ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」 作:わんたんめん
(さて…‥‥向こうはどのように来る‥‥‥?)
GNバスターソードⅡの真ん中ぐらいにある持ち手を掴み、盾のように構えてその陰から除くように対峙するななか達の出方を伺うさやか。向こうの得物はななかが一つの鞘の両端に収めた二振りの刀。あきらは左手を腰に沿うように握り拳を作り構えをとっている様子から徒手空拳なのは間違いないだろう。
しかし少々奇妙なのが美雨とかこの二人。前者は一言でいうとかぎ爪だがその爪は日本刀のようにわずかに刀身が反りながらもまっすぐに伸びており、後者は先端部が特異な形をした槍。得物から向こうの間合いを計りづらい形状をしていた。
(もっとも…‥‥‥魔法が絡んでくる以上、この推察もあまり役にはたたないだろうが…‥‥‥)
内心遠い目を浮かばせながらも、警戒心だけは一瞬たりとも緩めず、じっと四人を見据えるさやか。
「じゃあ、行くよッ!!」
先に動いたのはやはりというべきか、間合い的に近づかなければならないあきらだった。単純に足に力を込め駆け出し、さやかとの距離を詰めるが、魔法少女としての力が加わったそれは常人のものをはるかに上回る。
「…‥‥‥」
しかし、その相手もあきらと同じ魔法少女。距離を詰めようとする彼女に対し、さやかは落ち着き払った様子でバックステップ。身体を正面に向けたまま後退する。
「重ね重ね言うようだが、死ぬ気で避けてくれ!!」
警告のような忠告と共にさやかは後退しながら右手のGNソードⅡブラスターを構え、照準内に突出したあきらを収めるとトリガーを引き、出力を必要最低限まで抑えた(とはいえその場に少しの間滞留するぐらいの出力はある)ビームを発射する。
「び、ビーム うわっ!?」
思いもよらない反撃にあきらは驚愕した表情を見せながらも咄嗟に態勢を低くしながら転がるように飛び退くことでビームをやり過ごす。しかし、放たれたビームはあきらの後ろで様子を見ていたななかたちにも襲い掛かり、三人も回避を余儀なくされる。
「くっ ビームなんて本気で 」
「あきら、前ッ!!」
「えッ 」
背中にわずかに感じた触れたすべてを焼き切らんとするような熱量に文字通りさやかのヤバさを肌身に感じたあきらが悪態を吐きながら崩れた態勢を整えようとしたところにななかから声が発せられ。言われるがままに顔を上げる。
そこには既に攻撃態勢に入ったのか、GNバスターソードⅡを持つ左腕を力強く振り絞ったさやかの姿が目の前にあった。その大剣の先端をあきらに向けていることから、その先端を杭打機のように地面にたたきつけるつもりだろう。
(早ッ )
さっきまで少し離れたところにいたはずなのに気づいたときには既に目の前にいる。見るからに重そうな大剣とライフルを携えているにも関わらず、およそそれらを持っているとは思えない素早さに舌を巻きながらもあきらは反射的に片手で跳ね上がるように飛び起きるとその勢いをそのままさやかにぶつけるように両足をそろえた状態でドロップキックを放つ。
「ッ !?」
まさかその態勢から反撃、それも蹴りが飛んでくるとは思っていなかったのか、表情を強張らせ、わずかに対応が遅れるさやか。しかしさやかも反射的に振り絞っていたGNバスターソードⅡの先端を迫りくる両足に軌道修正し、殴りつけるようにぶつけることでそれを相殺する。その結果、少しとはいえ、体を宙に浮かせていたあきらの身体が弾き飛ばされるように吹っ飛び、ななかたちのいるところまで後退させられる。
「ッ~~~~~やっぱ今のは響く~~~!!」
地面に転がされながらもその回転を調整して態勢を整え、立ち上がるあきら。言動こそ飄々としているがその表情は脂汗をにじませ、険しいものを浮かべている。
「あきら、大丈夫ですか?」
「なんとか‥‥‥でも本当に強いね君は。何か格闘技でもやっていたり?」
ななかから心配する声をかけられ、それに応えながらその対応の速さからさやかが何か格闘技でもかじっているのかと尋ねるが、さやかからは無言で首を横に振る仕草で応えられ、特にこれといった格闘技は何もしていないことを明かす。
「うっそ…‥ボクこれでも空手の黒帯持っているんだけどなぁ…‥‥‥自信無くしちゃうなぁ‥‥‥‥‥」
「そちらこそ何かしらの格闘技を学んでいるとは思っていたが、まさか空手‥‥‥しかも黒帯の所有者とはな‥‥‥」
あきらからの感心の言葉にさやかはあきらが空手の黒帯というその界隈でもかなりの実力者であることに驚きながらもブラスターを消すとバスターソードの柄を両手で握り、その切っ先をななかたちに向ける。下手に手持ち武装を増やすよりも大剣一本に集中させて対応させた方がいいと踏んだのだろう。
(ねぇみんな。あの子が私に近づく瞬間とか見えた?)
(見えたけど、まさに
(あの背中にある突起物はブースターか何かしらの類なのでしょう。移動するときにあの突起物から放出される粒子の量が増大していましたし、おそらくですが)
(なんだかななかにしては曖昧な言い方だね。)
(‥‥‥‥原理がよくわからないんです。魔力もそれほど使っているわけでもないようですし‥‥‥‥)
(え、じゃああれは一体…‥‥?)
さやかの素早さに早急に何かしらの対策が必要だと感じたあきらはななかに念話上で手段を請おうとしたが、難しい表情を浮かべている姿とその理由で困惑に包まれる。
「来ないのであれば、今度はこちら側から行かせてもらう…‥‥!!」
その声と共にさやかは放出する粒子量を上げ、十数メートルは離れていた距離を一瞬で潰し、自身の間合いに入れる。間合いに入ったのは、ななか、あきら、美雨の3人だ。
「ここは、私の距離だッ!!!」
足を思い切り踏み込み、GNバスターソードⅡを横薙ぎに振り回し、その振るった時の風圧とバスターソードそのものの質量でななかたち3人を押し下げる。
そしてさらにさやかが追撃に出ようと前に出ようとしたが
「ッ 」
そのさやかの前進を押しとどめるように一筋の透明色の強い緑色の光が注がれる。
その光の来襲をさやかは咄嗟にGNバスターソードⅡで防ぐが、その目論見通りに前進を妨害され、足止めを受ける。
「あら……………向こうにも美樹さんみたいな人がいるのね。」
少し離れたところから戦いを傍観していたマミの目には唇をキッと噛み締め、気迫のこもった目を見せるかこの姿があった。
彼女の手にする槍の先端、その特徴的な凹凸の金属プレートがさやかに向けられていた。
「まだです!!」
「ッ!?」
かこがそう叫ぶと同時にさやかの足元の地面が突然ひび割れ、その隙間から先ほどのビームと同じ光が溢れ出る。
瞬時に自身に迫る危機を察知したさやかはその場から飛び退くと、一瞬遅れてひび割れた地面からビームが飛び出し、花が咲いた。
(地中からのビーム攻撃…‥‥やるなッ‥‥‥‥‥!!!というか )
地中からの強襲に驚いたさやかだったが、イノベイターとしての感性がその攻撃に宿った敵意に機敏に反応したため、ビームが地盤を砕いて顔をのぞかせるよりも早く行動に移ることができた。
(地中でビームを動かしたらもれなくここの地盤がスッカスカになってしまう気がするのは言わぬが花という奴か!!)
そんな阿呆な考えを迫真な表情で考えながらも地中からのビーム攻撃を回避するさやか。しかし、避けられているが行動を抑制されていることには変わりない。
「ホアッチャァァァァ!!!!」
創作上でよくあるような典型的な中国人のような奇声を上げながらさやかの背後から美雨が襲い掛かる。その声に反応してさやかが対応に回ろうとするが、魔法少女の力が加わったその身のこなしの素早さはろくな対応をしたところで意味がないことを如実に感じさせる。さらに今のさやかの装備は大剣一本だ。スピードタイプにパワータイプは相性的に不利というのが昔からの定石だ。
「チッ!!」
それゆえにさやかはバスターソードを振り回そうにもそれを見切られてしまい、後手に対応を回すことを強いられ、日本刀のように爪の一つ一つが軽い弧を描きながら伸びている美雨のかぎ爪を避けるかバスターソードの刀身で防ぐぐらいしかできなくなる。
「お前、さっきの変な飾りのついたライフルどしたネ。」
「飾りのついたライフル?ブラスターのことか?」
かぎ爪と大剣がぶつかりあい、金属音を響かせながら至近距離での戦闘の中、唐突に美雨からブラスターを一度使ったきり手にすらせず、使う素振りをまるで見せなくなったことを問う。
「?…‥名前はともかく、どして使わないのネ」
「一度きりならともかく、頻繁に使っていたらそちらのタメにならないだろう。こっちは加減するので精一杯なんだ。」
「…‥‥‥ウチらのこと舐めてる?だとしたら生意気ネ。」
「そんなつもりはないのだが…‥‥ただ安全上の目線から見てのことなのだが。」
一度見せた手を再びもう一度使おうとしない姿勢をさやかが自分たちのことをなめていると思ったのか、眉間にしわを寄せて不服そうにしている美雨にさやかはそんなつもりはサラサラないというように困り気な表情を見せるが、彼女の表情はムスッとしたものから変化はなかった。
「そういうのをなめてるっていうのネッ!!!」
「でりゃぁぁぁぁぁぁッ!!!」
「参ります‥‥‥‥ッ!!!!」
美雨はさやかのバスターソードの巨大な刀身を蹴って足場代わりにすると、そこに間髪いれずにななかとあきらが自身の得物である日本刀とガントレットを装着した拳で畳みかける。
「ウグッ‥‥‥‥」
かぎ爪から刀と拳。迫りくる攻撃の種類が変わったことに苦し気に表情を険しくするさやかだが、大剣一本と身一つでそれらを捌いていく。しかし、相手が空手の黒帯というのとななかの振るう日本刀の刃が攻撃の直前まで見えないことにさやかはやりづらさを感じずにはいられなかった。
(直前まで刀の刃を見せてこない!!居合という奴か!?おかげで攻撃のタイミングが掴みづらい!!)
直前まで攻撃の予兆が見えず、仮に見えても超速で抜刀と同時に気づけば刃が自身の身体の目の前まで来ているという感覚に、さやかは冷や汗を禁じ得ない。
(見切られている?いえ、これは‥‥‥‥どちらかといえば反応速度が異様に速いといえばいいのでしょうか?)
一方でななかの方も二人がかりで、それも自身とあきらが二人とも武術をそれなりに修めているにも関わらず、それら全てを危なげな様子ながらも避け続けているさやかに関心した表情を見せる。
(ここまでの密接な近接戦闘にも関わらず魔法ではなく自身の身体で捌くとは‥‥‥‥)
「ですが、それもここまでですッ!!」
ななかが宣言するような言葉を張り上げた瞬間、あきらが力強くバスターソードの刀身に向かって蹴りを放つ。たまたま盾のように自身を覆い隠すようにしていたさやかはその蹴りの衝撃をもろに被り、無理矢理弾き飛ばされる。
(なんて脚力だ、まともに食らえば文字通りただでは‥‥‥‥‥何ッ!?)
あきらのバカ力に驚愕しているさやかに先ほどから間欠泉のようにさやかの足場を崩しまくっていたかこの地中からのビーム攻撃の予兆である光がさやかの足元を照らす。既に地中に入っている亀裂の度合いからビームが頭をのぞかせるのは本当にすぐだろう。
(避けられないッ!?)
足元からはビーム、周りからはいつの間にか距離を詰めてきているななかたちの姿も見える。後方からは暗殺者のように得物のかぎ爪をギラつかせる美雨。
完全に包囲されている。
この攻撃を避ける時間がないと判断したさやかは瞬時に、半ば無意識とも言っていいレベルの反射神経で体が動き、GNバスターソードⅡの内部機構であるシールドモードを作動させ、自身を覆うように緑色に輝く半透明のバリアフィールドを発生させる。
『バ、バリアッ!?』
その展開されたGNフィールドは実体であるななかたちの攻撃と光線であるかこのビーム、さやかに向けられた攻撃すべてを見事に防ぎ、その刃、光ともども一ミリ足らずともその先へは進ませなかった。
「これで!!」
バリアという奇想天外な代物が飛び出てきたことにななかたちの思考がわずかな時間、展開されたGNフィールドに注がれ、思考が狭められる。その合間を縫うようにさやかはGNソードⅡブラスターを出すと、背後から奇襲を仕掛けようとしていた美雨に向けてすれ違いざまに一閃、銃身下部に取り付けられている銃剣でかぎ爪ごと叩き斬る。
「あうっ……‥‥!!」
(べ、ベイオネット‥‥‥‥あのライフル、飾りじゃ全然なかったネ…‥‥‥)
「峰打ちだ。私にはそんな技量はないからほとんど力任せだが。」
切断されたかぎ爪がカランカランと乾いた音を響かせ地面に落下していくと同時に脱力するように倒れ伏す。その場にいる全員が彼女が気絶したと認識するとどこからともなく黄色いリボンが現れ、美雨をぐるぐる巻きにするとズリズリと地面を擦る音を立てながら引きずられていた。
「すまない、助かる。」
「今回はこれが役目だもの。貴方は気にしないで彼女たちの相手を務めなさい。」
引きずられていく先にいるマミに礼を言うと、さやかは対峙しているななか達に向き直る。さやかはにらみを利かせるように鋭い目線をななかたちに向けるが、不動の様子で指先一つすら動かそうとはしない。いわゆる絶好のチャンスではあるものの、ななかたちも先ほどのGNフィールドが脳裏にこびりついているのか、またさやかからとんでも兵装が飛び出るかわからなかったため、手をこまねいていた。
「‥‥‥‥‥‥反撃に出るッ!!」
GNドライヴからの粒子放出量を増大、さやかの身体はまるで重力から解放されたように空へと飛びあがる。
「空を 」
「飛んだァァァァッ!?」
「残念だが、私は負けず嫌いらしい!!模擬戦だがセブンソードでこの勝負、勝たせてもらう!!」
空高く上昇したさやかに釣られるように顔を上げるが、途中でさやかの姿が空に浮かぶ月と重なり、GN粒子の淡い緑色の光が、月と重なり黒に染まったさやかの輪郭を朧げに照らし出す。
「ここから戦い方を一気に変えさせてもらう!!」
そんな的外れな忠告と共にさやかは超スピードで降下してくる。ななかたちは咄嗟に身構えるが、さやかはその途中で方向転換し、進行方向を切り替えた。
「ッ…‥‥かこ、そちらに向かいました!!」
「え、わ、私ですかッ!?」
ななかの言葉にかこは目を見開いて驚くが、現実にさやかはまっすぐに降下し、土煙を大きく巻き上げると、そこからかこに向かって突進とも思えるようなスピードで突っ込んでくる。
「うぅ…‥‥ち、近づけさせませんッ!!」
「遅いッ!!」
肉薄するさやかに対し、かこはビームで応戦するが、さやかはそれら全てをバレルロールを駆使して危なげなく回避する。そんな激しい機動で動いている中でもさやかは脚部に取り付けられてあるGNカタールを連結させるとかこに向けて投げつける。投げつけられたカタールは回転しながらも、針の穴を縫うかのような精確な軌道を描き、かこに迫る。
(避けたら次の攻撃に間に合わない…‥‥ならッ!!)
投げつけられたカタールとさやかのスピードから避けたら次の攻撃に対応できないと直感したかこはカタールを撃ち落とそうと槍を構えなおし、ビームを放つ。
放たれたビームは回転するカタールに直撃し、撃ち落とされる‥‥‥‥かに思えた。
(嘘‥‥‥)
思わず目を見開いて目の前の現実を直視する。ビームが直撃したはずのカタールは弾き飛ばされるどころか、ビームを切り裂き、光を霧散させながら今なお、かこに向かって回転を続けている。
「ッア!?」
目の前までカタールの刃が迫ってきたところでかこは槍で咄嗟に弾くが、連結したカタールがそもそも大きかったことが影響し、かこはのけぞり、大きく態勢を崩した。
(しまった 早く持ち直さないと‥‥‥!!)
大きくのけぞった態勢をかこは寸でのところで持ち堪え、数歩後ろに後ずさることで尻もちをつくことだけは避けたかこ。すぐに槍を構え、接近してくるさやかを探そうとするが、視界の前方にはあの緑色の粒子を生み出しているさやかの姿はない。
「ど、どこ…‥‥ッ!?」
目をよく凝らしてみても一目みればすぐにわかるくらい目立つはずのさやかの姿が一向に見当たらない。さながら自分はホラー小説に出てくるような怪奇現象に対して何も抵抗することができない哀れな犠牲者のようだ。
かこは恐怖のあまり身を縮こませるが、そんな彼女の肩が背後から小突くくらいの軽い力で叩かれる。
「はぅぅぅッ!?」
思わず変な声を挙げながらバッと背後を振り向くかこ。そこに目に入ってくるのは困ったような笑みを浮かべるさやかの姿があった。
「まさかここまで驚かせるつもりはなかったのだが…‥‥‥すまない、配慮が足りなかったか?」
「ふぇ…‥‥あ 」
「ホールドアップだ。そこだけは理解してもらえるか?」
そこまで言われてようやくかこは自身の状況に気づく。さやかの手にはブラスターが握られており、その銃口がかこに突きつけられるように向けられていた。
それに気づいたかこはカタールに気を取られている間にさやかが背後に回り込んだのだと感じ、悔し気に表情を歪ませる。
「とりあえず、安全なところまで下がっていてくれ。いつまでも他の人たちまで待たせるわけにはいかないからな。」
それだけ手短に伝えるとさやかは腰に吊り下げられているGNソードⅡロングとショートを手にすると、颯爽と空に浮かび上がり、残っているななかたちの元へ超速で向かっていく。
残されたかこは飛んでいくさやかの背中を少しの間茫然と見つめると思いだしたかのように言われた通りに戦闘の影響のでない離れた場所に移動する。
「おつかれさま。ケガとかしていないかしら?」
上から聞こえてくる声にハッとして下を向いていた顔を上げると、労っているような笑みを浮かべながら遊具の上から見下すマミの姿があった。
「あ‥‥大丈夫です‥‥‥あの、美雨さんは‥‥‥?」
「心配しなくても大丈夫よ。私、これでも回復魔法には自信があるんだから。」
マミが自分の隣を指さし、促されるように目線を移すと横たわらせている美雨の姿が入る。気絶した状態からはまだ立ち直っていないのか、彼女が目を覚ます雰囲気には見えなかった。
そのことにとりあえず安堵感を抱くかこだったが、行き場所がないのも事実だったため、かこは所なさげにマミの近くに座り込んだ。
「美樹さん、強かったでしょ?」
「…‥‥はい、はじめに持っていたおっきいライフルや大剣の時点でかなり苦戦でしたけど、まさか空も飛べちゃうなんて‥‥‥魔法を通り越してファンタジーですよ。」
「ファンタジーねぇ‥‥‥‥‥」
かこの言葉にマミは思わず苦笑する。さやかの持つ力について聞かされている彼女にしてみれば、さやかがファンタジーの世界にいるという評価はまるで正反対、まさに対極に位置しているようなものだ。確かに魔法っぽいのは事実だが、その正体が実は遠い未来の人類の手で作られたものであるのであれば、苦笑いを禁じ得ないのは仕方のないことだろう。
「…‥‥‥むぐぐ、悔しいです。そういえば、さやかさんはどうして最初は加減をしてくれたんですか?」
かこの質問にマミは少し考えるように顔を上にあげる。
「そうねぇ…‥‥多分魔女を想定してやっていたんじゃないかしら?」
「魔女を‥‥‥‥ですか?」
「少し昔話をしましょうか。といっても、あまり他人には言えないような情けない話ではあるのだけど。」
気恥ずかし気に頬を軽くかくマミの仕草に首をかしげながらもかこはその昔話に耳を傾ける。
それはまださやかが魔法少女の契約をする前のころ。病院に巣食った魔女を討伐しにいったときの話。さやかが魔女の居場所を伝え続けるために魔女の近くに居続けた時点でかこが目を見開いてその話に聞き入る。
そして話はどんどんと進み、状況は佳境に差し掛かる。
「その時は完全に魔女を仕留めたつもりでいた。でも、現実はそうじゃなかった。中に別の存在を隠していたの。今に思えばあの魔女にしてはどこかかわいげのあるぬいぐるみみたいなフォルムはブラフだったのかもしれないわね。」
「そ、そんな魔女がいたんですか…‥‥大丈夫だったんですか?」
「大丈夫じゃなかったら私はここにはいないわよ。」
「で、ですよね…‥‥ごめんなさい。」
「ふふっ、別に怒っているつもりはないからそんな謝ることはないわよ。でもそんな狡猾な手段を使ってくる魔女もいるかもしれないってこと。私たちが戦っているのは常識の通用しない存在。その相手から無事に生き残るには突然の状況にでも対応できる順応力。」
だからさやかははじめから全力を出すことはせずに最初は地上で戦い、途中から空に戦場を移したりと変則的な戦いをしているというように目線の先で戦っている三人の姿を見据える。
状況はやはりというべきか、三次元的な機動をしつつ鳥のように飛び回るさやかの動きにななかとあきらは得物が両者とも近接なのが相まってかなり苦戦しているようだった。
「あの様子だとそんなに長くは持たなそうかしら。」
三人の様子を見てそんなことを思いながらマミはどこからともなく取り出した紅茶のティーセットを膝の上にのせてティータイムにしゃれ込む。
「ともかく、あんまり気に病む必要はないわよ。貴方には長いこと一緒にいる仲間たちがいるんでしょう?みんなに支えられながらも自分もみんなを支える。そんなものでいいと思うわよ。独りぼっちは寂しいものよ?」
そう、独りぼっちは寂しいもの。ずっとずっと、本当は気楽に話し合える人が欲しかった。
『魔女を倒せるのは貴方だけだ。手を貸すが、立てるか?』
瞳を閉じてその裏に呼び起こすのは運命のあの日。油断していた私を文字通り食らおうとする魔女から救ったのは、魔法少女でもなく、友達でもなかった、他でもないあなた。
まるで魔女に微塵も臆していないように澄んだ色を見せる蒼い瞳。だがその差し伸べられた手は私が背負わなければならない傷でひどく腫れあがっていた。その事実に、情けなさに一度は自分に嫌気がさしかけた。
それでもあなたはそんな自分に対して、魔法少女ではなく、人間として当然のことだと言った。命の危機に恐怖しない人間はいないとそれこそ当たり前のように言いきった。先輩として情けないところは見せられないが、あなたはその情けなさすら丸っと包み込んでしまった。
もちろんその言葉にいつまでも甘えるつもりはない。だけど同時に間違いなくその言葉に救われたのも事実だった。
今の私を繋ぎとめているのはあなた。
だから、もしあなたが立ち上がれなくなりそうなときは
私にあなたの手を掴ませて。
それが私にできる一番のあなたへのお礼だと思うから。
こそこそ裏話
さっさんの使う武装はときおり妙な現象が起こるゾ!!(要するにエクバ仕様)
マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………
-
ガンダムだ
-
ガンダムではない