ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」   作:わんたんめん

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三作連続でこれほど登録していただけるとは思いもしませんでした!!
まだまだガンダム要素が出てこない弊作でありますが、首を長くして待っていただけると幸いです!!

これからもよろしくお願いします!!!


第21話  御膳立ては済ませた。後はお前の役目だ

『ねぇ、ほむらちゃん。キュゥべえに騙される前のバカな私を、救ってあげてくれないかな…………?』

 

そう彼女に願われたのはいつの時間軸だっただろうか?

 

2回目?3回目?それとも十は超えたころだっただろうか?

 

幾度となく同じ一ヶ月を繰り返してきたから正確な頃はもはや定かではない。

 

それでも覚えている大事な友達からのこの言葉。

 

そのために私はどんなことでもやった。手製の爆弾を作ったり、ヤクザをはじめとした人間、団体から銃火器を拝借するなど考え得ることは悉くやった。

 

全てはあと少しで見滝原にやってくる『ワルプルギスの夜』のために。

 

だけど、今まで渡ってきた時間軸の中でその『夜』を越えられたことは一度もなかった。

 

いや、そういうと語弊がある。倒せた時が決してないわけじゃなかった。

 

それは魔法少女として、類稀な才能を有していたまどかの力があればこそ。しかし、その結果はいずれも彼女の死をもって終わりを迎える。

 

ワルプルギスの夜を倒した後、まどかは崩壊した見滝原の惨状を見て、心を病んでしまう。

 

つまり絶望してしまう。その結果、彼女のソウルジェムは黒く濁っていき、魔女に成り果てる。

 

まどかが変貌した魔女はただただ巨大な山のように大きかった。見方を変えれば黒いドレスを纏った巨大な女、とも取れるが、この際どうでもいいことだ。

 

ただ、そこで鹿目まどかが人間としての生を終えることが私にとって、到底受け入れることのできないことだった。

 

だから何度も時間を巻き戻した。何度も、何度も何度も。

 

でも、招いたのは結局、守りたい人を余計に危険な目に遭わせてしまう羽目になってしまった。

 

私のやってきたことは、結局悪あがきだったの?私がどんなに頑張ったところで、まどかを………あの子の未来を変えることはーーーーー

 

『未来は、切り開くものだ。他でもない、お前自身の意志でーーーー』

 

 

 

 

「ッ……………?」

「目が覚めたか。だいぶ魘されていたようだったが、大丈夫か?」

 

朧げな意識の中、聞き慣れない口調でありながら聞き慣れた人間の声でようやく意識を覚醒させる。呻き声をわずかにこぼしながら寝かされていたのであろう体を持ち上げると、まどかといつのまにか来ていたのであろうマミの姿。

そして、声をかけてきた人間であろうさやかが度合いは違うものの全員が心配そうな目線を向けていた。

 

「ここは……………?」

「結界のあった廃工場から然程離れていない公園だ。」

 

視界に広がるのは日が沈みきった夜空、その夜空からの星の光にわずかに照らされている木々から、明らかに魔女の結界とは違う場所に、今の居場所についてほむらが尋ねると間髪入れずにさやかが答える。

 

「魔女は…………どうなったの?貴方が倒したの?」

 

寝かされていた公園のベンチからまだ意識がはっきりとしていないのか、頭を抑えながら上半身を起こしたほむらはマミに目線を向ける。

そのほむらの質問にマミは首を横に振り、自身が魔女を打ち倒した人物ではないことを示す。

 

「え………じゃあ一体誰が………魔女が見逃した訳ではないでしょうし………。」

 

そのマミの答えに面をくらったような表情を浮かべながら言葉を溢す。

 

「そのことに関して、私はお前に謝らなければならないことがある。」

 

さやかの声に再びほむらの目線はさやかに注がれる。公園のベンチに座っているさやかの様子はどこか神妙な面持ちを出していた。

 

「謝らなければならないこと…………?」

「……………ああ。」

 

不思議そうな表情をしながら首を傾げるほむらにさやかは沈黙の間に一つ、息を吐くような仕草を浮かべると、強く頷く。

 

「……………魔女を倒したのは私だ。他でもない、魔法少女の力を使って。」

「ーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

 

そして、直接口にはしなかったものの、自身がインキュベーターと契約し、魔法少女となったことをほむらに白状した。そのことにほむらは目を見開き、声が出せない様子で、言葉を詰まらせる。さやか自身もわずかに気まずい表情を浮かべてしまうが、契約し魔法少女になったことは、自身が契約することに警戒感を抱いていたほむらには是が非でも話さなければならないことと思いながら、話を続ける。

 

「すまない。お前から、契約しないでほしいと面と向かって忠告されていたにも拘らず………………。」

「ッ…………なんて愚かなことを…………!!!」

 

そう怒りに塗れた表情を浮かべながら、ほむらはベンチから飛び上がり、さやかに近づくと、彼女の襟元を掴みとった。突然の事だったが、さやかは苦悶の表情を浮かべ、何も語れないーーーいや、語らなかった。

ただ成すがままの状態のさやかにほむらは苛立ちを覚え、彼女にさらに詰め寄ろうとする。

 

「暁美さん!!それ以上はやめなさい!!」

「ほ、ほむらちゃん!!やめて!!」

 

しかしマミがほむらの腕を掴み上げるという行為、まどかが静止の声を上げる言葉、それぞれの行動で抑えに入られたことにほむらは一度、さやかを掴んでいた手を離した。

 

「……………ごめんなさい。熱くなったわ。」

「いや………事情を知っていれば自ずとお前が怒るのは目に見えていた。気にしなくていい。」

 

怒りに塗れて、手を上げたことにほむらはわずかに気まずそうに目線を逸らしながら謝るが、さやかはシワができた制服の首元を伸ばしながらも変わらない態度と雰囲気でほむらと向き直る。

彼女自身の表情にも困惑や怒りといったものもなく、本当に彼女がほむらの今の行いに対して悪感情を抱いていないことを察せられる。

 

「美樹さん………事情って、一体なんのこと?」

 

それ故にさやかの平然とした態度に違和感を覚えたマミはさやかが溢した言葉の中にあった事情について尋ねた。

それを聞かれたさやかは一瞬だけマミに視線を向けると即座にほむらにその方角を戻した。

その様子は彼女に何か許可を取ろうとでもしているようだった。

 

「……………………構わないわ。どのみち話すことになるでしょうし、その機会が早いか遅いかだけのことよ。でも、私が話すより、二人から信頼のある貴方が主導で話した方がいいと思う。」

「そうか…………わかった。だが要所要所は頼む。」

 

ほむらから許諾の言葉を受けたさやかはそう付け加えると、まどかに目線を向ける。向けられたまどかは何か身構えるように体を強張らせた。

 

「……………以前、彼女に関して私が疑問を挙げていたのを覚えているか?まだ私たち二人がキュゥべえと出会っていないはずであるにも拘らず、ほむらがまどかの魔法少女としての才能の高さを知っていると見られることを仄かしていたことについてだ。」

「ええっと………うん、覚えてる。」

 

さやかの言葉にまどかが頷く仕草を見せると、話が早くなると思ったのか唸るように首を縦に振りながら話を進める。

 

「その答えが彼女が使用している魔法にあった。ほむらの使っている魔法は時間操作。その魔法を使って彼女は同じ時間を繰り返し続けていた。」

「その期間は一ヶ月。全ては全部…………まどか、貴方を救うためよ。」

「わ…………わたしを………?」

 

さやかとほむらの言葉に困惑気味な声が上がるまどかだが、今は内容が内容なため、構っていられる暇はなかった。

 

「まどかが困惑するのも致し方ないが、事実だ。というか、そうでなければ本来キュゥべえにしか測ることのできない魔法少女の才能の指数を彼女が知っていることに理由がつけられない。」

「そう、なの?あまり私には素直には飲み込めないことはなんだけど………。」

「…………少し前にキュゥべえを問い詰める機会があったのだが、そこで奴はまどかの魔法少女としての才能がここ数週間前に現れた突発的なものであることを明かした。そんな突然性が極めて高いものを彼女が事前に知れる手段はかなり限られる。」

「だから、時間操作…………前の時間軸で知ったことがそのまま繰り返される訳だから、暁美さんは知っていたのね。」

 

マミの懐疑的な表情にさやかはまどかと仁美が巻き込まれた魔女の結界に突入する前にキュゥべえから明かされたことを話し、マミからひとまずの納得を得る。

もっともまどかの高過ぎるほどの適性の高さはほむらがこれまで渡ってきたまどかの因果が束ねられた結果だと言うのだが、それを理解できるほど高度な頭脳をまだ子供であるさやか達が持っている訳ではないため、割愛することを選んだ。

 

「……………ねぇ、一ついいかしら?」

「ん、どうかしたのか?」

「……………貴方、契約するとき、どういう願いを叶えたの?」

 

ほむらから自身の契約の際に叶えたであろう願いについて、さやかに質問が飛んでくる。キュゥべえと契約し、魔法少女となったのであれば自然と願いのことに話は行き着く。

しかし、ここにいる美樹さやかという魔法少女はそのときに願いを叶えなかった。正確に言えば叶えたい願いがなかったから開き直って無理に願いを絞り出すようなことはしなかった。

ただ、それが常識外れであることは目に見えていたため、さやかは隣にいたほむらから顔を逸らして、口元を手で覆い隠した。

 

「言いなさい。」

「いや……………その、だな……………。」

 

歯切れの悪い返事をするさやかにほむらは苛立ちを覚え、細めた視線で彼女を睨みつける。そういったのに機敏なさやかは即座にほむらの抱えている苛立ちを感じ取り、考えるように目線を上に向ける。

 

「……………確実にややこしいことになるから話したくなかったのだが。」

「言いなさい。どうせ上条恭介の指を治してほしいとでも頼んだのでしょう?」

「そうではないのだが……………。」

「じゃあ一体何を願ったのよ?」

 

ほむらからの問い詰めにさやかは心底から不安そうな表情を浮かべる。何回か周囲の様子を見定めるように見回すと、隠していた口元から手をどかす。

 

「………………何も。」

「…………?」

「何も…………願わなかった。」

 

ほむらからの詰問にさやかは自身が契約するときに何も願わなかったことをほむら達に明かした。

そのさやかの真実に頭の理解が追いつかなかったのか、さやかを除いたほむら達三人の間で風が通り過ぎる。

 

「言っておくが、自分の取った行動に後悔はない、とだけは念を押させてほしい。」

 

『そういう問題じゃないでしょ!?!?』

 

付け加えたようなさやかの言葉にほむら達三人の声が公園で響き渡る。びっくりしたさやかは苦い表情を浮かべながら、後退りしてしまう。

 

「だからあまり言いたくなかったんだ………こうなるのは目に見えていたからな………。言わないわけにはいかなかったが。」

「だとしても度し難いにもほどがあるわよ!!貴方は愚か者以前に大馬鹿者よ!!!」

「ご、ごめんなさいね。美樹さん?いきなり大声なんて出して………でも、貴方が今言ったことってつまり、奇跡にも等しい機会を完全に棒に振ったってことなのよね?」

「さ、さやかちゃん、願いも叶えないで魔法少女になっちゃったの!?」

 

ほむら、マミ、まどか、各々の反応にさやかは渋い表情を見せると、逃げるように三人の目線から顔を逸らした。その中でもほむらは強烈な目線をさやかに向けていた。無理もない話だ。さやかはソウルジェムが自身の魂であることを知っているにも拘らず契約した上に、あろうことか願いすらも叶えずに魔法少女になったのだ。

 

「…………あそこで契約していなかったらお前どころか、まどかまで死んでいた。マミ先輩は他の魔女の結界に向かっていたらしく、援護も望めなかった。それしか、手段が残されていなかった。」

「ッ……………!!」

 

その言葉にほむらは目を見開き、俯いた。魔女の攻撃に囚われるという失態を犯した結果、さやかが契約せざるを得ない状況と原因を作ってしまったことにほむらはやるせない表情を浮かべてしまう。

 

「だが、今の私には叶えたい願いなどなかった。恭介の指を治す、というのも吝かではなかったが、それは何より今のアイツが抱いた決意を貶すことに他ならなかったからな。」

「…………美樹さんが求めたのは戦う力、つまりそれは魔法少女としての力。そういうことなのね?」

 

マミの言葉にさやかは頷く。

 

「…………そういうことになる。その願いである求めた力はキュゥべえから渡される以上、願うのは意味がないと思ったが。」

「でも、魔法少女になった貴方は……………!!」

「まぁ…………それはなんとかなるだろう。」

 

不安そうな顔をするほむらに向けて、そう言葉を投げかけるさやかだったが、ほむらの表情はあまり晴れやかなものではなかった。

その理由もほむらのこれまでを聞いたさやかに当たりをつけるのは容易かった。彼女の経験則、キュゥべえと契約した『美樹さやか』という人間は悉くソウルジェムが濁りきり、魔女と化すことでその命を落としている。

 

 

「………ねぇ、ほむらちゃん。さやかちゃんもそうなんだけど、どうしてわたしが契約するのに対して、そんなに嫌そうな表情を浮かべるの?」

「それは………そうよね。美樹さんが契約したのはさておき、鹿目さんが高い才能を持っていたとすれば、それにあやからない筈がないもの。」

 

続けての質問にほむらはどこか思いつめるような表情を浮かべる。彼女とてわかってはいるのだろう。まどかの高い才能に頼ればこの先の戦闘も楽になることを。

 

「それもそうだな。しかし、こればかりはかなり込み入った話になってくるから、話す話さないの判断はほむらに仰ぐことになるが…………。」

 

 

まどかから自身が契約することとさやかが契約することを嫌がる理由が別々に存在することに首を傾げる。さやかはまどかのことに関しては自然とソウルジェムのことも話さなければならなくなってくるが、さやかのことに関してはギリギリソウルジェムのことを語らなくても片付けることができなくもない。そのようにさやかがソウルジェムの真実を話すが否かの判断をほむらに委ねるーーー悪く言えば押し付けたのはさやかがチラリと視線を向けた相手が理由だ。

 

「…………?」

 

他でもないマミだ。ほむらからの話ではソウルジェムの真実を聞かされた彼女は自身の在り方を保てず発狂した前科があるとのことだった。それを聞かされてしまった以上、いくら意識から外そうとしても頭にちらつくのが正直なところだ。

 

さやかから視線を向けられたことに気づいたのか、顔をさやかに向けるマミ。咄嗟に目線をまどかへ逸らすが、マミにその様子を見られてしまったのか不思議そうな表情を浮かべる。

 

《…………どうする?言った通り、話すかどうかの判断は任せるが…………》

《…………いいえ、ここで話すわ。遅かれ早かれ、真実は話さないといけなくなるから。》

《……………わかった。》

《気をつけなさい。巴マミが発狂して、貴方に銃口を向けないとは限らないから。》

 

ほむらに念話でソウルジェムの真実を語るか否かの判断を仰ぐと、話すことを決意した旨の返答が返ってくる。

そのことにさやかは一度深く息をつき、整理する時間を設ける。

 

「ソウルジェムはーーー」

「ッ!?ま、待てッ!!」

 

しかし、単刀直入に本題に入ろうとしていたほむらに思わずさやかは目を見開きながら彼女を止める。

 

「…………何かしら?」

「いきなり話し始める奴がいるものか!!」

 

説明を打ち止めにされたことに異議でも唱えるかのようにほむらはさやかに細めた目線を向ける。だが、それに構っていられる暇はないため、視界に入れながらもさやかはマミに目線を集中させる。

 

「マミ先輩。これからほむらが語ることはキュゥべえが明かさなかった魔法少女の真実だ。だが、真実は時に鋭利な刃となって深く傷つけてしまうこともある。それこそ、自身の在り方の根底を揺るがしてしまうほどに、だ。」

 

さやかの神妙な面持ちの語りに始めは呆気に取られていたマミだったが、さやかの言葉の節々に感じられる重さを察したのか、徐々に引き締まったものになっていく。

 

「特に貴方にはそれが顕著に出てくるだろう。以前、ほむらが別の時間軸でこのことを貴方に伝えた時は、発狂してしまったと言うほどだ。」

「は、発狂……………!?」

 

発狂という二文字にまどかは驚愕という様子を見せながら、マミとさやか、両者の顔を交互に見つめていた。

 

「…………私なりの警告はした。聞くも聞かないも貴方次第だ。もちろん、無理に聞かせるつもりは毛頭ない。」

「………………………………………………いいわ。聞かせてちょうだい。そこまで言われてしまったら、ここで逆に聞かない方が二人に申し訳ないわ。」

 

長い沈黙の後に静かに、それでいて強い口調でその真実に向き合うことを示すマミ。

 

「…………わかった。まどかは、どうする?」

「……………マミさんが向き合うって言ったのに、わたしだけ逃げる訳にはいかないから。」

「…………まどからしい理由だな。」

 

確認ついでにまどかに目線を向けるとこれまたマミと同じような表情を見せている彼女が強く頷いた。

 

「……………御膳立ては済ませた。後はお前の役目だ。」

「ええ、わかったわ。」

 

自身の役目は終わったと言わんばかりの様子でさやかはほむらにバトンを渡す。

そして、ほむらはついに語り始める。キュゥべえが明かさなかった真実、魔法少女と魔女、ソウルジェムとグリーフシード、その相関性をーーーーー

 




明かされる真実、害敵と思っていた敵は未来の己の可能性。

その真実に振り回され、混迷を極める見滝原の魔法少女。

しかし、刻は無常にも進み、新たな出会いがさやか達を待ち受ける。

真紅の槍を手にした少女は、その色のごとき苛烈さを持ってさやかに何を伝える?

次回、魔法少女まどか☆マギカ 第22話 「00 GUNDAM」

革新者の目覚めはすぐそこに迫っている。

※なお、実際に投稿されるものとはタイトルが異なる場合があります。
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