ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」 作:わんたんめん
「ん〜……………これでフェリシアも無事に安定した生活を送ることができそうで何よりだ。」
フェリシアをみかづき荘に任せた後、その帰る道すがら満足気な表情をしながらやり切ったように伸びをするさやか。
「ったく…………お前って奴はホントにやることが無茶苦茶なんだよ。」
その隣で呆れたような目線を送りながら目線を伏せてため息を吐く杏子。そんな杏子の様子を横目でみたさやかは少し考えるように視線を上へ向けると携帯を取り出して何かを調べ始める。
「ふむ…………なるほど……………」
「んお……どしたって……………お前まーた変なこと考えているんじゃねぇだろうな。」
そう声を漏らしたさやかを杏子が顔を向けるや否や、怪しい人間でも見ているかのような表情にすげ替えていく。
「いや、1ブロック移動して腕のいい料理人がやっているらしい料理店に行くか、近場で知り合いの中華料理店に向かうかで悩んでいる。どちらがいいんだ?」
「………………どっちって………………そんな急に 」
「今なら私の全額負担の大サービスつきにするが?」
「ッ………………テメェ………………あたしが食いもんに釣られると思って 」
「どうするんだ?」
再三のさやかからの言葉。自分の言葉を途中で遮られる形となったことに杏子は不服そうな目線でさやかに抗議するが、当の本人は微妙にいい笑顔でそれをサラリと受け流す。まるで最初から返答がわかっているといわんばかりに。
「………………迷惑料ってことか?」
「有体に言えばな。で、結局どうするんだ?」
「………………しょぉがねぇなー!!高い方で手打ってやるから、感謝しろよな!!」
「………………わかった。」
さやかの持ちかけた話が取引であることを杏子はわかっていたが、別にどっちに転んだとしても実害のようなものはないにも等しい児戯のようなことだったのもあって、杏子は完全に自分の利益になる方を選んだ。
そんなこんなもあったが、二人はさやかが調べ当てた腕のいい料理人のいる料理店に向かう。電車を使って二つほど駅をまたいだところで降りた区画は北養区と呼ばれる地域だった。どことなく浮足気味で先を急いでいるような足取りの杏子と地図を片手に彼女を追うさやかがたどり着いたのは、『ウォールナッツ』の看板が掲げられた洋風レストランだった。
「ここか?お前のいう腕のいい料理人がいる料理店っていうのは。」
「ああ、そのはずなんだが………………」
杏子の言葉にさやかはうなずく姿勢を見せるがその表情は首をかしげるような疑問気なものだった。理由としては妙に人の気配がないのだ。店内で人の賑わいがあるような雰囲気も感じなければ、店前で行列を成している人々すらない。外からかろうじて見ることができるのはさやかと同年代くらいの赤毛の少女が物憂げな様子でカウンター席で一人寂しく座っているだけだった。
「ここのオーナーシェフ、名前を調べてみたら高級ホテルの料理長経験もある人物とのことだったのだが………………」
「はぁっ!?高級ホテルの料理長だぁ!?」
困ったように後頭部に手を当てるさやかの言葉に杏子はびっくりして大声を上げながらさやかの方を振り向いた。その杏子にさやかは周囲の人の迷惑になると小言を立てていると、何やら騒がしい音が聞こえてくる。具体的には、さやかたちの目の前のウォールナッツの店内の方から。
「も、もしかしなくても、お客さんですか!?」
バァン!と扉を壊しかねない勢いで店内から出てきたのはさっき外から見えたあの物憂げな顔を見せていた赤毛の少女だった。肩を上下させて息も絶え絶えといった様子、しかしその赤毛と同じ色合いをした瞳からは生き生きをしたものを感じさせる。
「あ、ああ…………そうだが………………」
「ッ~~~~そうですか…………そうですかそうですかそうですか~~~!!!」
その少女の問い詰めに気圧されながらもさやかがうなずくと、その赤毛の少女は感無量といった様子で歓喜の表情を見せると、何度もかみしめるようにうんうんと顔を上下させる。
その少女の様子にさやかたちが呆然としていると、突然その少女の手がさやかの腕を掴んだ。
「え 」
「さぁさぁお好きな席にどうぞ!!見ての通りお店は閑古鳥が鳴いている状態ですが貴方がたは運が良いです!!なぜなら世界一のまなかの料理を食べることができるんですから!!!」
まともな反応も取れないまま自分のことをまなかと呼ぶ少女はそのままさやかを店内へと引きずっていく。
「う、うおあああああああああッ!?」
「さ、さやかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ニコニコとした少女にその少女に引きずられていくさやか。そしてその様子に悲鳴をあげる杏子。北養区のあまり人気のない街並みの一画に少女の声が響いた。
とりあえず杏子は引きずられていくさやかの後を急いで追った。
「す、すがすがしいくらい強引な客引きだったな………………」
杏子が店内に引き連れこまれたさやかに追いついた時には既にさやかは、状況的には席に座らされていたといった方が正しいと思うが、ともかく席についていた。
「お、おい、なんかとんでもねぇ店引き当てたんじゃねぇのお前。」
「いや………………どうなのだろうな。正直わかりかねているのが本音だ。」
近くにやってきや杏子がさやかに耳打ちするような声量でそういうが、さやかは苦い微妙な笑みを浮かべながら視線をカウンターの向こう側に向ける。気になった杏子がその視線を追ってみると、レストランの厨房の様子を見ることができた。そこではさやかを店内に引きずり込んだ張本人である赤毛の少女、まなかがこなれた様子で手際よく料理を行っている光景があった。
「え………………まさかとは思うけど、あいつが高級ホテルの料理長だった奴か?」
「いや、私が見た画像の人とは違う。おそらくだが娘かそこら辺の、血縁関係にある人物だろう。」
「………………仮にあいつが娘だとして、肝心の料理人はどこいったんだよ。」
「お父さんは、最近は出張で出払っています。」
杏子とそんなことを話していると、会話の内容を聞いていたのか、まなかからそんな言葉が飛んでくる。
「確かにまなかのお父さんはまなかの師匠であり、セレブの人たちの舌をうならせるほどの腕前を持っています。」
「………………不躾なことを言うようだが、その割には閑古鳥がないているな。肩書としては十分なものだろう、高級ホテルの元オーナーシェフなど。」
さやかが周囲を見回してみても、店内にいる客は客だったとはいえ無理矢理入店させられたさやかと杏子以外の姿はかけらもなかった。
「昔はもっといたんです。ですが、土地の情勢がかわっていくうちに今は見ての通り、閑古鳥が鳴いてしまう店になってしまっていって、お父さんが他の家への出張でお店を空けざるを得ない状況が続いているのです。」
そういってまなかはさやかたちの方を見てはいなかったが、背中から感じる哀愁漂う様子にその言葉に嘘がなく、真実であることを察する。
「…………あ、すみません。初めてお会いした間柄にもかかわらず、こんな身内の話をしてしまって……………」
「気にしなくていい。私たちがここの料理人の腕がいいと聞いてやってきた客であることに変わりはないのだからな。」
「………………お前よくあんな無茶苦茶なことされてここの料理食う気になるよな………………」
さやかの言葉に杏子は気持ち悪いというように表情を引き気味に歪めてさやかを見つめる。その表情にさやかは苦笑いを禁じ得なかったが、それはそれ、これはこれというのでかたづけた。
「そういえばよ、さやかは何か注文のようなものでもしたか?」
「ああ………………それなら引きずられている間に聞かれたから一番自信のある料理をって頼んだ。」
「マジかよ。お前よくあんな状況でオーダーできたな。」
そんな会話をしていると二人の鼻腔を芳醇な香りが漂うのを感じ取る。自然と会話が途切れ、視線は料理を行っている少女の方へ注がれる。迷いを一切感じさせない堂々とした立ち振る舞いは素人目のさやかたちから見ても熟練の料理人の気風のようなものを感じさせる。
「………………へぇ、コイツは中々期待できそうじゃねぇか。」
「彼女も目指しているのかもしれないな。父親のような料理人を。」
自然と胸中に湧き出る期待に杏子は感心したような笑みで評価を改め、さやかはその背中から会ったこともないはずのまなかの父親を重ね、その夢を語る。
「できあがりです!!ウォールナッツ特製ふわふわオムライスです!!」
さやか達が座っていた席に二つのお皿が並べられる。白い皿の上に乗せられた綺麗な楕円形を形作っているオムライスは作り手である少女の腕前を如実に表しているようだった。
「はー……………オムライスってこんな綺麗な色にできるもんなんだな…………」
「まるで芸術品だな……………冷めたらもったいないから食べるが。」
そのオムライスの黄色い輝きに二人揃って目を奪われるが、さやかが冷めたらもったいないという思いで手早くスプーンを手にするとそのオムライスに差し込んだ。
「………………柔らかいな。」
掬い上げたオムライスを見て、一言感想を述べると、そのスプーンを頬張る。少し口の中で咀嚼すると、一瞬目を見開いたあとに表情を和やかなものにする。
「ふっふっふっ、どーですかまなかが作ったオムライスは。」
「陳腐な感想でしか出せないが、うまいな。」
さやかの端的な感想だったが、まなかにとってはそれでも十分に満足だったらしく、腰に手を当ててふんすと上体を逸らして踏ん反り返っていた。
「うんま!!なんだこれうんまー!!」
杏子も出されたオムライスにご満悦な様子で目を見開いてそのうまさに驚嘆すると猛烈な勢いでオムライスを無くしていく。
「お気に召していただけたようですね。」
「そうらしいな。今回ばかりは彼女を引き摺り回してしまったから少しでもこれで償いになればよかったのが………」
「ングング…………まったくだぜ、人助けすんのも程々にしやがれってんだングング…………それでお前自身がブッ潰れたらどうしようもねぇだろうが。」
「わかっている。だからこうして文句タラタラながらもついてきてくれるのだろう?いつもすまないな。」
杏子がムッとした表情を見せながらの小言にさやかは軽く笑みを浮かべた表情でそう返すと杏子はオムライスのお皿を手にしたまま身体をそっぽへ向けるとそのまま黙り込んでしまった。
さやかはその時オムライスに目線がいっていて気付かなかったが、まなかは角度的になんとなく杏子の耳がほんのりと赤みを帯びていることに気づいたが、それを指摘すると、また話がこじれる予感がしたため、口を固くつぐんだ。
「………………!?」
しかしそんな時、唐突にさやかが食事の手を止め、目を見開くと険しい表情を見せながら両腕を抱き寄せ、自身の身体を縮こませる。その様子はまるで寒さに体がかじかんでいるようだった。
「あの………………もしかして寒かったですか?」
「………………ある意味な。でもすぐに慣れる。」
寒いのかどうかを問われたが、少し的の外れたような返答に首をかしげるまなか。
「 ったく、メシ食っている時くらいゆっくりさせてくれよなぁ。」
一瞬隣から明るい赤の光が輝いたかと思えば、ある程度二人のやり取りを聞いていたのか赤槍を携えた魔法少女姿の杏子が獰猛な笑みを浮かべて立っていた。
「ま、魔法少女だったんですか!?」
「………………そういうお前も魔法少女なのか。」
その姿を見たまなかはその杏子の姿を何かのコスプレだのというより先に魔法少女だといった。それの言葉が出てくるということは、契約していないながらに魔法少女の存在を知っているまどかを除けばその人間自身が魔法少女であるということに他ならない。
それを指摘したさやかの言葉にまなかは逃れらないと思ったのか、素直に肯定の意で首を縦に振った。
「なら手間が省けるな。実力はどうであれ、アンタも戦えんだろ?さっさとメシに戻りたいから手伝えよ。」
杏子が槍を肩に担ぎながらそう言ったその瞬間、さやかたちのいたウォールナッツの空間が歪にゆがみ始めると色合いだけ見るとショッキングピンクと呼ばれるような目が悪くなりそうな濃い色の空間が広がる。
「これは………………!!!」
言うまでもなく、その空間は魔女の結界。まなかがびっくりしながら辺りを見渡すと運がいいのか悪いのか、その空間の主と思われる巨大なウサギのぬいぐるみの魔女が離れた場所に立っていた。
「………………わかりました。結界によって上書きされたとはいえ、何よりここはウォールナッツの厨房。魔女ごときにまなかの神聖な領域を土足で踏み荒らさせるわけにはいきません!!」
そういって懐からソウルジェムを取り出したまなかは魔法少女へと変身する。白い制服に前掛けのような赤い布、そして武器は手にしているフライパン。極めつけに頭にのせられたコック帽。まなかの魔法少女姿は誰がどう見てもコックの衣装だった。
「フライパンって………………いろんな意味で大丈夫なのか?」
「大丈夫です!!むしろ体調を悪そうにしていた貴方こそ下がって 」
心配そうなさやかの声にまなかを意気揚々とむしろ体調の悪いさやかこそ下がるべきだというように振り向き、そこにいた
「………………」
まず目に留まるのは左肩に懸架しているバスターソード、ついで右手にもっているGNソードⅡブラスター。その他にも全身に備え付けられた剣の数々、何より地に足を下ろしておらず、空中に浮いている様にまなかは情報量の多さと驚きのあまり言葉を失う。
「……………そこのソイツはそういうもんなんだよ。慣れろとはいわねぇけど気にすんな。」
「そ、そうですか………………」
「これでも少し前はおとなしい方だったのだがな………………来るぞ!!」
肩を竦めているのも束の間、巨大なウサギのぬいぐるみはその巨体に似合わない俊敏さで三人に詰め寄ると、その丸い拳を地面にたたきつける。さやかの声で咄嗟に三人が飛び退いたため、その拳が直撃することはなかったが、砕けた地面からわらわらと使い魔が現れる。
「使い魔………………!!」
虫のように湧き出てくる使い魔に生理的嫌悪感を抱くが、まなかがフライパンを振るい、炎の塊を投げると、魔女が開けた穴から出てきた使い魔は燃えカスまで焼却される。
「まさかとは思うけどさ、この地面の下は使い魔の巣になっているのか?」
「だとすれば、長期戦は不利だ。すまないが、開いた穴への対応を頼めるか?」
「わかりました!!ここはまなかに任せてください!!」
結界の地面の下に使い魔の生産プラントのようなものがあるとすれば、さやかの言う通り長期戦は不利になる可能性が高い。炎による広範囲の攻撃ができるまなかに開いた穴の対応を任せると、二人は魔女に向けて肉薄を行う。
「叩き切るっ!!」
空を飛べる都合、杏子よりスピードのあるさやかは先に魔女を捉えると、振り上げたバスターソードを魔女に向けて思い切り振り下ろす。しかしその攻撃は魔女持ち前の素早い身のこなしでその切っ先をひらりと躱し、逆にカウンターの拳を仕掛ける。
「コイツ………………!!」
迫りくる拳にさやかは相手の身のこなしの速さに目を見開いて驚くが、冷静に体をよじらせることで拳の軌道から逃れるとバスターソードを体ごと回転させた遠心力で魔女の腕を上腕から切り落とす。片腕を失った魔女は痛みからか後ろにのけぞると、濃いピンクだった体の色を青黒く変化させ、そのかわいらしかった顔をゆがんだものに変化させる。
「さやか!!ちょっと手ぇ貸せ!!」
背後から杏子の声が響き、後ろを振り向くと自身に向かって跳躍してくる彼女の姿が目に映る。そのまま落下してくる様子で察したさやかはバスターソードを両手で支えるように頭上に掲げる。
「へへっ、よくわかってんじゃん!!」
そういうと杏子は掲げられたバスターソードに足をつける。ぐっと沈めた足を力点、支えられたバスターソードを足場としてさらに高く跳躍をし、魔女のはるか頭上をとる。魔女は余裕が出たのか落ち着いた様子を見せるが高く跳躍した杏子には気づいていない。
「これで、終いだぁ!!」
魔力で巨大化させた槍を力任せにぶん投げる。落下する槍はすさまじい衝撃音と共に魔女を頭から串刺しにすると、魔女の身体は真っ二つに両断され、消え去っていた。
「すごい………………魔女を秒殺するなんて………………!!」
まなかが驚愕していると、主がいなくなったことで結界が維持できなくなり、再び視界が渦を巻くようにゆがむと風景は先ほどまでいたウォールナッツに戻っていた。違うのは店の床に倒したのが魔女の証であるグリーフシードが落ちていることぐらいか。
「さってと、メシに戻るか!!」
「ああ、冷めてしまってはもったいないからな。」
そういってさやかたちは何事もなかったようにまた出されたオムライスを食べ始める。
「………………あの、出された料理を冷めないうちに食べようとしてくれるのは料理人冥利につきるのですが、もっとこう………………ないんですか?」
その光景になんともいえない微妙な表情を浮かべながらそういうも、当の本人たちはせいぜいさやかから杏子に調整の具合を聞かれる程度で、あとは何気ない会話が続いていくだけだった。
しばーらくはこんな感じに神浜市の魔法少女との出会いを書いていくつもり………………ハル○○予定のあの子とのエピソードも書かないとあかんしね!!
マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………
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ガンダムだ
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ガンダムではない