ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」 作:わんたんめん
「これは…………また大きい得物を…………」
調整を受けたことにより、新たなる力であるザンライザーを手に入れたさやか。そのザンライザーが背負っている二対の大剣、GNバスターソードⅢを手にもつと見比べるように二振りを交互に見つめる。
新たに現れたザンライザーに搭載されているのは、まずその背に乗っかっている左肩に懸架されているGNバスターソードⅡと同じくらいの大きさで二対の大剣、GNバスターソードⅢをはじめ、GNソードロングとショートの長さを均等にしたような手持ち剣であるGNソードⅡが二振り。底部には刀身がGN粒子と同じ淡い緑色に包まれた刃の幅の大きいどことなく脚部のGNカタールと似ているGNソードⅢの計5本がザンライザー一機にまとめて搭載されていた。
「多くないかしら?美樹さん一人でこれ全部扱うの?」
そういったマミの言葉だが、まだ当人たちは気づいていないザンライザーの両翼のバインダー部に取り付けられているGNシールドも緊急時に実体剣として活用できるレベルの切れ味を持っているため、実質ザンライザーに搭載されている剣は七本であり、さやかのセブンソード/G装備も加わると合計14本もの剣を持っているということになる。
「いや、さすがにそこまではないと思うが………これ自体は支援用のものみたいだから、いっそのこと移動用と割り切るのも一つの使い方だろう。こいつ自体はある程度自律して行動するようだし、このように浮遊しているのだからな。」
「まぁ、たしかに………空を自在に飛べる魔法少女っていうのもいないからね………これはこれで便利かも………」
「いないのか?」
「え?まぁ……私が知っている限りはね。というか、普通は飛べないでしょ?どっちかといえば長いジャンプで跳んでいるようなものだし……」
ザンライザーをしばらくは移動用の補助ユニットとして扱うことを決めたことにももこがぽろっとこぼした言葉にさやかが反応すると、まさか触れられるとは思っていなかったのかももこが少しばかり驚いたような表情を見せる。
しかし、さやかがそれ以上話を続けるようなことはしなかったため、結局その話は周りの喧騒に消えていった。
「そういえば十咎ももこ。鎖の魔女への対抗手段はなにかあるのか?」
「ももこでいいよ。前の時もそうだったけど、いつまでもフルネーム呼びじゃ大変でしょ。」
「すまない。どうにも性分なようでな。会ったばかりの奴には大抵こうなんだ。」
代わりにさやかはももこに鎖の魔女への対応策を尋ねた。確かに今はそれが最優先だが、さやかのフルネーム呼びがこそばゆかったのかももこはさやかに名前呼びでいいことを伝えると、さやかも少し申し訳なさそうな様子でそれを受け入れる。
「それで、鎖の魔女への対応だけど、専門家を呼んでる。そろそろ来ると思うんだけどな…………」
ももこのいう専門家にさやかが疑問に思っているとフロアの床を女性ものの靴で鳴らす音が響き渡り、何者かの来迎を告げ、全員の目線が音のした方向に注がれる。
「……………ももこ、話と違うのだけど。結構人数いるじゃない。」
現れたのはさやかたちが神浜市に初めてやってきたときに出くわした魔法少女、七海やちよだった。おそらくももこのいう専門家というのは彼女のことを指しているのだろうが、それなりの人数がすでにいることにうっとおしいと思っているのか険しい表情を見せていた。
「専門家………一体何のだ?」
「ウワサだよ、ウワサ。やちよさん、こういうのをよく調べているんだ。」
「……………はぁ、それで、絶交階段のウワサと出くわしたのね?」
人数が多いことになにやら一言申したいものがあった様子だった七海やちよだが、結局言及することはやめたのかため息をひとつだけついて本題に入る。そのやちよの言葉に正面に立って応対しているももこは険しい表情を見せながらうなずく。
「ウチのかえでが連れていかれた。なんとか助けたいんだけど、こういうのに対して一番知識があるのはやちよさんだ。だから、手を貸してほしい。頼む。」
そういってももこはやちよに対して頭を下げながら協力を要請する。その様子を見ていたやちよは少しの間を空けると一つ、小さく息をついた。
「……………私もかえでを助けること自体に異論はないわ。手を貸してあげる。でも 」
ももこからの頼みを承諾し、力を貸すことを明言するやちよ。しかしその表情は険しいもののままで、不意に視線をももこから外すと、別の方向に顔を向ける。その視線の先にはいろはの姿があった。何か彼女から言われると思ったのか、やちよから向けられた年上の貫禄のある鋭い目つきにいろはは体をこわばらせる。
「……………多くは言わないわ。前に言ったけど、弱いまま変わらないのなら、死ぬだけよ。」
やちよにきつい口ぶりでそう言われてしまったいろはは暗く表情を落とした。その二人のやりとりを見ていたさやかは自分の隣にいたほむらに目線を合わせる。
「……………なに?」
その視線に気づいたのかほむらは自分を見つめてくるさやかにいぶかし気な表情を向けるとさやかは「いや………」と一言だけこぼすようにつぶやいて視線をいろはとやちよの二人に戻した。
「あの二人、なんだか少し前までのお前とまどかのやりとりをみているように思えてな。七海やちよがあんな風にまるで拒絶しているように突っぱねた言動をしているのに、いろはに対して特にこれといった害意がない点も含めて。」
「……………それ、絶対彼女の目の前でいうのはやめなさい。どうなってもしらないから。」
「?………わかった。」
ほむらの忠告のような言葉にさやかは首を傾けたが、自分の言動でやちよを怒らせたことをちゃんと踏まえているのか、特に理解したわけではないもののうなづく姿勢を見ているとやちよは肩から提げていたかばんから手帳のようなものを取り出すと、それを机の上で広げる。さやかがその開かれた手帳に視線を落とすとそこには雑誌の切り抜きややちよ本人の直筆の文字によって噂と思しき内容の事項がスクラップ本としてそこに集められていた。
「これは…………?」
「神浜ウワサファイルよ。絶交階段のウワサをはじめ、今の神浜市に流れているウワサをこれにまとめているの。」
「絶交階段のウワサの概要はももこから聞いている。確か、神浜市立大付属中等部の階段に自身と相手の名前を刻むことが条件だったな。」
「ええ、ひとまずその中等部の階段へ向かいましょう。ただ、その階段へ向かうということは本来部外者である見滝原の貴方たちと私は学校に侵入するということになる。」
「あまり大人数で同時に向かうことはできないということか。」
「理解が早くて助かるわ。それで申し訳ないのだけど、ももこたちを含めた私たちが絶交階段に向かっている間、見滝原組の三人は学校の屋上で待っていてくれないかしら。」
「専門家である貴方の言葉だ。それになにか異論をつけるつもりはない。勝手に話をすすめてしまったがそれでいいか?」
さやかが確認ついでにマミとほむらに視線を向けるも二人ともあいまいな返事をしながらワンテンポ遅れてその申し出を受け入れるのだった。その反応が気にならないわけではなかったが問い詰めたところでなにかはっきりするわけでもなさそうだったため、流すことにした。
(…………神浜…………ウワサファイル…………)
さやかとやちよを除いた全員はそのやちよが集めたウワサに関する手帳の名称に絶句していた。そんな哀愁のようなものが漂う空気だったが、一向はかえで救出、並びに件の絶交階段のウワサ打倒のために神浜市立大付属へと向かう。
「そういえば、調整屋に調整を受けてもらってから実際どうなんだ?八雲みたまのいう力の上がり具合は感じられるのか?」
ウワサとの関わりが深い神浜市立大付属にやってきた一向。生徒の出入りが少ない時間帯を狙って侵入したが。さすがに人数が人数だったために屋上で別動隊のやちよたちが来るまでの間、さやかは調整を受けたマミとほむらにその具合を尋ねた。ちなみにその調整にかかった費用はマミとほむらは自前のたくわえであったグリーフシードで賄うことができたが、自身のソウルジェムの性質上その蓄えのないさやかは自腹を切った。その値段もなかなか値が張ったが他の二人から借りることということはなく、財布に入っていた分でなんとかなった。しかし、財布の中身が寒くなってしまったので、これまで使い道がなかったということで堅く封が閉じられていたお年玉に手を伸ばさるを得ないことになったのは別の話だ。
「そうねぇ…………結構な効果はあるわね。力がみなぎってくるっていえばいいのかしら。」
「私も彼女と同意見よ。それに見立てていた通り、涸渇しかけていた時間停止の猶予が復活したわ。」
「そうか…………やはり私のパターンが稀有なのか。」
「稀有というより異常の方があっているんじゃないかしら…………調整屋の人もひどくびっくりしていた様子だったし…………」
「まぁ、これのことだろうな。」
二人の調整を受けた感覚を聞いてさやかはかみしめるようにうなづく仕草を見せていたが、直後にマミから微妙な表情で異常といわれてしまうとその表情を苦笑いに変えながらその元凶であるザンライザーを呼び出した。
「これも貴方の魔法少女姿のもとになっているガンダムっていうのに関係があるの?」
「……………名前はザンライザーというそうだ。ガンダムの支援を目的とした戦闘機らしい。」
「美樹さん?なんだか誰かから教えられたみたいな言い方なんだけど………」
ほむらにザンライザーの概要を話しているとそれに違和感を持ったマミがそのことを尋ねた。その指摘にさやかはなにやら言いよどんでいる表情を見せるがほどなくしてその表情を引っ込め、決意した表情を見せる。
「実はだな………調整を受けている間、私の意識は別の場所へ飛ばされていた。そこでガンダムの………本来の持ち主であるニンゲンに出会った。」
そこでさやかは二人に調整を受けた際に起きた刹那・F・セイエイとの語りあいについて打ち明ける。自分の力のもととなっているダブルオーガンダムのこと、GNドライヴとGN粒子、そしてイノベイター、刹那・F・セイエイの世界で人類の革新と評されたその能力について。
「それが………貴方が争いを止める力と聞いたガンダムというやつの正体なのね。」
「魔法少女、というより………人類の叡智の結晶、みたいなものを力にしているのよね、美樹さんは。」
「ガンダムもGNドライヴも人の手から生み出されたものだから、魔法とは正反対の性質かもしれないな。だが、意外に冷静なんだな二人とも。正直にいって笑い話かホラ吹きのいう話とかのあたりで済まされるかと思っていたのだが………」
さやかが不安そうな表情を見せながら頬を軽くかいているとほむらはあきれた表情を見せながらため息をつき、マミは笑みを見せた。
「普通であれば、貴方の言う通りでしょうね。でも私たちはもうそのガンダムの力を目の当たりにしてしまっている。なら、信じる信じない以前に認めるしかないわ。それだけよ。」
「私個人としては、美樹さんは良くも悪くも正直だから………そういう不安そうな顔を見せながら嘘をつくような人じゃないからかしら。」
「……………意外と変なところで信じてくれているのだな。」
『変という点で貴方/美樹さんには言われたくないわ』
「なっ………………!?そんなに変人なのか…………私は…………!!」
若干感動して涙が流れそうなさやかだったが、直後の二人の言葉に流れかけた涙は即座に引っ込み、代わりにショックで狼狽している様子を見せるさやか。
「そういえば、流してしまっていたのだけど、最近の目の色が金色に光る現象が起こるようになってしまったのも、そのイノベイターというものに美樹さんがなってしまったからなのよね?原因とかは話してもらえたの?」
「いや、あのタイミングで出会ったのは向こうにとっても想定外だったらしく、そこまで話が及ぶことはなかった。それでも値千金な奥の手を知ることができたから十分だったのだが………」
「奥の手………?」
「一言でいうなら………一時的に能力を爆発的なレベルまで引き上げるものか。実際使ってみないとわからないのだが、結構強力らしい。」
さやかの言い方に二人が首をかしげていると屋上の扉が開き、そこから下準備を終えたいろはたちがやってきた。いろはたちが来たことを確認したさやかはザンライザーを消して彼女たちに向きなおる。
「大丈夫そうか?」
「さぁ………やってみなければわからないって感じだね。一応ウワサ通りにはしているから大丈夫だとは思うんだけどさ………」
さやかがそう尋ねるとももこが微妙な表情を見せながら答える。その返答にさやかはそうか、と軽く反応を示しただけで特に話を続けようとはしなかった。その直後にやちよがももこの名前を呼ぶと少し急ぎ足で彼女の元へ向かうと対峙するようにももこはやちよを見据える。
「……………」
「……………」
周囲を取り囲んでいる面々が向かい合っているももことやちよを見守るようにしている中、しばらく沈黙が周辺を取り巻く。
「ごめんなさい!!!」
その沈黙を破ったのはももこの声だった。それもかなり響くほどの大きさで謝罪の言葉を述べる。というのも、今対峙している二人はさやかたちが屋上で待っている間に絶交階段に名前を書いてきた。そのうえで謝罪を行うとウワサが姿を現してしまうのだが、その習性を利用しておびき出し元凶を叩こうというのが今回の目論見だ。
しかし
「現れませんね………」
さやかの近くで腰を下ろしていたいろはがポツリとつぶやいた通り屋上にはももこの棒読みの謝罪の声がむなしく響くだけで、周りにいる魔法少女のソウルジェムに反応はおろか、さやかのイノベイターとしての感覚にも引っかかる兆しもない始末であった。そのことにさやかを含めた全員は首をひねって原因を考えていた。
「……………心からの言葉じゃないとか………」
「心から………つまり本気の、か………なら、はじめから適任は一人しかいなかったということか。」
いろはのつぶやきに反応したさやかはその言葉の真意を理解し、自身の言う適任に目線を向ける。その視線の先には足を抱えてしゃがみこんでいるレナの姿があった。
「水波レナ。どうやら、お前の心からの謝罪というのが必要らしい。」
「ちょ………そんな簡単に言われても………!!」
さやかに指名を受けたレナだったが、表情には狼狽しているように視線を右往左往させて落ち着きがみられない様子を見せる。それでもさやかはお前の力が必要だと言わんばかりにじっとレナに目線を当てている。
「そ、そもそも!!そんなすぐに仲直りした~いなんて気持ちになれるわけないでしょ!?」
「まぁ………そういわれてしまえばそうなのだが………むごい言い方をすると、お前がそうやって燻っている間にも秋野かえでの生存確率が下がっていく。決断は早い方がいい。」
「ッ……………ウゥ………!!」
口調、表情こそ心配しているようなものではあるが、さやかが言葉で突きつける現実という名の刃はレナの心に深く突き刺さったように彼女の表情を歪に歪めさせる。
(ちょちょ………あの子、そんなことをこう微塵も隠さないで言っちゃうの………!?)
(仕方ないでしょう………あの子、そこの七海やちよが気にしていたであろうことも少しも包み隠さずに真正面から言及するようなバカ正直者なのよ………)
(まぁまぁあの子の言っていることも間違いじゃないのがタチが悪いのよねぇ…………性格は頼りになるの一点張りでもいいくらいそのものなんだけど…………)
さやかのそのあまりもの鋭利すぎる言葉の突きつけにももこが焦ったように念話を送るもあきれているような物言いでほむらから返事が帰ってくると唖然とした様子で事態を見つめることしかできなくなるももこ。
そばにいたマミもさやかのストレート真っ直ぐをメジャーリーガーもびっくりの豪速球で貫くような言い草に苦笑いを禁じ得ないでいた。
「彼女を、助けたいんじゃないのか?お前がここまでついてきた目的は、そこでいじらしく燻っていることではないだろう。」
またさやかの無自覚なきつい言葉にレナは体を強張らせ、表情を険しいものにしてせめてもの抵抗のようにさやかを睨みつける。
「ステージは既に整えられている。あとは
しかし、さやかはその睨みに気圧される様子を微塵も感じさせない様子でそう言うと、さやかは立てたGNソードⅡブラスターの持ち手に両手を添え、杖のようにするとレナの前で仁王立ちの如く立ちつくす。
「お前は何も考えずに走れ。かかる火の粉は私たちで総力をもって振り払う。」
さながら誰かを守ることが使命である騎士のように立っているさやかにレナは目を伏せ、表情を見えないようにする。その様子に緊迫した雰囲気を見せる周りだったが、さやかは何やら確信しているように穏やかで不適な笑みを見せていた。
「 守ってよね。レナのこと。」
突然レナが駆け出すと目の前に立っていたさやかにすれ違いざまにそんな言葉を耳打ちする。
「守る、か。それは違うな。」
それにさやかは穏やかな笑みのまますれ違ったレナの後を追うように振り向く。
「連れて行く。私達全員で、秋野かえでの元へ!!」
そのさやかの言葉が開戦の狼煙であることを察したマミは即座にリボンを振り撒き、己の得物であるマスケット銃を数挺出現させ、同じようにほむらは左腕の盾から取り回しの効くアサルトライフルを取り出した。
「ごめ ん!!!!!」
ガシャンッと耳を塞ぎたくなるほどのけたたましい音と共に勢いよく屋上のフェンスに突っ込んだレナは直上に広がる青く澄み渡っている空に向けて絶叫ともとれる謝罪の言葉を叫ぶ。
「いつもいつも、無理矢理コンビニに使いっ走りさせてごめん!!レナが好きなフルーツタルトがなかったから怒ってごめん!!!それで気を遣ってほかのスイーツ買ってくれたのに気に入らないことを理由にぶん投げて台無しにしてごめん!!服とか汚したり、ペットの餌代だったのにそのお金返さなくて本当にごめんなさい!!!」
一度謝罪の言葉を口にしたことで今までせき止めていた心の壁が決壊したのか、レナは次々とかえでに対するツケを白状していくに比例して周りの人間の目が気まずいものへ変貌していく。理由は簡単、あまりにも理不尽だったから。これにつきてしまうだろう。それくらいレナがかえでにしてきた諸行はひどいのだ。普通であればコンビニ使い走りからの気を遣って買ってあげたものをダメにしたコンボでもう喧嘩はしてもいいだろう。いや、実際喧嘩もあったし、そのうえで絶交もしたのかもしれない。
「それとその飼っているペットのことキモイとか言ってごめん!!!でも爬虫類とか昆虫とか正直いってペットとしては絶対ないって今も思っていることもついでにごめん!!かえでの家に行く度にこっそり家庭菜園の果物食べていたのもごめん。なにより…………」
それでも………それでも二人が互いの関わりを続けていられたのは
「なにより………レナの出来心で、こんなウワサなんかに巻き込んで………ごめんなさい…………ごめんなさい…………!!!!」
二人がうわべ面の関係ではなく、まぎれもなく、真に心の通いあった友達であったからだろう。
「全部…………全部、後悔してるからぁ…………」
あふれ出る後悔の念に堪え切れなくなったのか、レナを嗚咽をこぼしながらフェンスに手をかけたまま崩れるようにへたり込む。
「その涙、もう少しとっておいた方がいい。うれし涙に変えるためにも。」
座り込んだレナのそばにいつのまにかさやかが立っていた。GNバスターソードⅡの大剣を足を前後に開いた態勢で下段に構えている姿は既に一度振り下ろしたようにも見える。
「二人とも!!ウワサらしき敵が現れたわ!!一度引きなさい!!」
後方から退避を勧めるやちよの声にレナがうつむいていた顔を上げるといつのまにか階段のようなものが間近で出現し、どんどん天高く伸びていく光景が広がっていた。
「前回に引き続きお前の足元からウワサが出てきていたから奇襲のつもりで斬ったが大丈夫か?」
「……………ひどいくらいの自己嫌悪に陥りそうなところ以外は。」
「まぁあれだけの謝罪を超えた、もはや懺悔と言っていいほどのことをしたんだ。精神的にはしょうがないだろう。さて 」
少しだけレナの容態を確認したさやかは再度未だに空に向かって階段を伸ばし続ける絶交階段のウワサを見据えると、いつの間にか右手にもっていたGNソードⅡショートの先端からワイヤーを伸ばし、レナの手にそのワイヤーを括り付ける。
「へっ 」
「ザンライザー!!!!!」
さやかがザンライザーを呼ぶと猛烈なスピードで加速をかけたザンライザーが彼女の背後から接近する。その突進と勘違いするようなスピードで飛んできたザンライザーの機体にさやかが飛び乗った。そしてそのさやかとワイヤーでつながっているレナは当然ザンライザーに引きずられるようにその身を空へと飛びあがらせる。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?!?!?!」
突然の絶叫マシンも真っ青なスピードで空を駆け回ることになったレナは機敏に先ほどのとはまるで違う絶叫をしながら絶交階段のウワサが展開した領域の深部へと入り込んでいく。
「ダブルオーガンダム セブンソード/G
『なにやってんのあの人ぉ!!?』
「はぁ………後で説教ね、あの子………」
「まったくもって同意見よ…………」
さやかの凶行とも勘違いされてもおかしくない行いに神浜の魔法少女は驚嘆に満ちた表情と声を上げ、マミとほむらは頭を悩ますようにため息をつくのだった。
ザンライザーはしばらく乗り物扱い。
マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………
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ガンダムだ
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ガンダムではない