ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」 作:わんたんめん
2020年は例のウイルスのせいでコミケをはじめとするイベントが軒並み中止となってしまい、わんたんめん的にはひどく淡泊な年となってしまいました。
今年はいつも通りとまではいかないけど、少しでも元の日常が戻ってくれるといいなぁ………………
ともかく、今年もさっさんの物語も楽しんでいただければと思います。
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後の展開と齟齬が生じるため、一部編集による修正を行いました。
「あ、貴方………どうしてここに………………!?」
「七海やちよか………………どうしてと言われてもだな………………」
突然現れたさやかにやちよはその驚きから礼をいうより先に疑問をぶつけてしまう。その疑問にさやかは困ったように後頭部の手を回し、髪を触っているしかなかった。自身をここへ導いてきたあの小さなキュウべぇはすでに姿を消し、その場からいなくなっているのだから、説明をするのが少しばかり難しい。
「やちよししょー、この人は………………?知り合い?」
そんな時二人の間に割って入るようにやちよの隣にいた魔法少女がやちよとさやかの関係性について尋ねた。
「………………たまたま魔女がいたところに居合わせただけよ。」
「まったくもってその通りだな。それで、聞き返すようだがアンタは?」
「わたしは由比鶴乃!!最強の魔法少女だよ!!」
さやかに問われた魔法少女は手にしていた二振りの橙色の扇を勢いよく広げるとその扇を構え、決めポーズをするようにしながら、自分を由比鶴乃と名乗った。
「………………彼女、
その自己紹介の仕方に思わずさやかは鶴乃の隣に立っているやちよに微妙な表情を向けたまま聞いてみるが、その彼女から返ってきたのは言葉による返答ではなく、呆れたようなため息だった。
「………………」
「え………………えっと………?」
そのやちよの反応を無言の肯定と見たさやかはなぜか神妙な表情でまじまじと鶴乃の顔を見つめる。さすがにじっくりと見定められるように見られるのは慣れていないのか、鶴乃ははりつけたような笑顔を浮かべながら首をかしげる。
「ん………すまない。気を悪くさせたな。」
「ええっ!?そ、そんなこと、ないよ!?」
ふとしたところで鶴乃の表情に気づいたのか、さやかがまじまじと見つめていたことを謝罪してくる。その謝罪に鶴乃は鳩が豆鉄砲を受けたように目を丸くして呆けるとわたわたと慌てる様子を見せる。
「自己紹介が遅くなった。私の名前は美樹さやか。見滝原市の魔法少女だ。」
「ほえー、見滝原から………どうしてそんな遠いところからわざわざ神浜市まで?」
「まぁ………ここに来たのは偶然だが……七海やちよ、アンタと情報を共有しておきたいことができた。」
気絶しているいろはを抱えながら立ち上がると、鶴乃の質問にやちよに用があると答えるさやか。その言葉にやちよは表情を引き締め、険しいものに変えるとしばらく考え込むように目線を下に下げる。
「………………わかったわ。環さんのこともあるし、ウチに来るといいわ。でもアナタ、家の人はどうするつもり?今時の中学生はそんなに遅くまでは居られないでしょう?」
「ちゅ、中学生!?さやかちゃんってわたしより年下なの!?なのにどうしてそんなにお姉さんみたいな雰囲気があるのかなッ!?」
「中学二年だ。それと親には適当に連絡はつけておく。」
さやかの年下とは思えない雰囲気に鶴乃が不服そうにしながら突っかかってくるが適当にあしらいながらさやかは端的に緊急性を伝えようとする。そのさやかの抱えている緊急性を感じ取ったのか、やちよの表情はより一層険しいものに変わる。
「そう。わかったわ。鶴乃、貴方は今日のところはもう帰りなさい。」
「ええ !?そんな !!それは流石にあんまりだよ、やちよししょー!!まぁ万々歳の仕込みもまだ終わってないからどのみち帰るんだけど!!じゃあね!!もし近くまで来たら万々歳をよろしくね!!待ってるよ!!」
やちよから帰るように促された鶴乃だが、自分だけがハブられているような状況に納得が行かなそうだったが、彼女には彼女でやることがあるのか、わめきたてながらも意外とすんなりと帰っていった。自分がやっていると思われる店の宣伝をしながらだったが。
「万々歳?彼女は料亭でも営んでいるのか?」
「あの子は中華料理屋の娘ね。味は………………普通ね。量は一食にしては多いけど。」
やちよの簡単な説明にさやかは納得する頷きを見せると未だ目を覚まさないいろはを背中に背負ってやちよの自宅に向かおうとする。
「コイツを使ってくれ。時間も時間だし、その方が早いし、悪目立ちすることもないだろう。」
「これは………………なるほどね。」
そういってさやかが出したのはザンライザー。要するにその機体に乗ってくれというさやかの促しにやちよが合点のいった表情を見せるとその上に登り、腰を下ろした。それを確認したさやかはいろはを落とさないように担ぎなおすとGNドライヴを稼働させ、暗くなった神浜市の空へ飛翔する。やちよを乗せたザンライザーもさやかの動きに追従するように浮き上がると同じように空へ飛び立った。
(そういえば、GNドライヴを装着しているこの肩の装甲、意外と可動域が広いんだよな………………前に持ってきてGN粒子で目くらましとかもできるのか?)
GNドライヴを自分の後方に向けながら飛んでいる姿を想起したさやかはふとそんなことを考えるのだった。
「すまない。いろいろ乗せられているから乗り心地はあまりよくないと思うが………………」
「気にしなくていいわ。その間に話せることは話しておいた方がいいかしら。改めて聞くけど、どうして私たちが戦っていたところに?」
「そうだな………………小さいキュウベェというのに聞き覚えみたいなのはあるか?」
高度を上げたことで気温は低くなり、春にしては冷たい風が吹く。やちよ曰く先ほどまでいた水名神社とやちよの自宅は陸路ならともかく、直線距離ではそれほど遠くないらしい。そんなわずかな時間でも済ませられる話は済ましておきたいといわれたさやかは出だしに自分をここまで導いた小さなキュウベェについて尋ねる。
「ええ、実物を何回か見たことがあるわ。でもそれは環さんになついているところをたまたま見かけただけ。思えば、彼女の前によく姿を現していたわ。」
やちよからいろはの前によく小さなキュウべぇが姿を現すと聞いたさやかは自身が背中に背負っているいろはに少しだけ目線を向けると、そうか、と一言だけ呟いてすぐに視線を前へ戻す。
「私は、仲間たちと共にこちらの調査で引っかかったウワサの捜索を神浜市の東で行っていた。」
「東側で………………西の地域とはまるで雰囲気が違ったでしょ?」
「確かに雰囲気は大分違ったな。西側が開発の進んだ都市だとすれば、東側はさながら退廃感のある地域だ。いささかここまで地域で差があるとなにか陰謀めいたものを感じてしまうが………………なにかあるのか?」
「………………元からそういう町よ、神浜市は。」
やちよの言い方に少しばかり訝し気に眉を顰めるさやかだが、今は追究しておく時間ではないとし、自分がいろは達の救援に入るまでのことの顛末を話し始める。ただ、マギウスの翼やドッペルに関することは別途で説明するとして、そこらへんの話は省いて行うことにした。
「なるほどね。そのフクロウ幸運水のウワサを倒し、外へ出たところでその小さなキュウべぇが現れたのね。」
「ああ。私自身、いろはから聞いただけで実物を目にしたのは初めてだった。だが、いろはが気になるというのも頷ける。あれは、他のキュウべぇとは違うなにかがある。」
「………………聞かせてもらってもいいかしら?」
さやかの言葉にやちよは彼女の顔を横から見つめ、さやかの言う他のキュウべぇと違うと言ったその理由を尋ねる。
「あのキュウべぇからは、意思を感じた。助けてほしいというという明確な意思が。あれは動物かなにかというより………………人のモノに近かった。」
「意思はともかく、人の…………?まさかとは思うけど、あの小さなキュウべぇに人が入っているとでもいうつもりかしら。私の方から聞いておいてだけど、でたらめもいいところよ。」
「………………でたらめ、か。」
あの小さなキュウべぇには人のモノに順じているような意思があるかもしれない。そのことをやちよは与太話だといってあまり聞く耳を持っていない様子だった。別段さやかもその話を信じてもらおうとは露にも思っていなかったため、さやかは悩ましげな表情を見せただけで反論はしなかった。
「このあたりね。高度を下げてもらえるかしら。」
「わかった。細かいナビゲートは頼んだ。」
水名神社を飛び立ってから少しすると、やちよの自宅付近までやってきたのか、やちよから高度を下げてほしいという声がかかる。その声に従って、さやかがザンライザーと共に高度を下げていく。そしてなるべく人の目につかないように注意を払いながら二人が降り立ったのは、「みかづき荘」と立札のついた中々規模の大きい屋敷だった。
「民宿を経営しているのか?」
「民宿というより、シェアハウスに近いわね。でも今は私が管理者ではあるから、経営しているといわれればそうかもしれないわ。」
みかづき荘という名前からさやかはその屋敷が民宿用のものであると思い、やちよに尋ねたが、その質問にシェアハウスと答えながらやちよはみかづき荘の玄関の扉の鍵を開ける。
「そういえば………………一人入居希望の書類が来ているのよね………………最近は忙しかったとはいえ、そろそろ何かしらの返答を返さないと………………」
そんなつぶやきをこぼしながら扉を開けて中へ入っていくと、そのあとを追ってさやかもみかづき荘の中に入っていく。中は管理主がキチンとした人物であるのが如実に感じられるように清潔感が常にあり、部屋の随所にあるアンティークのおかげもあって一言で言えばきれいな空間であった。
「空き部屋は?」
「なければ誘っていないわよ………………こっちよ。」
やちよの案内でむかった先はみかづき荘の二階にある一室。しかし、その扉には掛札がかかっており、それに気づいたさやかがそれに目線を向けると、その札にはかわいらしいビーズやアクセサリーで装飾が施された『みふゆ』の文字があった。
「前の居住者が残していったものか?」
「………………ええ、そうね。」
それを見たさやかは前の居住者が置いていったものと思い、何気なく聞いてみたやちよの反応は平静を装っているようで、本心ではそうではなさそうな雰囲気をさやかのイノベイターとしての感覚が捉える。わずかに鬱屈とこらえているようなその表情はまさに不本意ながらのようなものであり、何か、このみふゆという人物とひと悶着があったことを如実に表していた。
「………………」
とはいえ、さやかはおいそれと言及することはやめておくことにした。一度彼女の年齢という地雷を平然を踏み抜いた前科持ちのさやかにからすれば、西側の代表ともいわれているやちよとの関係の劣悪化は避けたいのが本意であった。
さやかはいぶかし気な表情を見せながらも背中に背負っていたいろはを部屋に一つだけ、寂しく鎮座しているベッドに寝かせるとやちよと共に一階のリビングに向かう。
「すまない。少し親に連絡してくる。」
一応、時間が時間だったため、さやかは一度親に連絡してくるとやちよに伝え、離れた場所で電話を始めた。
「親御さんには?」
「友人とカラオケに行くことになったから遅くなるとだけ。」
リビングに戻ってきたさやかにやちよがそう声をかけると、悩ましげな笑みで笑うさやか。先にやちよがテーブルに座っていたため、それにつられるようにさやかもやちよと向かい合うように対面の椅子に座るとちょうどそこには湯飲みにつがれた温かいお茶があった。
「これは………………すまない。世話を焼かせたらしいな。」
「春とはいえ、まだ夜は冷えるから出しただけよ。」
礼をいうさやかだが、それにやちよはそっけない態度でそう返される。そのやり取りにどことなくまだ会ったばかりのころのほむらの様子を思い出し、思わずなつかしい感覚になるさやかだが、なるべくその感覚を表情にださないように頬が緩むのを必死になってこらえた。
「それで、本題は何かしら。まさかただのウワサの情報を流しにきたわけではないでしょ?」
「………………まぁ、流石にな。」
早速本題に取り掛かろうとするやちよにさやかは淹れてもらったお茶を口に含んでから納得する表情を浮かべる。
「私たち見滝原の魔法少女はそのウワサ、フクロウ幸運水のウワサを破壊しにいく折にとある集団に出くわした。そいつらは自身をマギウスの翼と自称し、目的に魔法少女たちの救済を掲げる魔法少女だった。」
「ッ………………そう」
さやかがマギウスの翼なる集団と出くわしたといった瞬間、やちよは一瞬身体をこわばらせるような反応を見せると、そのまま何事もなかったかのようにそっけなく答える。そのことに気づかないさやかではなかったが、今は触れないことにして話を続けることにした。白羽根・黒羽根の構成員の序列、天音姉妹がうっかりというか平然と口を滑らせた、あくまでマギウスの翼は『マギウス』と呼ばれる存在の目的達成を支援するための組織であり、そのマギウスと呼ばれる存在は三人いるということ。そして
「で、これが一番重要なこと………………に入る前に少し聞いておきたいことがある。時間を貰ってもいいか?」
「?………………ええ、いいわよ。」
「アンタ、魔法少女の真実についてどれくらい知っている?」
一番重要なドッペルのことに差し掛かる前にさやかはやちよに対し、どうしても確認しておかなければならないことがあった。それはソウルジェムの真実と魔法少女に知らずの間に課せられた運命。特にネックなのが、魔女化のことである。さやかが話そうとしているドッペルのことは正直に話そうとすれば自然と魔女化のことも話さなければならなくなってくる。フェリシアの時のように深く考えない人物ならば、適当なごまかしでやり過ごせるだろうが、やちよとなってくるとそういかないだろう。そう思ったからこそのさやかの判断だった。
そのさやかの確認にやちよは不意に視線を逸らし、考えるような様子を見せると、再びさやかに向き直る。
「もしかして………………あなたが話そうとしているのはドッペルのことなの?」
「ッ………………知っているのか?」
「ええ………………偶然、ね。本当に偶然だったわ。ドッペルのことはともかく、あの真実はできれば、あんな形では知りたくはなかった………………!!」
そのやちよの様子はいつも(といってもさやかが見た回数自体少ないが)とはかけ離れた様子の彼女だった。顔をうつむかせ、手にやりきれなさを表すように握りしめるその姿は悲壮感を余計に際立たせる。おそらく、やちよの言うあんな形というのは、誰かの死で知ってしまったのだろう。それも彼女自身の仲間、もしくは友人だった魔法少女の死によって。
「………………すまない。嫌なことを話させた。」
ある程度覚悟はしていたつもりだったが、やはり他人の悲壮感というのはさやかにも如実に伝わってしまうもので、その悲しみを紛らわすようにさやかは謝罪の言葉を口にしながら、苦い表情で後ろ髪を手でかき乱すことしかできなかった。しばらくは無言の沈黙を支配し、さやかは伝わってくる悲しさとその場の空気の気まずさの二重苦を味わう羽目になっていた。
「………………ごめんなさい。年上としてみっともないところを見せたわね。」
「いや、気にしないでほしい上に改めてこちらこそすまなかった。ある程度は覚悟したうえで聞いたのだが、私の配慮が至らなかった。本当はもっとデリケートな箇所であろうにもかかわらず………………」
「それこそ気にする必要はないわ。確かにドッペルとこの魔法少女の真実は切っても切れない話だもの。あなたが確認をかけてくるのは当然のことよ。もっともここまでストレートに聞いてくるってことはあなたの中ではもうわたしはその真実を知っているって踏んでいたのでしょう?」
「………………ああ。初めて出会った時、私が言った魔法少女の真実というのに貴方だけ反応していたからな。」
どうにか調子を元に戻したやちよだったが、さやかは気まずい表情のまま再度謝罪の言葉を口にする。それを気にしなくていいと踏まえたうえでさやかにその真実を知っていそうな人物だと思ったからこの話を持ち出したと尋ねるとさやかはうなずきながら初めて出会った時のことを語る。
「あなた、本当に人の感情には敏いわよね………………ところで話は変わるのだけど。」
表情をわずかに緩んだものから一転して引き締まったものに変わったやちよを見て、思わずさやかも身が引き締まる思いを感じ、先ほどまで見せていた気まずい表情を消し、緊張感のある険しい表情を見せる。
「あなたが伝えてくれたマギウスの翼。実は1年くらい前から行方をくらませている知り合いがそれっぽいことを口にしながらわたしに勧誘をしてきたの。その時は断ったのだけど、それ以降連絡もつかなくなった。その人について何か知っていることはない?たぶんあなたの話を聞いている限り、そのマギウスの翼にいると思うのだけど………………」
「しかし………………マギウスの翼は基本素性を隠している。私が顔を見れたのは、天音姉妹ともう一人、最後に見た黒羽根を率いていた魔法少女しかいない。」
やちよの口からでてきたのは失踪した知り合いの行方を尋ねるものであった。やちよの見立てではおそらくマギウスの翼にいるかもしれないとのことだったが、マギウスの翼はフードで顔を隠している上に規模もなかなかに巨大。なおかつさやかも顔を伺うことができたのもわずか三人程度と特定の誰かを見つけるのはかなり無謀であった。
「その黒羽根を率いていたっていう魔法少女の特徴、覚えてる?」
それにも関わらずやちよはその残った最後の一人のことについて聞いてくる。それほどまでに行方を知りたいということは知り合いと関係が希薄そうに装ってはいるが実は親友とかそれくらいの関係性なのではないのかと思うほどであった。
「といってもだな………………せいぜいなにかくせっ毛のついた白髪のショートカットで黒い振袖のようなものがついた衣装だったとしか 「ホントッ!?」うおっ!?」
さやかが悩まし気な表情で記憶を振り絞りながら最後に見た魔法少女の姿を思い返していると、突然やちよが大きな声を挙げながら身を乗り出してきたことで思わずさやかも驚きからびっくりした声を挙げてしまう。身を乗り出して興奮冷めやまぬ様子のやちよに驚きのあまり椅子に座った状態でのけぞり、目をぱちくりさせているさやか。
「えっと、せめて写真みたいのはないか?そうでないと判別をつけることができない。」
「写真………………どこかあったかしら………………」
とりあえず、さやかがなんでもいいからその
少しでも皆さまの楽しみとなっていただければ幸いです。
マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………
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ガンダムだ
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ガンダムではない