっちもこっちで暴れるぞ!!」

 

ともかく狭い廊下で相対した敵がデカブツである以上杏子たちにはあまり退路はない。そう判断した杏子は槍で迎え撃つ姿勢をとる。

黒江とさなもそれに追従するように手持ちのメイスと盾を構えた。

 

「動きを止めます!」

 

さなが勢いよく盾を地面にたたきつけると杏子たちの前に巨大化した盾が複数枚現れ、ウワサの突進を防ぐ。

しかし、相当な膂力があるのか、真っ向から受け止めたさなは押されるように苦し気な表情を浮かべる。

 

「助かる────」

 

動きと止めたウワサに杏子が槍を突きつけようとしとところ、彼女よりも先にウワサがハンマーに叩きつぶされ、生々しい音と残骸が廊下にまき散らされた。

 

「んおっ!?フェリシア、お前・・・・・・・・・・・!!」

 

危うく攻撃に巻き込まれかけた杏子は驚きつつもやった本人であるフェリシアを視界に収める。

その表情に晴れやかなものはないが、少なくともその紫の瞳に陰りは無かった。

と、思ったのもつかの間────

 

「へへっ、だったらもうあいつらの振りする必要もねぇな。オレさやかと戦うなんてイヤだし。」

 

「はぁ?あ、お前らまさか────」

 

鼻を鳴らすようにしながら不適な笑みを浮かべたフェリシアに思わずあんぐりとした表情を浮かべてしまう。

 

「そのまさかです。最初佐倉さんが言ってた通り、せっかくアイちゃんと一緒に居られるのにわざわざ自分から捨てに行くようなことはしません。」

 

「っても、途中までさやかのことを忘れてたのはマジだけどな。」

 

どうやら2人はハナからマギウスの翼に恭順するつもりはなかったらしい。

なんなら今の杏子たちと同じようにスパイ行為に勤しむ腹づもりだったことに杏子は安心と呆れから頭を抱えながら大きなため息をついた。

 

「お、お前らなぁ・・・・・・・・心配かけさせやがって・・・・・・・・!!」

 

「す、すみません。でも、中に入れたおかげでわかったこともあるんです。エンブリオ・イヴの居場所です。」

 

さなの言葉に驚きの表情を隠しきれない2人。

ほとんどの羽根たちさえ知らないはずのその所在をどこで知ったのかと思っていると、さなは他の羽根の話と事前情報を擦り合わせた前提と念を押した上で廊下の外に見える輸送用の乗り物らしいのに目を向ける。

 

「聞いた話によると、あれには育成された魔女が運ばれているらしいんです。羽根の皆さんからはそれ以上のことは知らないと口を揃えられてしまいましたけど、おそらくはこの魔女たちが運ばれている先にエンブリオ・イヴがいるのではないかと。」

 

「……………まさか、育てた魔女をエサにしてるっていうのか?そのエンブリオ・イヴに。」

 

「確信をもって言い切れませんが、わたしも同じようなことを考えています。」

 

「そんなこと……………あり得るんですか?わたしはてっきり育ててるのはグリーフシードが目当てなのかと………」

 

「魔女を喰らうってんなら初めて神浜に来た時にさやかが目の当たりにしたって話だ。ようやく繋がってなかった点が繋がったが………とりあえず、見に行くしかねぇな。」

 

魔女がエサにされているということに怪訝な表情を浮かべてる黒江にそう言いながら杏子は廊下の窓を粉砕し、外の空間に身を乗り出した。

 

 

「わたしたちもついて行って大丈夫でしょうか?」

 

「アタシらはお前ら二人を探しにも来てるんだぜ?ついて来てくれなきゃ困る。」

 

杏子たち四人は壊した窓枠に足をかけるとそのまま跳躍し、輸送用の乗り物に乗り込み、そのままフェントホープの最深部。エンブリオ・イヴの座す空間へと進んでいった。

 

 

 

 

 

 

「……………便利ですねぇ、この乗り物。」

 

「フフッ、確かにな。自分も初めて乗せてもらった時は面を食らったよ。」

 

羽根たちの包囲網かを突破して、みたまの待つドッペル症隔離室に向かうさやかたち。その道中、ゆきかと十七夜を乗せ、もはや完全にサブフライトシステムになってしまっているオーライザーに苦笑してしまうさやか。

とはいえ空を飛ぶさやかがスピードを合わせるには2人と一緒に地に足つけるくらいしか方法がない。時間を考慮すればこうなってしまうのは自然のことだ。

 

「次の通路を左に曲がってください。そうすればあとは道なりで着きます。」

 

「わかった…………………ん?」

 

ゆきかの案内で進んでいる中、不意に止まるさやか。

突然の停止に不思議そうにしている2人を尻目に警戒感を滲ませる表情を見せる。

 

「この先で待ち構えられてる。ご丁寧に陣形のようなものまで組まれているな。」

 

「ふむ、七瀬君。ほかに迂回できる道は?」

 

「確か、ほとんど一本道だったような覚えが…………」

 

「止む無しか………美樹君、どうした?」

 

戦闘は避けられないと思っている十七夜が何か考え込んでいるさやかに声をかける。

 

「杏子たちは運よく入れ違いになった様子だが…………目的地付近で暴れるのもな、どうしたものか。」

 

「…………美樹君、君からわかることを教えてくれないか?意表を付けるかは定かではないが、状況次第ではこんなのもいけると思うが?」

 

あまりド派手に戦闘をしてしまうと、余計な戦火を生む可能性があることに苦慮していると十七夜から提案が挙げられた。

その提案にさやかは心配そうな目線を向けていたが、十七夜の見せる得意げな表情に根負けするようにうなづくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「一人?報告ではあなた含めて三人で向かっているって聞いていたのだけど。」

 

「…………………頭に車輪が刺さっているが、大丈夫か?」

 

「は?」

 

一人で現れたさやかに待ち構えていた集団の先頭に立っていた魔法少女が訝しめな表情でにらみつけるが、返しとして飛んできた雰囲気とか諸々すべてをぶっ壊すようなさやかの心底から心配しているような表情と言葉に、先頭の魔法少女は何を言われたのか理解できえいないように言葉を文字通り失った。

先頭の魔法少女の恰好は白羽根と同じものをしていたが、全く外見から情報を得られないほど隠されているわけではない。

さやかはそのわずかにうかがえる部分に車輪のようなアクセサリーがついていたからそういったに過ぎないのだが、言われた側はそんなことは初めてだったのか、思考回路がショートしてしまっているかのようだった。

 

「いや、刺さっているというよりかは生えているのが正しいのか。しかし、魔法少女時の恰好は契約者のイメージによって左右されるらしいのなら、そのパンジャンドラムじみた車輪で趣味は自爆か?もしくは単に火遊びか火祭りが好みなのか。」

 

「そ、それはそれはとんでもなくであんまりな言いぐさですぅ!!どーしたら燦さまの頭の車輪を見ておきながらそんな突拍子もない結論になるんですかぁ!!火祭りが大好き………否!!もはや愛と形容しても過言ではないほど心酔されておられるのは事実ですが!!」

 

「そうなのか。」

 

 

突然割って入るようにしてきた羽根の魔法少女の力説によれば、先頭の魔法少女の名前は(さん)さまというらしい。

プリプリと羽根のフードの下からでも頬を膨らましている様子が簡単に浮かぶその羽根の魔法少女をなだめるように割と必死な様子で抑える燦さま。

心なしか周りの羽根の魔法少女たちも体を震わせているように見える。おおかた笑いをこらえているのだろう。

 

「ところで私はこの先で待たせている人がいるのだが。通してくれるか?」

 

「ッ…………何を世迷言を!」

 

さやかの言葉でようやく覚醒したのか、飛びのくように距離をとると両腕を構えるようにさやかに向ける。

それに対し、不思議に思いつつ身構えるさやかだったが、次の瞬間驚きに満ちた表情を見せる。

 

「ガトリング砲!?そんなの魔法少女としてありなのか!?」

 

燦さまの両腕が二門のガトリング砲に変化すると派手な爆音を鳴らしながら銃弾をさやかに向けて掃射する。

しかし現代兵器という予想外の得物に面を食らいながらも放たれた弾幕を空を飛ぶことで難なく回避するさやか。

 

「各員、私に続いて弾幕を張りなさい!!この回廊であの最強を撃ち落とす!!」

 

燦さまの指揮で後方で待機していた羽根たちから魔力弾による援護が入る。練度も羽根たちの中ではかなり上振れに近い者たちが集められているのか、弾速の早いものや誘導が強いものと種類が多くひどく避けづらい。

 

「…………一番のはずれを引いたか…………ッ!?」

 

悪態をつくように渋い表情を見せているさやかの顔を上からの光が照らす。

一瞬目がくらみつつもその場を離れると、その範囲を燦さまが撃ったであろう弾丸の雨が降りそそぐ。

 

(…………おかしい。撃った張本人が地面にいるのに今の攻撃は上から来た。)

 

攻撃してきたであろう本人が地上にいるにも関わらず、頭上から降り注ぐような攻撃が飛んできたことに疑問を感じたさやかが燦さまの方を見ると再びガトリング砲をぶっ放す彼女が映る。

ただし、それは背中に乗せたもう一門を足した計三門でガトリングによる砲撃を行っているものだったが。

 

(背中のガトリングからの弾丸が落ちてきてるのか!?)

 

背中の一門が明らかに違う方向を向いているにも関わらず、上に向けて放たれた弾丸は山なりに軌道を描き、さやかに向かって降り注いでくる。

たまらずさやかは高度を急降下させて逃れるも、流れるようにGNソードⅡを引き抜き、燦さまに肉薄。逆袈裟の形で切りかかる。

しかし、さやかの振るった刃は甲高い音とともに火花を散らして防がれた。

 

「なに────」

 

防がれたことに驚きの表情を浮かべるさやか。

見えたのは燦さまの周りを取り囲むバリアのようなもの。一瞬自身と同じものかと思ったが、そんな彼女にさらなる魔法が襲う。

視界がぶれたかと思うと、次の瞬間にさやかの体は宙を舞っていた。

 

(なんだ!?いつの間に吹っ飛ばされた!?)

 

続けざまに変わる状況に面くらいながらも吹っ飛ばされた態勢を整えつつ一度距離をとるさやか。

 

「さ、燦さま燦さまぁ~。あの人ミユの魔法を受けていながらしっかり反応してきました~気持ち悪いですぅ~。」

 

「落ち着きなさいミユ。」

 

(内容は不明だが、一瞬意識が飛んだような感じがしたのはあの羽根の魔法か。)

 

どうやら一瞬視界がブレ、時間が飛ばされたように攻撃された瞬間の記憶がないのは燦さまを慕っていると思われる魔法少女の仕業らしい。

厄介な能力だと、さやかは内心悪態を吐く。

戦闘のおいて、一瞬のスキでも致命的になってしまう。どうやら先ほどのはうまいこと反射的に体が反応してくれたから防げたようだが、意図的にスキを相手に見せさせるというのは無法すぎる。

 

 

「…………やはり私が最強などという評価は過大評価だな。」

 

そんな独り言をつぶやきながらもさやかは不敵な笑みを見せながらGNソードⅡを再び構えなおした。

 

 

 

 

 

 




何気に二部から登場のキャラクター出すの初めてだな………

マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………

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