ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」   作:わんたんめん

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くっ………ほむほむの心中が複雑すぎてこれでいいのかどうかが全然わからない………。

あ、クロスレイズ発売したんで初投稿です。


第13話 信じるさ。アンタの言葉に嘘はない。

「…………貴方、本当に何者?」

 

さやかの問いかけにほむらは疑念をそのまま言葉にすることで返す。

 

「それはこちらのセリフだと言いたいが、私は美樹さやかでしかない。それだけだ。質問に答えてほしい。お前に対する疑念はもはや目を逸らすことができないレベルまで来ている。」

「…………そもそも私が巴マミの生存を願った証拠なんて、どこにもないわ。」

「まどかから、お前がマミ先輩に今回の魔女は任せてほしいと言ったことを聞いた。今回の魔女は一味違うと警告していたこともだ。この言葉はマミ先輩の身を案じていなければ出てこない言葉だろう。事実、彼女は魔女に不意をつかれ、死にかけたんだからな。」

 

さやかは一度そこで言葉を区切るとほむらを鋭い目つきで睨み付ける。

 

「魔女の外見、特徴など、予め推測できるものではない。中に別の存在を抱え込んでいたのであれば尚更だ。だが、その魔女の特性を一味違うとぼかした言い方をしていたが、お前は知っていた。何故、誰も知り得ないようなことをお前は知っている?」

「…………貴方には関係のないことよ。」

「まどかのことに関してもそうだ。お前がまどかを魔法少女にさせたくないのはわかった。その理由がその高い素質をキュゥべえに利用されたくないというのもな。だが、そもそもとして高い素質を持っていることを何故知っている。お前がキュゥべえを追いかけ回していたのは、まどかとキュゥべえが出会う前に既に繰り広げられていた。」

 

ほむらはさやかには関係のないことだと言って、口を噤むが、さやかは矢継ぎ早にほむらに対する疑問を止めることなくぶつける。

 

「お前は、謎が多すぎる。その謎やお前の取る立ち振る舞いが、対する者に不信感を抱かせ、肝心な時に信じてもらえず、今回のマミ先輩のようになる………!!はっきり言って、こうして応対している私自身でさえ、お前に対する不信がないと言えば嘘となる。」

 

「だが、お前が事情を話してくれれば、蟠りはなくなり、私達はわかり合うことができるかもしれない。だからーーーー」

 

「教えてくれ。お前の知っていること、それから辿ってきたその道を。」

「魔法少女でもない貴方がーーー「関係ない。」は?」

 

さやかが手に握っていたナースコールを離すことでこちらの誠実性を前面に出すが、それでも話そうとしないほむら。

その理由は魔法少女でもない。

確かに魔法少女ではない、一般人のさやかが首を突っ込めることではないかもしれない。

 

「魔法少女である以前にアンタも私も人間だ。ここに生きている人間なんだ。私は魔法少女としての暁美ほむらではなく、大事な人を守りたいと願う、一人の人間としての暁美ほむらを知りたいんだ。」

 

だが、そんなのは所詮詭弁でしかない。さやかにとっては魔法少女である以前にほむらも一人の人間なのだ。

 

「……………そう。そこまで知りたいのなら教えてあげるわ。どのみち貴方は上条恭介がいる限り、キュゥべえと契約するのは明白。だったら知らないよりはよっぽどいいでしょうね。魔法少女の真実を。」

 

どうやら話してくれる気にはなってくれたようなほむらは彼女のトレードマークでもあるストレートに下ろした黒髪を荒々しく手で払う。その表情はどこかイラついているようにも見えた。

 

(…………どのみち恭介がいる限り、私は確実に契約する、か。まるで前例があったかのような言い方だな。とはいえ、教えてくれるのは別のもののようだが…………)

 

ほむらの言い草にそんなことを考えたさやかは軽く眉を潜める。それを彼女に問い質してみてもよかったが、話の流れ的に関係のあることでは無さそうだったためさやかは口を噤むことにした。

ほむらは自身の制服のポケットから紫色の宝石が付けられたアクセサリーのようなものを取り出すと、さやかに見せつける。

マミのものとは微妙にデザインに差異が見られるが、それは十中八九、ほむらのソウルジェムなのだろう。

 

「それは、アンタのソウルジェムか。」

「ええ。貴方、これに関してはどこまで?」

「……………魔法を使用すればするほどその内部に穢れという黒いモヤが生じる。それは溜め込みすぎると魔法の使用が出来なくなるため、魔女が落とすグリーフシードによる定期的な浄化が必要なところか。だいたい、アンタも私がそれぐらいの知識しかないことを察してはいるのではないか?ちょうどその説明を聞いていた現場にいたのだからな。」

「否定はしないわ。そして、何か違和感を感じた事はないかしら。なぜ、グリーフシードはソウルジェムから穢れを取り除くことができるのか。」

「…………違和感自体はあった。確証にはなんにも至ってはいないが。」

「そう。それだけでも巴マミよりは上出来ね。」

「そ、そうか…………。」

 

いい反応は得られないと思っていたが、意外にもほむらから歳に似合わない妖艶な笑みを浮かべながらさやかを巴マミよりは上出来と評して褒めた。

そのことに軽く面をくらうさやか。しかし、巴マミはかなりの実力と魔法少女としての実績を重ねている筈だ。そんなベテランな彼女より上出来ということはーーー

 

「マミ先輩さえ知り得ないこと、なのか?アンタがこれから話すことは。」

「そうよ。知っているとすれば、私の他には、あいつしかいない。」

 

ほむらはそういうと表情をまるで汚物でも見るかのような冷ややかなものにする。彼女がそんな表情をする相手といえば、一人、いや一匹しかいない。

 

「キュゥべえか。となるとやはり、奴は何かこちらに言っていないことがあるようだな。余程の、それこそ魔法少女になるのを躊躇うほどのものか。」

「躊躇うどころか、誰もなりはしないでしょうね。余程の大馬鹿者でなければ、ね。」

 

そう言ってほむらはさやかに鋭くした目線を向ける。まるで自身がその大馬鹿者と見ているかのようだ。

 

「……………で、その奴が隠している事とは何だ?」

「グリーフシードはソウルジェムに穢れが溜まり切った、成れの果てのようなものよ。そして、グリーフシードは魔女の卵とも言われている。つまり、貴方達が魔女と呼んでいる存在、その全て、元は魔法少女だったのよ。」

「…………………………そういうことか。ソウルジェムの内部に出る穢れ、それはグリーフシードの撒き散らす呪いと同質のものであり、だからソウルジェムに干渉ができるのか。グリーフシードは。」

「…………大して驚かないのね。」

「…………さっきも言ったが、違和感自体は持っていたからな。」

「やっぱり、貴方は違うのね。」

「…………前々から疑問に思っていたのだが、何故そんなに私のことが気になるのだ?さらにその他の誰かと比べているかのような物言い。荒唐無稽だが、まるで、私とは違う美樹さやかに()(くわ)したことがあるような雰囲気だ。」

 

さやかがそう尋ねるとほむらはわずかに視線を横に逸らし、黒髪を払うような仕草をする。その様子はさながら何か話すべきが悩んでいることをごまかしているようだった。

 

「……………ええ。事実よ。」

 

長い沈黙ののち、ほむらは一言だけ、吐き出すように言い放つ。

 

「どういうことだ?」

 

さやかが怪訝な表情を浮かべながらそう尋ねるとほむらのソウルジェムが一瞬輝いた。

病室の電気が消えており、真っ暗闇だったせいでわずかに目が眩んださやかがほむらの姿を再び視界に収めた時には彼女は魔法少女としての服装に変身していた。

 

「ッ……………!?」

 

突然のほむらの行動に思わず身を強張らせる。その反動で手がナースコールに反射的に伸びる。しかし、その行動を取ることによってほむらに対する誠実性が損なわれてしまうのではないかと思ったさやかはその伸ばした手をなんとか押し留める。

 

「安心しなさい。今の私に貴方に危害を加える気はないわ。」

 

そのことに安堵した雰囲気を出すが、さやかは同時に違和感を覚える。なぜか先ほどまで目の前にいたはずのほむらの姿がなく、その声自体は自身の背後、つまるところ背を向けている病室の窓側から聞こえたのだ。

おそるおそるさやかが背後に顔を向けると、ほむらの姿がそこにあった。

 

「……………魔法を使ったのだろうが、瞬間移動のようなものか?」

「何も知らない貴方からすればそう見えるでしょうね。」

「…………いや、違うな。お前が病室に侵入してくる時、扉を開け閉めする音がしなかった。」

「………それが?」

「お前の反応から、既に瞬間移動の類ではないのはわかったが、確かに瞬間移動であったのなら、扉を開閉する音すらしないのは不自然だ。」

 

ほむらは微妙に眉を潜めるような顔をするが、構わずさやかは自身の推察を言い続ける。

 

「そして、お前が言っていた複数人の美樹さやかと会ってきたという言葉。これは主に考えられる手段は二つだが、どのみち4次元的なものに干渉しなければ不可能だ。空間か時間のどちらか。だが、こちらの認識外での行動が可能とされるのは、時間だ。であるならーーーー」

 

「お前の魔法は時間操作か。」

 

さながら答え合わせをしてくるかのような口調でそうほむらに尋ねるさやか。そのさやかの様子にほむらはため息をつくような仕草をする。

 

「…………本当に今回の貴方は(さか)しいわね。ええ、そうよ。私の魔法は時間操作。時の流れを止めたり、ある一定の期間まで記憶をそのままにして巻き戻すこともできるわ。」

「それも全て、まどかのためか。」

「そうよ。たった一人の、私の友達。彼女を救うためなら、私はなんだってするわ。」

 

その言葉を言った時のほむらの表情はまさに鬼気迫るような感じであった。

 

「そうか…………。」

 

そのほむらの様子にさやかは何か表情を浮かべるだけでなく納得した言葉だけを浮かべる。

 

「ところで、今回の、とはどういうことだ?」

「そのままよ。今回の美樹さやかは違いすぎるのよ。貴方という人間は愚直で変に正義感が強くて、一度こうだと判断したらまどかの言葉でもその意志を変えようとしない人間だったわ。」

「…………そんな猪のような人間だったのか?」

「少なくとも私からはそう見えたわ。その上、魔法少女になった美樹さやかは、毎回自身に絶望して魔女と化していったわ。」

「その、原因は?」

「上条恭介よ。」

 

ほむらの言葉にさやかはどこか呆れたような表情を浮かべる。

 

「また恭介なのか…………。魔法少女になった理由も恭介と、まるで私がアイツに恋心でも抱いているみたいだ。」

「え………………ないの、貴方?」

 

呆れた表情をしながら冗談半分で思ったことを口にするさやか。しかし、ほむらが目を見開いて心底から驚いた顔を浮かべていたことに、思わず彼女に尋ねてしまう。

 

「いや……………そのような顔をされてもないものはないのだが。まさか、他の美樹さやかにはあったのか?」

 

その質問にほむらはどこか呆けたような様子で首を縦に振った。そのほむらの反応にさやかは難しい表情を浮かべる。

 

「…………あるのは精々、アイツのバイオリンをもう一度聴きたい程度のものだ。一応、見舞いに行っているのは腐れ縁のようなものだ。」

「そう、なの?」

「…………もちろん、自分の気持ちを隅から隅まで理解しているとは到底思ってはいない。」

 

だから、そのような可能性もあるにはあるのだろうとさやかは口には出さずともその雰囲気と態度でほむらに伝える。

 

「……………ますます貴方のことがわからなくなったわ。」

「まぁ、お前の言うことが全部真実なのであれば、余程私という人間はこれまでの美樹さやかとは違うイレギュラーのようだな。わからなくて当然だ。他人に対して歩み寄るのではなく、警戒心を出している様では、わかることもわからない。」

 

さやかはそう言うと、ベッドの掛け布団をどかし、上半身を起こす。

 

「ッ……貴方、その包帯は…………。」

 

ほむらはベッドの掛け布団に隠されていて見えなかったさやかの四肢につけられた傷、それを巻いている包帯を見て、息を呑んだ。

 

「ん?ああ、そういえばお前が来た理由もマミ先輩が何故生きているのかについてだったな。すまない、お前のことに関して疑われるのを避けるため、包帯を外すことはできないが…………まぁ、勲章のようなものだ。」

 

そう軽く笑みを浮かべるさやかだったが、ほむらはキッとした表情を浮かべ、さやかを睨みつける。さやかは彼女の反応に少しばかり困惑気味な表情をしてしまう。

 

「そ、そこまで睨まれるいわれは無いと思うのだが…………。時間を操れるお前のことだから魔女の姿形はわかると思うが、奴のあの大きな両目をマミ先輩から借りていたマスケット銃の弾丸と、マスケット銃自体を投げつけることで視界を潰した。だが、結局暴れた魔女に撥ねられてしまった。」

「魔女に…………立ち向かったの!?魔法少女でも無い貴方がッ!?その場にはまどかもいたでしょう………!!貴方、まどかの目の前で死ぬつもりだったの!?」

「………………いや、そのだな、マミ先輩にもその言葉を言ってあげればよかったのでは………?今のような必死さであればもう少し耳を傾けてくれたのではないかと思うのだが………。とりあえず、説教であれば、もう結構だ。見舞いに来た両親からの説教はおろか、マミ先輩、挙句の果てにまどかにまで泣きつかれたからな。」

 

いつもの無表情が完全に崩れ、感情が表に出まくっているほむらにさやかは微妙な表情を浮かべながら彼女をなだめるのだった。

 

 

「ふぅ…………で、貴方はどうするの?」

「…………何がだ?」

「さっき私が話したこと、諸々全て、それを信じるのかどうかよ。」

 

ほむらの確認とも取れる言葉にさやかは不思議そうな表情を浮かべながら、彼女の顔を見る。一見するといつもの無表情なように見える彼女の様子だが、さやかを見つめるその目は不安そうに揺らいでいた。

 

「…………信じるさ。アンタの言葉に嘘は感じられなかったからな。」

「……………ありがとう。貴方は強い人間ね。当事者ではないとはいえ、これを知って平静でいられる人間はいないから。」

「それもそうだな。理解はしているが、なんとも皮肉なものだ。魔女を倒す魔法少女が将来的に同じ存在と化してしまうとは………。まぁ、それは置いておこう。これでも私はアンタを信頼している。こと、まどかに関してだけだがな。」

「…………そうね、鹿目まどか、あの子だけは、絶対に救ってみせる………!!」

 

そう言うとほむらはぎゅっと手を握り締めて、その決意を露わにする。

 

「お前の、まどかへの想いは本物だった。私に対する契約をしないようにとの警告。その根底にあるのも、彼女に対する想いだろう。それだけはお前に対して、絶対に揺らぐことのない、私の信頼だ。」

「……………そう。ならいいのだけど。」

「ところでだが、この真実、まどかやマミ先輩に伝えた方がいいのか?」

「まどかはともかく、巴マミはダメよ。あの人は、真実を知った時、発狂した前科がある。正義の味方を気取って戦ってきたのに、その倒してきた存在が元は同じ人間で、あろうことか自分自身もいずれ同じ存在になると言われれば、目も当てられない惨事を引き起こしたわ。」

「そ、そうなのか…………。」

 

ほむらの言い草からかなり不味いことになったことを感じ取ったさやかはほむらの忠告の通り、少なくとも現状はマミには話さないことを胸に誓うのだった。

 

「だが、いずれは説明した方がいい。多少のリスクは背負うだろうが、こちらの(あずか)り知らぬ場所でキュゥべえに真実を明らかにされて、アンタに向けて銃口を突きつけられるよりはマシだろう。」

「…………ええ、いずれ話すわ。」




クロスレイズをプレイした感想

ああ…………掛け合いとか専用セリフが多すぎて死んじゃう…………。

青枠の傭兵「フッ………変わらないな、ロウ・ギュール」
赤枠のジャンク屋「俺と劾がいりゃあ向こうところ敵無しだぜ!!」

ァ゛(絶命)


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