ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」   作:わんたんめん

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1万字だー!!


第44話 フクロウ幸運水のウワサ

「杏子、ここら辺なのか?向こうからの指定場所というのは。」

 

「一応な。というか、飯とか色々挟んだってのに意外と時間に余裕あるな。」

 

時刻は日が暮れ始め、空の彩が橙色に変わり始めた時刻。中々眩しいと感じる日差しを横から浴びながらさやか達はマギウスの翼との約束の場所に来ていた。

 

「ん?お前らってあのウワサって奴をさがしてんじゃねぇのか?」

 

「もちろんそのつもりだ。だが、あてもなく神浜市中を捜索するのは手数が足らない上に骨が折れる。」

 

「あぁ……………うん。確かに神浜市も広いからな……………」

 

「だから知っている人間にこれから会うんだ。だがフェリシア、これから会う人物達には私達がウワサを破壊する側の人間であることは伏せてほしい。」

 

納得しているフェリシアにさやかがそう伝えると首を傾げて疑問気にするフェリシア。明らかに理由を求める様子にさやかは話を続ける。

 

「これから会う人物達は、いわゆるウワサを守護している魔法少女達だ。だから、こちらがウワサを破壊する意図で近づいていることを悟られるわけにはいかない。」

 

「え、そうなのか?なんでそんな奴らがウワサを守っているんだ?」

 

(…………どこまで話したものか…………)

 

フェリシアからの問いかけにさやかは表面には出さずに難しそうにしながら思案に耽る。魔法少女の救済というマギウスの翼の看板を伝えるのもいいが、そうするとフェリシアからどうしてそんな慈善団体のような集団から敵視されそうな行動をしていることを指摘される可能性がある。まぁ、フェリシアはどうにもおつむが脆弱、もしくは物事を深く考えない性格っぽいので、適当に流してしまう可能性もなきにしもあらずだが。

 

「…………すまない。私達もまだ奴らに関しては調べ始めたばかりだ。詳細はわからない。だが、魔法少女の救済を看板として掲げているらしい。」

 

「魔法少女の救済?…………………なんかよくわかんねぇ奴らだな。」

 

結局フェリシアにはマギウスの翼が魔法少女の救済を掲げている組織であると伝えたが、彼女からの返答はすごく淡白なものだった。おそらくその概念自体をあまり理解することができなかったのだろう。そのまましばらく夕日に照らされながら、杏子が出会ったマギウスの翼の構成員と思われる黒いケープを羽織った魔法少女を待つ。

 

「…………誰か来てるな。二人か?」

 

ふとさやかが振り向きながらそう呟き、四人の目線がさやかと同じ方向に向けられると、ちょうどそのタイミングで杏子が言っていた通り、黒いケープに身を包んだ怪しげな人物が二人現れる。

 

「………………………」

 

その現れた人物の片方は少しの間無言で佇むとさやか達を見定めるように一人一人見つめていく。

 

「…………………?」

 

その人物の見定めの最中、さやかはふと何か引っかかるような感覚を覚えた。顔がケープで隠されてその正体を伺うことはできない。しかしどういう訳なのかは知らないが、さやか達を見定めている最中、その黒いケープを羽織った人物の片方から驚愕といったものと同時に安堵感のようなものを抱いている感覚を感じ取った。少なくともさやか達が今まで出会ってきた神浜市の魔法少女の中でマギウスの翼の構成員と思われる人物はいなかった筈だ。だから確実に初対面の相手だったにも関わらずさやか達を見て安堵のようなものを露わにしたことに首をかしげる。

さらにその安堵感もさやか達に向けたものではなく、どこかこの場にいない人物に向けられたものであることもなんとなく見抜けた。

 

(………………誰かの知り合いか?)

 

そこからさやかは即座に目の前にいる構成員がさやか達の顔を知っている上でやちよやももこといった人物達とも知り合いであると判断した。しかし、表面では表情を繕いながらもそんな人物は中々いない筈だとも考える。

 

(ん?いや待て………………まさかとは思うが………………)

 

所感もあったが、そんな人物にはまるで会ったことがないと思っていたさやかの脳裏に一人の人物が浮かび上がる。そのことにさやかは悟られないぐらいのレベルで緊迫した表情を見せながら、黒いケープで身を隠した先の正体に視線を合わせる。

 

(……………メール、何通も送られてきた筈だ。彼女が心配していた。)

 

突然飛び出たさやかの念話。関連性がまるでない突然の発言のように思えるが、その真意は、もし目の前にいるケープの人物がさやかの想像通りなのであれば、確実になんらかの反応を示すはず、というものであった。

 

「ッ……………!?」

 

そしてその構成員は顔を隠すための黒いケープの下からわずかに覗ける口元を顰めるとたじろいだように一歩下がった。その反応に彼女の隣にいる、同じように黒いケープを目深にかぶり、顔を隠した魔法少女が怪訝な様子で大丈夫?と声をかける。それに慌てた様子で大丈夫と返し、その発言の主であるさやかに慎重に目線を向ける。

 

(……………やはりお前か。黒江。)

 

さやかがかけた鎌にあからさまに反応したその様子に若干の呆れが含まれた安堵の表情を見せるさやか。そこでようやく自身が乗せられたことに気づいたのか、思わずさやかから視線を外すが、すでに確信をもっていたさやかがしばらく見つめていると観念したのか、小さくため息のようなものを吐いた。

 

 

(………私を連れ戻しにきたの?)

 

(いや、私達はただ単純に誘われただけだ。そこの杏子からな。それに少々面倒な事情を抱えてしまってな。ここの彼女、どうやらフクロウ幸運水のウワサとやらの水を飲んでしまったらしくて、調べてみれば24回の幸運を使い切ればぶり返しの災難が降りかかるらしくてな。)

 

視線を移せばほむら達がもう一人の黒いケープで身を隠した構成員と話している。それを確認したさやかは怪しまれないうちに話を続けることにした。

 

(……………それでウワサのことを知っているマギウスの翼を頼ってきたってこと?私は入りたい人がいるって聞いたからたまたまその案内の役目が回ってきただけなんだけど。)

 

(そういうことだ。)

 

念話を続けていくうちに、自身を連れ戻しに来たと勘ぐる黒江にさやかはそれを否定しながら自分たちがマギウスの翼を訪ねてきた理由を語る。それを聞いた黒江は少し考え込むような仕草を見せるがやがて結論がついたのか、悩ましげな表情を見せながらさやか達に向き直る。

 

(貴方には一度命を救ってもらった恩がある。だからその礼も合わせて案内はさせてもらうわ。)

 

(ありがとう、感謝する。)

 

(だけど、それで貴方との恩の貸し借りはゼロ。もし何か変な行動をしようものなら、それなりの覚悟はしておいて。)

 

(…………………わかった。)

 

黒江の忠告にさやかは彼女は自らの意志でマギウスの翼に居場所を置いていることがわかり、なおかつ彼女との間に溝が生じてしまうことも遠くない未来であることも察したため、心を痛めるように儚げな笑みでそう返すのだった。

 

 

 

「なーんかよくわかんねぇとこに来ちまったなー……………なぁ、ほんとにここで合ってんのかよー。」

 

「…………………」

 

「まぁ…………私達は神浜市の地理情報には疎いから、どのみち彼女らについていくしかないのだが。」

 

その移動の最中、フェリシアが怪訝な表情を見せながら先をゆくマギウスの翼の二人に愚痴を零すが、向こうからの反応はなく、ただただ先をゆくだけの事実上の無視にフェリシアは不服気に頬を膨らます。

それでも前を行く二人のあとをついていくしかないとさやかがなだめるようにそういうととりあえず引き下がるフェリシア。

とはいえ、フェリシアが怪訝な表情をするのも無理もないというのがさやかの本音であった。

 

途中までは裏通りじみた少々暗い雰囲気の道を行っていたが、まだ普通の街並みを歩いていた。しかし、やがて人気のない森に囲まれた広場の区画内にある建物に入っていくとそこの一角にあった非常用の階段のようなところを通り、地下水路のような狭くて細い空間にたどり着く。

その連れてこられたにしては陰湿で、雰囲気の悪すぎる場所にさやか達の表情は優れなかった。

 

 

しばらくその下水道のような細い通路を歩いていくと、急に広い空間にたどり着く。支柱のような柱が何本も地上を支えるように聳え立っている様子から、その場所が周辺の川が増水などした際の貯水用の空間なのであろう。ともかく、ようやくあの陰湿な空間から解放されると思ったのも束の間、杏子はその空間の天井を見上げながら苦笑いを浮かべる。

 

「おいおい、なんだこの空間。まーるで魔女の結界みてぇじゃねぇかよ。」

 

そこには天井に一面水で覆われており、その時点でもだいぶ常識としてはおかしいのだが、普通であれば覆われた水から水滴が落ちてくる筈だが、そこには逆に地上から水滴が吸い寄せられるように天井に登っていく光景が広がっていた。

 

「私達が天井に足を付けているみたいだな、まるで。」

 

「こういう暗くて湿っぽい場所とかじゃなくて外だったら水滴が光で反射して結構綺麗な光景になりそうなのに。」

 

「ふぅ……………巴さん?さやかはともかく、貴方にまでボケに回られると色々と困るのだけど。」

 

「大丈夫よ、これでも気を張っているつもりではいるから。」

 

「その前に私がまるでバカみたいな扱いをされていることに文句を言いたいのだが。」

 

「安心しろ、おめぇはバカじゃねぇよ。天然記念物レベルのボケってだけだ。」

 

「……………それは貶しているということなのか?」

 

 

ただ単純に目の前の光景に感想を述べただけなのに、ほむらから散々な扱いを受けたことと、同じように感想を言ったマミが許されていることに困惑していると杏子からの追撃が入り、しょげたような表情を見せる。

 

「ふふ、仲がよろしいのですね。」

 

「でもウチと月夜ちゃんの仲の良さには敵わないよ!!!」

 

そんな漫才(本人たちにそのつもりは一切ない)を繰り広げていると前方から場所のせいか、反響したような二人分の声が聞こえ、目線を下げて声の響いてきた方向に顔を向ける。

その先には黒江たちが来ている黒いケープをそのまま白くしたようなものを羽織っている、顔がほとんど同じと言っても過言ではないほど似ている双子の魔法少女が向かい合って互いの手を繋ぎながら身を寄せ合って、その様子をさやか達に見せつけるようにしていた。

 

『…………なんか面倒なのに目をつけられた。』

 

その様子を見た瞬間、四人の脳裏に全く同じ言葉が思い浮かび、揃って見てはいけないものを見てしまったかのような気まずい表情を浮かべる。

 

「……………あれ?なんだか反応がないね、月夜ちゃん。」

 

「どうしてなのでしょう………………?」

 

さやか達が固まってどう反応すれば困っているところに、その二人は揃って不思議そうに首を傾げながらお互いの顔を見合わせる。

 

(………………よくわからないことで張り合われても困るのだが。)

 

とりあえず、白いケープを羽織った双子がさやか達と張り合っていることだけは察したのか、さやかは心の中で迷惑そうにしながらもそれを声には出さずに二人の世界を構築している様子に静かに白い目を向ける。

 

「…………お前たちが着ているその白い布。黒いのを着ている者たちとは違うのか?」

 

とりあえず話を進めるためにさやかは双子にケープの色の違いを話題に挙げながら話しかける。

 

「ええ、わたくし達は『白羽根』。『黒羽根』の皆さんを、謂わば統括する役割を仰せつかっておるのでございます。黒羽根のお二方、ご苦労様でした。あとはわたくし達にお任せください。」

 

そのさやかの質問に双子の………あまりにも双子の容姿に相違点が見当たらないため、文章上、胸部が豊満な方がおしとやかなお嬢様のような口ぶりでそう応えながら、ここまで連れてきた黒羽根に下がるように命ずる。その命に二人は素直に下がり、地下水路の闇へと消えていった。黒羽根の片方、おそらく黒江と思しき人物がさやか達の方を一度振り返ったが、すぐに向き直り、同じように闇へと消えていった。

 

「わたくしはマギウスの翼、白羽根、天音 月夜(あまね つくよ)

 

「ウチは同じく白羽根、天音 月咲(あまね つかさ)

 

双子の魔法少女、月夜と月咲がさやか達にそう名乗ると、二人はさやか達にそれぞれ半身だけ向け、手のひらを上にしてさやか達を出迎えるように腕を広げる。

 

「深月フェリシア、ならびに佐倉杏子を始めとする見滝原市の魔法少女の皆さん。」

 

「マギウスの翼は魔法少女を救済するためにその翼となる集団。歓迎するよ。」

 

どうやら、彼女たちの中では既にマギウスの翼への参加が確定しているらしい。まぁ、杏子がブラフとはいえ参加すると言って、連れも連れてくると言ったのだから彼女らがそう判断するのもしょうがないだろう。

 

「お、おい!!オレはお前らに参加するって言ってねぇぞ!?たまたま一緒になってついてきただけなんだからな!!」

 

ただフェリシアはどっちかと言えばさやか達についてきたに状況的に合っているため、自分はまだ決めたわけじゃないと声を張り上げる。しかし、そのフェリシアの言葉に月夜は微笑を浮かべる。

 

「貴方にも利益のある話なんですよ?マギウスの翼は『マギウス』の御三方が掲げる魔法少女救済という崇高な思想、それすなわち魔女の消滅と同意義なのですよ?」

 

「ッ!?」

 

月夜の語る魔女の消滅、その単語にフェリシアは目を見開き、はちきれんばかりに月夜を見据える。

 

(魔女の、消滅………………?ってことは、殺せるのかよ、オレからとうちゃんとかぁちゃんを奪った魔女を………………!!)

 

(…………………魔女への憎悪を持っていることはわかっていたが、ここまでのレベルとなってくると相当なものだな。)

 

フェリシアの様子にさやかは彼女の体に纏わり付くような黒いモヤとなっている彼女の恨み辛みが具現化したようなものを見ながら静かに瞳を閉じる。願わくは彼女がその呪縛から逃れられることを願って     

 

「ところで、さっきウチら貴方たちを歓迎するって言ったんだけど。」

 

そんな感傷に浸っているところに双子の胸が薄い方、月咲が声を挙げる。さやか達の視線が向けると、彼女の妙にいい笑顔が目についた。

 

「実はこの間、神浜市の東側のとあるウワサが消されちゃったんだよね。まぁ場所が場所だったし、ウワサとしてはそんなに期待はしてなかったんだけど、そこがつい最近消されたんだよね。」

 

「……………何故それを私達に?あまり関係ないように思えるのだが。」

 

その月咲の言葉にさやかは首を軽く傾げ、無関係を装いながら表面上は無表情を取り繕う。

 

「そのはずなんだけど、一応マギウスの翼は組織といえば組織だし、ウチも黒羽根のみんなの上に立っているから色々と情報が回ってくるんだ〜。そしたら、ウワサを消した人たちの集団に貴方たちの姿を見かけたっていう黒羽根の人がいたんだよ。」

 

「………………どうやら、マギウスの翼はお遊びで徒党を組んでいるわけではないらしいな。」

 

向こうに自分たちがウワサを消して回っているということがバレている以上、もはや隠すことは必要ないと言わんばかりにさやかは吐き捨てるようにマギウスの翼を適当なお集まり程度だと思っていたことを暴露する。

次の瞬間、月夜が白いローブを脱ぎ捨てながら、懐から何か取り出すとそれをさやか達に向けて突きつける。

手にしていたのは正方形の形をした緑色のキューブ。正体はわからなかったが、ともかくそれから魔女特有の嫌な予感がしたさやかはそれを攻撃と判断してバックステップで飛び退き、月夜と月咲から距離を取る。

 

「気を付けてくれ!!あのキューブから魔女の気配がする!!」

 

その声を聞いたほかの三人は驚きを露わにしながらもすぐに魔法少女としての装いを展開し、戦闘態勢を整える。

ちょうどほむら達が得物を構えた瞬間、月夜の手にしていた緑色のキューブが弾けると中に収められていたのか、魔女の結界のような空間が周囲に広がる。

飛び出た結界は瞬く間にさやか達を包み込み、ドーム状のような建物が中心にある空間に閉じ込める。

 

「この空間は……………!?」

 

「おいおいおい、マジイカレてんだろ……………」

 

取り込まれたさやか達は周囲の確認のために辺りを見回すとドーム状の建物の壁には魔女の使い魔が微動だにしない様子で鎮座していた。一定のスペースに何匹もの使い魔が鎮座している様子はさながら飼育されているような印象を覚える。

 

「何よこれ………使い魔を、飼育でもしているの!?」

 

「気味が悪いわね……………魔法少女が使い魔を、いえ、魔女を育てるなんて正気……………!?」

 

そんな目を疑うような光景にマミとほむらも嫌悪感を隠しきれないように表情を顰める。

 

「こんなことをして、魔法少女の救済などよく言えたものだな!!結局はグリーフシードの独占が目当てなのか!?」

 

「グリーフシード?まだそんなものを欲しがっているの?神浜市ではグリーフシードなんて必要ないのに。」

 

さやかがGNバスターソードⅡの剣先を天音姉妹に向けながらマギウスの翼の目的の真意を問い質すと、月咲が怪しげな笑みを見せながら、さやかが考えたグリーフシードの独占をまるで浅い考えと笑うように否定し、グリーフシードを使うこと自体古いというような口ぶりをする。

 

「グリーフシードがいらねぇだぁ?ハッタリかましてんじゃねぇぞ。」

 

その言葉に杏子が疑いを持った目で月咲を睨みつけるが、月咲はそれをスルーして手にしていた和風の横笛を吹き鳴らす。彼女が発した音が結界内に響き渡ると飼われていた魔女もどきの使い魔が一切に動き出し始め、さやか達に体に空いた穴からの砲撃といった各々の手段で攻撃を開始する。

 

「まぁそういう反応をするのは仕方ないか、ごめんね。でも、ウチらの計画が遂行されれば、全ての魔女が消え去るのは本当だよ。」

 

「そんな詭弁、誰が信じるものですか!!ウワサに被害を被った人が何人もいるのよ!?」

 

「魔法少女が囚われたのならただの間抜けで済ませるけど、何も知らない一般人も巻き込まれているなら話は別よ。あの子に被害が回ってきたらどうするつもりなのかしら。」

 

「お前ホントにあいつ一筋だよな…………まぁ、アタシはどっちかといえば誰が巻き込まれようが構いやしねぇけど、それ以前にアンタらの話すことがぼんやりしすぎてまるで信用できねぇ。これならさやかの馬鹿に付き合っていた方がまだマシだぜ。」

 

迫りくる魔女モドキにマミは生成した何挺ものマスケット銃を一斉射し、ほむらは取り出した機関銃で掃射、杏子もさっきまでのヤンキー顔負けの剣幕もどこへやら、半笑いのようなものを見せながら槍を振るう。各々の得物で魔女モドキを蹴散らしていく中      

 

 

 

「うぉああああああああああ!!!!!」

 

直後悲鳴のような絶叫と共に凄まじい轟音と衝撃波が響く。そこにはフェリシアがガムシャラに巨大化したハンマー片手に文字通り暴れまわっている光景が広がっていた。

 

「アイツ…………あんな戦い方、まるで見てらんねぇな。」

 

「それには激しく同意だ。あの戦い方ではいずれ自分の身を滅ぼす。」

 

魔女モドキを斬り捨てながらフェリシアの戦い方に顰めっ面を見せる杏子の隣に並び立つさやか。フェリシアの戦い方はまさに魔女に対して、常に必殺を志す後先を考えないバーサーカーのような戦い方だ。これがただ彼女が戦闘狂でアドレナリンによりテンションが振り切れているならいざ知らず、フェリシアのバーサーカーっぷりは確実に恨み、悲しみといった負の感情から来る狂暴だった。

 

「これ、あの子の攻撃で結界を壊したりしないわよね?もしそうなったら街中だったら使い魔が街へ飛び出る可能性とかもあるのかしら?」

 

「いいえ、その可能性は低い筈よ。おそらくあの使い魔達は双子の薄い方、天音月咲によって制御下に置かれているのでしょうね。じゃなければ使い魔の真ん中で笛を吹き続けている彼女が襲われないわけがないわ。」

 

マミはフェリシアに所構わずの攻撃によって結界が崩壊し、魔女モドキ達が野に放たれるのを危惧していたが、ほむらの言葉通り、目線を月咲に向けて、彼女が集団のど真ん中にいるのにも関わらず、魔女モドキ達から見向きもされないその様子を見て納得の表情を見せる。

 

「おいどうすんだ?このままだとアタシ達まで二次的被害を食らうぜ?」

 

「ともかく少しでも彼女の視野に余裕を持たせるしかない。あのまま放っておくのは危険すぎるし、幸運の残り回数も5回もあるかどうかだろう。無理矢理でも彼女の進撃を中断できないか?」

 

「もしくは、あの子の幸運が尽きる前に、私たちがウワサの本体を破壊するしかないわね。さやか、貴方のことだからウワサの本体の場所は識別できてるのでしょう?」

 

「問題ない。絶交階段のウワサで普通の魔女との区別はつけることができた。ちょうどあの巨大な鏡のようなオブジェの向こう側にいる。」

 

ほむらからの言葉にさやかはドーム状の構造物に隣接している何十メートルもありそうな巨大な鏡を指さした。

 

「なるほどあっちか。それはともかくアレ止めろっていうのかよ……………ったく、無茶を言うぜ…………」

 

「しかもウワサの本体も同時並行で叩かないといけないわ。どうみても時間との勝負ね。」

 

槍を肩で担ぎながら暴れるフェリシアを止めにいくことを面倒くさそうに見据える杏子にマミは近寄ってくる魔女モドキにマスケット銃の銃弾を撃ち込みながら険しい表情を浮かべる。

 

「ほむら、私が穴を開ける。お前なら一番()()をかけずにいけるはずだ。」

 

「……………そういうことね、わかったわ。でも、一応言っておくけど貴方が一番戦力としては有力なのよ?」

 

「…………あの双子が言った神浜市ではグリーフシードは必要ないというのが気になる。何か、グリーフシード以外による穢れの除去…………どうであれ奴らには奥の手のようなものがあると踏んでいいだろう。調整などというお前ですら初見の技術があるんだ。何が飛び出てきてもおかしくはない。」

 

さやかがほむらに結界の外へ出てウワサを破壊してきたほしいという頼みに、ほむらはそれを承諾しながらもさやかが向かった方が時短になると暗に告げる。

だが、さやかのグリーフシードが必要ないという言葉への難しい表情からの警戒を示すと、ほむらも似たような意見を持っていたのか、黒髪を払い除けながら静かに頷いた。

 

「よし、まずは突破口を開く!!」

 

さやかは右肩に懸架されているGNソードⅡブラスターを取り出すと、右手でグリップ部分を握り、左手で銃身の側部に埋め込み式で取り付けられてあるフォアグリップを握り、両手持ちで腰付近で構える。

 

「な、何をなさるつもりでありますの!?」

 

さやかの動向に気づいた月夜が何か妨害に奔るより早く、さやかはブラスターのトリガーを引き、銃口から膨大なエネルギーを持ったビームを発射する。結界中の陰湿な空気を晴さんとばかりにピンク色の光を撒き散らしながら結界の壁に直撃すると、目論見通りに、着弾した部分に外へと続く大穴を生成する。

 

「ほむら!!」

 

それを確認するとすぐさまさやかはほむらに向けて手を伸ばし、ほむらもその伸ばされた手に自身の手を乗せる。そして左腕の盾を回転させた瞬間、世界が白と黒のモノクロに代わり、全ての音が消失する。

 

ほむらと彼女に触れていたさやか以外の全員が時間を止められて動きを止めている中、さやかはほむらを引き寄せると右手を背中に添え、左手で足を抱えるようにしてほむらを持ち上げると風船のようにフワリと優しく上昇して開けた大穴へと向かう。

 

「ねぇ、この担ぎ方以外なかったのかしら?」

 

「……………すまない、肩担ぎは武装が干渉して難しいと思うからこれで我慢してほしい。」

 

「まぁ、開けた大穴から階段が降りてくるなんて都合のいいことなんて起きない限りこの方法が一番時短なのでしょうだけど。」

 

そんな軽いやりとりがあった間にさやかは大穴にたどり着くと彼女を大穴に放り込むように下ろした。

 

(場所がわからなくなりそうだったら念話で呼んでくれ。その都度方角を伝える。)

 

その念話に返答ことはなかったが代わりに白黒のモノクロだった視界が元の色に戻り、同じように戦闘の音も耳に入る。

 

「あ、あのようなとんでもな出力の攻撃ができる御人がおられたとは…………ですがその反面、反動も大きいはず…………しばらくは動けるはずもないですわ……………!!」

 

その中で月夜が自身を落ち着かせるような口ぶりでさやかの開けた大穴の方向に振り向くと、自然とその大穴の前で立ちはだかっているさやかと目が合う。

 

「ピェッ…………い、いつの間に……………で、ありますわ…………」

 

「残念だが、今の攻撃は私が持ち得る攻撃手段の中でも中の上くらいだ。」

 

振り向く直前まで前方にいたはずのさやかが前から後ろへと振り向くわずかな時間の間に回り込まれていることに月夜は小さく悲鳴を挙げ、明らかに戦慄を覚えたように顔を真っ青にする。その月夜の毒気が抜かれるような様子に思わずさやかは苦笑いのような浮かべるが、淡々とGNソードⅡのロングとショートの二振りを両手に構える。

 

「できればここら辺で二人揃って降参してくれるとありがたいのだが。」

 

「そ、それはできないお願い事でございますわ!!私達にも、譲れない部分がありますの!!」

 

「……………どのみちまずはこの魔女モドキ達を全滅させてからなのだが。」

 

月夜の様子に残念そうにしながらも、ある程度反発されることは割り切っていたのか、さやかは静かにため息を吐くと急降下を始め、構えたGNソードⅡを魔女モドキ達に向けて振り下ろし、魔女モドキ達を両断する。

 

 

 




今日の要約


ウワサを消して回っている魔法少女達がいたので勧誘ないしは始末しようとしたら激ヤバ魔法少女がいて余裕で返り討ちに遭いそうです(大汗)

ドッペルは……………次回やな!!(なおそれでさっさんに勝てるとは言ってない。)

マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………

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