ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」   作:わんたんめん

59 / 111
いかん、だいぶ間が空きながら書いちまったから若干の御都合展開がいなめない‥‥‥


第59話 知らなくちゃならないことだと思うから!!

「今日は世話になる。すまないな、わざわざ私のために。」

 

「いえいえ、気にしないでください。私こそお世話になっている礼みたいなものですから。」

 

「礼になるほどの回数を重ねたわけではないんだが…‥‥」

 

かこの言う礼がこの前の手合わせのことであることを察したさやかは困った笑みを浮かべ、彼女を連れ添って昨日教えられた花屋へと向かう。

 

「そういえば、これから向かう花屋は君がバイトしているといっていたが、どのような店なんだ?」

 

「え…‥お店の雰囲気とかですか?」

 

「有体に言うとそうだな。」

 

道すがらのさやかからの質問にかこは小首をかしげて考え込む仕草を見せる。

 

「お花屋さんの雰囲気は、大体はどこもおんなじなんじゃないんでしょうか?」

 

「…‥‥‥‥言われてみればそうかもしれないな。」

 

かこからの言葉に言われてみればとでも言うように顎に手を添え、わずかに上を見つめるさやか。

 

「でも、お花を心の底からこよなく愛している魔法少女がいます。知り合いというのもその子なんです。」

 

「改めて思うが、神浜市は本当に魔法少女の人数が多いな。見滝原とは大違いだ。」

 

そんな他愛もない会話をしながらかこの案内で進んでいくと、不意にかこが何か気づいたような声を挙げ指を刺した。

さやかがその指が指す方へ視線を送ると日よけ用のサッシにプリントされた「フラワーショップ・ブロッサム」の店名と、その軒先でせっせと販売用の花に水をやっている高校生くらいの少女の姿が見えてくる。

 

「‥‥‥もしかしてだが、彼女が?」

 

「はい。少し待ってくださいね。このみちゃん!!」

 

さやかの言葉にそう答えながらかこは店先の少女に向かって駆け出した。その彼女の声に気づいたのか、少女がかこの方へ振り向いて笑顔で彼女を出迎えるとそのまま談笑を始めてしまう。

若干置いてけぼりを食らったような気がしてしまうさやかだったが、ついつい会話が弾んでしまった程度だろうと少し離れたところからおとなしくその様子を眺めていることにした。

 

「すみません、おまたせしました!!」

 

ところなさげに携帯をいじりはじめてから数分、ぼーっとしていた画面を見つめていたさやかにかこと話していた少女から声がかけられる。

 

「えっと、お見舞い用の花束をご所望なんですね?何かいれてほしい花とかはありますか?」

 

「いや、あいにくと花に関する知識はない。迷惑かもしれないがそちらに任せる。」

 

携帯をしまいながらさやかがそういうと店員の少女が快活な表情を浮かべながらわかりました!!とパタパタと店の中へ入る。

 

「せっかくですしお店の中でも見ますか?」

 

「‥‥‥‥‥そうだな。時間潰しにはいいかもしれない。」

 

かこの提案に暇つぶしついでに店内に置かれている花を見ることにしたさやか。入口を潜り、陳列されているたくさんの花々を見ていった。

 

「そういえば、彼女とはどういう経緯で知り合ったんだ?」

 

「?‥‥‥このみちゃんとですか?」

 

「まぁ‥‥‥‥なんとなく気になってだな。中々不躾な質問なのはわかっているからそっちが気に食わなければ話さなくてもいいのだが‥‥‥」

 

かこは古本屋の娘、そしてこのみと呼ばれた少女は花屋のアルバイト。なんとなく関連性が見えないことからさやかはかこにそれについて尋ねた。

 

「謙虚なんですね‥‥‥‥‥別に減るものでもありませんから構いませんけど‥‥‥‥実は私とこのみちゃん、それにもう一人お店のお手伝いのかえでちゃんていうんですけど。三人で『チーム・ブロッサム』っていうチームを組んでいたりするんです。」

 

「かえで?もしかして秋野かえでのことか?」

 

「あ、あれ!?かえでちゃんのこと知っているんですか!?」

 

「やはり彼女のことか‥‥‥‥‥神浜市に来たばかりの頃にひと悶着があってだな、それで彼女と知り合ったんだ。」

 

かこの言葉に聞いた覚えのある名前があり、思わず聞いてみるとかこは驚きの表情を上げ、そのさやかの言葉に間違いがないことを示した。

 

「え…‥‥‥君、かえでちゃんと知り合いなの?」

 

そんな声が店の奥の方から聞こえ、そちらに目線を向けると見舞い用の花を見繕ってくれたのかきれいな花束を抱えた少女が立っていた。しかし、その表情は目を見開いて驚きを表しておりとても店員が見せるものではなかった。

 

「名前を互いに知っている程度でいいのであればそうだといえるが…‥‥どうかしたのか?」

 

「‥‥‥‥‥‥」

 

さやかの言葉にこのみは明らかに動揺したような表情を見せながら視線を右往左往に送っていた。どうみても何かあったと言えてしまうようなあからさまな様子に二人の表情もつられるように険しくなる。

 

「このみちゃん、かえでちゃんとの間に何かあったんですか!?」

 

かこに詰め寄られたこのみは思い悩んでいる表情を見せながら彼女から逃げるように顔を逸らした。だが少しすると観念した様子で気まずそうながらも話し始めた。

 

「ここ一週間かえでちゃんと連絡が取れないって‥‥どういうことですか!?」

 

「わ、私も全然わからないの!!珍しく連絡もなしに休むことがあったからはじめはたまたま風邪でも引いたのかなって思っていたけど…‥‥‥‥」

 

このみの口から語られたのは突然のかえでとの連絡が途絶したことだった。始めこそ勢いはよかったこのみの声だが、それもすぐに不安そうな表情を上げると同時にしおらしくなっていき、花で言う枯れたような様子になってしまった。

 

「………………少し確認するが、通話アプリに既読とかはつけられたのか?」

 

さやかの確認にこのみは力なく首を横にふった。それの反応にさやかは険しい表情のまま思案に耽る。

 

「………………一般的に一週間も失踪しているのであれば家族から警察に対して捜索願いが出されるのが通説だ。だがあいにくと私達は魔法少女。多少の周りからの不信感は魔力でどうにかなってしまうだろうな。」

 

「え……………君も魔法少女なの?」

 

このみの呆けた顔を浮かべながらの言葉にさやかはまぁなと軽く返しながら携帯を再び取り出すと電話口に耳を当て、誰かと電話を取り始める。

 

『………………もしもし。』

 

数コールの内に通話状態となった電話から気だるそうに不機嫌な声が聞こえて来る。さやかが連絡を取ったのはかえでと一番交友関係が深いレナだ。

 

「最近秋野かえではどうしている?聞いたところによれば彼女と連絡がついていないらしいのだが。」

 

『………………ハァ…‥‥‥本当にどこから聞き入れてくるんだか‥‥‥‥!!』

 

開口一番にかえでのことを聞かれたレナは頭を抱えながら振り絞るかのようなか細さで小さく悪態を吐いた。

 

『アンタの言う通り、最近のかえではどこか様子が変なのは事実よ。学校に来るには来るけど授業が終わったらそそくさと逃げるみたいにすぐ帰っているわ。』

 

「学校でもか‥‥‥そちらの方で何かしら連絡を取ろうとしたことは?」

 

『なによ、今度は探偵の真似事でもやっているの?』

 

かえでの様子を聞き出そうとしたさやかだったが、レナからの返しの言葉にどうもトゲのようなものを感じてしまい渋い表情を浮かべてしまう。

 

「そのつもりはないのだが‥‥‥‥最近はそうもいっていられない状況になっているのはわかってくれているだろう?」

 

『…‥‥‥‥まぁ、わかってはいる…‥‥』

 

ため息をつきながらレナの突っかかりにそう返すと意外にもあっさりと引き下がったレナにさやかはわずかに面食らった表情を見せながらも切迫した状況になっていることに変わりはないためすぐに表情を引き締めたものに戻した。

 

「で、お前の方からはなにか彼女に対して接触とかは試みたのか?」

 

『家とかはいってないけど…‥‥少なくとも最近は電話にすら出やしないわ。既読すら付きもしないし…‥‥』

 

しょぼくれているのかむくれているのかは電話越しではわからないが、少なくともしおらしい声でそう返すレナにさやかは彼女が見栄を張っている割に意外と小心者であるからなぁと密に仕方ないと納得しながらも顎に手を添える。

 

「だが、物事には必ずそうなるだけの理由や要因、出来事が必要不可欠だ。なにか心当たりはないのか?」

 

『‥‥‥‥‥別に。どうせレナがかえでに何か言ったからでしょ。』

 

そういったレナの言葉だが、さやかはそれが即座に違うことを察した。かえでやレナたちと言葉を重ねた回数は少ないが、かえでは臆病かもしれないが嫌だとか不服に感じたことははっきりと物申すタイプの人物だ。そんな彼女がレナの発言になにかしら不快感を感じ、彼女自身に対してそれを言い返さず、心の内にしまい込んでおくとは考えにくかった。

 

(となると‥‥‥‥問題を抱えたのは秋野かえでの方か?)

 

ここでさやかは目線をレナに問題があったのではなく、かえでの方に何かしらの問題を抱えたという風に切り替えた。何かとてつもない、それこそ他人やレナを始めとする友人にも相談することが憚られてしまう、そんな大きな問題を抱えてしまったのではないのかと。

 

(って‥‥‥‥そんなのは考えられるにソウルジェムの秘められた真実が露呈してしまった以外にありえないのでは?)

 

友人に、それこそ長い付き合いであるレナにすら明かせない秘密に思い当たりがあるのはそれしかなかった。ソウルジェムは魔法少女自身の魂が具現化したもの。もしくはソウルジェムの成れの果てが魔女のもつグリーフシードであり、自身が魔女に変貌してしまう可能性があるということ。

そのどちらを知ってしまったのかはどうであれ、そのことに気づき、他の人たちに言い出せなくなる感覚は感じたことはないにしろ理屈でわかっているつもりだ。

 

(打開策はその知ってしまった秘密を他人と共有しその孤独が自分だけではないことを認識することだ。)

 

だがこれではただ単にかえでに依存先を与えるだけで根本的な解決にはならないとさやかは思っていた。真に解決と呼べるのはその事実を飲み込んで普通に日常生活を送っていける状態になってこそだ。

何かに怯えながらの毎日では、魔法少女に課せられた運命からの解放からは程遠い。

 

(とはいえそれができる人間が限られているのも現実問題としてネックだな…‥‥私たちか七海やちよ、それにマギウスの翼‥‥‥‥か)

 

いや、場合によって常盤ななかも選択肢の一つかもしれない。以前彼女たちのグループと手合わせした際に自身がそれとなく言ったソウルジェムが砕けたら大変なことになるというニュアンスの言葉にななかだけが反応していた。もしかしたら彼女もソウルジェムの真実を知っている稀有な魔法少女の一人かもしれない。

 

(ダメだ。私たちではマギウスの翼の手から引き留められるだけの対抗策がない!!現状で明かしたところで、ただ闇雲に事態を悪化させて混乱を引き起こすだけだ!!)

 

今のさやかたちにはマギウスの翼が掲げる理想、その裏にある必要な犠牲に変わるものがない。

 

「‥‥‥‥わかった。だが一つだけ私から忠告がある。聞いてくれるか?」

 

『…‥‥‥何よ突然。』

 

「もしこの先お前が何か物事に対して不信感を抱く時があったのなら…‥‥‥すぐに動いた方がいい。それは人として、人間が人間として生きていく上でなんら間違いではないはずだ。」

 

『…‥‥‥何を言い出すのかと思えば‥‥‥‥警告のつもり?』

 

「…‥‥‥いや、忠告程度のつもりでいてくれ。」

 

『‥‥‥‥わかったわ。言い方はともかく、アンタの言っていることに間違いがなさそうなのは事実だからそのくらいのつもりで受け取っておくわ。』

 

故にさやかに言えることはそれとなりにマギウスの翼に対しての警告を伝えておくことだけだった。

しかし、さやかからの静かな声色から出る雰囲気をレナも感じ取ったのか素直にその忠告を聞き入れてくれた。そのことに安堵したさやかが電話を切ろうとする。

 

『あ!!ちょ、ちょっと待ちなさい!!アンタたちもいろはと同じようにウワサを倒して回っているんでしょッ!?アンタにも教えておくわ!!』

 

「?…‥‥ああ、その通りだが…‥‥いろはも?」

 

まさに切ろうとした直前にまくしたてるような勢いでレナがさやかを呼び止めたことにさやかは首を傾げ、怪訝そうな表情で電話を持ち直し、レナの話に耳を傾ける。

 

 

 

 

 

「透明人間、それにひとりぼっちの最果てか。」

 

レナから持ち込まれたウワサの情報はその二つ。透明人間はありきたりだがともかくとして、ひとりぼっちの最果てはレナとの通話を切り、すぐに検索サイトでそのワードを打ち込むと検索結果が画面に表示される。

しかし、そのサイトはすでに閉鎖されていたのか『404 not found』の文字を出すだった。これはレナとの電話であらかじめわかっていたことだった。このサイトの内容を知りたいところだったが、レナが調べ始めた時点でサイトは閉鎖していたとのことだったため、それを知ることも叶わない。

 

(情報が乏しいな…‥‥彼女の努力を無碍にはしたくないが、ともかく一度いろはに連絡を取る必要がある‥‥‥‥)

 

さやかは携帯の画面を閉じると少し離れたところで様子を見守っていたかことこのみに向き直る。彼女らの表情はまさに心配そのものといった様子でさやかを見つめていた。

 

「残念だが、彼女の知り合いの電話にも出ない始末らしい。学校には来ている姿を見かけてはいるそうだがな。ところで二人とも学校は神浜市立大の付属なのか?神西区で学校というとそのあたりしか候補がないようなのだが…‥‥」

 

「はい、そうですけど‥‥‥‥‥それとかえでちゃんとの件と関係が?」

 

突然のさやかの確認の言葉にかことこのみは互いの顔を見合わせるときょとんとした様子ながらもうなづく仕草を見せた。

 

「実在しているかは別問題として、二人は最近神浜市中でさまざまなウワサが飛び交っていることを知っているか?例えば、神浜大付属の中等部の校舎、その屋上に続く階段に名前を書き込むと絶交が生涯成立するとかいう絶交階段のウワサが身近な例なのだが‥‥‥」

 

「あ…‥‥東塔の北側にある屋上へ続く階段のことですか!?確かに名前が書かれてはいましたけど‥‥‥‥‥」

 

「私も…‥‥本当にウワサだけなら聞いたことある。でも、あれは所詮ウワサなんじゃ…‥‥‥?」

 

「火のないところに煙は立たない。ウワサとしてそこに存在する以上必ずそこにはなんらかの噂になるだけの理由がある。事実、彼女は一度そのウワサに連れ拐われたことがある。最悪、将来的に彼女がとんでもないことに手を染めてしまう可能性もある。」

 

疑問気な表情でそういう二人の言葉をさやかは切り捨てるような勢いでそう言い切ると、以前起こった絶交階段のウワサのことを二人に話した。

些細な口喧嘩から始まった絶交。そこを発端としたウワサと呼ばれる異形の存在によって引き起こされた事件に二人の表情はこわばったものへと変わっていった。

 

「ウワサの内容が現実になっちゃうなんて…‥‥‥」

 

「た、確かに神浜市ではウワサがたくさん流れているとは思ってはいたけど…‥‥‥!!」

 

「残念ながら事実だ。さらには魔法少女の他に一般の人間にも被害が出てしまっている。これ以上彼女らの好きにさせるわけには     

 

そこまで言いかけたところでさやかは持っていた携帯をまた操作するとまた誰かと電話するつもりなのか、通話口に耳をあてた。

 

「あ、あの‥‥‥‥今度は誰と‥‥‥?」

 

「私はこれからウワサが根城にしている場所に向かうつもりだ。どうやら知り合いの魔法少女が単身でそこに向かったらしいからな。携帯が繋がらないところまで足を踏み込んでいなければいいのだが…‥‥作ってくれと頼んだ手前申し訳ないのだが、受け取りはまた別の日にさせてくれ。」

 

忘れないうちに、というようにこのみに目線だけを向けながらそう伝えたさやか。事実上の注文保留が突然ぶっこまれてきたことにこのみは花束を抱えたまま面食らった表情を見せる。何か言おうとしたこのみだったが、そのタイミングでさやかが電話の相手と会話を始めてしまったため、このみは何も言えなくなってしまった。

 

(ど、どうしよう…‥‥‥‥)

 

心の中でそうこぼすこのみ。

もちろんこのどうしようには突然受け取り保留がぶっこまれたことに対するものもあるが、それよりもかえでのことが大半を支配していた。

ひょんなことからかえでとかこの二人と出会い、チームとして魔法少女の活動をすることも多くなった。その中でかえでとは店の手伝いをしてくれるくらいにまで仲が進展するほどだった。

そんな彼女が突然連絡もなしに店の手伝いをドタキャンした。

最初は何か急用が入り込んでこちらにこれなくなったのだろうと思っていた。しかし、時間が経ってもかえで本人からの返答が返ってくることはなかった。その時間が止まってしまった通話アプリの履歴を見るたびに自分の心の中を言いようができない不安が広がっていった。

そして目の前の客としてやってきた魔法少女から語られた自分の知らなかった出来事。

 

彼女が知らない間に危険な目にあっていたことに友人として、仲間として、あの時彼女らに助けられた人間として情けないと同時に歯がゆい思いがふつふつと湧き出てきた。

 

(私が…‥‥‥私にできることは‥‥‥‥‥!!)

 

 

 

      中央区にある電波塔?」

 

『はい。レナちゃんから聞かされたひとりぼっちの最果てのウワサと、鶴野ちゃんから聞いた電波少女のウワサはつながっているんじゃないかと思って‥‥‥‥‥』

 

「行動力が高いことはいいことだと思うが、たった一人で行くのは褒められたことではないな。魔女と同じようにウワサの本体のいる領域ではなにが待ち受けているかわかったものではないからな。それにマギウスの翼が待ち構えている可能性だってありうる。」

 

『い、一応やちよさん宛てに録音メッセージは送ったので‥‥‥‥』

 

「とりあえず、あまり無謀なことはおすすめしない。都合のよく私は今神浜市内にいるからできるだけ早くそこに向かうつもりではいるが…‥‥‥」

 

『さやかさんが来てくれるのでしたら、百人力ですね。』

 

「そういってくれるのはありがたいものなんだろうが…‥‥あまりおだてないでほしいものだな。」

 

そこまで話したところで聞きたいことや言いたいことは済んだのか電話を懐にしまうさやか。

 

「さっきも言ったが、私はこれからウワサが根城にしている可能性のある場所へ向かう。同じことを言うが‥‥その花束、代金は置いていくが受け取るのはまた後にさせてくれ。」

 

さやかはそういうとレジがおいてあるカウンターに3000円を置くと二人の隣を通り抜けて店をあとにした。さやかはダブルオーで空からいろはのいる中央区の電波塔を目指すつもりだが、流石に人前でそんなことをしてしまえば注目の的になってしまうのは避けられないため、どこか適当な裏路地に入ってから変身するつもりだ。

 

「このみちゃん。」

 

さやかが出ていったブロッサムに残された二人。

ところなさげにさやかに渡すはずだった花束を持つ手に力を込めているこのみにかこが声をかける。わずかに下げていた視線を挙げ、視界に収めたかこの表情は決心づいたものを浮かべていた。

 

「かこちゃん‥‥‥‥‥うんッ!!」

 

お互いに顔を見合わせるとかこのその決意がこのみに移ったように彼女の表情もキッと引き締められたものに変わる。

 

「おばさんごめん!!急用が入っちゃったから私外れるね!!」

 

手にしていた花束を枯れないように水を入れたツボに差し込みながら店主にそれだけ伝えるとかこと一緒にお店を飛び出した。人ごみの中を掻き分けながら走ったその先には適当な裏路地を見つけたのか、ビルの影に消えていくさやかの背中が見えた。

 

「ま、待ってくださいッ!!」

 

このみの声に呼び止められたさやかは驚いた様子もなく駆け寄ってきた二人の方へ振り向く。既にさやかの姿は魔法少女としての装いに切り替わっており、あと少しこのみが声をかけるのが遅かったら飛び去っていたことがうかがえる。

 

「ついてくるのか?」

 

二人の様子を見てなんとなく察したのか、はたまた最初からそのつもりだったのか定かではないがさやかは二人に確認するかのような言葉を投げかける。

 

「かえでちゃんには助けられた借りがある。それに、大切な友達がふさぎ込んでいるのに何もしてやれないなんて、絶対にできない!!」

 

「だからお願い!!貴方たちが戦っているモノを私たちにも教えて!!なんとなくだけど、それは知らなくちゃならないことだと思うから!!」

 

「…‥‥‥‥わかった。だが、お前の言う知らなければならないことにぶつかったとき、どう行動するかはお前たち次第だ。それだけは頭の隅に置いておいてくれ。一応だが夏目かこ。お前も彼女と同じ意見か?」

 

「はい。ウワサは一般人にも被害を与えているのなら。私たちの家族にもいつか被害が来るかもしれない。そのためにも、私も戦います。」

 

このみとかこの言葉にひとまずとでもいうように軽く一息を入れるさやか。その様子はどこか安堵の表情のようにも見えた。

 

「改めて自己紹介をさせてもらおう。私は見滝原の魔法少女、美樹さやかだ。よろしく頼む。」

 

「春名このみです。よろしくお願いしますね。」

 

互いに自己紹介を済ませたところでさやかはこのみに自身が空を飛べることを明かし、それで目的地である中央区の電波塔へ向かうことを告げると、このみはとても驚いた表情を浮かべる。驚くことも無理もない話だが、既に先にそのことを知っていたかこの助言でとりあえずで飲み込んだところで二人を背負ったさやかはGNドライヴを稼働させ、夕暮れに差し掛かった大空に向けて飛翔し、飛行機もかくやというスピードで神浜市の空を駆け抜ける。

 

 




次回からはひとりぼっちの最果て編、かもしれない。

なお本編アニメともどもこのあたりからマギウスとの接触編が始まるから‥‥‥‥

あと感想とかくれると嬉しいです…………

マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………

  • ガンダムだ
  • ガンダムではない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。