ほむら「美樹さやーー「私がガンダムだ」はぁ?」   作:わんたんめん

74 / 111
もう新年度始まってるぅ!?(七回連続敗北)


第74話 話しづらいこと言ってくるじゃん

「うう‥‥‥‥‥‥」

 

「…‥‥なにかしら、そんな怯えた目で私を見つめて。別にとって食ったりなんかするつもりはないわよ?」

 

偶然居合わせたウォールナッツでさやかたちの写真を撮った観鳥だがそれを察知したさやかに発見されてしまう。

当然逃げの手を打った彼女だが、追いかけたほむらの時間停止魔法の前に成す術はなく、あっという間に追い付かれてしまい、裏手の路地に連れてこさせられていた。

 

「わたしたちの写真を撮ったのは何のため?マギウスの御三家からの指示?」

 

「まぁ…‥‥‥そんなところ、かな」

 

「あら、意外と素直に吐くのね」

 

問い詰めるほむらに観鳥は乾いた笑みを浮かべながらそう返すとほむらはわずかに目を見開いて驚きを露わにする。

 

「そりゃあねぇ…‥‥だって君たち狙われてるの自覚してるんでしょ?」

 

「そうね、たくさん破壊して回っているもの。あなたたちのウワサ」

 

座り込んでふてくされるように頬杖をついている観鳥を尻目に誰かを待つように壁に背中を預け、表通りの方を見つめる。

見てない今なら逃げてもよかったが、ほむらの魔法が時間停止であると理解できてないとはいえ、ほどほどに離れていたはずの距離を一瞬で詰められたことからもう一度逃走する気は完全に失せていた。

 

 

「ほむら」

 

「ッ…‥‥‥」

 

路地裏に響く声と視線を向けた先にいた人物に観鳥は張り詰めた表情を浮かべる。

 

「その様子だと大丈夫のようだな」

 

「わたしは無益な殺生は好まない方よ。あいつ…‥キュウべぇなら話は別だけど」

 

「そうか‥‥‥‥まぁ、お前ならそうだろうな」

 

ほむらと簡単なやりとりを済ませたさやかは観鳥に視線を移した。

さやかの後ろにはマミや杏子、そしてまどかの姿もあり、まどかはほむらに追い詰められて怯えているようにも見える観鳥のことを心配そうな目線で見つめていた。

 

「ちょっと話したけど、あなたの言う通りマギウスの翼だそうよ、この子」

 

「だーから言ったじゃねぇかよ、ゼッテェかぎつけられるってさ」

 

「…‥‥まぁ、神浜市に赴く以上予想はしていたことだ。マミ先輩、一応結界は?」

 

「張ってあるわよ。流石にこんな光景、何も知らない人から見たらカツアゲかそういうことしているとしか見られないもの」

 

マミにそう確認をとったさやかは観鳥に近づくと、地べたに座り込んでいる彼女と視線を合わせるようにその場にしゃがみこむ。

 

 

「‥‥‥‥‥アンタが、美樹さやか、だよね?」

 

「・・・・・そうだが、すっかり有名人になってしまったようだな私は。それで?そういう私を嗅ぎまわるようなことをしているお前は?」

 

自身のことを聞かれた観鳥はムッとした表情で口をすぼめて気まずそうに視線を外す。

マギウスの翼であることは明かしてしまったが、観鳥にそれ以上さやかたちに情報を明かすつもりはなかった。

ひとえにそれは彼女が情報というのがいかに重要であるかを心得ている人間であるからだ。

彼女は自身の学校で「観鳥報」という学校新聞の企画をやっている、いわばジャーナリストのような人間である。

だからこそいつもはカメラ片手にスクープを探し周り、見つけた被写体を写真に収めている。最近は彼女の学校周辺で出没するネコのあとを追い続ける写真が好評だ。

 

だが、スクープには良いものと悪いものの二種類が存在する。

 

前者は校庭の桜が花開いたなど、素朴で日常的な出来事を書いてしまえばそうなる。しかし、悪いスクープとは大方内容が決まっている。不倫や横領など、不祥事も多岐にわたるが、彼女がよく捉えたスクープはいじめだった。

その瞬間を一面に抑えて掲載してしまえば、真偽はどうであれ大衆に対して大きな影響を与えることができる。

そういう光景を何度も間近で見てきた。だからこそ彼女はそれを恐れて口を堅く噤む。

 

「‥‥‥‥あんまりこういうことを言いたくはないのだが……‥アンタ、今日私たちと会ったの、偶然だな?」

 

「いッ‥‥‥‥!?」

 

予想外の指摘に狼狽える反応を見せる観鳥。

確かに今回さやかたちを見かけたのは全くの偶然だ。しかし、それを見抜かれるのは話が別だ。

一体どこにそう思われる要素があったのだろうか?

 

「理由を聞きたそうにしている表情そのものだな」

 

「またお得意の第六感か?」

 

観鳥の表情を察したのかさらにそう指摘されると、『うっ』と息が詰まるような声を挙げて目線を逸らす。

が、指摘された時点でもう手遅れなのは明白。完全に翻弄されている。

そんな感覚が観鳥の中で渦巻いるところ、さやかは首を横に振ることで杏子の言葉に返す。

 

 

「アンタがパパラッチかその類の人間であることはあの時写真を撮られたことに気づいたときにはわかっていた。次に注目したのは服装だ。アンタが今着ているのは学校の制服。もし事前に私たちを尾ける段取りがあったのならば、そんな自分の身元がわかりやすくなってしまう服装は避けるべきだ。携帯とか、手軽に調べられるものがあるならなおさらのことだ」

 

「‥‥‥‥もしかしてもう調べちゃったりしたのかい?」

 

などと聞いてみたりしたが、観鳥にはさやかたちがまだ自身のことを調べていないことはわかっていた。

さやかの後ろにいるほむらが何気ない様子で取り出した携帯で何か調べだしたからだ。

 

()()、調べてはいない。こちらの言うことに応じてくれればそれ以上の詮索はしない」

 

そのほむらの行動を腕を真横に伸ばすことで制すさやか。一見なんともなく見えるが、さやかは今の行為を目線をほむらに向けることなく行った。

そのことが観鳥のジャーナリストとしての目に奇怪に映ったが、今はそれを置いておくこととする。

眼前に立つさやかの表情をいまいち読むことはできない。ウォールナッツで見かけたときには笑みを見せていたため表情筋が死んでいるわけではないのだろうが、ともかく顔は年相応には思えないほどに冷静沈着なものだった。

さらには自身をじっと見つめてくる水色に近い青い瞳は雲一つない青い空かどこまでも続く広い海を連想させるようで、嫌悪感はないが自分のことをどこまでも見透かされ、丸裸にされそうでどこか小恥ずかしい感覚を覚えた。

 

「‥‥‥観鳥さんを脅すつもり?」

 

そんな感覚を払拭する意味も込めてにらみつけるように目を据える観鳥。

 

「‥‥‥‥いや、そのつもりはなかったのだが、言葉面は完全に脅しのそれだったな。まぁ、もう意味がなくなってしまったが」

 

「うぇっ…‥‥?」

 

視線を横に逸らしながら気まずそうに頬をかくさやか。奥にいるマミたちもきょとんと首を傾げたり、笑いを押し殺していたりとさまざまだった。

 

「一人称がだいぶ独特だな、()()()()?」

 

「ッ…‥‥‥ハァ‥‥‥‥」

 

自分のやらかしに気づいた観鳥は目を見開いたあとにどうしようもなさを感じたのか深いため息を吐きながら頭を抱えた。

 

「…‥‥観鳥令。南凪自由学園の中等部三年。そこの黒髪の子には話したけどマギウスの翼の白羽根をやってる」

 

「白羽根‥‥‥天音姉妹と同じ立場の魔法少女か」

 

「あの子たちと観鳥さんを比べるなんてとんでもだよ。観鳥さん的にはどうにも‥‥‥‥」

 

名前を自ら曝露してしまったことである程度吹っ切れたのか、撮った写真は削除してくれた。

思いの外素直に応じてくれたことに驚き、その訳を聞いてみると、『人間、結局は自分の身が大事なのさ』とのことだった。

ともかく、白羽根という中々翼の中で高い立場をひっかけたことは大きい。さやかは何か彼女から聞き出せることはないかと考え、その後ろでは杏子やマミ、そしてまどかが観鳥の言う南凪について調べていて、やれ海水浴場やアミューズメント施設があったりと娯楽にあふれた土地であることに目を輝かせていた。

その三人を、特にまどかのことを観鳥が見つめていた。

 

「‥‥‥‥ねぇ、あの子も魔法少女?あまり見たことがないんだけど」

 

その質問に今度はさやかが眉間に指をあてる。まぁ、自然ではある。主にマギウスの翼との戦いに出ているのはまどかを除く四人だ。そこに見知らぬ人間が現れ、なおかつ魔法少女のことを平然と口に出しているこの場にも居合わせているとしたらまどかも魔法少女であろうと推論を立ててしまうだろう。

 

「ほむら、頼むから殺気を隠す努力をしてくれ。お前のずももっとした視線が直線上にいる私にまで突き刺さっている。はっきりいって怖い」

 

「え?」

 

表情を青くしているさやかに観鳥がのぞき込むように彼女の背後を見やると、さやかが言語化した通り、眼球をかっと見開き、ずもももっと瞳を血走らせているほむらがいた。

さやかという肉壁越しにその視線をおくっていたのは彼女なりの慈悲だったなのか、のぞき込んできた観鳥が深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだと言わんばかりに全開にかっぴらいた瞳孔でにらみつける。

 

「ひっ‥‥‥‥」

 

「…‥‥すまない。こいつは彼女のことになるといつもこうなってしまうんだ」

 

「り、理由は…‥‥‥聞かない方がいいねこれ」

 

「まぁ、触らぬ神に祟りなし、だ。だがその質問に答えるとすれば、彼女は魔法少女ではない。だが、魔法少女のことは知っている。ソウルジェムや魔女化のこともだ」

 

「そこまで知っているのに、魔法少女じゃないんだ‥‥‥‥」

 

「色々事情があってな。端的に言うと彼女をこの争いに巻き込むわけにはいかない。ところで、アンタは今回私たちを付け回すつもりだったようだが、それはアンタ自身の判断か?それともマギウスの御三家からの指示か?」

 

「…‥‥一応、そういう感じの言われ方はしたね。あんまり気乗りをしなかったけど」

 

「それは、単純にこちらに対する恐怖心からか?」

 

「‥‥‥‥めっちゃ話しづらいこと言ってくるじゃん」

 

「想像には難くないからな。電波塔での戦いにやってきた翼側の魔法少女たちは頭数は多いが、お世辞にも強い魔法少女であると言うことはできないというのが私たちの見解だ。大半が魔女の打倒すら厳しい、というのは後ろで殺気をばらまいている魔法少女の言葉だ」

 

イヤなものでも見たかのような渋い顔をする観鳥を尻目にさやかは淡々とした様子で自分たちの見解を述べる。

 

「マギウスの翼は戦力的にも精神的にも依存している存在がいる。もっともとして挙げられるのがマギウスの御三家、次いではアンタや天音姉妹をはじめとする白羽根たち。その両方に私たちは勝利している。さらに今ここにいる私たちに限っての話になるが、組織の掲げる救済のために必須で戦力的にも隠し玉であろうドッペルを相手に正面から倒している。大方向こうからはひどい印象を持たれているだろうな」

 

そう言ってさやかはため息を吐き、わずかに沈んだ表情を見せる。その様子はまるで敵対することを本意としている訳ではないと思っていると、観鳥にはそう見えた。

 

「‥‥‥‥そういえばさ、君たちって全部わかっているんだよね。ソウルジェムのこととか、魔女化のことも」

 

「‥‥‥‥その通りだ。アンタの言う通り、全部知った上でマギウスの翼の行いに異を唱えている。天音姉妹からある程度は聞いたのか?」

 

「…‥‥まぁ、まずは自分の周囲の聞き込みから始めるのが一番だからね。あの子たちに色々言ったらしいね?」

 

「…‥‥‥私はあくまで可能性の一つとして挙げただけだ。アンタたちの救済が行われる過程で実際にその可能性が現実になったときに冷静でいられるのかと」

 

「それは────」

 

「同じことを繰り返し言うようだが、確かに可能性は限りなくゼロに違いない。だが、決してゼロと結論づけることも不可能だ」

 

観鳥が言いかけた言葉をわかっている、もしくはもう聞き飽きたと言わんばかりに遮り、ばっさりとそう言い切るさやか。

その目に一切の迷いはなく、曇ることもないまっすぐに前を向いているその瞳に観鳥は声をつまらせ、気まずそうに目線を逸らす。

 

「アンタにはどうなんだ?実際に身内に被害が出てしまえば、世間的には被害者だが、実態はむしろその逆だ。それで救済が果たされ、魔法少女に定められた運命が解放されれば、アンタはその結末で満足するのか?」

 

「…‥‥‥‥‥」

 

さやかの言葉に何も返す言葉が見つからない観鳥。

もちろんさやかの言葉を彼女自身が言っていた通り低い可能性、起こりえない未来だと言って切り捨てるのもよかった。

だが、彼女は、『白羽根』観鳥令はあろうことか組織のトップであるマギウスをさほど‥‥少なくとも心酔はしていない。

彼女がマギウスの翼に籍を置いているのもあくまで『解放』のため。誰だって死にたくはない。生き永らえたいのは当然の思考だ。

ましてやいつ来るかはわからないが絶対的に確定している死など、もっての外だ。

 

「…‥‥‥‥満足するかどうかより、観鳥さんはその『解放』のために翼たちに入っているんだよ。誰だって早死にはしたくない」

 

「…‥‥‥当然の考え方だな。私だって流石にこの歳で死にたくはない」

 

「…‥‥‥‥あの姉妹にも聞いたときに思ったんだけど、君って割と考え方はこっちよりだよね?解放そのものには賛成してるって。それでも観鳥さんたちマギウスの翼に反抗するのはその過程で誰かの不幸があってはいけないってこと」

 

「結構話したんだな、彼女ら。てっきり組織間に不和を生み出しかねない情報は通さないとばかり思っていたが」

 

「あの姉妹なりに考えているってことなんじゃないのかな、観鳥さんはあんまり接触する機会ないからそこまで計り知れないけど」

 

そこまで話したところで観鳥はしっかりとした目でさやかを見据える。

調子を取り戻したとも呼べる様子で、直近まであったさやかに対する恐怖心はなくなったようだった。

 

「よっし、観鳥さんの調子も戻ってきた!!案外普通の子ってわかったし、ずっとこっちが質問に答えっぱなしなのは性に合わない!!」

 

(普通ねぇ…‥‥‥)

 

(言わぬが花、という奴よ杏子。色々言いたいことはあるでしょうけどここは我慢ね)

 

「ほむらちゃんほむらちゃん、この南凪地区ってプールもあるみたいだよ!!今度みんなで一緒にどう、かな?」

 

「ええ、もちろん。貴方の頼みよ。断る理由もないわ」

 

「プール……………私としては全然構わないのだけど、あの水着まだ大丈夫かしら?最近また胸元が苦しくなってきてるのよね。」

 

「は?貴方そんなおっきいミサイルを二つもぶら下げておきながらまだ中身に脂肪を蓄える気?」

 

「おいおい、マミの胸がそれ以上デカくなったら入るサイズなくなんじゃねぇの?」

 

「ちょ、ちょっと暁美さんと佐倉さん!?いくらなんでも言い方があんまりでしょっ!?鹿目さんも何か言ってあげて!!」

 

「えっと……………さやかちゃんもおっきい方に入る人なんじゃないかな?」

 

観鳥の言う『普通』というさやかの評価にそれぞれ戦闘力と精神性に抜けている部分があるのを知っている二人は渋い顔を見せていたが、それも話している間にくだらない内容の会話になってしまった。

なんとも締まらない場の雰囲気に二人は互いに顔を見合わせてしまう。

 

「け、結構仲がいいんだね、皆々様って」

 

「…………一応、色々あったからな。それで、何か聞くのか?答えられる内容であれば答えるが」

 

「あ、はい」

 

同性でなければセクハラ判定を受けそうな会話に自分が突然混ぜられたことに恥ずかしがる訳でもなく淡々とした様子で話を続ける。

あんな会話の後でいいのだろうかと観鳥は顔には出さず、内心で頭を悩ますが、せっかく向こうからいいと言われているのだからあまり深くは考えないことにした。

 

「今まで聞いてきたことを整理すると、君たちは『解放』は行うべきだと思うが、その『解放』のための手段に問題があるから今のところ敵対しているってことになるんだよね?」

 

「大方な。とはいえ、例えそちらが被害の出ない、是正案を持ってきたところで簡単にそちらに下る可能性は低いだろうな」

 

「…‥‥‥理由を聞かせてもらっても?」

 

「電波塔における戦いで組織のトップである『マギウス』の一人、アリナ・グレイと戦っている。その時の彼女の言動などを鑑みてまともに魔法少女たちの未来を案じているとは思えない。というか、よくあんな典型的にヤバい魔法少女をトップにおけるな」

 

「…‥‥‥つまり、『マギウス』の人たちに対して不信感があるからということ?」

 

「そういう認識でいい。ほかの二人も会ったことはないが知っている人間から聞いた話によると相当色物な人間のようだからな。何か裏があるような気がしてならない」

 

「裏…‥‥‥?」

 

さやかの言葉に首をかしげながらその先を求めるような反応を見せる観鳥。

しかし、それは彼女が本来聞こうとしていたものから外れることになる。

大丈夫かという意味合いを込めてもったいぶるような様子で間を空けてみたが、変わらない彼女の雰囲気に折れるように口を開く。

 

 

「具体的に言うのであれば、『マギウス』には『解放』とは別に何らかの目的がある。もしくは元々本来の目的があって、『解放』はあくまでその次いで、という線も考えられるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




モチベを上げるコツのヒントレベルをください。(迫真)

マギレコ世界にさっさんを武力介入させるのは……………

  • ガンダムだ
  • ガンダムではない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。