ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」   作:わんたんめん

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なんか文字数増えねえなーって思ってたらキャラ同士の会話文が少なかったことに気づいた。


第31話 因果の束は重なっている

「クッ………………」

 

苦しい表情を見せながら、さやかは風見野に点在するビルからの光で薄く白くなっている空を駆け回る。緑色に輝く粒子と淡い水色の光がさやかが空を通り過ぎるたびに航跡となって残り続ける。

 

それはとても幻想的な光景……………その輝きの中に真紅の赤が混じっていなければの話だが。

 

「ッ……………!!」

 

迫りくる槍を体ごと回転させながらその軌道から外れる。すれ違いざまに凄まじい風切り音をさやかの耳元で響かせ、肝を冷やし続けている原因であるその槍は赤黒い魔力を帯びながら空中で急停止してグルリと反転すると再びさやかに向けて突進してくる。

 

「チッ…………ホントに魔法というのはなんでもありか…………!!」

 

悪態にも等しい舌打ちをしながら、突っ込んでくる槍の穂先を右手に持っているGNソードⅡロングで袈裟斬りの軌道で振り下ろして、迎え撃つ。

 

瞬間、剣の刃と槍の穂先がぶつかり合って、けたたましく金属音と火花を散らす。その焼けるような光に照らされながらさやかは腕に力を込め、槍の両断を試みる。しかしーーーーー

 

「ッ………強度が上がっている………!?」

 

先ほどまで断ち切ることができていたはずの槍が強度を増してきていることにさやかは目を見開いて驚く。

 

「この帯びている魔力………槍を浮かせている上に防御力を付与させているのか…………流石はマミ先輩がベテランと称すだけのことはある…………!!」

 

槍を空中で自由自在に動かし回すための浮力と剣戟に耐えうるための防御魔法の行使を同時にやってのけている杏子にさやかはその実力に舌を巻く。しかし、そう感嘆といった思いを向けているだけでは、戦局が変わることはない。

 

それに、魔力のオート回復が備わっているさやかならまだしも、ほかの普通の魔法少女であれば、使える魔力には限界がある。何も考慮せずに使ってしまえば、あっという間にソウルジェムが黒く濁りきる。しかも二つの魔法の同時行使など、ソウルジェムの汚染を加速度的に上昇させるだろう。

 

(時間がかかればソウルジェムの真実を知らない佐倉杏子は魔女に変貌してしまう。かと言って手間を惜しんで下手な攻撃をしているだけではやられるのはこっちだ…………!!)

 

ならば、と心のなかで決断したさやかは構えたGNソードⅡロングをわずかに傾ける。さながら槍の穂先に対して刀身を斜めにずらしたように構える。その瞬間、これまで真正面にぶつかり合っていた力が斜めに逸らされ、槍の軌道は傾けられた刀身に沿ってずらされる。

 

しかし、それでも大きく軌道をずらすことは叶わず、さやかの顔面スレスレ、彼女の水色の伸ばした髪をいくらか巻き込み、周囲に散らしながらも明後日の方向に飛んでいく。

 

「この程度……………!!」

 

掠めた頰からツゥーと伝った血を指で拭い取ると、槍が飛んでいった背後に振り向くと同時に右肩に懸架されているGNソードⅡブラスターを引き抜き、抜き打ちの要領で引き金を引く。

 

放たれたピンク色のビームはちょうど方向転換をしようとしていたところにピンポイントで直撃を受け、消滅した。

 

 

「ハァ、ハァ…………ウッ…………!!!」

 

肩を上下させ、荒く息を吐くさやかだが唐突に苦悶の表情を見せると左手で槍による裂傷がつけられた脇腹を抑える。痛みが一行に引く兆しが見えないが、試しに当てた掌を退けてみると、乾燥して赤黒く乾いた血のうえにさらに塗り重ねられる形で鮮やかな血がついていた。

 

(出血が止まらない…………このままで先に私が失血死する未来もあるな…………)

 

べっとりとついた血をまじまじと見つめながらそんなことを口にするさやか。既に血を流しすぎて思考能力が低下しているのか、もしくは自分が現状を理解できていない馬鹿な能天気であるかは定かではないが、ともかくなんらかの方法で回復を試みなければ長くは持たないだろう。

 

(だが…………そんな状態でもわかることがある…………)

 

大きく息を吐き出し、脇腹の激痛から額に脂汗を浮かばせながらさやかは眼下を見下ろす。そこには未だ溢れ出る闘志から目をギラつかせている杏子の姿。それでもさやかと同じように呼吸を荒くし、息も絶え絶えになっていた。おそらくは魔力を大量に浪費したツケが回ってきているのだろう。さほど場所を移動していないことから鑑みてもその可能性は多いにある。

そして、魔力の浪費が激しいということは、その分ソウルジェムの濁りもひどいことになっているだろう。

 

(お互い、そう長く戦闘行為を行うことはできない。)

 

さやかは怪我を負った脇腹に手を当てながら難しい表情を浮かべてしまう。はっきり言って、さやかは現状以上の無茶をすることができない。既に脇腹からの出血は無視できないものとなっており、切り裂かれた箇所である左脇腹の部分は乾いた血で赤黒く変色しており、そこから下のズボンでさえ血みどろになり、足から血が雫となって滴り落ちるレベルであった。

さらには下手に患部を覆おうとして片手を塞いでリスクを挙げるより、敢えて何もせずにこれ以上のダメージを負うことを避けたことにより、さやかが動くたびにさらに傷口が開き、重症化していった。

 

(せめて、傷口が塞がってくれればまだやりようはあるのだがーーーー)

 

魔法少女の得意とする魔法は叶えた時の願いに準ずる。そうほむらから聞かされたことがあった。マミの魔法は少し願いと結びつけづらい側面はあるが、よりわかりやすいのはほむらの時間に干渉する魔法と『本来の美樹さやか』が持ち合わせていた驚異的な回復魔法だ。

ほむらは若干の脚色が含まれているが、おおよそはまどかを救うために時間を巻き戻したいか何かを願ったのだろう。そして『本来の美樹さやか』は言うまでもなく、恭介の指を完治させること。

 

(…………ないものねだりをしたところでどうしようもないか…………らしくもない。)

 

その『本来の美樹さやか』の治癒魔法が欲しい局面であったが、今この場に立っているさやかは全くの別人と称されてもおかしくはないほど性格が異なっている。戦い方や考え方、そして他者との接し方。さらには願いまでとその悉くがほむら曰く今までの美樹さやかとはかけ離れている。もっともこの時間軸のさやかにそれを確かめる術はない以上、空想の範疇を超えることがないのだが。

 

「ふぅ………………」

 

脇腹の痛みを紛らわすためにもう一度深く息を吐き出し、睨み合っている杏子に強襲を仕掛けようとした時、脇腹に当てていた手から魔法陣が発せられる。

 

「魔法陣ッ!?何故…………!?」

 

突然の出来事に目を見開き、そちらに気を取られるさやか。それもそのはず、その魔法陣はさやかが意図して出したものではなかったからだ。狼狽しているさやかを他所に発生した魔法陣は怪我を負ったさやかの脇腹に何かしようとしているのか、その輝きを一層に増す。

思わず脇腹から手を離そうとしたさやかだったが、その魔法陣から流れ込んでくる感覚にその離そうとした手を止める。

 

「これは…………痛みが引いていく………………まさかっ!?」

 

激痛で痩せ我慢を強いられていた脇腹の怪我がみるみるうちに塞がっていく感覚だった。その魔法陣が回復魔法の類のものであるということにたどり着くことに先ほどまで回復魔法について考えていたさやかが気付くのにそう時間はかからなかった。

 

「…………どうやら、私にも因果の束というのが重なっていたようだな。とはいえ……………劣化版のようなのは、否めないようだが………」

 

ひとまず怪我が塞がってくれたことにさやかは安堵の表情を見せるが、直後に襲ってきた貧血のような立ちくらみと倦怠感に頭を抱え始める。どうやらさっきの音符のような記号が含まれた魔法陣は傷を塞いでくれただけで、既に失われた血と精神的なものまで治してくれる都合の良いものではなかったようだ。

 

「それでも……………!!」

 

さやかは目を鋭くさせると、体を大きく逸らし、迫ってきていた槍を躱すと、そのまま両手にGNソードⅡのロングとショートの両方を手にしながら急降下を始める。

 

「同じ手を二度と喰らうものか!!」

 

「そうかよッ!!」

 

急降下してくるさやかに対して杏子はとばしていた槍とは別の槍を手に出すと、魔法陣を足場にして真っ向からさやかを迎え撃つ姿勢を見せると、手にしていた槍の柄をさながら西遊記に出てくる如意棒のように伸ばした。

その飛んでくる槍の穂先をさやかは体をヒラリと回転させ、バレルロールで回避するとGNソードⅡロングで柄を切断して、槍を真っ二つにする。

 

「真っ二つにしたからって、その気になってんじゃねぇよ!!」

 

槍の柄を切断したさやかに対して杏子がそう突っかかると、切断された槍の片方に足を乗せるとその槍の断面が再び伸びると、そこを足場にしていた杏子の体が打ち出され、カタパルトのように射出される。急加速を得た杏子は槍を持つ手を引き絞ると、さやかにむけてその穂先を勢いよく突き出す。

 

「ッ…………!!?」

 

切断した槍の断面から再び伸ばせるなど思いもよらなかったさやかは目を見開くのも束の間、瞬時に手にしていた二本の剣を胸の辺りでクロスさせ、飛んでくる槍の穂先を防御する。

 

 

ガァァン!!!

 

 

槍の穂先の剣の刀身がぶつかり合い、けたたましい金属音を響かせる。さやかはその凄まじい衝撃を受け止め切ることができず、吹っ飛ばされたのちに地面に叩きつけられそうになる。

 

「ッ……………ハァ…………ハァ…………」

 

さやかはなんとか直前でGNドライヴを調整して態勢を立て直し地面に降り立ったが受け止めきれなかった衝撃が胸部に流れていき、歪な呼吸音を出していた。

 

そんな隙を彼女が見逃すはずがなく、息を継ぐ間も与えない勢いでさやかの足元に赤い魔法陣を展開させる。

 

「ッ……………」

 

それに気づいたさやかは小さく舌打ちを打ちながらその場から離れるが、肺から空気を吐き出されたことによる酸欠と血を流しすぎた貧血で行動が遅れてしまう。

その結果、手にしていたGNソードⅡロングとショートの刀身に魔法陣から出された赤い鎖のようなものが巻きつけられ、動きを阻害されてしまう。

 

「しまっーーーー」

 

「オラァっ!!!」

 

「…………くっ!!」

 

険しい表情を見せるが失態を悔いる間もなく、さやかの視界に大きく振り上げた槍を自身に向けて叩きつけようとする杏子の姿が映ると、瞬時に剣を手放し、その場から飛び退いた。

 

「ううッ……………!!」

 

標的を見失った杏子の槍が地面に叩きつけられると込められた力が爆発したかのように地面をえぐり、衝撃波を辺りに撒き散らす。

避けたタイミング自体がギリギリだったのも相まって、吹き飛ばされた細かな土の塊がさやかを襲うがなんとか大怪我を負うことなく切り抜ける。

 

「まだ……………諦めるものか!!」

 

自身の持つ武装も徐々に剥ぎ取られ始め、杏子との年季の差が浮き彫りになり始めたとしても、さやかはその目から生気をかけらも失うことはなく、両脚部に装着されていたGNカタールを取り出すと、それらを連結させて片手で持てる短い槍に姿を変える。

 

「ハァァァァァァ!!!!」

 

その連結させた槍で、さやかは杏子に反撃に出る。片手槍を横薙ぎに払った一撃を杏子は自身の槍の柄で受け止めると、即座にさやかが体を翻しながら今度は逆袈裟の軌道で槍を振い、それを防ぐ。

 

杏子はその打ち合いをパワーと質量でごり押そうとするがさやかは連結させた槍の中心を持って、バトンのように手元でクルクルと持ち替え、両端をうまく活用しながら振るうことでスピードと手数で捌いていく。

 

「……………ッ!!」

 

詰めてくるさやか。それに対して杏子は舌打ちのような息遣いを浮かべる。さやかの持つ片手槍は元々手持ち用の武装を連結させただけの簡易的なものなため、杏子の槍と比べると長さは半分。それどころか持ち手の関係上、見た目以上に短い。

 

だが、それでも近接格闘に置いて重要視されるのは身軽さだ。さやかと杏子両者ともそれは兼ね備えている。杏子は長らく魔法少女をやっていたことによる積み上げられた研鑽。そしてさやかは半ば予知に近い直感と気配察知によって。

 

だが、それはあくまで個人の話。各々が手にしている武装とは別の話だ。

 

杏子の槍は柄の長さを自在に伸ばせるトリッキーな使い方ができるが、ある一定のラインから短くすることができない。逆にさやかは槍を伸ばせもしないが、近寄ってしまえばその短さから生まれる手軽さで翻弄することが可能だ。

 

つまるところ、距離を詰められた以上、杏子が劣勢となるのは自明の理であった。

 

「いつまでもやれぱなしでいられるかよっ!!!」

 

さやかにいいように攻められていることに我慢ならなかったのか、杏子は突きつけられた槍を真上に弾きあげ、さやかをのけざらせる。反動で足がもたついている間に距離を取ると振り絞った腕を全力で前へ突き出し、さやかに突撃を仕掛ける。

 

「ッ……………!!」

 

その攻撃に対して、さやかは歯がみする表情を見せながらも避けられないことを察したのか、片手槍の持ち手を両手で掴むとその全力に応えるようにフルスイングで横薙ぎに振るう。

 

槍の穂先とカタールの刃がぶつかり合う瞬間、火花は散ることはなかった。

 

「なーーーーー」

 

別段、両者の攻撃が外れたわけではない。杏子はさやかに向けて全力で攻撃を仕掛けたし、さやかはその攻撃を防ぐために腕の一本は覚悟して迫りくる槍に向けて腕を振るった。

 

ただーーーーさやかの持つカタールの刃が杏子の槍を穂先から二股に分かれるように食い込んで裂けただけのことだ。

 

柄から真っ二つに切断されるところは目の当たりにされたものの、一番硬い金属でできているはずの穂先のその先端から薪割りをしたように縦に裂けるなど思いもよらない出来事に杏子は驚嘆に満ち満ちた顔を見せる。

 

「ーーーーーもらったぁぁ!!」

 

その隙を見逃さなかったさやかは片手槍を横薙ぎに振るった姿勢のまま強引に前へ向けてGNドライヴの出力を上げると、GNバスターソードⅡが懸架されている左肩でショルダータックルを仕掛ける。

 

「うぐッーーーー」

 

バスターソードⅡの表面積の大きさも相まって、さながら壁に押し出されるようにタックルを食らった杏子は思いっきり吹っ飛ばされ、地面を転がる。

その先にはさやかが拘束された時に手放したGNソードⅡロングが放置されており、さやかが念じるとその剣が光を帯びる。さながらそれは爆発直前、一瞬だけ見える光のようで、それを理解した杏子は息を呑む。

 

だが爆発に巻き込まれると思ったのも束の間、腕に何かが巻きついた感覚を感じた瞬間、今度は杏子の身体は吹き飛ばされた方角とは真逆の方向に引っ張り上げられる。

 

(なんなんだよ、次から次へと………!!)

 

次から次へと目まぐるしく変わる状況に心の中で狼狽する杏子はひとまず巻きついた感覚のある腕に視線を合わせる。そこには何かワイヤーのようなロープが巻き付けられており、そのロープが伸びている先を辿っていく。そのロープの出所はさやかだった。彼女は手にしていたGNソードⅡショートの先端を切り離し、中に収納されていたワイヤーを伸ばして杏子にくくりつけ、彼女をさながら釣り上げた魚のように引っ張り上げていたのだ。

 

一本釣りのように引っ張り上げられた直後背後で起こった爆発の風に体が押し上げられて空中でバランスを崩すも、前もっていた引き上げが功を奏して、大したダメージを負わずに済む。

 

しかし、先ほどまでの苛烈な戦闘にお互い既に限界を迎えていたのか、さやかも調整が精一杯で、杏子は特に受け身も取れずに地面に放り出された。

 

「ハァ……………ハァ……………!!!!」

 

大きく息を吸い込みながら呼吸を整えるさやか。その表情はまさに疲労困憊というに等しく、GNカタールを連結させた片手槍を支えにして立っているのがやっとであった。

 

「………………」

 

それに対し、杏子は地面に放り出され、呆然と仰向けで空を見上げていた。その表情には戦闘中に垣間見えた烈火の如く形相は見えず、ただ疑問に思っているような顔つきであった。

 

(なんで…………アイツはあたしを助けた?)

 

湧き出てくるのはさやかの行動だ。爆発の直前、その爆心地近くにいた杏子は動くことができなかった。そのまま爆発の炎に焼かれれば、よくて重傷、悪くて死ぬこともありえただろう。

 

(それに…………この戦いはあたしがアイツに対しての八つ当たりも同然の理由で仕掛けた奴だ…………正当防衛とかいって殺されてもおかしくはねぇ。それなのにどうして…………)

 

杏子は呆然と空を見つめたまま目線だけを片手槍を支えにしながらも膝をついているさやかに向ける。

 

「おいーーーーー」

 

何故自分を助けたのか、その理由をさやかに問おうとした時ーーーー

 

 

「……………魔女が来る」

 

「え?」

 

視界が歪み、先ほどまで見えていた公園のような風景は消え失せ、代わりに白と黒の色が消え失せた空間が現れる。

 

「くっ…………このタイミングで魔女が来るなど………運のない!!」

 

悪態を吐くような声を上げながら覚束ない足取りでさやかは杏子の元へ駆け寄ってくる。

 

「…………立てるか?」

 

倒れている杏子にさやかは何気なく手を差し伸べる。その行為に杏子の脳内は一層困惑に支配される。何故先ほどまで本気で殺し合っていた相手にこうも出れるのかと。

 

「ッ…………不味い!!」

 

杏子がその伸ばされた手に対して躊躇っている間に周囲を見回していたさやかは顔を顰める。彼女の視線の先には何やらそびえ立っている真紅のオブジェに祈りを捧げている人間のような姿があった。その人間のような魔女は髪に当たる部分を蠢かせると、床から木の枝のように見える触手を出した。

 

「くそッ…………!!」

 

それを見たさやかは杏子に伸ばした手を引っ込めると思いつめているような表情を見せている杏子の前に躍り出る。そして右肩に懸架していたGNバスターソードⅡを取り出すと、その剣先を黒い床に突き刺してその身の丈ほどある刀身を盾として構えた。

 

次の瞬間、触手がとんでもないスピードでさやかに向けて伸ばされ、鈍い音をバスターソードの刀身から響かせた。

 

「ううっ…………!!」

 

正面からの攻撃を防いださやかはその衝撃から苦しげな表情を見せるも、GNバスターソードⅡのパーツを展開させる。

その展開されたパーツの隙間からGNドライヴの光と同じ色のバリアが展開されるとそのバリアはさやかと杏子の周囲をすっぽりと覆い隠した。

 

その直後、先ほど正面から防いだものと同じ触手がそのさやか達を囲むように現れ、そのバリアに向けて集中砲火を始めた。

 

「ちぃ……………!!」

 

「お、おい!!」

 

「何か用かっ!?今は見ての通りかなり厳しいぞ!!」

 

自ら篭城戦を仕掛けてしまったことにさやかはやってしまったと言わんばかりに悪態を吐く。そんなやるせなさが疾ったのか、声をかけてきた杏子にも少しばかり高圧的に当たってしまう。

 

「なんであたしを助けたんだよ!!こうなったのも、全部あたしのせいじゃねぇかよ!!なんであたしを見捨てなかった!!」

 

バリアフィールドの中で杏子の声が虚しく響く。その悲痛とも取れる声をさやかは数瞬呆けた顔を見せるも少しするとさも当然と言っているような顔を見せながら正面を見据える。

 

「なんでって…………人を助けるのに理由なんざ必要か?」

 

 

「だが強いていうなら、私の目的は最初からアンタをこちら側に引き込むことだ。損得感情を抜きにしたとしても、助けて当たり前のことだ。」

 

魔女の触手がバリアにひっきりなしに攻撃を続け、鈍い音が響いている中、さやかは笑みを見せた。

 

「それに……………アンタ、話しを聞いている限り、途中からずっと一人ぼっちだったらしいが…………」

 

さやかは魔女に向けていた目線を杏子に戻しながら、語りかける。

 

「だったらなおさら助けないわけにはいかない。一人ぼっちというのは思いの外寂しいらしいからな。」

 

その瞳は水色の虹彩から神秘的に輝く金色の虹彩に光輝いていた。

 

 

 




戦闘しながらの会話はダブルオーの醍醐味なのに中々やらなかった…………悲しみ

マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………

  • ガンダムだ
  • ガンダムではない

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