ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」 作:わんたんめん
ホントにイノベイターってメッタメタにするなぁ…………
ガタンゴトンと揺れる電車の中。帰る電車に乗ったいろは達のあとを追ってきたさやかに驚きを隠せない二人。その聞きたいことを聞きにきたさやかはいろはに用があると言ったきり、車輌内ではそれきり黙りこくってしまう。
「あの…………もしかして私がいるのは邪魔、なんですか?」
しばらくして黒江がおずおずとした様子でそう切り出すとさやかは申し訳なそうな様子を見せながら指で頰を軽くかき、参ったように笑みを浮かべる。
「…………すまない。流石にこちらから言い出すのは気が引けるから黙っていたのだが……………気を遣わせてしまったな。」
「い、いえ、そんなこと…………でもそんなに大事なことなんですか?」
「大事、というより感覚的なもの。つまり私の第六感、悪くいえばただの勘に近い。だから、私なんかの変な勘で君を混乱させたくないというのが正直なところだ。」
「……………わかりました。どのみち私といろはは降りる駅が違うので…………」
「重ね重ねになってしまうが、すまない。ついさっき会ったばかりの私なんかのために気を遣わせて。」
「…………そんなこと言わないでください。貴方は私たちの命の恩人なんですから。」
その言葉を最後に再び車輌の中が沈黙を支配する。しっかりと人の生活は見られるのだが、どことなく寂れたような建物がいくつも聳え立つ中を電車は滑走していく。
しばらくして、何回目かの駅の停車で不意にいろはが立ち上がる。どうやら止まった駅である宝崎第三次駅がいろはが降りる駅のようだ。
「降りるのか?」
「はい。ここに私の家があるので。」
「……………話は道すがらですませた方が良いようだな。」
「あ………い、今は両親は海外出張でいないので、別に気にしなくて大丈夫ですよ?」
いろはの家という単語を聞いて、さやかは道すがらで話を済ませようとするも彼女から家には両親が不在にしているから気にしなくていいと話す。
「だが………」
「お礼、させてください。」
最初こそ気が引けるため遠慮するもいろはのお礼をさせて欲しいという言葉とその笑顔にどことなくまどかのような変なところで強情になるのを重ねたさやかは渋々ながらにそれを了承した。
「何というか、寂れた印象を受ける街だな。」
電車を降り、住宅街を歩いている中、不意にさやかが周りの様子を見ながらそんなことをポツリと呟く。そのことにいろはは返す言葉がないのか、乾いた笑いを浮かべる。
「……………すまない。悪くいうつもりはなかったのだが、マンションに木の蔓が張り付いているのがいくつもあるからそのように感じてしまってな。」
「別に、そんなことで気にはしませんよ。あ、あそこが私の家です。」
そんなこんなで談笑を交わしているといろはの家が見えてきたのかいろはがそんな声を挙げるもさやかは土地勘とかはサラサラないものの彼女の目線でそれとなく場所を把握する。
「あの、こんなものしか出せませんけど…………」
「いや、むしろ押しかけたのはこちらだ。ありがとう。」
いろはの家に上がり込んださやかは彼女からのお茶のもてなしに礼を言いながら口に含む。自分と同じくらいの女の子が出したのだから味はそれほどまでに考えるつもりはなかったのだが、口に含んだ瞬間、思っていたより想像の倍をいく渋さがさやかの口内を襲う。どうやらいろはは結構年寄り臭いものが好みのようだ。
なんとか顰めた顔が浮かび上がらないように表情筋に力を入れて表に出さないようにしながらさやかはいろはと対面する。
「それで…………私に聞きたいことって、なんですか?」
「ふぅ……………実はというと、君を見た時になんとなく既視感を覚えていたんだ。」
「それは…………あの七海やちよさんと会った時のような感じですか?」
「いや、彼女のパターンとは違う。どちらかといえばどこかで似たような人物を見たことがあるかのような感覚だった。しばらくそれについて考え込んでいたのだが、途中で七海やちよが現れたことで思考を中断せざるを得なかった。だが、あそこで帰ろうした直前、もう一度考えてみたんだ。」
神妙な面持ちで語り始めるさやかに自然といろはも引っ張られるように緊張した面持ちに変わっていく。そしてさやかは私の勘違いだったらそれで構わないといろはに念を押した上で、座っていた椅子からテーブルにわずかに身を乗り出しながらいろはに問い掛けを行う。
「いろはは、神浜市に来れば魔法少女は救われるという夢は見たのだな?」
「……………正直にいうと、私は黒江さんから聞かされただけでまだその夢自体を見たわけじゃないんです………ごめんなさい。」
「ん…………そうなのか。まぁ、それはさして重要ではないから良いのだが…………これから聞くことが大事なんだ。完全に私の所感、直感、感覚によるものだが。どう思うかは、君の好きにして構わない。」
「あの夢に出てくる少女………………君の妹、もしくはそれに類する人物ではないか、と私は感じている。」
「ッ!?!!!?」
「まぁ、そのような表情をあげるのも無理もない。正直いって流石に いろは!?どこへ行く!?」
いろはが驚嘆に満ち溢れた表情を見せたことにさやかは忘れて欲しいというようにその可能性が低いことを伝えようとするもそれより先に突然立ち上がったいろはが何やら緊迫した様子で駆け出し、さやかは反射的に彼女のあとを追う。
(な、なんだって急に…………まさかとは思うが、今回も当たってしまっているのか!?)
急にいろはが豹変したように駆け出したことに一抹の不安を抱きながらそのあとを追う。その追いかけっこもすぐに終わりが見え始め、いろはを追っていたさやかは結果的にとある一室に足を踏み入れる。
「なっ…………!?」
その瞬間、さやかは思わず足を止め、目を見開いてその部屋を凝視してしまう。その部屋は言ってしまえば二つの間取りに分かれていた。片方は机やベッドなど生活の必要なものが取り揃えられており、そこでいろはが何かを手にしながら、空いている手で自分の顔を覆っていた。
さやかはもちろんいろはのことも気がかりだったが、さやかはそれにも関わらず反対側の間取りに視線を移すとそこには何もない空間が広がっていた。
いや何もないというより、不自然に、というより元々そこには何かがあったかのように切り取られていた。それほどまで部屋の半分が生活感に満ち溢れて、もう半分がまっさらな空白の状態というのはさやかに否応がなく違和感を感じさせる。
「なんなんだこの空間は…………!!」
いろはの部屋から感じるおかしいくらいの違和感からさやかは霧がかったようなモヤモヤとしたものが周囲を包み込んでいる感覚に襲われ、不快感を露わにしながらも自身のものと思しき机の前で立ち尽くしているいろはに近寄る。
そしていろはが手にしているものに目を向けるとそこには写真が握られていた。いろはだけが写っている写真だが、再びさやかはとんでもない違和感を感じる。
その写真にはいろはしか写っていないのだが、一枚一枚に写っている彼女はその写真の中心にいることはなかった。まるで、主役は本当は別にいるとでも言うように。
彼女が写真の中で取っているポーズの一つ一つが明らかに空いたそこに誰かがいたことを如実に感じさせる。
「…………まさかとは思うが、いるのか?」
「…………なんで、なんで今まで忘れていたんだろう…………うい…………!!」
さやかが声をかけるも答えが返ってくることはなく、いろはは代わりに嗚咽をこぼしながら瞳からこぼれ落ちる涙を拭う。そして、彼女の口から語られた『うい』という人物の名前。
「……………それが妹の名前か。だが、忘れていたとはどういうことだ?こんな違和感丸出しの部屋でよく生活ができるな。」
「なんで、なんでしょうか……………?」
いろはの言葉に肩透かしを喰らうさやか。情報としては本当に微々たるもののため、詮索しようにも何から手をつければいいのかよくわからない。
「…………とりあえず、どうやら君は結構重要な手がかりを持つ人間なのは確かだ。忘れていたことを思い出したのなら、何か他に思い出したことはないか?」
「……………小さいキュウべぇ…………あの子に触った時、頭にういとの記憶が流れ込んできたんです!!」
「小さいキュウべぇ?触ったって…………接触したのはいつなんだ?」
「美樹さんが魔女と戦っている時です。不意に姿を現して、助けにいって捕まえたら、電流が走るみたいに、記憶が…………」
(そんな奴いたか……………?)
いろはの小さなキュウべぇがいたというのにさやかは訝しげに首を傾げながら自身の記憶を掘り起こしそれっぽい何かを視界に入れたかどうかを思い返す。しかし、戦闘に集中していたのもあいまって、出てくるのは魔女の顔ばかりだったため、いろはの言葉に嘘を感じなかったのを理由にそういうのが知らず知らずのうちにいたという認識に留めておいた。
「……………その、ういに関しての記憶がなくなっていたのが、一体どの時期からなのかはわかるか?」
「…………ごめんなさい。今は今までの記憶とこれまでのが入り混じってて、何がなんだか…………」
その返しにさやかは記憶が混濁しているのであればまぁ仕方ないかと割り切って無理に聞き出すことはやめておいた。
「まぁ、後でゆっくりと落ち着いて整理していくといい。だが、どのみち君は行かなければならなくなったな。」
「…………はい。美樹さんの言う通り、その夢に出てくるのがういだとしたら、カギは絶対、神浜市にあると思います。」
いろはの困惑気味ながらも自分の妹であるういに関する記憶を失った謎に迫る姿勢にさやかは机にあったいろはしか写っていない写真を手に取る。
「…………しかし、記憶どころかこうした写真からも消えているとなると、これはいろはといった個々人に干渉したのでなく、存在自体がなくなったと考えるのが一番納得がいく。」
「存在自体が、ですか……………」
「もしかすると、存在自体がなくなったことで関係がなくなっている可能性もある。例えば、ういの友人とかだ。この先いろはがその人達のことを思い出したとしても向こうはいろはを一切知らないというのも考えられる。」
そのことにいろはは目を見開いて無言で驚きを表すもさやかはさも当然というように視線を机の上に置かれた何枚もの写真に落とす。
「無理もない話だ。なぜなら、ういという接点が消失しているからだ。接点がなくなれば、その人物と出会ったという事実がなくなり、その人間同士の関係はもはや名前すらも知らないただの赤の他人と変わりはなくなる。」
「…………………そういえば、信じているんですね。」
「何のことだ?」
不意にそんなことを言い出したことにさやかは疑問に思っている表情を向けると、いろはは優しげな目をみせていた。
「だって…………こんな、普通の人じゃ信じないようなことをまるで信じているようにお話ししているんですよ?」
「……………じゃあ、お前はどうなんだ?」
「え……………それは、もちろん信じています。ういの存在が嘘だとは思いません。」
「なら、それでいいんじゃないのか?大事なのは、根っこであるお前が信じるかどうかだ。私はあくまで客感的に見て、信じる側に立っているだけだ。」
「私が、信じるかどうか……………」
さやかの言葉にいろは手にしている不自然な写真を握りながら顔を俯かせる。
「例え、どんなことが待ち受けていても、お前のその思い出を信じて、それでもと言い続けろ。」
「ッ………………はい!!………………えっ?」
その輝きは電気の点いていない部屋ではあまりにも目立つ光だった。さやかの激励のような言葉に顔を上げるいろはだったが、次の瞬間にはその表情が驚愕といったものに変わる。不自然なくらいさやかの目元周りが光っているのだ。
それもそのはず。そのさやかの瞳が金色に輝き、その虹彩は虹色に光り、なおかつ蠢いている。
魔法とはまた違った、常軌を逸脱した現象にいろはは思わずその光に言葉を失っているのか息を呑むことしかできない。
「……………あ、もしかしてまた目が光っているのか?」
そのいろはの反応に首をかしげるさやかだったが、しばらくしてその原因を察したのかそう尋ねる。
どうすればいいのか、なんと声をかければいいのかわからなかったいろははその指摘に感謝するように勢いよく首を上下させ、アピールする。
「むぅ…………またか…………なんなんだろうな、この目は。」
「え………だ、大丈夫なんですか!?なんともないんですか!?」
手で片目を覆いながら困ったようにしているだけのさやかにいろはは身体的に影響はないのかという別の驚愕を持ちながらさやかに詰め寄る。
「一応な。だけど周りに言い広めるのはやめてほしい。さっきの様子でわかっていると思うが、私自身よくわかっていないんだ。」
「えあ、は、はい…………わかりました…………」
さも平然としながらその金色の瞳で見つめてくるさやかにいろはは困惑の色を隠せないまま気圧されるように頷いた。しばらくするとその金色に輝く瞳も色を失うように元の色合いに戻っていった。
「あ、も、戻りました…………」
「戻った?もしこのまま帰ったら奇々な目線で見られるのは避けられないからな…………よし、帰るか。聞きたいことも聞いたし、あんまり当たって欲しくない勘は当たってしまったがな。」
目の色が戻ったことをいろはから聞かされたさやかはそのまま家路に着こうとする。
「あ、そうだ。いろは、携帯とかは持っているのか?」
「持ってますけど…………連絡先の交換ですか?」
不意に扉の前で足を止めたさやかが携帯を取り出しながらそう尋ねるといろはが気が引けがちな様子で携帯を取り出した。そのことに不思議そうな顔を見せるさやかだったが、いろはのスマホの操作がどことなく覚束ない。どうやらスマホの扱いがぎこちないらしい。
「………………いろはは結構…………年寄り染みた感性を持っているらしいな。この際言ってしまうのだが、出されたお茶も結構渋かった。」
「ひ、酷いですっ!!?」
さやかに年寄り臭いと言われてしまったいろはは顔を真っ赤にしながら抗議の声を上げるが、その時に思わず飛び出た方向音痴の言葉にさやかはより一層いろはは年寄り臭いという認識を深めてしまうのだった。
そしてなんとか終電前に見滝原へ帰り着いたさやかだったが、慎一郎と理多奈に心配そうな声をかけられるも、やましいことは一切していないと弁明を謝罪を入れた上でしっかりと行い、就寝をした次の日の朝。何かの音で目が覚めたさやかは若干寝ぼけた目で時計を確認するついでで携帯をとると時刻と一緒にメールが一件届いているのが目についた。
上の空のような手つきでそのメールを開くと、そのメールの送り主の欄には『環いろは』の文字が。
『私もあの夢を見ました。やっぱり夢に出てきた女の子はういです。私の妹です。』
書かれていた文言にやっぱりそうだったのか、と頭を抱えてしまうさやか。しかし、事実はどう見方を変えたところで変わることはない。
「で、なんなの。報告しなきゃいけないことって?」
その日の学校でさやかはほむらとマミ、そしてまどかを昼休みの屋上に呼び寄せる。まどかも一緒に呼び寄せたのはいつまでも隠しておくとまどかがいつ変な行動を起こすか、わからなかったからだ。それだったら、ある程度真実を教えて置いて、未知からくる不安を無くしておこうというのがさやかの考えだった。
「まどか。お前には知らない話がぽんぽん出てくると思う。だが、あまり言及はしないであくまで知っておく範囲に留めてほしい。知っておくというのが、お前にとって一番安心できると思うからな。」
「わ、わかった。」
さやかはまどかに語り始める。ワルプルギスの夜がほむらの経験から割り出された日付にこなかったこと。そして魔法少女限定で見られる神浜市に赴けば救われるという内容の夢のことを。
「そんなことが……………?」
「ああ。私達はこれから神浜市へ頻繁に出入りするつもりだ。もちろん、学校を疎かにするつもりはないが、どうやら神浜市の魔女は今までの魔女より一回り強いらしい。多分、いつもより危険指数は高いだろう。」
「…………………じゃあ、私が契約すれば…………なんてことはいうつもりはないけど、やっぱり不安だよ………さやかちゃんやみんなに何かあったら…………」
「まぁ、まどかの不安を取り除くことはできない。どんなものにも不確定要素はつきものだ。でも、何も知らないよりは幾分マシだろう?」
「………………私は信じて待つことしかできないってことだね?」
「要約するとそういうことになる。すまない。」
謝るさやかにそれを無言で見つめるまどか。ほむらもマミも口を挟まない静謐な空間が屋上を占める中、最初に声を上げたのはまどかだった。
「……………絶対、生きて帰ってきてね。」
「ああ……………もちろんだ。」
交わした言葉はそれだけだ。だが、その少ないやりとりでも互いに信頼している絆が見えていた。
「おう、来たぜ。って、お前までいんのか?」
学校の屋上の縁に地上から飛んできたように足をかけながら現れた杏子は開口一番にまどかがいることに驚きの表情を見せる。そのことにまどかは微妙な表情を見せるも、それに言及することはなく、さやかの仕切りで報告会が始まる。
「杏子も来たことだし、本命に入ろう。重ね重ねいうがまどかは話の内容を理解できないと思うが、そこは堪えてほしい。」
視線を向けられたまどかは無言で頷くとさやかは視線を戻し、話を進め始める。
「まず単刀直入に行こうか。昨日私が気になって追いかけた魔法少女、名前を環いろはというのだが、衝撃の事実が明らかになってしまった。彼女は夢に出てきた少女、環ういの姉だということだ。」
「はぁ!?姉っ!?マジでっ!?」
「まずツッコミたいところは色々あるのだけど…………その根拠は?」
いろはが夢に出てくる少女の姉だということに杏子は加えていた棒状の菓子を落とす勢いで驚きを露わにし、マミは顔に手を当てながらその根拠を要求する。
「まずはいろは自身がういの姉であることを自覚したこと。これは今日の朝、連絡先を交換したいろはから連絡があった。そしてもう一つはこの写真だ。」
そういうとさやかは懐から一枚の写真を取り出す。それはいろはの家から拝借したいろはしか写っていない不自然な写真だ。
「この写真、いろはしか写っていないが、明らかにこの空いている空間に誰かいるように見えないか?」
「……………確かに言われてみれば彼女のポーズとか鑑みて誰かいることを前提としたものに見えるけど…………」
いろはの一人で写真を撮るには不自然に空いた空間に指で円を描きながら注目させるとほむらが難しい表情を見せる。
「……………マミ、お前はどう思う?」
「わたし?わたしは……………美樹さんの言う通り違和感は覚えるわ。でも 」
「それがいろはの妹であるうい、と言う確証はない。そうだな?」
マミが怪訝な表情を見せながら違和感自体は感じると言ったところでさやかが口を挟む。そのことにマミはなんら言いたかったことと違いはなかったのか無言で頷いた。
「だが、同時にそれを否定する材料もない。」
「でもさやかちゃん。そのいろはちゃんって子は、その写真に写っていたのが妹さんであることはわかっているんだよね?」
「ああ。その通りだ。彼女はこの写真に写っていたのが妹であることを理解している。だが、いつから忘れていたのかは定かではないらしい。パーセンテージだけで言えば6:4の割合で信じるには値するはずだ。」
まどかの問いかけにさやかは頷きながらその情報が信じられる情報であることを示す。
「それが信用できるかどうかはさておいてさ。そもそもなんでそのいろはって奴は妹のことを忘れていたんだよ。普通あり得ないだろ。」
「有り得ないって…………私達がそれを言ってしまうのか?」
杏子の難しげな表情をしながらの発言にさやかがそう返すと、杏子の表情を苦いものに変わり悩ませるようなものに変わる。
「契約ん時の願いか。忘れてたわけじゃねぇけどさ…………」
「…………もっともそうなってくるとどれだけいろはに対して悪意があるんだという話になってくるがな。とてもではないが、いろははそう人からの悪意を買うような人間ではない。」
「………………どのみち、神浜市に行くしかないのは変わらないみたいね。ワルプルギスの夜がなんで暁美さんが繰り返してきた時間通りに来なかったのか、原因も考えなくちゃいけないし。」
マミの言葉に全員が同じ気持ちなのか、神妙な面持ちで頷く。
「なら、これから役割分担で当たろう。マミ先輩は以前言った通り、キュウべぇに神浜市についてのことを聞いてきてほしい。」
「ええ、わかったわ。」
「ほむらと杏子、それに私は神浜市に赴いて調査だ。しかし、神浜市の魔法少女をうかつに刺激しないように、杏子は先行して東側の地区を。私とほむらは放課後に西側の地域を。」
「任せな。単独行動は慣れているからよ。あ、さやか、電車賃くれ。前行った時は奢ってくれただろ?」
「………………しょうがない。一度渡したのが運の尽きと思っておくか。」
「おい、どういう意味だオメェ。」
さやかは呆れ顔で財布から千円札を取り出すと顰め面の杏子に差し出した。渡された後も杏子の不服気な表情は変わらなかったが、さやかはそれを完全無視して話を進める。
「とりあえず、当面の目標は表側と裏側どっちでも構わないが、神浜市についての情報収集だ。それで情報の共有についてだが、念話の範囲はボチボチ広いのか?」
「さすがに市を跨いだ距離は無理よ。」
「なら、マミさんは携帯で連絡してくれ。杏子は神浜市にいる時に余裕があれば。」
ほむらからの言葉にさやかがそう提案すると特に異論もなくに各々が行動を開始する。
杏子はさやかからもらった電車賃を手に一足先に神浜市へ。残った三人は放課後になるまで学業に集中する。
神浜市での物語は始まったばかり。誰も知らない物語の上を少女たちは歩み始める。
せめて…………せめて調整屋までは書き切りたい……………(もう一つのリリカルな方を一ヶ月ほったらかしにしている阿呆)
マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………
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ガンダムだ
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