ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」   作:わんたんめん

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どんどんさっさんが苦労人になっていく…………(白目)


第25話  七本の剣と一本の銃

「………………疲れた。」

 

佐倉杏子との一戦を終え、マミとほむらと別れ、ようやく帰路に着いたさやか。元々使い魔を見つけたのも家からそれほど離れていないのが幸いしたが、それでも戦いの疲れが残っているさやかは家の扉を開け、開口一番にそんなことを溢す。

 

「…………また一段と遅いお帰りだな。母さんが待ってるぜ?」

 

たまたま玄関にいたのか、はたまたさやかの帰りを待っていたのかは定かではないが、慎一郎からそんな声がかけられる。

母親を心配させてしまったことはさすがに申し訳ないと思ったのか、さやかは気まずそうに視線を逸らすとーーーーーーーー

 

「すまない。いろいろと事情が立て込んで帰るのがうんと遅くなってしまった。」

「………………そうかい。ま、俺としちゃあお前さんに何事もなければそれでいいんだけどよ。」

 

魔法少女関連のことを言うわけにはいかないため、かなりはぐらかした言い訳をするさやかに慎一郎は肩を竦める仕草を浮かべるが、それ以上の追求はしてこなかった。

その慎一郎の脇を通り抜けながら、さやかは母親の待つリビングへ向けて歩いて行った。

 

「あんま…………母さんを心配させるようなこと、するんじゃねぇぞ…………。」

 

呟かれた言葉はさやかに届くことはなかった。なお、リビングに入った直後、凄まじいスピードで母親である理多奈に抱きつかれ、思わずのけぞってしまうさやかであった。

 

 

 

「……………あまりの疲れに思わず湯船で寝落ちしそうになってしまった…………。」

 

食事を済ませた後に風呂も手早く済ませたさやかは寝巻き姿でベッドの上で部屋の天井を見上げるように横になった。明日は明日で自分が新たに手にした魔法少女としての力の詳細をほむらたちに話すことになっている。少しでも整理をつけるためにさやかは懐から取り出したソウルジェムをみるがーーーーーーーー

 

(…………ダメだ。疲れでろくに頭が働かない。)

 

思考が働かないことにため息を吐き、手近な棚にソウルジェムを置いて、そのまま寝を決め込もうとする。

そんな時、閉じられた自室の部屋の扉をノックする音が響く。一体何事かと思い、訝しげな表情を浮かべながらも上体を起こす。

 

「おう、悪いな。大方寝るところだったか?」

 

ノックの音が響いた扉が開かれることはなく、代わりに向こう側から慎一郎の声がくぐもったもので飛んでくる。さやかはベッドから降り、扉へ向かうと、取手に手をかける。

 

「いや、そうでもないが…………どうかしたか?」

 

取手を下に下げ、ガチャッと音を鳴らしながらさやかは自室の扉を開けた。開けた先にはどこかニヒルな笑みを浮かべた慎一郎が立っていた。

 

「別段、扉越しでも構わなかったんだが…………まぁ、いいか。ちょっと込み入ったことを聞く。言いたくなけりゃあ、話さなくていい。無理に言わせる気もサラサラないからな。」

 

始め見せたニヒルな笑みから一転して、神妙な面持ちで語られた忠告ともとれる言葉にさやかの表情も自然と締まったものになる。

 

「お前の友達のマミちゃんについてなんだけどよ。あの子、なんか妙な厄ネタ背負ってんのか?」

「…………なぜ彼女に関してのことを?」

「…………あの子がウチを訪ねてきたんだよ。お前がいないかって。」

 

慎一郎の言葉にさやかは首を傾げながら思案を張り巡らせる。一応、マミとは顔を合わせている。しかし、学校ではあらかじめほむらから部屋に引きこもっていることを耳にはしていたため、佐倉杏子と戦っている時にマミが現れたのは本当に驚いた。

何故彼女が外をうろついていたのかはわかりかねていたが、自宅を訪ねていたのなら、家から程よく近かったあの路地に彼女の姿があったのは頷けるようになる。

しかし、内容が内容なため、あまり魔法少女の話を慎一郎にするのは憚られるのが正直なところであった。

 

「そん時のあの子、ひどい顔してたぜ?髪はボサついていたし、何より涙の跡があった。俺があの子の家族だったら、そんな格好で外に出させることはしねぇんだけどよ…………。」

 

そう言って慎一郎は気まずそうな表情を浮かべながら、目線を横に逸らした。あまりヅケヅケと入り込めることではないのはわかっているのだが、どうしても気になる。そんな感じの様子だった。

 

「…………実は、以前、あの人の部屋に上がらせてもらえる機会があった。」

「…………話してくれるのか?」

 

語り始めたさやかに慎一郎は驚いた顔をしながらさやかの顔を見つめる。それにさやかは一度話を切り、首を縦に振ると、話を再度進め始める。

 

「その時に、彼女は自身が一人暮らしであることを話してくれた。だが、彼女の部屋は明らかに一人で暮らすにはあまりにも広すぎた。あの広さは家族で住まうことを前提としている部屋の間取りだった。」

 

さやかはそこで一度慎一郎の顔を見た。彼の表情はあまり予想したくないものが巡っているのか、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。

 

「…………その時は私も嫌な予感程度で捉えていた。しかし、私は彼女の口から語らせてしまった。彼女の両親が事故で既に他界していることを。」

「ッ……………おいおい、マジかよ…………!!」

「聞くところによると………即死だったらしい。その事故現場で彼女は一人だけ生き残ってしまった。」

 

慎一郎は嫌な予想が当たったと言わんばかりに髪は乱雑にかき分けた。さらに慎一郎はハッとしたように目を見開き、さやかに向き直るとわずかに彼女に詰め寄った。

 

「お前、あの子が一人暮らしをしているって言っていたよな!?中学生がバイトとかできるはずがねぇ。どうやって収入を立てているんだ!?」

「それは……………わからない。」

 

慎一郎の様子にさやかは困惑した様子を見せながらそう答える。僅かに怖がっているようにも見えたその様子に慎一郎はバツの悪い顔をしながらさやかから離れる。

 

「………悪い。少しカッとなった。まだ子供のお前に予想がつくはずがねぇよな。金を出してる定石は…………親戚かそこいらだが、だったら同居すりゃあいい話だ。それすらもねぇとなると…………そんな関係が近くねぇ遠縁の親戚か。」

 

慎一郎はそうブツブツと言いながら思案にふけり始める。その様子とたださやかは見つめているだけだったがーーーーーーーー

 

「…………マミ先輩はこの先も一人だ。今は私やまどかがいてやれるが、それもいつまで続くかわからない。それに、彼女の空いた空白は私やまどかでは埋めることはできない。」

 

不意にそう呟いた。それを聞いた慎一郎は僅かに考え込む表情をうかべると、少しだけため息をついた。

 

「…………知っちまった身だ。できることはやってやるよ。さぁて、お前さんはもう寝な。明日も学校だろ?」

 

そう疲れた笑みを見せる慎一郎だったが、さやかはそれに頷くと部屋の扉を閉めた。それを見届けた慎一郎はもう一度ため息をつくと、上を見上げーーーーーーーー

 

「自分から突っ込んだとはいえ面倒なことになりそうだぜ……………。」

 

慎一郎は参ったように後頭部の髪をかき乱しながらそう呟くと、一階に降りていった。

 

 

 

 

「…………………………。」

 

ところ変わり翌日。何事もない学校の時間が終わり、時刻は放課後。さやかはほむら達と共に下校し、さやか自身の能力とワルプルギスの夜に関することのためにほむらの家を訪れていた。

しかし、さやかの対面の席に座ったほむらは腕を組みながらその前腕部を指で叩いていた。

どうやら苛立ちが隠せない様子のほむらだが、はっきり言ってその原因を作ったのは隣にいた。

 

ほむらから見て対面に座ったさやか。その左隣にはマミが座り、どこから取り出したのか紅茶の入ったカップを優雅に嗜んでいた。

それはさておき、問題はさやかの右隣。そこには何やら決意の固そうな表情を浮かべた()()()の姿があった。

 

「どうしてここにいるの、まどか?」

「その、だな。彼女がついていきた「私がほむらちゃんがどうして私に契約をさせないのか、その理由が知りたいから。」まどか、頼むから私の話を遮らないでくれ。」

 

経緯を話そうとしたさやかだったが、その言葉をまどかに遮られ、なおかつ自身の目的を真正面からほむらに伝えてしまい、そのことにさやかは頭痛の種を見つけてしまったかのように俯きながら額に手を当てる。額を覆っている手を隠しにしながら目線を上に上げ、ほむらの顔を伺うと、鋭い目線を向けているほむらの顔を見ることができた。

 

「……………こういう目をしたまどかはテコでも動かない。それはお前が一番わかっていることではないのか?」

 

若干疲れを孕んだため息を吐きながらそういうとほむらはムッとした表情をしながら押し黙ってしまう。

 

「ねぇ……………ほむらちゃん。やっぱり、教えてくれないの?」

「ッ……………。」

 

まどかの懇願にほむらは気まずそうに表情を歪ませながら視線を彼女から逸らす。

 

「やっぱり、魔法少女になった私はほむらちゃんの経験則、絶対に死んじゃうの?」

「っ!?」

 

まどかの言葉に今度は目を見開き、驚愕といった様子でほむらはまどかの顔を見つめる。

 

「どうして…………そう思うの?」

「この前さやかちゃんが言っていたの。ほむらちゃんが私に契約させないのは、大方その契約させた結末がろくでもないものだったからじゃないのかって。」

 

それを聞いたほむらは再度さやかに冷ややかな、それでいて極限まで細めた白い目を送った。

 

「…………ホントに賢しいわね、貴方。変に賢しいと嫌われるわよ。」

「褒めているのか、貶しているのかどちらかにしてくれないか。」

 

あんまりな言い草にさやかも苦笑を禁じ得ない。少しは文句の一言を添えたかったが、ほむらがさやかに軽い罵倒を浴びせたのちに強張った表情を浮かべているのを見て、さやかは飛び出かけた文句を引っ込ませる。

 

「……………そこの賢しいさやかの言う通りよ。貴方が契約した時間軸では、結論から言うと、世界が滅んでしまったわ。」

 

世界が滅んだ。予想外の結末にまどかはおろか、マミとさやかでさえ、信じられないといったような表情を浮かべた。

 

「ど、どういうこと…………!?鹿目さんが契約しただけで、どうしてそんな大惨事になるのよ………!!」

「ッ……………どう、して…………!?」

「………………魔女化か。」

 

マミが困惑を隠しきれず、語気を強めながら席から立ち上がり、まどかは自分が世界を滅ぼした前歴がある、というのが呑み込めない様子で目を見開き呆然とする。

そんな最中さやかは表情には険しいものが残っているが、冷静にそれに至った要因を口にする。

 

「…………その通りよ。でも、その始まりを作ったのはワルプルギスの夜に他ならないわ。」

「…………マミ先輩。貴方もワルプルギスの夜の存在を知っているようだが、一体どういう存在なんだ?」

「え…………?わ、私に?私も、そんな詳しいわけではないのだけど………」

 

ほむらが頷きながら以前から単語だけが上がっているワルプルギスの夜についての概要をマミに尋ねた。突然話をふっかけられたマミは困惑した様子から一転してキョトンとした顔をしながらおずおずと席に戻り、ワルプルギスの夜について、自身が知っていることを語り始める。

 

「ワルプルギスの夜は主にベテランの魔法少女に知れ渡っている魔女よ。でも、他の魔女とは一線を画する強さを持っている。それこそ、本来魔女は結界に身を隠すのだけど、そのあまりの強さに結界を持たず、悠々と現実世界に災厄として現れる…………そんなところかしら…………?」

「………………結界を持たない?」

「正確に言えば、結界を張る必要がないほど、強力な魔女ということよ。そんな魔女がおおよそ二週間後にはこの見滝原に現れるわ。」

「それは、お前の経験則か?」

 

さやかがワルプルギスの夜が二週間後に現れるのが、ほむら自身の経験則から来るものかどうかを尋ねるとほむらは首を縦に振った。

 

「ワルプルギスの夜が現れた後の見滝原は酷い、なんていう言葉で片付けられるほどじゃなかった。建物は崩れ落ち、地表は捲り上げられて水道管が破裂したのか辺りは一面湖状態。もう、どうしようもないくらい、めちゃくちゃにされるわ。」

「まさに災厄だな…………そんなのが待ち受けているのか。」

「そ…………そんな強い魔女が見滝原市に出てきちゃうの…………!?」

 

マミとほむらのワルプルギスの夜に関する説明で見滝原市にあと二週間ほどでその災厄と呼ばれる魔女が現れると聞いたまどかは目を見開き、その瞳に恐怖を宿す。

マミもほむらの言葉からワルプルギスの夜の強大な力を想像したのか、険しい顔を浮かべていた。

 

「……………一度話を戻そう。何故、魔法少女となったまどかはワルプルギスの夜が要因で魔女化、もとい絶望をしてしまう?」

「簡単な話よ。彼女は優しすぎる。背負わなくていい責任まで背負ってしまうのよ。」

 

そういうとほむらはまどかに悲痛なものを見せ、表情を歪ませた。苦しげなものにも見えたその表情はまどかの息を飲ませるには十分であった。

 

「街は原型を保っていないほど破壊されて、たくさん人が死んで…………普通の人からの目線では、アレは災害としか見られていない………誰も責めることはしないはずなのに………貴方は、背負えるはずのない、背負う必要のない責任を背負って、絶望して魔女になってしまった………もっと救える命があったと、自分に言い聞かせて…………」

 

「だから私は貴方を契約させたくなかった。してしまったら、貴方は魔女となって、世界を破滅に導いてしまう…………!!」

 

自身の心のうちを吐露しているようにほむらの語気は強まっていった。マミとさやかは難しい表情を浮かべ、まどかはやはり辛そうな顔を浮かべながら俯いていた。

 

「………ごめんなさい。少し感情的になったわ。」

「………いや、気にしないでくれ。それでほむら、そのまどかが魔女に成り果ててしまったのは、お前が時間を繰り返した中で何回あった?」

「…………少なくとも、二回よ。一回目はともかく、二回目はーーーーー」

 

『まどかを、撃ったわ。あの子自身から頼まれたとはいえ、私自身の手で。』

 

ほむらはまどかに視線を向けながら、さやかにだけ二回目の時は魔女化寸前のまどかを撃ったことを明かした。

 

「………………いや、話さなくていい。」

 

その念話をほむらがあまりまどかに自分が彼女を撃ち殺したことを話したくないというメッセージと認識し、表面上はほむらにその先を語らせない配慮をさやかは行った。

 

「ねぇ、暁美さん………ワルプルギスの夜への勝算はあるの?」

「……………そのためにも佐倉杏子の力がいるわ。」

 

マミのワルプルギスの夜に対する勝算の話に佐倉杏子の力が必要だと答える。

 

「あの…………その人は………?」

「見滝原市の隣、風間野にいる魔法少女だ。実力もマミ先輩クラスの有力な実力者だ。ただーーーーーーーーーー」

「ただ?」

 

佐倉杏子を知らないまどかに簡単な説明を施したさやかは微妙な表情を上げながら顔を逸らした。その視線の先にはほむらの顔があった。

 

「…………この前、過去の時間軸では私と佐倉杏子は敵対したことがあるみたいなことを仄かしていたな?」

「ええ、そうね。形としては佐倉杏子に貴方が喧嘩をふっかける形だったけど……………。」

 

さやかからの質問にそう答えるうちにどんどん怪訝な表情へと変えるほむら。ほむらから見てこの時間軸のさやかは賢しいが、それと同時に様々なことをちゃんと考えられる思慮深い人間という評価になっている。そんなこの時間軸のさやかが自分から喧嘩をふっかけにいくとは思えない、というのが彼女の心情であった。

 

「……………むしろ、私が喧嘩をふっかけられたのだが………。しかもかなり鬼気迫る顔つきだったぞ、彼女。」

「……………たぶん、貴方の在り方が影響しているのでしょうね。彼女、他人のためとかそういうのは目の敵のような見方をしているような節があったから。」

「正義の味方面した私が大嫌いだと真正面から言われてしまったからな。全く、そんな大層なものになる気はサラサラないと言うのに………。となると、どうにかして彼女が納得してこちらに加わってくれるように考えなければならないだろうがーーーーーーーーーーあまり期待できないと考えた方が懸命だろう。」

 

ほむらの言葉に当て付けもいいところだと呆れたため息を吐きながらさやかはどうにかして佐倉杏子を引き入れるための算段をつけようとするが、彼女が自身を目の敵にしている以上、それは不可能だという結論に至り、難しい表情を見せる。

 

「でも、ワルプルギスの夜を打倒するためには最低限、彼女の力は借りるべきよ。」

 

そう言って佐倉杏子を引き入れることを諦めないほむらにさやかは困り果ててしまう。佐倉杏子を引き入れたところでさやかに当て付けをしているようでは、ワルプルギスの夜以前の問題になってくるからだ。

 

「……………どうしてみんなで仲良くなれないのかな。そうしたらもっと守れるモノもあるはずなのに………。」

「あの子にも、譲れないものがあるのよ。それをわかっているから、美樹さんは難しい顔をしているのよ。」

 

悲痛な面持ちのまどかにマミが声をかける。

 

「マミさん、その人のことを知っているんですか?」

「知ってるも何も、私と佐倉さん、元々パートナーだったのよ?ある時、佐倉さんの方から解消されちゃったけど。」

「そ、そうだったんですか……………!?」

「でも、本当は佐倉さんも美樹さんと同じように他人のために動ける人だった。美樹さんも佐倉さんが仕掛けてきて、戦闘どころではなくなる可能性があるから渋っているだけで、彼女を受け入れること自体を拒否している訳じゃないの。」

 

 

さやかとほむらの討論を眺めながら、マミから語られたことにまどかは悲痛なものから悩ましげなものに変える。完全に彼女の中で懸念がなくなったわけではないが、幾分かはよくなった証左だろう。

 

「ーーーーーーーーーーやはりそれしかないか。」

「それしかないわ。」

「まとまった?」

 

話がまとまったのか、さやかが渋い顔つきを見せ、ほむらは意の決した顔つきを見せながら互いに妥協点を見出した様子を見せる。

マミが声をかけると、ほむらが振り向きーーーーーーーーーー

 

「やっぱり佐倉杏子をこちら側に引き入れるわ。そのためにはどうしてもさやか一人の力で佐倉杏子を打ち負かしてもらう必要があるわ。そのためにひとまず貴方、変身しなさい。」

「……………人使いの荒い奴だ。」

 

ほむらからの催促にさやかは微妙な顔を見せながらソウルジェムを掲げ、装い新たにした魔法少女としての姿に変身する。

 

「か、カッコいい…………!!」

 

全身に装着された大小様々な剣の数々にまどかは目を輝かせながら食い入るようにさやかの姿を見つめる。双肩のユニットから発せられる薄い緑色と水色の光の粒も相まって、その姿はかなり神々しく見える。

 

「…………見た感じだと、七本の剣に一本の銃よね。武装構成。」

「そのようだな。佐倉杏子と戦った時は、この大剣しか使えなかったが。」

 

マミからの言葉にさやかは左肩の大剣を抜き、両手で構える。

 

「それよりも結局この光の粒みたいなのはわかったの?」

「全くだ。どういう効果があるのかさえわかっていない。」

 

ほむらからの質問には首を横に振りながらそう答える。それを聞いたほむらとマミは互いの顔を見合わせた。

 

「となるとーーーーーーーーーー」

「ええ、少し荒療治だけど、考えていることは同じでしょうね。」

「えっと…………二人ともさやかちゃんに一体何させるつもり?」

 

まどかにそう聞かれた二人は顔を見合わせた状態から一転してさやかに目線を集める。急に振り向かれたことに体を強張らせるさやか。

 

「美樹さん、貴方には魔女の単独での討伐をやってほしいわ。」

「自身に備わった力を把握するにはまたとない機会でしょう?」

 

裁判にて言い渡された判決にも等しいその言葉にさやかは渋い顔をしながらも言う通り、ちょうどいい機会であるというのはわかっていたため、若干の嫌々が入り込んだ承諾を見せた。




次回、ようやくガンダムらしく空中戦を行うつもり。それに準じて相手となる魔女も既に決定済みです^_^

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