ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」   作:わんたんめん

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仕事で疲れて感想返せなかった…………
申し訳ねぇけど、感想くれるとやっぱ嬉しい……………


第103話 半径200km

 

『フェリシアちゃんとさなちゃんが見つかったんですか!?』

 

『おう。今は合流してエンブリオ・イヴのところに向かってるとこだ。』

 

『場所もわかったんですか!?』

 

続け様に明かされる杏子からの情報に驚きの表情を隠せないいろは。

 

『なんかここの窓の外を見るとさ、走ってる列車みてぇなのあるだろ?あれには育てた魔女が乗せられてんだけど、その先にいるんじゃねぇのかって、さなが言ってた。だから今は確認しに行ってるってところだ。』

 

「列車みたいな……………」

 

杏子の言葉に手頃な近くの窓の外を見ると、その通りに外の空間を列車のようなモノレールのようにも見えるのが無数に走っている。

 

『わかりました。常盤さんたちを向かわせますか?』

 

『いや、基本的に数の利は向こうにある。下手に動けば囲まれて終わりだ。さやかみてえにスピードでゴリ押せるなら話は別だが』

 

元々エンブリオ・イヴの相手を請け負っているななかたちを向かわせるのは時期尚早。

杏子の言う通り各個撃破されるリスクが大きいと判断しつつもいろはは難しい表情を見せる。

 

『そういえば鶴乃ちゃん……………鶴乃ちゃんについてはなにも?』

 

『ああ。そっちに関してはからっきしだ。フェリシアたちでさえ、鶴乃のヤツが翼入りしているってことを知らないときた。』

 

『そんな………………』

 

鶴乃の消息が全く掴めない。状況的に鶴乃がマギウスの翼に加入したことは確実だ。それにもかかわらず彼女の影すら踏めていない現状にいろはは心配する表情をより強める。

 

『…………とりあえず、鶴乃の方はアタシたちの方で続けておく。お前はお前で集中することがあんだろ?優先順位をつけろとはいわねぇが、二つ以上のことを同時になんて、いろははそんなに器用じゃねぇだろ?』

 

『杏子さん………………すみません、ありがとうございます。』

 

杏子の気遣いともとれる言葉にいろはは表情を緩め、礼の言葉を返したがそれに対する彼女からの返事はなかった。大方照れていたりするのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁッ!!」

 

「やぁぁぁ!!!!」

 

さほど広くない回廊でさやかのGNソードⅡと黒羽根の魔法少女、遊狩ミユリのローラーブレードがぶつかりあい、空中で火花を散らす。

 

「その程度ッ!!」

 

「あうっ!?」

 

お互いの力量にそれほど差はない。しかし、空中が主戦場であるさやかはGNドライヴの出力を上げ、その推力とともに押し出すように交差されたGNソードⅡを振りぬき、ミユリを弾き飛ばす。

そこからさやかは飛んで行ったミユリの様子を一瞥すらせずその場を離れ、襲い掛かる弾幕の範囲から逃れる。

 

「くっ……この狭さでとらえきれないなんて…………!!」

 

「流石に面制圧力がこの空間では高すぎる……!!!」

 

燦さまはは狭い空間にもかかわらず自身のガトリングによる掃射を潜り抜けるさやかの技量に、逆にさやかは形成される弾幕により近づけないことにお互い険しい表情を浮かべる。

さらにどうにかしようとさやかが接近して攻撃しても向こうにも似たようなバリアを張られてしまうため、状況的にはさやかが厳しい。

 

唐突に視界が電源が切れてしまったように一瞬暗転する。

 

「────またか!?」

 

思考を中断せざるを得ない状況に思わず声を張り上げるさやか。

気づけば自身の体はさやかの自覚なしに弾幕の中を突き進んでしまっている。

直撃をもらう前に戻ってこられたのは幸いか。

 

「クッ……………!!!」

 

苦しい表情を見せながらも弾幕の中を針の穴を通すような軌道で掻い潜る。

足を少しでも止めてしまえばもうそこから動けなくなる。それを危惧したことでのなおの前進。

 

(どうしてあの状況からすぐに建て直せるのよ!?それにあんな飾りを背中に背負っておいて、こんな…………!!!)

 

既に相当な数の弾丸をさやかに向けて放っているにも関わらず、当たる気配を微塵も見せないさやかに困惑に近い動揺を隠しきれない燦さま。

マギウスの御三家からさやかは近接よりの万能タイプの魔法少女と聞かされているため、近づかさせなければ一定の脅威程度で抑え込められると踏んでいたが、現実に見えている光景はどうだろうか?

 

さやかの表情に余裕は見られない。あの最強と謳われる魔法少女を苦戦させることができているのは明白だろう。

だが、それまで。そこ止まりだ。

周りの羽根たちが魔力弾を放とうとも手にしている剣で両断され、ミユリの固有魔法である『体感時間の短縮』で視覚と思考を奪っても超人的な反応速度で迎撃され、挙句自身の弾幕でも足止めがやっと。

これだけかかっても攻撃がまるでカスリもしない。それは戦闘において、ただ単純に強い敵よりもどんなに脆弱でも倒せない方が極めて厄介だ。

強いだけならまだいい。攻撃を当てることができれば、時間をかけていずれ倒す事ができる。

だがそれも攻撃があたってこその話。当てる事ができなければそのきっかけを掴むことすら叶わない。

 

「そこッ!!」

 

ライフルモードにしたGNソードⅡでビームを三射放つさやか。狙いは彼女を無力化するために両腕と背中のガトリング砲だ。

それに対し、燦さまはガトリングを撃ったままバリアを展開し、防御の構えをとる。放たれたビームも細いが威力が決してないわけではない。盛大な衝突音と共に衝撃ではじかれるように彼女が吹っ飛ぶ。

 

「ハァァァ!!」

 

そこに追撃と言わんばかりに肉薄したさやかがGNカタールが装着された脚で蹴りかかる。

カタールの刃は溶断に優れた性能を持っているが、彼女のバリアは破れない。

その硬さは思わず何らかの特殊な条件を達しなければ破れないのかと思ってしまうほどだ。

 

「それ以上はやらせません!!」

 

背後から強襲するミユリのローラーブレード、前方から発射準備の整った燦さまのガトリングと黒羽根たちの魔力弾が牙を向く。

無論攻撃を中断し、回避行動を取るさやか。

魔力弾が回廊の床を砕き、ガトリングの弾丸が壁を破壊するがさやかは身を翻し、弾丸をGNソードⅡで叩き落として直撃を避ける。

この場で唯一さやかに追いつけるスピードをもっているミユリは一度は距離を離されつつも足止めを食っているさやかに再び肉薄し、もう一度ブレードで蹴りかかる。

 

「………………」

 

背後からの攻撃にさやかは一瞬だけ視線を向けると両肩のバインダーからビームマシンガンをミユリに掃射する。

頑丈な魔法少女にはちょっと肌が焼ける程度しかない効果の薄い攻撃だが意表を突いたり、牽制するには極めて効果的な武装だ。

 

「ひゃうッ!?で、でもこれくらいなら────」

 

突然の迎撃武装に思わず動きを止めるミユリ。

一瞬の出来事だったが、その攻撃に威力があまりないことを察すると強引に突破を試みようとする。

しかし、次の瞬間には彼女の体は何かに引っ張られた。

 

「すまない、少し痛い思いをしてもらう!」

 

引っ張られた先にいるさやかは野球の投球フォームのように右手に持った剣を大きく振りあげている。その剣先からワイヤーが伸びており、その線を辿ると自身の足に巻きつけられているのに気づく。

 

(あの一瞬で───)

 

わずかに動きを止めたその瞬間を突いてくるというよほどの実力者でないとできない芸当に、戦慄に近い感情を覚えるミユリ。

さやかはそのまま手にしたGNソードⅡショートを振り下ろし、ワイヤーで繋がれた彼女を勢いよく床に叩きつけた。

背中から叩きつけられたことで肺から無理やり空気を押し出されてしまい、酸素が足りずに意識が朦朧となったミユリは意識を闇に沈める。

 

「ミユッ!?」

 

彼女がやられたことに悲痛な声を挙げる燦さま。

思わず駆け寄ろうと足が出かけたが、それより先にさやかが倒れ伏しているミユリの体を抱え上げる。

 

(まさか、ミユを人質に!?)

 

嫌な予感が脳裏をよぎる。

他の黒羽根なら多少は目を逸らすことができたが、燦さまにとってミユリはちょっと気持ち悪い部分(重度の脚フェチ)もあるが、自分を慕ってくれる大事な後輩のような存在だ。

そんな彼女を盾にされてしまえば何もできなくなってしまう、そんな確信があった。

 

「とりあえずここに寝かせておけば大丈夫か?」

 

しかし、ミユリの体を抱えたさやかはまるで見向きもせずに回廊の端の方に向かうと労るような丁重さで彼女を寝かせる。

 

「まぁ、これはおまけだ。使うかどうかはお前の判断に任せる。」

 

気絶しているミユリに聞こえてないだろうなと思いながらもさやかは懐からグリーフシードを取り出し、彼女の手に握らせる。

 

「えっ─────」

 

思わず目を丸くしてその様子を眺めてしまう。

彼女にとって今相対している自分たちは敵であるはずだ。

それにもかかわらず、さも当然のように戦闘に巻き込まれないように安全な位置に移し、グリーフシードを置いていくことに呆けた表情を戻せない。

 

(さてと、強固なバリアだな………奥の黒羽根たちはほとんど相手にする必要はないにしろ、あれを破るには相当な火力が必要か?)

 

向き直りながらも燦さまの展開するバリアの硬さに内心舌を巻くさやか。

火力でゴリ押すのも選択肢の一つ。さやかにはライフルモード以上の火力に心当たりはいっぱいある。

しかし、どれもこの場では不必要な火力であり、最悪奥の黒羽根の魔法少女たちを巻き込みかねない。

 

(どうする?ある意味で手がないな、これでは。)

 

そんなとき、黒羽根の一人が何か違和感を感じ取ったのかキョロキョロと周囲を見渡し始める。

 

「ど、どうしたの?そんなに周りを見て………」

 

その様子を見たほかの黒羽根から当然の疑問がかけられる。

 

「いや、何か揺れているような────」

 

何かを感じ取った黒羽根が不安そうな表情でそう答えた瞬間、回廊の床がすさまじい轟音と共に突き破られる。

 

「な、なに!?」

 

「いいタイミングだ。私の心でも読んだか?」

 

「フッ、そうと言えれば多少の恰好がつくのだろうが、残念なことに全くの偶然だよ。」

 

ちょうど燦さまとミユリの二人と取り巻きの黒羽根たちを分断する位置に粉塵が立ち上る。

その粉塵が揺らぎ、黒い人影が見えると、中から十七夜が姿を現す。

 

「和泉………十七夜………!!まさか下の回廊を無理やり壊してくるなんて………」

 

「いかにも。東側代表、和泉十七夜。君たちの救済を阻む一派の一人だ。」

 

不敵な笑みを浮かべながら鞭を手にする十七夜。

神浜市でも随一の実力者である彼女の出現に燦さまは険しい表情をより強める。

 

「七瀬君!!手筈どおりに向こうの羽根たちは君に任せる!一応忠告だが────」

 

「────ええ、わかっていますとも!」

 

粉塵の向こうから帰ってくるゆきかの言葉になら問題ないな、と表情を緩める十七夜。

次の瞬間、思わず耳を塞ぎたくなるような破裂音が粉塵の向こうから響いた。

それと同時に金属同士がぶつかり合うような音が無数に響き渡る。

 

「…………あんな派手な音がなる武装、彼女とのコネクトにあったのか?」

 

「状態を把握した彼女からそう進言があってな。相手を制圧するにはもってこいの代物だ。特に身体的外傷に対し頑丈にされた魔法少女相手にはな。」

 

舞い上がっていた粉塵が収まり始め、十七夜とは別の黒い影が見え始める。

しかし、そのシルエットは人と呼ぶには一回り大きな見た目をしていた。

 

「さやかさん、こっちの制圧は終わりました。」

 

粉塵から姿を現したゆきかはそれまでのバニーガールを模したような格好から大きく様変わりしていた。

全体的に赤い装甲が全身を覆い、左腕の連装マシンキャノンに加え、メイン武装であるレイピアはリボルバー付きのパイルバンカーとなって右腕に装着されていた。

何より目を引くのが両肩に搭載された巨大なコンテナだ。

モクモクと白煙をあげているところからすでに兵装としては使用済みなのだろうが、その大きさからうかがえる火力は想像に難くない。

 

「…………結構凄まじい音が鳴っていたが、大丈夫なのか?」

 

「かなり痛い思いをさせてしまったとは……………離れて撃ったとはいえ、何せぶつけたのがこんなものなので。」

 

黒羽根たちの心配をするさやかに粉塵から現れたゆきかは手のひらに乗せた鉄球を見せる。

大きさはベアリング弾を少し大きくしたくらいのものだが、先ほどの音の大きさからも相当な火力で撃ち出されたのであれば、ぶつけられた時の衝撃も致命的なものはなくともかなり大きいものだろう。

実際に床を破壊した時の煙幕が晴れてくると直撃を受けた箇所を押さえながらその場でうずくまっている羽根たちの姿が見えてくる。

 

「………………死人は出てないようだが、死屍累々だな。どうする?まだ立ち向かってくるか?」

 

倒れ伏している羽根たちを気まずそうに見ながら十七夜が一言、燦さまにそう投げかける。

 

 

「…………これ以上の抵抗は無意味です。そちらも矢鱈無闇の戦いを望んでいるようではないですし。」

 

少しだけ周囲を見渡して、燦さまは降参する意思を示した。

腹心といってもいいミユリは倒れ、取り巻きの羽根たちも戦闘不能である以上、燦さま側に数的有利は存在せず、勝ち目もない。

 

「そうか。まぁ、そうだろうな。」

 

「…………妙に残念そうな反応をするな?」

 

うんうんと頷く十七夜だがどこか表情は残念そうだ。

それをさやかが指摘すると彼女は一つ、小さくため息を吐いた。

 

「せっかく君とのコネクトを試せると思っていただけに、それの機会が流れてしまったのが惜しいと思っているだけだ。」

 

「あれをか?試しに使ってみたら余りの加速で体が耐え切れずにお前が血反吐をはきかけて大騒ぎになったのを忘れたのか?」

 

「うむ、あれに関しては回復魔法さまさまだったな。環君には頭が上がらない。だが美樹君の言う通りいささか肝が冷える場面も数多くあったが、乗りこなせれば相当なものは事実だ。」

 

そういってカラカラと笑う十七夜に頭を抱えるように呆れた表情を見せるさやか。

戦闘を行った直後だとは思えない会話の内容に燦さまは唖然とするしかない。

そんな時、フェントホープ内に放送が鳴り響く。

 

「これは、マギウスによる放送…………?」

 

「このタイミング…………あまりいい予感はしない。」

 

「同感だ。まぁ、自分たちが暴れ始めればそうは動くだろうな。」

 

燦さまのこぼした言葉に3人の間に緊迫した雰囲気が漂う。

さやかは険しい表情を浮かべ、十七夜は放送の内容をなんとなく察したのか憮然とした顔で耳を立てる。

 

「おそらく、計画の完遂を急ぐため向こうも強硬策で打ってでるだろう。」

 

「エンブリオ・イヴが起動する、ということなんでしょうか?」

 

ゆきかの言葉に難しい顔を見せる十七夜。

強硬策に出るだろうとは思ったものの、具体的にどう出ててくるかはわかってない。

ここはおとなしく放送の内容を聞いてから対応を考えるのがいい、そう思っていたが放送の内容に白羽根であるはずの燦さまでさえ驚愕一色に表情が染め上がる。

 

「正気なのか!?そんなことを行えば、一体どれだけの被害を産むのか理解していないわけではないだろう!!?」

 

「…………バカと天才は紙一重だとはよく言うが、これは完全に馬鹿のやることだ。一応聞いておくが、こんな愚行をすることを君たちは知っているのか?」

 

「…………いえ。エンブリオ・イヴの存在そのものは知っていましたが………」

 

十七夜に詰められる燦さまは言葉が出てこない様子だが当惑している表情に嘘は見られない。おそらく本当に知らなかったのだろう。

 

その放送の内容は神浜市を中心に半径200キロ以内の魔女を全て市内に呼び寄せ、エンブリオ・イヴに吸収させ、覚醒を促すというもの。

ワルプスギスの夜を呼び寄せたのもそのためだとすれば、確実に神浜市は文字通りの崩壊を迎えるのは火を見るより明らかだ。





というわけで、ギャンブラー繋がりでアルトアイゼンの七瀬ゆきかちゃんでした。

十七夜さんの方もわかる人にはわかる、はず。

マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………

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