ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」 作:わんたんめん
かこからの誘いを受けることにしたさやかはマミを連れ添い、集合場所に指定されていた夏目書房まで足を運んでいた。
「あら…………中々いい雰囲気のする本屋さんね。」
夏目書房の感じさせる老舗感にマミがそんな感想を漏らしながら二人は店の暖簾を潜り、店内に入る。
「夏目かこ」
「あ…………美樹さん!……………とそちらの方が…………」
「返信のメールにあった仲間の魔法少女だ。」
「巴マミよ。美樹さんと同じ見滝原の魔法少女。よろしくね。」
「よ、よろしく、お願いします……………………!!」
軽く挨拶程度のつもりだったが、何やらかこの反応が怯えているような些か過剰な気がしないでもないことに二人はわずかに首を傾げるが、ひとまずそれは置いておくことにした。
「それで………メールにあったそっちのグループの面々のような人影が見えないのだが………」
とりあえず店の中にかこの仲間の魔法少女のような人物の姿が見えないことに疑問をもったさやかが適当にそれについて尋ねるが、かこからの返答はみんな忙しいから多少は時間にずれがあるかもしれないとあいまいな言葉が返ってくるだけにとどまる。
呼び出しておいて遅れてくるのは常識的にどうだろうと内心思いながらも指定された時刻自体にはまだ余裕があったため、二人は微妙に釈善としない表情だが、何かかこに言い寄ったところで意味はないため、そのまま夏目書房の本棚を散策するなどして時間をつぶすことにした。
「何か珍しいものとかあったか?」
「うーん…………………やっぱりこういうのって知識がいるのかしら………………表紙を見るだけじゃどういう内容の本なのか全然見当もつかないわ。」
「まぁ………………………………昔ながらの本は題名だけでどういう本なのかを想像するのは難しいと思います。ミステリーとかお読みになりますか?それででしたら『フォルデルマンハネオモモンガ殺人事件』っていうタイトルなんですけど……………………………私のオススメです。」
有識者でもありかこの話などを聞きながらさまざまな本を吟味すること十数分、話し合いに興じていた三人だったが、不意にさやかが視線を書房の外に向けた。
「……………あら、ようやくご到着かしら。」
「誰か来たということだけだがな。」
その様子を見たマミが慣れたような雰囲気でそういうと、さやかからそんな返答が返ってくる。まるで熟年夫婦みたいなやりとりを見せられたかこは、?マークを頭の上に浮かばせているのが丸わかりな様子でさやかと店の入り口を右往左往させる。
「………………………どうやらお待たせさせてしまったようですね。」
暖簾をくぐって店内に入ってきた三人組、その先頭にいた濃い茶色に身を包んだ赤に近い紫髪の少女がさやかたち二人を視界に収めると難しい表情を見せながら遅れてきたことを詫びる。
「いや、こちらがただ単に早めに来ただけだ。何ぶん、見滝原からは遠いものなのでな。」
「見滝原………………………それじゃあ噂は本当だったんだねッ!?」
「……………ウワサ?」
先頭の少女の詫びに別段気にしなくていいと返すさやかだったが、その後ろにいたお仲間のように見えるボーイッシュな印象を覚える白髪ショートカットの少女のウワサという単語にさやかは少なからず眉を顰める。少々過剰かもしれないが、さやかたちはここ最近ウワサなる人々に害をなす存在と戦っている。そのウワサという単語に耳ざとくなってしまうのは致し方ないことだろう。
「ああいえ……………………この町では奇妙な噂が多く、真偽を見極めるのは難しいのですが、その中に見滝原から最強の魔法少女たちがやってきたという噂がありまして。」
「…………確かに神浜市にウワサが多いのは知ってはいるが………………………それにしてもなんだそれは」
「しかもその魔法少女たちは調整屋に行ったこともないにも関わらずバケモノたちだと。」
「いや、普通に調整屋には赴いたが!?噂に尾ひれがつくのはわかっているが流石に限度というものがあるだろう!?」
少女の語る噂の内容に思わずさやかは目を見開きながらその噂に文句を言わないわけにはいかなかった。マミも少なからず同じなのかさやかの隣でうんうんと無言ながらも頷いていた。
「最強なのは美樹さんだけよ!!その噂は間違っているわ!!」
「そこなのか!?訂正すべきところはそこなのかッ!?というよりどさくさに紛れて逃げないでほしいのだが!?」
しかし、そこからマミがビシッと指をさし、決め台詞でも飛び出てきそうな表情で噂のそのものの根絶ではなく、あくまで最強はさやかだけという訂正を求めてきたことにさやかはびっくりしたような顔でツッコミを入れた。
「……………なんというか、ユカイな人たちネ。」
その様子をジィッと見ていた蒼髪の少女が語尾がなまった独特な口ぶりでそういうのだった。
「……………少し見苦しいところを見せた気がするが………………私が美樹さやかだ。こっちは仲間の巴マミ。私の先輩だ。」
「巴マミよ。よろしく。」
場所を夏目書房の店内から近所の少し広い公園に移したさやかたちは適当な遊具に各々椅子代わりに腰を下ろし、そこで自己紹介を行う。
「あ、改めて、夏目かこですッ………………………………」
「ボクは志伸あきら!!あ、一応こんな身なりだけど、男子とかじゃないからそこのところよろしくね?」
かこに続いて、ボーイッシュな印象をうけていた銀に近い白髪の少女がさわやかな笑みを見せながら名乗る。
「ワタシ、
「……………そのなまり方、よく中国人とかがやっているのを見かけるのだが…………………………まさかとは思うがそっちの界隈の人間か?」
「昔はネ。でも今は普通に堅気としてやてるネ。」
髪をまとめたお団子を二つ作り、その両方からおさげをたらし、中国人みたいななまりにあからさまな組織みたいな名前を出しながら自己紹介をした美雨に冗談半分でそういう裏世界じみた出身かとさやかが尋ねると、彼女から肯定の返しを受けてしまい、思わず目を見開いて驚いた様子を露わにする。マミもまさかいわゆるヤクザの人間が魔法少女をやっているとは毛ほども思っていなかったのかさやかと同じように驚いたように目を見開いていた。
「そして私が常盤ななかと申します。以後お見知りおきを、美樹さやかさん。巴マミさん。」
「あ、ああ…………………それで、今回私に会ってみたいとのことらしいが、一体何用だ?噂になっているらしい私の顔をただ単に拝みに来たわけでは流石にないのだろう?」
美雨に続いて見るからに育ちの良さ気な雰囲気を出しながら自己紹介をするななかにさやかは美雨のインパクトを引きずりながらも今回自身を呼び出した理由を尋ねる。
「ええ、話が早くて助かります。と、言いたいところなんですが、こちらの本題に入る前に少々さやかさんに聞いておきたいことが。」
「……………フェリシアのことか?」
「…………ええ、まさにその通りです。以前のことですが、我々が彼女に依頼を行い、共に魔女と戦ったことは知っていると思ってもよろしいでしょうか?」
「問題ない。だが、なぜ彼女のことを?一応あの張り紙に関しては私の中では片がついているという認識だったのだが……………………」
「いえ、それで間違いはありませんし、私個人としても彼女が反省の色を見せてくれるのでしたら闇雲に引きずるつもりもありません。」
ななかからフェリシアのことで尋ねられ、少しばかり警戒色を強めた難しい気な表情を浮かべるが、ななか自身からこれ以上話を引き延ばすつもりはないと首を横に振ったことに安堵感からため息のようなものを零した。
「しかし、私たちと共に魔女と戦った時はそれはもうひどいものでした。此方の話を全く耳もせずに魔女を見かけるや否や一心不乱に突撃していく様子はまるで狂戦士……………………そんなことから注意喚起も兼ねてあの張り紙を出させてもらった次第でした。」
「まぁ……………………確かにな。」
ななかのフェリシアに対する散々な評価に対して否定するような言葉を挙げられないくらいに心当たりがあることにさやかは顔を逸らしながら苦笑いのような表情を見せる。その様子をななかは神妙な面持ちで見つめていた。
「ですが、昨日深月フェリシアが尋ねてきたと聞かされ、少しばかり落ち着かない気持ちでかこから話を聞いてみればまるで別人のように変わり、あろうことか自身の非を認めて謝罪の言葉が来たとか。はじめ聞いた時はそのようなことがあるわけがないと思っていましたが、かこがそんな嘘をつける性格の持ち主ではありませんし、とりあえずかこの所在を聞いたという調整屋に赴いてみましたが、彼女からは深月フェリシアが本気だったとの証言が得られてしまったわけです。」
そこまで説明すると、鋭くなったななかの目線がさやかを射抜く。まるでその視線は見定められているようだった。
「そのきっかけはさやかさん。貴方が要因ですよね?」
「………私はできることをしただけだ。彼女がなぜあのような振る舞いを見せるのか。なぜ魔女に対してあそこまで憎悪を煮えたぎらせることができるのか。その理由を知り、理解しようとしただけだ。」
ななかの言葉と視線に困ったように後頭部をさすりながらそう答えるさやか。気恥ずかしさも混じっているようなその仕草にななかは無言で見つめていると、不意に視線をマミに移した。
「失礼ですが、さやかさんとは長い付き合いなんでしょうか?」
突然話を振られたことにマミは目をパチクリとさせるが、すぐに表情をほほえましいものに変えるとゆっくりと首を横に振った。
「そうでもないわ。美樹さんとはつい一か月くらい前に知り合った程度の仲よ。でも、そんな短い間でもわかることはあるわね。この子、本気で強いわよ。」
「キャリアも経験も貴方の方が格段に上だろうに………」
ななかの言葉にさやかの素性のようなものを聞かれていることを察したマミは不敵な笑みを浮かべながら誇らしげにそう語る。その隣でさやかが肩を竦ませてそうぼやくが、マミはどこ吹く風というようにその誇らしげな笑みを崩さなかった。
「魔女に生身で立ち向かった、なんてことと比べたら私のなんてそんなものよ。貴方たちもそうは思わないかしら?」
『ッ!?』
「そ、それは少し語弊がある言い方な気がするのだが‥‥‥‥!?」
マミがどうとも思わないというようなあっけらかんとした様子からの言葉にさやかは困り果てた様子でそういうが、その言葉はまるで耳に入っていない様子でななか達四人はそれぞれが目を見開いたり、口をあんぐりと開けたままにしたりと驚愕といった様子を露わにする。
「ば、バケモノネ‥‥‥‥‥ウワサ、なにもまちがてないネ」
「まさか、それほどの胆力の持ち主だとは‥‥‥‥」
「最強の肩書に偽りなし‥‥‥ってことだね‥‥‥‥」
「お、おい‥‥すまないが、アレは状況が状況だっただけで 」
驚愕を浮かべていたななか達の顔がさやかの行いを聞かされると途端そろいもそろって不敵なものに変わっていく。まるで好敵手でも見つけたかのような三人(かこは普通に常識でも疑うような顔をして唖然としていた)その様子にさやかにこれから予測できることが嫌な予感となってまざまざと感じさせる。
「さやかさん、そろそろですが本題に移らせてもいいでしょうか?といっても貴方のその顔を見るになんとなく想像はついている様子ですが。」
「うっ…‥‥」
ななかから本題に移るとの言葉が出るが、さやかの様子を見て、彼女はその表情が自分たちの要件を感づいていることを見抜き、その不敵な笑みをより一層深め、偏に妖しげとでもいうようなものに変える。
「我々と戦ってはいただけないでしょうか?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
ななか達の要望とは、さやかとの戦いであった。自分が想像していた通りになってしまったのか、さやかは両腕を組んで深くため息を吐くと思い悩むようなうなり声を挙げながら表情をころころと変え始める。もっともその表情は揃いも揃って困り果てているようなものだったが。
「…‥‥それは一体、何のためだ?お前たちは何を求めてここにいる?」
「ボクは困っている人たちを助けるため!!初めて魔女と出くわしたとき、何もできなかった自分がたまらないほど悔しかった!!」
「家族を守るためネ。それ以外は何もないネ。」
「わ、私は、みんなの力になれたらなって思ってますッ!!」
あきら、美雨、かこが順々に自身が何のために戦うのか、その理由を語る。偏に言ってしまえばそれはすべて力だ。しかし己が矜持、自身が守るべきもの、そして同輩。同時に名の知る、名の知らない他人のためでもあった。
「私は…‥‥‥自身の復讐のため、でしょうかね。」
その中で、ななかは小さく、まるで他の三人に聞かれたくないような声量で自分が力を求める理由を述べた。誰彼にも聞かせるつもりはなかったのだろうが、さやかは耳敏く聞いてしまったのか、その様子をさっきまでの困り果てた表情から一転、神妙なそれで見つめていた。
「…‥‥‥‥わかった。まだ契約をしてから一か月と他の魔法少女から見れば若輩もいいところの私だが、そんな私がお前たちのためになるというのであれば、相手をしよう。」
「ホントッ!?ていうか‥‥一か月?私でも一年くらいは経っているのに…‥‥‥?どういうこと?」
「どうといわれてもな…‥‥言葉の通りだが。」
重い腰を上げたようなさやかの返答にあきらが瞳を輝かせるが、直後の言葉に首をかしげる。首を傾げられたさやかが言葉の通りだといってもあきらたちの表情は疑念を一層深めた様子で訝し気な目線をマミに向ける。その目線を向けられたマミは一瞬きょとんとするが、すぐにその理由を理解したのか口元に手を当てると笑いを押し殺しているような笑みを浮かべる。
「ごめんなさい。貴方たちがそういう顔を見せるのはわからないわけではないのだけど‥‥‥でも油断はしない方がいいわよ?この子の武器はかなり初見殺しもいいところだから。」
マミがそういうが、そもそもとして魔法という初見殺しなものを扱っている時点でその実感が薄れているあきらたちは互いに互いの顔を見合わせる。
「美樹さん、私はどうするべきかしら?個人的には矛を交える前にみんなとお茶会でもどうかしらって思っていたのだけど。」
「‥‥‥それもよかったな…‥‥‥‥‥だが、応えてしまった以上それを反故にするのは人としてどうかというところだから、人払い用の結界を張ってくれないだろうか?あともしもの時の救護用員も頼みたい。」
「わかったわ。それッ!!」
マミの言葉にその手があったというようにハッとなるさやかだったが、既に承諾してしまった以上割り切ったのか頬を軽くかきながらも結界をお願いすると、すぐさま彼女がリボンを一同のいる公園の外周に沿うように展開し、結界を作り上げる。
「一応即席だけど‥‥あんまり派手なことをしちゃだめよ?特にここには公共の遊具とかあるのだし‥‥‥‥」
「それならご心配に及ぶことはありません。美雨さんは隠すことに関しては右に出る者はいませんから。」
「あら、そうなの?ならいいのだけど‥‥‥‥」
マミが戦闘の余波、特にさやかのビーム系武装で公園の遊具が壊れることを心配するが、詳細はともかく仮に壊しても隠し通せる手段があるというななかの言葉にひとまず胸をなでおろす。そのやり取りの間にさやかは戦う決心がついたのか、腰下ろしていた遊具から飛び降りると、ななかたちと対峙するように向き合った。
「条件はホールドアップか行動不能になった人間は脱落扱い。それ以外でどのように戦うかは、お前たちの好きにしてほしい。一人ずつ来るのもいいし、全員でまとめてくるのも構わない。だが、私の兵装は残念ながら加減がまるで効かないものがほとんどだ。こちらで多少の制御は努力するが、できれば死ぬ気で避けてほしい。仮にソウルジェムにでも当たったりなどすれば目も当てられないからな。」
「ッ‥‥‥‥!?」
さやかは忠告のように伝えると、それぞれGNソードⅡブラスターとGNバスタソードⅡを構え、戦闘態勢をとる。基本魔法少女が持っている得物は一種類であるのが暗黙の了解だが、大剣と大型のライフルというレンジの違う二種類の武装、そして両肩に装着された
「ななか‥‥‥‥どうしよっか?向こうは全員でもいいって言ってくれているけど…‥‥」
「…‥‥‥‥」
あきらが判断をななかに仰ぐために彼女に声をかけるが、当の本人はどこか上の空といった様子で茫然とさやかの方に顔を向けたまま固まっていた。
「ななか?」
「ななかさん?どうかしましたか?」
「 えっ、ご、ごめんなさい。少し気が飛んでいました。それで…‥‥どのように戦うかはこちらに合わせてくれるとのことでしたよね?」
「…‥‥‥ああ。個々の実力を上げるために一人ずつでも構わないし、互いの動きを確認するために同時に来てもらっても構わない。」
ななかの様子に訝し気な表情を禁じ得ないさやかだったが、ここでそれを追及しても話を長引かせるだけだと判断し、特に言及することはしなかった。
「…‥‥‥では遠慮なく全員で行きましょうか。彼女の胸を借りさせていただきましょう。最強と噂されるその実力、見極めさせていただきます。」
「…‥‥そんなものになった覚えはないのだが‥‥‥まぁ、こちらもいい経験だと思って望ませてもらおう。」
ななかの言葉に辟易とした様子ながらも両手の得物を構えなおすさやか。そしてそれに呼応するようにななかたちも魔法少女姿に変身し、それぞれの得物を構える。
(‥‥‥‥常盤ななか。彼女が浮かべていたあの表情は一体なんだ?何かダブルオーの武装とは別に驚いていたようだったが‥‥‥)
ふと、そんな疑問が頭をよぎるさやかだったが、油断しているとケガをするのはこちらだと戒めるように思考を打ち切ると、表情を引き締め、ななか達を視界に収める。
(今は戦いに集中すべきだ。聞くのはこれが済んでからでも十分だ。)
参った。最近マジで更新スピードが遅いな…‥
余談だけど、マギレコ本編を知らない兄貴たちに教えると、常盤ななか嬢はソウルジェムの真実にある程度たどり着いている稀有なお人だったりする。
マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………
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ガンダムだ
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ガンダムではない