ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」 作:わんたんめん
「見滝原市に新しい魔法少女が現れた。」
最初はキュウべぇからのそんな言葉からだった。見滝原市、決して離れていない訳じゃねぇけど、ぶっちゃけて言えば余程のことがない限り行く機会なんざなかった。
それこそ、見滝原を根城にしているマミが死んだとかなら、考えてもやらねぇこともない。まぁ、新しいナワバリとしてだけどな。
「へぇ…………で、それがあたしになんか関係あんの?」
ともかく、あんまどうでもいいことを言ってきた
「新しい魔法少女はいくらか巴マミから師事を受けているとはいえまだ新米だ。もしかしたらひょんなことからこの風見野にやってきてしまう可能性もありうる。君がナワバリにしている場所から決して離れているわけでもないからね。」
「まぁ、そんなこともあるか…………そん時はテキトーに追っ払っちまえばいいだろー?あたしだってそんな奴のために無駄な魔力使いたくねぇんだけど?」
マジで迷惑なんだよなー…………そういう奴がいると迷惑被るやつがいるってのも少しは考えて欲しいもんだぜ。
「で、ソイツもやれ正義だとかふざけた理由で契約したんだろ?」
「うーん…………まぁ彼女は契約した内容が内容だからね。いや、そもそもとして契約と呼べるものではないね。」
「……………どういうことだ?」
思わず食べようとした手をとめながらキュウべぇに目線を向ける。内容が内容って……………それに契約と呼べる者ではない………?
「その新しい魔法少女は、願いを必要としなかったんだ。そんなことがあるなんて、今までにないことだから僕としても驚いた。」
願いを必要としなかった?一度きりの奇跡を完全に棒に振った大馬鹿野郎がいんのか?
「ちょっと待てよッ!!!!」
思わず手にしていた菓子を放り捨てながらキュウべぇに詰め寄る。そんな馬鹿なことがあっていいはずもない。奇跡も何も求めずに魔法少女になったなんて…………どういう頭してんだよソイツは!!
「なんで願いを叶えなかった!!その願いの先がどうであれ、一生に一度きりの奇跡を使わない………いや、使わないのはまだいい………それは普通の人生送れている奴だからな………だけど、なんでそんな奴が奇跡も願わずに魔法少女なんかになれるんだよ!!」
「もちろん、彼女に願いが全くないわけではなかったさ。だけど、それは一言で言ってしまえば『力』だ。」
「力?」
「魔女と戦うための力、魔法少女としての力だ。つまり、僕が魔法少女の力を渡せば、それで彼女の願いは叶ってしまう訳だから、願いを叶える必要性がないという寸法さ。」
「なんでそうなる…………なんでそうできんだよ…………!!」
「彼女は他人を守るために契約した。全く、人類っていうのはよくわからない。どうして一個体にあそこまでこだわれるのだろうね?」
「おい、キュウべぇ!!その大馬鹿野郎は一体どこのどいつなんだよ!!」
「……………美樹さやか。それが彼女の名前だ。」
キュウべぇの言葉の後半はよく聞き取れなかったが、その大馬鹿野郎の名前が知れたのであればそんなのはどうでもよかった。とにかくあたしはこの胸の中に湧き出る怒りのような感情に身を任せて見滝原に向かっていた。
らしくない、とは思っていた。だけど、それ以上にまるで鏡写しのように過去の自分とおんなじことをやろうとしているソイツに対して、どうしようもない苛立ちを覚えていたのは事実だった。まるで、見たくもない過去をほじくりまわされているみたいでいてもたってもいられない。
「くそ……………そんな奴、放っておけばいいのに………ぜってぇどっかでつぶれるのに…………」
そうも悪態をつきながらも逸る足が止まることはなく、魔法少女としてのスペックを全開にしていたら、気づけば見滝原に足を踏み入れていた。そして近くから感じるマミのものではない魔力の反応。自然と進む先がそっちの方向に向かっていくと一角の路地に差し掛かる。
そこには結界を展開できるほどに成長しているとはいえ、まだ使い魔に過ぎない魔女のなりかけを全力で追っかけ回している青い騎士のような姿をした魔法少女。
見滝原にいるのが基本的にマミしかいないことを知っているあたしにはソイツが例の美樹さやかだというのがすぐに分かった。
「新米のくせに、妙に戦い方が様になってやがるな…………」
アイツの戦いぶりを上から見下ろす形になっているところに、余計な魔力を使わないようにしているその戦い方に自然とそんな言葉が飛び出してしまう。だけどな、使い魔を追っている時点で魔力を無駄にしていることに変わりはない。
あたしはそう断じると、構えた槍を魔力で伸ばしてとどめをさそうとしているアイツに対して邪魔を仕掛けた。
完全に意識外からの妨害にてっきり攻撃の手を止めると思っていたがーーーー
「ッ!?」
アイツは妨害に反応するどころか、あろうことか上から見下ろしていたあたしに対してサーベルをぶん投げて反撃してきやがった。絶対に気づかれていないと思っていたのに。それも上からの攻撃に反応なんざ、新米の癖にどういう感覚をしてやがんだよ。
「なにっ!?」
ともかく反撃されるとは思ってもいなかったあたしは上ずった声を上げながらも投げつけられたサーベルを槍の柄で打ち払うが、その間にアイツは使い魔に突き刺したサーベルを手に取ってそのまま使い魔を両断しやがった。
もったいねえことをする奴だ。あと四、五人食っていたら魔女になれるってのによ。
「誰だ!!!!」
……………バレてんならしょうがねぇな。くそ…………マジでイライラさせる奴だな……………なんでだよ、どうして他人のために力を振えるんだよ…………そんなことをしたって報われることは絶対ねえってのに…………どうして…………!!
「ここは……………?」
さやかは先をゆく杏子のあとを追う形で出会したゲームセンターから移動していた。しばらく街中の街灯や木々を足場にしながら人目につかないように前を進んでいく杏子についていったさやかだったが、ふとしたタイミングでその歩みが止められ、それに続く形でさやかも足を止める。
そこはビル群が聳え立つ風見野市で群生している雑木林の中、それもポツンと開けたちょっとした普通の広場であった。ただ、さやかの視線の先に、焼き崩れたと思われる黒ずんだ建物の残骸が鎮座していることを除けばのことだったがーーーー
「おい、テメェに聞きてえことがある。契約する時に願いを叶えなかったってのは本当か?」
「ああ、叶えたい願いがなかったからな。本望でもない願望を叶えたところで、宝の持ち腐れだ。」
杏子からの問いかけに訝し気な表情を浮かべ、両腕を胸元で組んだ姿勢でそれに答える。
「あくまでお前の言う友人のためってわけかよ…………その様子だと、別にソイツから拒絶されたってわけでもねぇんだろうな。」
「…………………………」
叶えたい願いがなかったけどただ友達のために、一度きりの奇跡さえも無理に叶える必要がないからと断じて投げ捨てたさやかのその姿勢に、杏子は表情を俯かせ、その顔に暗い影を落とす。
「アタシはな、元はお前と同じみたいに誰かのために契約した。そん時はそれでいいって思っていた。だけど、それは間違っていた。」
おそらく、独白とも取れる声色で杏子が語ろうとしているのはマミから話の外縁を聞かされた程度でしか知らない彼女の身に降りかかった悲劇そのものだろう。そう判断したさやかは黙って彼女の真実に耳を傾ける。
「ただ人と違うことを話していただけの親父の話をみんなに聞いて欲しかった。たったそれだけの願い。契約した後は親父の話を聞いてくれる人が増えた。そん時は親父が表から世界を救って、アタシは裏から世界を守るんだって息巻いていた。」
杏子の語り口の最中、さやかはちらりと目線を嫌に目立っている建物の残骸に向けた。遠目だったから定かではなかったが、辛うじて残っている外壁の向こうには高い場所に置かれた教壇のようなものが見えた。
そしてその奥の窓枠に見えるステンドグラスの破片。おそらく、杏子の父親は宣教師か何かの類、人々に教えを広める人物だったのだろう。
(だが……………そんな綺麗ごとは……………)
さやかは悲しそうに視線を下ろすと、目を伏せた。教えによって世界を救う。ただ言の葉で人々の心を打つことは極めて難しい。かの奇跡の子と称されるキリストでさえ、奇跡という名の行動によって、初めて世界を突き動かせたのだ。
もちろん、杏子の父親が教えに基づく行動をしていなかったとは断じることはできない。だが、彼女の口ぶりを聞く限り、その末路は目も当てられないものだったのは想像するに容易い。それもそれが自分自身の言葉によるものでなく、魔法というある種の詐欺臭い代物によるものだったとすればーーーーー
「だけどある日、親父にカラクリがバレちまった。」
隠し事が未来永劫、隠したままで過ぎ去ってしまうことなど、余程のことがない限りありえないこと。予想できていたとはいえ、来てしまった結末にさやかはやるせない思いを抱く。
「魔法のことを話したら、親父はアタシのことを人の心を拐かす魔女だって言ってきた。皮肉なもんだよな。」
そう彼女が言ってしまうのも仕方のないことだ。自分はその人々に絶望をばらまく魔女を倒しているというのに、肝心の自分が魔女と呼ばれてしまっては、皮肉以外の言葉が出てくるはずがない。
「そこから親父は狂っちまった。酒に溺れ、頭がイカれて、最終的には家族を巻き込んで一家心中だ。アタシだけを残してな。」
(たしかに皮肉な面は否めない。家族のことを思ったばかりに行き着く先が家族を亡くしてしまった。だが…………何より、彼女と彼女の父親がすれ違いを起こしてしまったことに隠すことのできない悲しさを覚える。)
間が悪かった。言ってしまえばその一言で彼女の悲劇は方が付いてしまう。耳を傾けてもらえず、四苦八苦していたところに唐突に自分の話を聞きに来る人間が爆発的に増大する。何か裏がある、とは少なからず勘繰るかもしれないが、それが魔法という認知の上をゆく代物によるものが関わっているのであれば、そこに至ることはまずないだろう。
だからこそ、化けの皮が剥がされてしまい、自分の功績のようなものが全くの見当違いであったことを認識してしまうと、その人間を絶望させるには十二分な効果を発揮するだろう。
「そこでアタシは決めたんだ。もう二度と他人のためには魔法を使わない。だけどな、そこに来てテメェが姿を現したんだよ、美樹さやか。」
父親の話をしている時は自虐気味な表情を浮かべていた彼女だったが、さやかのことになると血相を変えて、さやかに鋭く、冷えた目線を向ける。さながら彼女の得物である槍の穂先を向けられているような鋭く、鋭利なソレにさやかは表情を強張らせる。
「誰かのためにだとか、そんな大層な世迷言をやってんのなら、今すぐに辞めちまえ!!そうじゃねえとーーーーー」
声を大にして、瞳孔をかっぴらいた怒りの形相でさやかをまくし立てる杏子。その槍を持つ手は次第に震えていた。
「
「テメェは一体……………アタシをどれだけ惨めにしたら気が済むんだよ!!!!!」
(ッ……………来るッ!!)
杏子の慟哭とも取れる絶叫に一瞬気を取られるさやかだったが、その敵意が膨れ上がった瞬間を攻撃の合図だと直感し、身構える。
「消えちまえぇぇぇぇぇ!!!!」
再び絶叫を上げた杏子は手持ちの槍を担ぎ上げると、片足を大きく踏み出し、野球のボールのように得物である槍をさやかに投げつける。
(速いーーーーーー)
その投擲された槍の速度は以前よりと比べてかなり速度が上昇しており、避けられないと判断したさやかは咄嗟にGNバスターソードを構え、その幅の広い刀身を盾代わりに活用する。
「ッ……………ぐっ……………!!!」
杏子の槍の穂先とGNバスターソードの刀身が接触すると、耳を塞ぎたくなるような金属音を撒き散らしながら杏子の槍が上へ弾き飛ばされる。それでも杏子が投げた槍の衝撃は速度も相まって強烈なものへと変わり果てており、さやかも苦しい表情をあげ、地面から土埃を巻き上げながら十数メートルも引きずられてようやくその衝撃を止めることができた。
「でえぁぁぁぁ!!!」
その上へ弾き飛ばされた槍の柄を杏子は空中で掴み取ると、穂先をさやかに向けて突進を始める。その垂直落下の攻撃をさやかはその場から飛び退きながら回避する。標的を見失った攻撃は空を切るもそのあり余る威力は地面を砕き、煙幕となって2人の姿を呑み込んだ。
「大剣では彼女のスピードに対応するのは不利か……………!!」
衝撃に吹き飛ばされ、地面を転がるさやかだったが、即座にリカバリーして態勢を立て直すと、手にしていたGNバスターソードを元の左肩に懸架し直すと、両腰のGNソードⅡロングとショートの二振りに持ち変える。
(仕掛けるッ!!)
2振りの実体剣を構えながら、さやかは前へ足を進めると背中にスライドさせたツインドライヴから緑色の粒子を一瞬だけ放出すると、勢いよく飛び出し、煙幕の中にいるはずの杏子に接近する。
煙幕に紛れて姿形は見えないが、落下地点でもあり発生源でもある杏子が煙幕の中心にいるのは間違いないという算段からの行動。
(ッーーーーー!?)
しかしさやかの体は途中で接近しようとしていた足を止め、反射的にバックステップを踏み、後ろへ下がっていた。その時さやかの体に触れた感覚があった。それは決して物体が彼女の体に触れたわけではなく、第六感的な、言うなれば冷たく冷えた鋭利な感覚、それこそ彼女の手にしている槍のようなーーーー
次の瞬間、煙幕の中から飛び出すような形で鋭く尖った物体が突き出される。飛び出たのは杏子が手にしていた槍の穂先だ。その槍の穂先は杏子の間合いの外にいるはずのさやかにまるで意志のあるように向かっていく。
(これはあの路地裏の……………横薙ぎに反応して伸びるわけではなかったのか!!)
心の中で悪態をついている間にも槍の穂先は獲物を見定めた蛇のように蛇行した動きでさやかに迫っていく。
「くっ!!」
咄嗟にさやかは空中で上体だけ身を翻して、槍から逃れるとツインドライヴの推力で上空へと移動する。だが槍もさやかを追って上空へ柄を伸ばし、奇妙なドックファイトを始める。
「………………そこッ!!」
一瞬肝を冷やしたさやかだったが、槍の動きはやはり未だ土煙にいる杏子に依存しているのか、落ち着いて対処できる範疇だった。さやかは迫りくる槍を潜り抜けるとGNソードⅡショートをライフルモードにして出力の低いビームを送るが、杏子は持っていた槍を手放し、その場から離れることで回避する。
「チッ、空を飛べるとか聞いてねぇぞ。あとなんだ今のビーム。まるで以前と戦い方変わってんじゃねぇか。」
「色々と最近わかったことだからな。」
避けた先で槍を取り出しながら杏子がさやかに向かって、犬歯をむき出しにして悪態を放つ。さながら凶犬のような荒々しさを感じさせる表情に、さやかは冷や汗を一滴だけ流しながらも平静を装いながら見下ろす。
「ッ………………」
ダブルオーのツインドライヴが発する緑色と薄い水色の粒子が辺りを漂い、2人を包み込む中、先に仕掛けたのはさやかだった。地面を滑るように加速しながら杏子に肉薄する。
「せぇい!!」
振り上げた右手のGNソードⅡロングを袈裟斬りの軌道で振り下ろす。対する杏子は槍の柄でその刃を受け止め、辺りに生じた稲光が2人の顔を照らす。
「ハッ!!戦い方が変わったとはいえやっぱ素人か!!」
「百も承知の上だ!!」
上空という有意な場所を手にしていたというにも関わらず、射撃戦ではなく近接戦闘を仕掛けてきたことに杏子はあざ笑うかのような笑みを浮かべるが、さやかはそれを知った上だと一蹴し、GNソードⅡロングを持つ腕に力を込めると杏子の槍を両断する。
「何ッ!?」
驚いた様子の杏子を置いて、さやかはガラ空きとなった胴体に全身を回転させて蹴りを叩き込む。
「ガッ………………!!!」
モロに蹴りを食らったことにより、杏子の体がくの字に折れ曲がり浮き上がるが、そこにさらにさやかは両脚で連続に蹴りを入れ込むが、脚部にあるGNカタールの刃が杏子の体を傷つけないように細心の注意を払っていた。
(彼女のソウルジェムは胸元の赤い宝石…………そこさえ狙わなければ、死にはしない…………我ながらひどい言い方だが。)
さやかが杏子に対して遠距離からのビーム攻撃ではなく、敢えて近接で挑んでいるのは平たくいえばソウルジェムの存在であった。もっぱらスケールの大きい魔女が相手なのであれば、あまり考えなくて使用してもいいのだろうが、魔法少女などであれば話は変わってくる。単純に武装一つ一つが強力すぎるのだ。
右肩に懸架してあるGNソードⅡブラスターはともかく、GNソードⅡロングの高出力の三日月状のビームでさえ、人1人を真っ二つにするには十分な大きさと出力がある。
ともかく勝利するために相手の死は必ずしも必要があるわけではない。そういう思いを抱きながらさやかは杏子を蹴り飛ばした。蹴り飛ばされた杏子は体を地面に打ちつける。
「…………………」
ソウルジェムは魔法少女の人間としての魂が形となったもの。体が頑丈に作り替えられてしまった魔法少女のその宝石が砕ければ、魔法少女は直前まで、どんなに健康体でも死を迎える。これは逆にいえばソウルジェムが砕かれない限り、ある程度の安全は保証されるということになる。
『……………私はお前を信じてやれなかった………』
そんなとき不意にさやかの脳内に壮年の男性のような声が響く。咄嗟に辺りを見渡すも、視界に映るのはツインドライヴから放出されている粒子だけだ。
「今のはーーーーー」
不思議に思ったさやかが言いかけた瞬間、さやかの脇腹を鋭いナニカが突き抜けた。
「ッ!?」
突然襲ってきた痛みにさやかは苦悶の表情をあげ、痛みの発生源である脇腹に手を当てる。生暖かい感覚が手に当たり思わず離れさせると、自身の手は真っ赤な血に塗れていた。
(攻撃された!?一体どこからーーーー)
傷口の鋭利な形から攻撃されたと判断したさやかは痛みから脂汗を流しながら地面に倒れ伏している杏子に目線を送る。
「くっそっ……………手元が狂っちまったじゃねぇか…………!!」
どうやら地面に膝をついていたが、杏子がなんらかの手段でさやかを攻撃してきたようだ。彼女の獲物は槍だが、その両断された槍は彼女の手元に収まっている。しかし、さやかは自身の周りを飛び回っているように聞こえる風切り音に気づいた。
「まさか………初めに手放した槍か………!?」
風切り音が大きくなった瞬間に体を捩らせると何かが猛スピードでさやかのすぐそばを通り過ぎていく音が聞こえる。その音のした方向に目線を向けると、杏子の槍が猛スピードで空中を疾走している光景が目についた。その槍は微かにだが赤い魔力に覆われており、見るからに杏子の仕業であることを物語っていた。
「………………アタシに魔力を使わせたな……………!!」
「アタシに魔法を使わせたなぁ!!!!」
彼女の表情はまさに憤怒以外の言葉では言い表せないほど苛烈なものを浮かべ、その声は火山の噴火の如く怒りそのものであった。
その怒りの形相の杏子と、自身の脇腹をえぐったその傷にさやかは苦しげな表情を隠さざるを得なかった。
ゲーセン行きたいんご。Pストでアグニを入れ込み二発キメたいんじゃ…………
マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………
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ガンダムだ
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ガンダムではない