ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」   作:わんたんめん

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うう、最近仕事きつくて書けねぇし………


第104話 みんなに見せられる

 

「クッ……………本当に奴らは魔法少女を救済するつもりがあるのか……!?」

 

フェントホープ館内に響いたマギウス達の手段に表情を歪めるさやか。

半径200km圏内の魔女を全て神浜市にそれ専用のウワサで誘導し、それらをエンブリオ・イヴの覚醒のための糧とする。

しかし、それを行なった時の代償は、さやかにとってはあまりにも釣り合わない。

 

「そ、そんなことをしてしまったら、市内の人々が魔女の大群に………!!」

 

「それだけじゃない。今の神浜市の人々の心には不安といった負の感情が渦巻いている。それもある程度集められた状態でだ。」

 

「ッ…………そうか、避難所!!魔女にとって不安や恐怖はご馳走に他ならない!いくら誘導されているとはいえ…………!!」

 

今の神浜市は一般人の目から見れば未曾有の勢力の台風が迫ってきている状況だ。ほとんどの交通手段はストップし、日常を謳歌していた人々はさやかの言う通り、大なり小なり不安を抱えた心境で避難所に身を寄せている。

そこに人々の不安を好物とする魔女が集められたら、十七夜の想像通りいくら誘導されているとはいえ寄り道のような形で避難所を襲撃されてもなんらおかしくはない。

 

「……………つまり、このままいくと私たちは大量殺人者のレッテルを張られると?」

 

「それもそうかもしれないが、ワルプルギスの夜まで引き込んでいる時点で奴らはその行動で引き起こされる被害が見えていないように思える。人の命だけじゃない。このままではみんなの帰る場所がなくなってしまう。お前もどこからの出だかは知らないが、お前の大事なモノ、守りたいモノもそこにあるのではないのか?」

 

さやかからそういわれ、燦さまは大きく目を見開く。

燦さま、改め神楽燦という魔法少女はいろはと同じ宝崎市の魔法少女だ。神浜市から見て西側に位置するその都市では、知名度こそ高くないが細々と続けてきた伝統的な祭り、『光塚の火祭り』があり、彼女はその祭りの存続を願い魔法少女となった。

 

(……………私は、火祭りを守りたい。守らなきゃいけない。)

 

それは紛れもない本心、自身の根幹をなすものだ。

マギウスの翼に入ったのも、火祭りを守りたいために魔法少女となったのに自身が祭りを害する可能性のある存在になり果てては元も子もないからだ。

だが、こうしてマギウスの計画が最終段階に入り、ふたを開けてみればどうだろうか?

 

(ワルプルギスの夜………その存在はただそこにいるだけでも災害にも等しい魔女。その被害が及ぶ範囲も未知数。もしかしたら、宝崎も例外ではないかもしれない。)

 

「…………一つ、貴方に確認したいことがあります。」

 

先に行こうとしたさやかたちを呼び止める。

 

「仮にマギウスの御三家の計画を止めたとして、誘導されたワルプルギスの夜が進路を変えるとは限らない。まさかとは思いますが────」

 

「当たり前だ。みんなの未来を切り開く。それができるだけの希望は、今の私にはあると思う。」

 

燦の言葉を遮るようにさやかはワルプルギスの夜の打倒を宣言するとすぐさま踵を返し、足早に二人と共に先へと進んでいく。

マギウスの作戦が明らかになった以上、時間をかけるわけにはいかなくなったのだろう。

その場に残された燦はさやかたちの背中を見送ったあとに肩をすくませてため息を吐いた。

 

「よくもまぁあのような大言を平然と………よほどの大馬鹿でもなければ口に出すことすら憚られるでしょう。」

 

その大馬鹿が彼女(さやか)なのだろう。

身を縮こませて過ぎ去るのを待っていればいいはずの災害を乗り越えるべき障害と見ることができるのは本当に一握りの存在だろう。

マギウスの御三家も言い換えればその災害に立ち向かっているともいえるが、決定的に違うのはそれを自らの目的のためではなく、ただ周りの人たちを守りたいという真っ直ぐな願いであるということ。

 

「………………みんなの未来を、ですか………」

 

 

 

 

 

回廊の先に見えてきた扉を勢いそのままに開け放つ。

そこにいるはずのみたまの姿を探すさやかだが、それよりもそのドッペル隔離室の様子に思わず目を見開いて言葉を失う。

そこには隔離室の壁を埋めつくしていると言わんばかりに所狭しにドッペルが拘束されていた。

隔離室の空間自体は細長い塔のようになっており、縦方向に空間は広いが、少なくとも目で見える範囲には蠢いているドッペルの姿があった。

 

「これら全てがドッペルだと言うのか……………!?」

 

「ええ、そうよ。」

 

驚愕の表情を十七夜が見せていると、みたまが姿を現した。

目線を上に向けていたからわからなかったが、部屋に設けられているソファにはレナの姿もあった。そして─────

 

 

「ももこ……………やはりお前もここにいたか。」

 

「ッ…………………」

 

白羽根のケープに身を包んだももこの姿もあった。

さやかが声をかけると、彼女は気まずそうな表情をしながら逃げるように目線を逸らした。

 

「……………とりあえず、お前の選択を咎めるつもりはない。だがその上で聞かせてほしい。さっきの放送を聞いてでも、お前はマギウスの行う救済を望むのか?」

 

さやかからそう聞かれ、より一層苦い表情を深めるももこ。

おそらく、彼女も相当に悩んでいるのだろう。自らのために、計り知れないほどの命を巻き込んでいいかを。

それを察したさやかは彼女にそれ以上問いただすようなことはしなかった。

 

「………………時間があまり残されていない。率直に聞くが、彼女たちが元に戻る可能性はあるのか?」

 

「わからない、って言うのが正直なところ。彼女たちの救済が完遂されることで元に戻るかもしれないし、もしかしたら戻らないかも。どっちもね。」

 

みたまの答えにそうか、呟くさやか。

 

「だが、生きてはいる。それは確かなんだな?」

 

「………………こんな状態を生きていると呼んでいいのならね。」

 

そう言ったみたまの表情は酷く鬱屈としたものだった。

さやかの言う通り、ドッペルはあくまで溜め込んだ穢れを実体化したもので、それに取り込まれただけであれば少なくとも死んではいない。

ただ、死んでいないとはいえ暴れることしかできなくなったそのドッペルを生きている魔法少女と呼んでいいのかどうかは憚られるのがみたまの本音だ。

 

「救済を待つ以外に方法は?」

 

「………………ハァ、アナタがいる以上黙ってても無駄よね。」

 

さやかに問われ、ため息をついたみたまの目線は十七夜に向けられていた。

さやかは以前十七夜の口からみたまとは旧知の仲だと聞かされていた。魔法少女となったあとも交流があったとすれば、彼女の固有魔法の読心も知っているのだろうと踏んで彼女を連れてきたのだが、それが功を奏したようだ。

 

「その様子なら敢えて言う必要もないとは思うが…………手法があるのであれば是が非でも頼みたい。この有様は流石の自分でも彼女たちが不憫で他ならない。」

 

「………………私の魔法を使えばできなくもないわ。」

 

「できるの!?」

 

「ですけどなんだか曖昧な言い方のような………?」

 

みたまの言葉に身を乗り出す勢いで反応するももこ。

しかし、どこなく歯切れの悪さを感じたのか首を傾げるゆきか。

 

「………………ソウルジェムへの直接干渉。それはつまり対象との精神の同調を意味する。平時ならまだしも精神状態が最悪といってもいいドッペルに対しては使用者である彼女本人への影響も計り知れない。」

 

「全部話されちゃったけどその通りよ。できなくはないって言うのはそういうこと。念を押すようだけどホントにできなくはないのよ?多分そこにみたまさんの命がかかってくるだけで。」

 

「そんな…………!!それじゃあかえではいつまでも…………!?」

 

方法はあるが実質的に無理。

みたまの答え方はようはそういうことだ。

あんまりな現実に今まで話を聞いていたレナも思わず立ち上がりながら声を荒げる。

 

 

「…………………精神状態がいい方向に向かえばいけるのか?」

 

「それは……………言葉通りに受け取ればその通りだけど………」

 

「……………手伝ってほしい。私1人では彼女に声は届かせられない。」

 

そう言いながらさやかは決意を固めた目を向ける。

その目線の先にはドッペルに取り込まれ、異形の姿となって囚われたかえでがいた。

 

「ごめんなさい────」

 

「…………やはり中立の立場を崩すことはできないのか?」

 

みたまの答えにさやかは予想していなかったわけではないのか大した動揺もせずにその理由を推察する。

それが当たりなのか、みたまは静かに肯定した。

 

「八雲、ここまできての中立の立場への固執はいささか目に余るぞ。」

 

「和泉十七夜ッ!?まさか────」

 

みたまの態度にしびれを切らしたのか怒気を孕んだ口調の十七夜に前回の観鳥令のことが頭をよぎる。

すかさず止めに入ろうとしたさやかだったが、他ならない十七夜に静止されるように手をかざされる。

 

「案ずるな。観鳥君のときのような下手は踏まないと約束しよう。」

 

「…………わかった。お前が旧友にすら手を上げる人の心がない人間ではないと信じよう。」

 

「相も変わらず不遜な言い方をしてくれる…………」

 

心配そうな顔から飛び出るさやかのとげのある言葉に肩を落として脱力する十七夜だが、一つ小さくため息をついてみたまと向き直る。

 

「……………無論、八雲の事情は理解しているつもりだとも。君は魔法少女になりながらも、戦うための力を得られなかった。魔女と戦うことはできない。だが、魔法少女である以上グリーフシードの入手は文字通りの死活問題だ。だから君はほかの魔法少女たちの調整を行う代価としてグリーフシードを求めた。」

 

「しかし、今の現状はどうだ?件のマギウスはエンブリオ・イヴなどという偶像をあのワルプルギスの夜にぶつける腹積もりだ。そんなことをしでかして起きる未来を予測できない君であるまい。確実に神浜市は吹っ飛ぶくらいの被害は避けられない上に、グリーフシードの入手経路を失うことになる。おまけに救済と謳うドッペルもふたを開けば突貫工事も良いところの杜撰な仕組みだ。こちらに与するだけの理由はそろっているはずだが?」

 

「それに君は美樹君に期待していると言葉を漏らした。その期待に美樹君が応えられるとしたら、その機会をわざわざ逸するつもりか?」

 

十七夜の言葉を受け、ゆっくりとさやかの方に目線を向けるみたま。

その瞳には十七夜の指摘通りの期待とここにいる魔法少女たちを助けられることへの不安が入り混じったものだった。

 

「……………手伝ってほしい。頼めるか?」

 

 

 

 

 

 

(ここは……………?)

 

一寸先も見えない闇の中、かえでは目を覚ます。

 

(ここは、どこ?確かはわたしは、レナちゃんに連れられて────)

 

記憶を辿っていき、自分がレナに連れられてフェントホープから出ようとしたところまでは覚えている。

傍らにいたはずのレナを探し、周囲を見渡すかえでだが、その空間には人どころか物すらかけらも見当たらない。

 

(なんだか怖いよ………早く出ないと)

 

『どうして出ようとするの?出たところでノロマなわたしに居場所なんてないのに』

 

本能的に恐怖を感じるこの場を危険と判断したかえでだが、背後から突然声をかけられ、思わず大きく目を見開いて振り向く。

そこには同じ髪型、同じ背丈、同じ服装をした鏡合わせのような自分。しかし、何より違うのはその顔には目の部分はくり抜かれ、口が半月状のようになった白い仮面が被せられていた。

 

(ッ〜〜〜〜〜!?!!)

 

声にならない悲鳴を挙げながらドッペルゲンガーとも等しきその存在から距離を取ろうとする。

しかし足がもたついてしまい、尻餅をついてしまうかえで。

 

「あ、貴方は一体…………!!」

 

『誰って…………ずっと一緒にいたはずだよ?ここ最近はずっとね。』

 

目の前の自分からそう言われるが、皆目見当がつかないかえでは困惑と不安が入り混じった表情を見せる。

その反応に白い仮面を被った彼女は気だるそうに両肩を竦ませる。

 

『ドッペル、っていえば流石にわかるでしょ?』

 

「ドッペル…………ッ!!」

 

仮面の自分がそう名乗ったところでかえでは思い出した。ドッペルの使いすぎで暴走を引き起こし、取り込まれてしまったことを。

そしてその側にレナと少なくとも2人くらいの魔法少女たちかいたことを。

 

「ね、ねぇ!!貴方ドッペルなんだよね!?レナちゃん…………一緒にいた友達は大丈夫なんだよね!?」

 

立ち上がりながらドッペルの自分に駆け寄り、そばにいたはずのレナの安否を問うかえで。

その様子にドッペルは怪しげに小さく笑い声を響かせる。

 

『フフッ……………それは貴方自身が一番よくわかっているんじゃないの?ドッペルが暴れたらどうなるかは。』

 

「ま、まさか……………そんな…………!!」

 

ドッペルの言葉に酷く狼狽した反応を見せるかえで。

それには彼女がマギウスの翼に身を寄せた理由に大きく関係があった。

ある日、いつものようにかえで・レナ・ももこの3人で魔女と戦っていたが、その魔女が彼女たちが想定していたより遥かに強く、全滅の可能性もあったほど追い込まれていた。

その状況を打開したのが偶然にもかえでが発動させたドッペルだった。

しかし極度の精神状態で使用したため、ドッペルは暴走。結果として魔女は倒せたが、レナとももこは大事には至らずに済んだものの暴走に巻き込んでしまった。

 

そして、今回かえでは再びドッペルを暴走させてしまった。前回は運が良かったものの、二度も続くとは思えなかった。

 

「うそ……………うそだよね…………わたし……わたしはレナちゃんを死なせたくなかったからここに一緒に来たのに……………!!」

 

自分がレナを殺したかもしれないというショックに茫然自失になるかえで。

その足元からふつふつと黒いモヤのようなものに包まれ始める。

蝕むようにかえでの脚を侵食していく黒いモヤ。このままでは明らかにかえでの身に危険が起きるだろう。

 

 

その時だった。真っ暗闇の空間に一条の光が灯る。

 

「なに…………この光…………?暖かい…………?」

 

目に涙を浮かべていたかえでがその光の差す方向を見た。

見上げるような高さにあるその翠の輝きはかえでが気づいたことに反応するように一層輝きを強め、かえでのいる空間の闇を打ち払っていく。

 

────かえで!!!

 

「───────あそこに行かないと」

 

微かに聞こえた声に思わず目を見開く。

直後、かえではそう直感し、脚を動かそうとしたところでようやく自身の状況を理解する。

即座に自身の得物である杖を振りかざし、足元から木々を生み出して拘束と同時にドッペルとの距離を取る。

 

 

 

「ウソッ!?手応えありだわ!?ホントにあの子の精神の調子が良くなってるのだけどどうなってるのよ、アナタのその力!?」

 

「うまいこと効いてくれたか…………!!」

 

「ハハハハッ!!!ここまでくるともはや痛快物だな!」

 

拘束されたかえでのドッペルの前で能力を行使しているみたまが悲鳴のような驚きを挙げる。

事態の好転のきっかけとなったのはさやかのもつガンダムの力。装備を含めた全身が鮮やかな赤に光り輝く『トランザムシステム』でGN粒子放出量を極大にまで増大させる。

それが引き起こすのはGN粒子を媒介とした他人同士の意識のリンク。しかし、みたまのような精神を同調させるのではなく、イノベイターになっているさやかの脳量子波を土台に他者同士を繋ぐ橋渡しを行う。

 

「……………私には繋げて伝えることしか、希望を示すことしかできない。肝心の本人が前に進めなければ変わらないし、その彼女を手繰り寄せられるのは友達であるお前たち次第だ。」

 

額に脂汗を滲ませながらも軽く笑みを浮かべるさやかの言葉にレナとももこは強く頷き、かえでのドッペルに強く呼びかける。

 

「……………美樹君、素直に吐くといい。その程度の表情で済ませているようだが、負担はかなりのものだな?」

 

「……………まぁ、他の魔法少女たちにもやってるからな。お陰でそれなりにネガティブな文言が頭の中を飛び交っているが、効果は出てるみたいだからドッペルも動きがおとなしくなっている。」

 

十七夜に負担を見抜かれたさやかの言葉にギョッとした表情を浮かべたみたまが辺りを見渡してみると、拘束された状態でも暴れていたはずのドッペルが悉く沈静化している。

 

「ねぇ、ホントにどういうこと?貴方って確か、魔力の回復ができるのよね?だとしてもこれは………あまりにも常識外れすぎるわよ?」

 

いぶかし気な顔で説明を求めてくるみたまにしょうがないというように不敵な笑みを見せるさやかと十七夜。

 

「ああ。まったくもってその通りだ八雲。美樹君の両肩から放出される粒子には穢れの浄化作用がある。ため込んだ穢れが形となったドッペルにはさぞ覿面だろうが、まずは能力を行使している君のソウルジェムを見てみるといい。」

 

十七夜から促されるように自身のソウルジェムに視線を向けるみたま。

瞬間、半信半疑だった顔が驚愕の一色に染め上がる。

 

「固有魔法を使っているのに………穢れがほとんどない………!?」

 

「────これが、私からみんなに見せられる可能性(希望)だ。」

 

 

 




なんか最近場面が切り替わってるとこ多くて見づらいとかない?大丈夫?

マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………

  • ガンダムだ
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